米空軍は有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機のことを「協調戦闘機(Collaborative Combat Aircraft=CCA)と呼んでおり、24日「AndurilとGeneral AtomicをCCA Increment1の詳細設計と量産試作機に進む企業に選定した」と発表した。
参考:Air Force exercises two Collaborative Combat Aircraft option awards
参考:Here are the two companies creating drone wingmen for the US Air Force
今回選ばれなかった企業にも次の機会=CCA Increment2が与えられる
米空軍は有人戦闘機に随伴可能な無人戦闘機のことを「協調戦闘機(Collaborative Combat Aircraft=CCA)と呼んでおり、ケンドール空軍長官は「早ければ2024年にCCAの競争試作を開始する」と述べていたが、ジョーンズ空軍次官補も1月「CCAの競争試作に参加する5社(Boeing、Lockheed Martin、Northrop Grumman、Anduril、General Atomic)と設計・製造契約を締結した」と明かした。
競争試作は複数回行われる予定なのでCCAの供給も1社体制ではなく、ケンドール空官も「(初回の競争試作に進んで)CCAの詳細設計と量産試作機に取り組む企業を3社程度に絞りたいが、予算が厳しいため3社ではなく2社になるかもしれない」と説明し、空軍は24日「AndurilとGeneral AtomicをCCA Increment1の詳細設計と量産試作機に進む企業に選定した」「今回選ばれなかった企業にも次の機会=CCA Increment2が与えられる」と発表。
AndurilがCCAに提案しているのは「Fury」と呼ばれる機体で、General Atomicが提案しているのはXQ-67Aの派生型らしい。
XQ-67Aは米空軍研究所が主導するOBSSプログラム(このプログラムの意図は明かされていない)に選ばれた機体で、General Atomicが発表したGambit=ガンビット・シリーズの無人機だ。
Gambitは有人戦闘機の拡張センサーとして機能するGambit1、有人戦闘機の弾薬庫として機能するGambit2、有人戦闘機のトレーナーとして機能するGambit3、高度なISR任務向けにステルスを重視したGambit4で構成され、このユニークな4つの機体は全て「Gambit Core」に基いて設計される。
Gambit Coreは無人戦闘機の基本的なアビオニクスや降着システムなど重要な機能が集約化された「共通コア」のことで、GA-ASIは「自動車産業からインスピレーションを得た共通コアは各Gambitシリーズのコストの約70%を占める」と説明しており、異なる用途に最適化された無人戦闘機を別々に開発すると各機体の共通性が小さいため、共通コアを軸に各機体を作ることで「開発期間の短縮」や「製造コストの削減」など規模の経済を提供できるようなる。
つまりCCA Increment1に「XQ-67Aの派生型」が選ばれたということは「Gambit Coreを使用した派生型」という意味だ。
The @usairforce has selected Anduril to design, manufacture, and test production-representative Collaborative Combat Aircraft (CCA).
In this era of great power competition, there is no time to waste on business as usual. We look forward to delivering CCAs on schedule, within… pic.twitter.com/EMz8b9LkcY
— Anduril Industries (@anduriltech) April 24, 2024
Furyについていは情報が少ないので何とも言えないが、Andurilは「伝統的な防衛企業でない当社が大規模プログラムで競争し、成功への道を切り開いたことを誇りに思う」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Anduril
Andurilの機体はイラスト見たところF-16っぽい感じ。X-62(=NF-16D VISTA)の設計を生かしたのかな?
F-16というよりもF-100、F-105っぽいです・・
この手の無人機は鹵獲対策を施してるのかね?自爆するのか、それとも揮発性メモリでソフトウェアだけ消すのか?
なんかTACOMを思い出すボディのボリューム感
自分にはどうしてもわからんのだけど
ここまで高度化した無人機群をなんで有人機に随伴させなきゃいかんの?
不審機への警告みたいな「安全」な日常業務なら有人機だけでいいし
今ウクライナで起きてるようなガチ戦闘でミサイル撃って帰るだけみたいな任務なら
わざわざ有人機を一緒に出す必要もなくないかなと
落とされてもかまわないのが無人機のウリなのに有人機混ぜるとその利点が失われる気がする
無人機はまだすべての任務を信用されてない。もし誤爆をやらかした時、その責任をだれがとるのかが問題になってくるのではないだろうか。
いちいち地上勤務の司令が責任をかぶるわけにはいかないし、「AIがやった事ですので」で誰も責任を取らないというわけにもいかないだろう。
RQ-170の鹵獲事例見ると、衛星通信でも普通に鹵獲されますから、ハッキング等へのリスク削減もありますかね。現場での判断するラグも大きいですし、
有人機では下っ端から隊長まで複数の階級の人間がいる。
無人操縦とAI指揮官は別技術で、AI指揮官の方が難しいから有人機と無人機のミックスになっている。
日本はどうしているのだろう。
防衛省からMHIに依頼している件と、
JAXA?が北海道の方で実験している件と
2件の話は読んでいるのですが。
令和4~8年度(2022~2026年度)で実施中の
「自律向上型戦闘支援無人機の機能性能及び運用上の効果に関する研究」は、
>人工知能(AI)技術を適用した自律性の高い無人機モデルなどをシミュレータ内に構築し、将来の航空戦闘下における機能・性能、運用上の効果に関するトレードオフスタディを通じて将来の無人機コンセプトを導出する。
>戦闘機に随伴する無人機に必須なチーミング(連携)に関する技術を確立する。
を目的としています。つまり、本邦における「戦闘支援無人機」の開発はまだその段階です。
当該無人機は次期戦闘機との連携を前提にしたもので2035年度の開発完了を目指していますので、現時点で形にもなっていない事を悲観し過ぎる必要は無いかと。
いずれにせよ、将来の運用構想を満足し得る軍用AI開発が成否のキモなので、開発で先行する米国との「無人航空機へ適用するAI技術に係る日米共同研究」がカギだと思います。