米陸軍は低空から接近してくる巡航ミサイルの暫定的な解決策としてグアム島にアイアンドームを配備すると発表した。
参考:Iron Dome heads to missile defense experiment in Guam
参考:The Iron Dome Air Defense System Is Heading To Guam
中国の巡航ミサイルからグアムを守るためアイアンドームの配備を発表した米陸軍
米国製の高度な防空システム「パトリオット」はイエメンのシーア派反政府組織フーシによる簡素な作りの無人機や巡航ミサイルによる攻撃阻止に何度も失敗しており、ロシア国防省の関係者は米国製防空システムの仕様は実際の性能を反映していない証拠だと主張して「米国製の防空システムはロシア製防空システムに比べて効率が悪い」と酷評、イスラエルのミサイル防衛機構元局長は「パトリオットのレーダーは地平線よりも下を移動する目標を検出して捕捉することが不得意=不可能に近く低空を飛行する無人機や巡航ミサイルに対して迎撃に効果がない」と語っている。
つまり航空機や終末段階の下層で弾道ミサイルを迎撃を担当する「パトリオットシステム」と終末段階の上層で弾道ミサイルを迎撃する「サードシステム」で構成された米陸軍の防空システムには低空=地平線よりも下を移動する目標を迎撃する能力が著しく欠けており、巡航ミサイルを大量に保有する中国と向き合うためには早急に防空システムの穴を埋めなければならない。
そこで米陸軍は暫定的な解決策として2セット導入したアイアンドームをグアム島に配備することになったというのが今回の発表内容だ。
イスラエルが開発したアイアンドームは元々ロケット弾や砲弾類を迎撃するためのものだが、低空を飛行する無人機や巡航ミサイルに対する迎撃能力も限定的に有していると言われてきた。
この限定的な無人機や巡航ミサイルに対する迎撃能力をラファエルは「ソフトウェアのアップグレードによって完全対応させた」と今年3月に発表、巡航ミサイルや無人機の動きを再現する模擬弾を用いたテストでアップグレードされたアイアンドームは巡航ミサイル、無人機、複数のロケット弾による同着攻撃を全て迎撃することに成功したと言われているが、飽くまでアイアンドームはギャップを埋めるための暫定的な解決策で米陸軍の本命はアイアンドーム派生型「スカイハンター」を選定で打ち破った「エンデュアリング・シールド/Enduring Shield(通称:AIM-9Xインターセプター)」だ。
ダイネティクスが提案した「AIM-9Xインターセプター」は米陸軍が開発を進めていた「Multi-Mission Launcher/マルチミッションランチャー(技術的成熟度の不足により開発中止)」の技術を流用して開発したもので、シンプルに言えばAIM-9Xを詰め込んだランチャーと巡航ミサイルや小型UAVの検出能力を改善したレーダー「AN/MPQ-64センチネル(もしくは将来開発されるセンチネルの発展型)」を組み合わせた防空システムと言える。
米軍はダイネティクスと契約を締結して最終的にAIM-9Xインターセプターを400セット調達すると今年9月に発表済みだが、問題はアイアンドームに比べAIM-9Xインターセプターは非常に高価だという点だろう。
アイアンドームが使用する迎撃弾は1発あたり4万ドル~10万ドルと言われているが、AIM-9Xの調達コストは1発あたり約50万ドル/約5,400万円なので迎撃コストが非常に高いと米メディアは指摘しているものの米陸軍はAIM-9Xインターセプターを選択した理由として「コストパフォーマンスよりも迎撃効果を優先した」と述べているので問題なのかもしれない。
補足:AIM-9Xインターセプターは無人機や巡航ミサイルに対する迎撃にのみ対応しているが、将来的にはアイアンドームと同じようにロケット弾や砲弾類の迎撃にも対応する予定だと言われている。
ただ米陸軍はAIM-9Xインターセプターを選択した本当の理由はソフトウェア面での海外依存を嫌ったためだと管理人は思っている。
米陸軍は調達したアイアンドームを統合ミサイル防衛システム「IBCS(Integrated Air and Missile Defense Battle Command System)」に接続するためソースコードの提供をイスラエル側に要求したが拒否されるという経験(後にソースコードは提供されている)をしており、迎撃コストが高価でもイスラエル製に依存するリスクを避けたのだろう。
どちらにしても無人機や巡航ミサイルが一部の国の特別な装備から転落してしまったため、低空をカバーする防空システムの需要は今後非常に旺盛になることが予想されるのでアイアンドームと競合する製品開発に多くの国や企業が乗り出しており「誰が市場の覇権を握ることになるのか?」非常に興味深い。
関連記事:米国やサウジがアイアンドーム導入に動く理由、パトリオットではUAVの迎撃が困難か
※アイキャッチ画像の出典:Photo by David Huskey Iron Dome
日本はどうすんだろ
いろいろ考えないとならないね、急いで。
こちらのほうが大陸に近いんだから
安全な島国だのガラパゴスな幻想につきあってたら滅亡するわ
適当な事言うなよ射程が2000km以上と思われる巡航ミサイル相手に安全だと行っている奴がどこに居るの?ドローンのスウォーム攻撃と勘違いしてないか?
