米国関連

米国、ウクライナにNASAMS向け弾薬や熱画像照準器を備えた重機関銃を提供

国防総省は大統領権限(PDA)による4億ドルのウクライナ支援パッケージを23日に発表、このパッケージにはNASAMSで使用する追加弾薬に加え「無人機迎撃向けに熱画像照準器を備えた重機関銃×150門」が含まれている。

参考:$400 Million in Additional Assistance for Ukraine

熱画像照準器を備えた重機関銃はエリコン・リボルバーガンMk3のようなC-RAMではないかと予想されている

国防総省が発表した4億ドルのウクライナ支援パッケージにはHIMARS用弾薬、AGM-88HARM、精密誘導タイプの155mm砲弾×200発、120mm迫撃砲弾×10,000発、小火器弾薬×2,000万発、HMMWV×150輌、軽戦術車輌×100輌以上、発電機×200基以上、105mm榴弾砲などのスペアパーツに加え、NASAMSで使用する追加弾薬と無人機迎撃向けに熱画像照準器を備えた重機関銃×150門が含まれている。

NASAMSで使用する追加弾薬とはAIM-120のことを指しているのだが、無人機迎撃向けに熱画像照準器を備えた重機関銃が何なのかは不明で、恐らくエリコン・リボルバーガンMk3のようなC-RAMではないかと予想されているが、米軍備蓄に該当する装備があるのかは分かってない。

因みにボーイングはサーブと共同開発したGLSDB(地上発射型小口径爆弾)がウクライナ支援の新たな選択になると明かしており、GBU-39とM26ロケットモーター(HIMARSで使用されるロケット弾の推進部分)を組み合わせたGLSDBは最大150km先の静止目標だけでなく移動目標を攻撃することが可能でHIMARSだけなく簡易のプラットフォームからでも運用可能だ。

ウクライナ軍が提供を要請しているATACMS(300km)よりも射程は短いが、HIMARSで運用中のGMLRS弾(80km)よりも射程が長く、使用されている技術も枯れた技術の組み合わせなのでロシア軍に残骸が鹵獲されても問題が少ないが、GBU-39は折りたたみ式の主翼を備えた滑空爆弾=目標に接近する速度がATACMSやGMLRS弾よりも低速なので迎撃される可能性が高いという欠点がある。

恐らくボーイングは「GLSDBならクリミア大橋に届かないのでATACMS提供ほどロシアは反発しないのではないか」と言いたいのだろう。

関連記事:今月15日に次ぐ規模、ロシア軍が70発の巡航ミサイルでウクライナを攻撃
関連記事:ラインメタル、トラック搭載のエリコン・リボルバーガンMk3で小型ドローンを無力化
関連記事:バイデン政権、ウクライナ支援に必要な377億ドルを下院に緊急要請

 

※アイキャッチ画像の出典:Soldatnytt/CC BY 2.0 NASAMSランチャー

今月15日に次ぐ規模、ロシア軍が70発の巡航ミサイルでウクライナを攻撃前のページ

トルコ航空宇宙産業、組み立て進む第5世代戦闘機のプロトタイプを公開次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    ウクライナへの戦闘機提供、現在も米国とポーランドが協議中

    ホワイトハウスの報道官は5日、ウクライナに提供する戦闘機についてポーラ…

  2. 米国関連

    ロシア軍の攻勢用戦力、兵力30万人以上、戦車・装甲車輌5,500輌以上、砲兵装備3,500門以上

    ロシア軍は約1年に及ぶ戦いで1,688輌の戦車を失ったことが視覚的に確…

  3. 米国関連

    受注数伸び悩みが原因、F-35Aのコスト削減は7,000万ドル後半が限界

    F-35JPOの責任者であるエリック・フィック空軍中将によれば、ロット…

  4. 米国関連

    小躍りする中国、米軍事委員会が外交を活用した国防戦略への転換を要求

    米議会の下院軍事委員会で委員長を務めるアダム・スミス議員(民主党)は次…

  5. 米国関連

    ウクライナ軍の反撃を支える米国、21番目の支援パッケージを間もなく発表

    バイデン政権は24日に過去最大規模となる29億8,000万ドルのウクラ…

  6. 米国関連

    米陸軍の極超音速兵器「LRHW」は2,776km先の目標と交戦可能、日本配備も視野に

    日本配備も噂される地上発射型の極超音速兵器「LRHW:長距離超高速兵器…

コメント

    • ななし
    • 2022年 11月 24日

    米国以外の支援
    ポーランドのブワシュチャク国防相は23日、ポーランドに配備される予定だったドイツの地上配備型迎撃ミサイルシステム(パトリオット)をウクライナに送るようにドイツ政府に要請した

    6
    • 名前
    • 2022年 11月 24日

    GLSDBは素晴らしい
    確かに迎撃される可能性はあるが、ロシアの防空能力へ負担をかけることができるし、全てを24時間守ることもできない。
    それに移動中のトラックや鉄道や対空アセットを狙えたら楽になる場面はあると思う

    18
      • ミリオタの猫
      • 2022年 11月 24日

      GLSDBですが、動画を見ると目標に対して迂回しながら滑空して相手を攻撃すると言う、まるで巡航ミサイルみたいな能力が備わっている様なので、迎撃される可能性が有ると言っても簡単には撃墜されないと思います
      それと、GLSDBの動画ではMLRS/HIMARS用の6連装ロケットパックに架台を付けただけの発射機から試射していましたが、ウクライナ軍だったら運搬可能な組み立て式単装発射機を作りそう
      それが出来れば、特殊部隊にGLSDB用単装発射機を持たせてクリミア方面へ潜入するか、小型船に発射機を設置して海上からクリミア大橋を攻撃すると言うシナリオも考えられます

      3
    • 折口
    • 2022年 11月 24日

    スカイネックスやスカイシールドのような地上型CIWSはまさにこんな状況のためにあると思いますけど、果たして世界じゅうの在庫をかき集めたとて150ユニットも確保できるのだろうか…。英語におけるGunは銃のほかに大砲の意味もあって銃砲問わず使ってるので口径の参考にならないですけど、M2用のRWSやマウント式赤外線照準器だったとしてもおかしくないのかなという気もします。仮にそうだったとしても、個人用の暗視装置とオフセットの赤外線照準器では見え方が全然違うので、対空陣地構築には間違いなく役立つとは思いますが。

    9
    • 人参は飲み物
    • 2022年 11月 24日

    いいニュースだね
    ATACMSじゃなかったらOKみたいな雰囲気を醸し出してどんどん射程距離を増やしていく欧米の戦略はやっぱり怖いなぁ

    13
    • 成層圏
    • 2022年 11月 24日

    この流れ、面白いね。
    機関砲(銃)より射程が長く、命中精度がいい対空ミサイルが対空砲を駆逐したが、そのミサイルの欠点(高価・弾数の少なさ・探知能力の不備)を突いたドローンの出現により、再び機関砲の出番が出てきた。
    ウクライナ東部戦線では、まさかの塹壕戦も展開しているし。
    歴史は繰り返さないが韻を踏む、ってことか。
    その内、気球や風船爆弾もバージョンアップして、出現するかもね。

    11
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
  2. 日本関連

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  3. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  4. 日本関連

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  5. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
PAGE TOP