米国の「Military Watch Magazine」は、スウェーデンのサーブ社が開発した第4.5世代戦闘機「Gripen(グリペン)Type E」についての評価を行った。
参考:Evaluating Sweden’s Gripen E Next Generation Fighter
スホーイキラーと呼ばれるグリペンの最新型「Type E」
スウェーデンのサーブ社は、第4.5世代戦闘機の中で最も軽量な「Gripen(グリペン)」の最新型である「Type E」は、2019年4月に初号機が完成してテストを受けており、2021年までに前線部隊へ引き渡され運用が始まると見られている。
グリペンは単発機で、米国のF-16によく似たマルチロール機だが、機体の大きさも重量もF-16より一回り小さく、エンジンはレガシーホーネットに搭載されていたGE製「F404」をライセンス生産(ボルボ社)した「RM12」を搭載しているため、エンジン出力は第4.5世代戦闘機の中で最も「非力」だが機体が軽量な分、機動性や速度性能は十分実用的だが、航続距離が短いという欠点を持っている。
最新型の「Type E」はグリペンの機体を一回り大きくし、搭載エンジンをGE製「F414」に換装することでアフターバーナーなしでのスーパークルーズが可能になり、全体的な性能を向上させた機体だ。
サーブ社は「Type E」について、スホーイキラーと呼ぶほど自信を持っている。
補足:スホーイキラーとは、現在のロシア空軍の主力戦闘機の座にあるSU-27、SU-30、SU-34等のスホーイ系戦闘機を打ち負かす事ができると言う意味
その自信の理由は、この機体に搭載されたAESA式のレーダー「ES-05レイブン」によって敵機探索能力が向上し、長射程を誇る空対空ミサイル「ミーティア」の性能を生かした運用が可能になるため、スホーイ系戦闘機にとって同機は「厄介な相手」になるからだ。
性能が向上したグリペンEは中途半端な存在に転落か?
このように「Gripen(グリペン)E」は全般的に評価が高いのだが、米国の「Military Watch Magazine」は異なる評価を下している。
まず「Type E」はGE製「F414」を搭載し「Type C」より推力が向上していると言っても、同じ単発機F-16の7割程度、ロシアのSU-35やSU-57などの双発機との比較なら3割程度の推力しか持っていないため、加速性や機動性において平均以下だと指摘している。
そこで「Type E」は、ES-05レイブンやミーティアを搭載することで欠点を補おうとしたのだろうが、このイタリア製のAESAレーダーは、米国のAN/APG-81や中国のKLJ-5(Type 1475)ほど性能が良くなく、せいぜい1990年代に開発された日本のJ/APG-1程度の性能なので、ミーティアの長射程を活かすことは難しいだろうと結論づけた。
海外輸出に関しても、この「Type E」は依然として国外の技術や装備の依存しているため、海外市場で他の第4.5世代戦闘機と競合すれば勝ち目がないという辛口の評価を下した。
軍事兵器の「正確」な性能は一般向けに公開されることはなく、あくまで推定値でしかないため、どの情報が正しいのかについては諸説あるが、結局、海外市場で他の第4.5世代戦闘機と競合し「Type E」が勝利すれば、このような辛口な批判を跳ね返すことができるが、逆に不採用が続けば「Type E」の高評価はハッタリだったことになる。
あと、これは管理人の個人的な見解だが、他の第4.5世代戦闘機と比較して安価だと言われていたグリペンも、この「Type E」に関しては8,500万ドル(約93億円)と価格が上昇してしまい、7,000万ドル台を実現した第5世代戦闘機「F-35A」と比較した場合、グリペン=安価という方程式はもはや過去のものになった。
もちろんライフルサイクルコストまで含めれば、まだグリペンに分があるかもしれないが、やはり価格のインパクトを失ってしまったのは失策だったかもしれない。
果たして「Type E」は海外市場で、どのような評価を下されるのか非常に興味深い。
アイキャッチ画像の出典: Tuomo Salonen / CC BY-SA 4.0
ES-05レイブンへの評価は納得
そもそも、あの首振り機能(素のグリペンはパルスド・ドップラー・レーダーなので首振り機能は必須だったが)を残してる時点で察し。
同じことがユーロファイターのトランシェ・3BのCapter-Eにも言えるかも?
(首振り機能を残してる、素子は同じイタリアのガリレオなんとかって会社)
探索が狭い(位相制御がうまくできてない、素子の性能が悪くできない)んでしょうね。
F-35が安くなってグリペンの価格面での優位性が失われつつあるのは分かるんだが、このMilitary Watch Magazineって日本はAIM-120に依存してるからミーティア装備のKF-Xに勝てないとか嘘ばっか書いてたとこだろ?
どうも信用ならないんだよね
F35の安さが頭おかしいだけだから…
ES-05ってイタリアじゃなくて英国じゃなかったっけ?
日本のレーダーが。。。。CHINAより性能が悪いなんて
J/APG-1は、1982年から研究開発が始まった最初期の戦闘機用AESAレーダーですから、流石に時代遅れかと。
2003年から開発者の始まったJ/APG-2だと、素子から見直しが入っただけあり、F/A-18E/Fが搭載するAN/APG-79以上とも言われてますね。
昨年XF-2でテストされた先進統合センサ・システムだとF35搭載のAN/APG-81に対して、うろ覚えだけど探知距離で1.5倍だっけ?
今の時代に、まだmade in japan神話を信じてるのか…
AESAの最初期型であるJ/APG-1と最新型のAN/APG-81と比べてはいけない。
F-2ですらAN/APG-79相当のJ/APG-2に全機換装済みなのに、J/APG-1改ですらない型落ち品と比べても意味ないぞ。
後、日本のAESAはGaN関連を独占しているから先端を行ってるぞ。AAM-4のシーカー部とミーティアの統合によるJNAAMでも分かるように、周回遅れは欧州勢だけよ。
防衛装備庁 技術シンポジウム2017 によると、先進統合センサ・システムの探知距離性能は、
・諸外国の第5世代機を凌駕するレーダ探知距離性能
・海外第5世代機の約1.5倍の探知距離性能
でした。
決して高性能じゃないけど低価格でメンテも楽ってのがグリペンの元々の売りだったような。
だからカタログスペックだけで比較するのは妥当じゃない気がするんだけど問題は価格でしょうな。
F-35より高額になってしまったってのは採用を検討してる国からすればちょっと考え込んじゃう部分だと思う。
そらまあ1990年前半には試作されて、1998には機体含めてロールアウトしてたレーダーと2000年代後半に出てきたレーダーじゃ性能差があって当たり前でしょ
と言いつつ、今や最新技術で比べたときでも、果たして日本のほうが優位とは既に言い切れないと思うけど
NGがベースで同じ大きさなら
最新型の「Type E」はグリペンの機体を一回り大きくし、
と言う書き方は間違い
脚収納庫を胴体から主翼の付け根に移し胴体構造の強化が
正しい
「一回り」は大袈裟かも知れないがE型はD型の機首を単座に仕立て直してるのでC型よりも全長が長く「大型化」しているのは事実。
スペックで言うなら、
・従来型のグリペンがF-20 タイガーシャーク並み
・大型化したグリペンE型はF-20より大きくF-16より少し小さい
なので、F404/F414エンジン単発ならより出力の大きいF100/F110エンジンを積むF-16の方が有利でしょうね。
グリペンのメリットはスウェーデンの戦闘ドクトリンに基づくものなので、輸出に向く国は限られます。
グリペンEで大型化、高出力化、航続距離延長してもF-16Vの方が手堅くマッチするでしょうね