たぶん買うと思う
手っ取り早く、小型ドローンに対する対抗策を得られるし
アメリカが巡航ミサイル迎撃に本気だとわかれば検討が始まるんじゃ。空自の元幹部などは巡航ミサイルなど戦闘機のAAMで迎撃するのは容易だとか言ってるそうで、まあ平和ボケしてますから米軍からなんか言われな限り動かないかもですが。
巡航ミサイルを戦闘機で全て撃破するのは、非現実的だな
飽和攻撃に使われるのも巡航ミサイルだから、空対空じゃ、絶対に手が足りなくなる
装弾考えると、地対空での迎撃が現実的
訓練のための訓練やってるとそういう非現実的な思考に行き着くのかもな
F-35A/Cの空対空ミサイル収納可能数は6発、B型は4発
理想論の命中率100%で考えてもすぐ押し負けるし、実際の命中率を考えるとさらに駄目だな
純粋に空中哨戒用にビーストモード的に兵装マシマシにして飛んでいくってのもありかもしれないね
でもそもそも戦闘機メインで迎撃をしてしまおうとすると諸々の労力がやばそう
やっぱり展開する地上部隊との連携が重要になってくるよね
展開し終えるまでの間のカバーに使ったりして
単純にミサイルの在庫が足りるのかなぁ、という疑問も…
そもそもAAM-4がその目的で作られたのだから馬鹿には出来ないと思うが
陸自は低空目標にも対応した03式中SAM改を既に配備開始してるし
より短距離の防空システムとして11式短SAM+基地防空SAMがあり
近接防空システムとして93式近SAM後継機の開発も始まります
問題は調達のスピードですが…
この種の防空システムの需要が国外にもあるのなら日本も輸出によるコストダウンを視野に入れるべきではないでしょうか
導入~維持コストが低減されれば調達スピードも早めることができると思います
日本は中SAM、93式、11式と低空対処に関しては多層化されているのでアメリカに倣えとはならないかと。
むしろ今必要なのはパトリオット以上の迎撃能力を持つ高高度担当の長距離SAMでしょう。
アイアンドーム凄Eー
作られるに至った経緯が経緯だからねぇ
これ作られる前とか有事になったら自国度に数千発のロケット弾やら迫撃砲がぶち込まれて数十人国民が犠牲になるのがデフォで何もなくても数年間で8000発位ロケット弾迫撃砲諸々がぶち込まれてる状況があったし
文字通り国民の命と直結してる装備、そういう重みが半端ないなぁと
アイアンドームって中国のスパイに持ってかれたんじゃなかったっけ
だったら脆弱性付かれそうだが
代替品なんてない。
アメリカへのソースコードの提供をイスラエルが拒否したってあるけど
両国の軍事関係は蜜月関係だと思ってたけど、案外違うんかなぁ?
イスラエルとしたら、アイアンドーム売りたいだろうし、これからバカ売れするだろうから、
今ここで開示するメリットないだろう。
米国製に反映されたら元も子もないし
具体的に顧客を予想してみ
居ないから
山のようにいるが…
小型ドローンや、地対地ロケットとか、どこの国も対処法ほしいし
日本も例外じゃないで
グアム配備なの忘れてんの?
ほら、具体名アメリカだけやんか、
笑い
日本忘れないで…
隣国と軍事的に緊張が高まってる国はどこも関心は持ってるでしょ
既にインドとアゼルバイジャンが、正式に購入に同意してるよ
NATO、特い東欧地域に近い所はものすごく関心高いってのはよく聞くよな
イスラエルが先日のロケット弾を大量に撃ち込まれた時に、アイアンドームの実力を世界に知らしめたからね
民間人たちが手持ちのスマホでその迎撃する様子の映像をSNSに大量に上げまくったから、なおさら実力が証明された
あそこまでわかりやすく証明されたら、アイアンドームの性能は疑う余地もない
迎撃率の高さも映像みればそうだろうなって思うわ
アイアンドームはこれから、世界中に売れまくるだろうなぁ
価格が高いから、その隙間を狙う他国に奪われるよ、すぐに似たようなシステムが出るから
欲しくても買えなければ妥協する、庶民も国家も同じ
実戦で効果を実証し、その効果を知らしめたのは、
世界中探してもアイアンドームしかない
だから、アイアンドームが評価されてるんだよ
誰もが同じようなもんを開発するさ、今だけ
イスラエルと取引しない国とかいくらでもあるし
同じような物…?
どうやって実証するの?
なんでイスラエルに作れるもんがイスラエル以外に作れないのか
中学生ですか君は
「じっしょう」ってことばわかりますか?
しんらいせいともいいますね
それをアイアンドームなみにたんぽできるものをかいはつできるくにっておおくはありませんよ
エルビットの技術力知らないから、こんなこと言えるんだろうなぁ
どうやって実証するの?:re
会話噛み合ってなくて草
とりあえず、アイアンドーム並の信頼性を持った類似兵器または、信頼性を担保できるほどの類似兵器を開発できる国がどこなのか、
具体的に教えてくれない?
涙目(笑)そんなにイスラエル押されてもな
ロシアも中国も必ずアイアンドーム相当を生み出せるって
それが国力の差
人口1000万に満ちない小国はどうあがいても敗けていく
例えば近年スウェーデンが軍的に凋落してるのはそういうことだよ
わかった?
ユダヤ優秀論とか信じてると草
作れはするだろうけど、アイアンドームほど客観的な性能の証明をするのが難しいんじゃない?って話であってユダヤ優秀論とかそういう話じゃないのよ。
わかった?
全然会話噛み合ってなくて草
ロシアも中国もコンバットプルーフできないでしょ
アイアンドームみたいに2000発以上の飽和攻撃にも対応できますって証明をした兵器はない
湾岸戦争でパトリオットが実戦証明することで、その後に大量の売却が決まったのと同じように、
アイアンドームも実戦証明によって、売却に一気に弾みが付くって話をしてるんだろ
トルコの無人機でも同じこと。
あれも、実戦証明によって一気に販売に弾みがついた
類似兵器は他の国にも作れても、実戦で証明されたものには、信頼性ではどうやっても劣る
信頼性と言うか、信頼感と言うか。
距離的に日本もミッドコースよりは終末段階の迎撃を強化する方が現実的だな
とりあえず、アイアンドームについて、テレ東が掻い摘んで説明してるので見とくと良いと思います
リンク
一機でどれだけの防衛範囲なんだろう
70km
グアムに置くより南沙諸島に敷き詰めた方が良さそう
もともとが低空を飛ぶロケット砲の迎撃用として開発がスタートしたものだからね
無誘導のロケットを迎撃することも目的だったおかげで、防衛範囲の設定が可能で、
その防衛範囲の設定の外に着弾するとコンピューターが識別したら、迎撃を自動的に撥ねる仕様
弾薬の節約にもなる設計
ググったら1500㎢か
半径7㎞程度 重要施設の最終防衛にしか使えなそう
計算間違えた半径21㎞ちょっと
計算を間違えていませんか?
1,500k㎡が正なら半径約22kmだし、半径7kmが正なら150k㎡だと思います。
ごめんね、上2つ俺。
21.8㎞くらいね
どちらにしろ拠点防備だよね
サウジアラビアもアイアンドーム導入しないとw
ドローンや迫撃砲弾をミサイルで撃ち落とすような不経済な兵器を導入する国って、特別な事情抱えてない限り限定的だよ
迎撃側が不利という原則を忘れなさんな
伸び悩むと断定しとく
被害が上回るなら非経済じゃないよ
ドローンの爆撃で何百人も被害にあったり、インフラ破壊されたら、それだけで被害甚大
非経済を破壊対象のお値段とでもおもってるの?
必死になるとこがかわいい
そんなこと言ってても、まだ売れてないし取引話もない
米軍が買っただけで終りだよ
>米軍が買っただけで終わり
これがめちゃくちゃ効果が大きいんだが?
米国が他国製を、しかも完成品で買うっていうのは、兵器市場ではインパクト大きいよ
迎撃が不利なのは同意見だが、迎撃を疎かにする理由にはならない。
日本という特殊な環境にいるから勘違いするけど普通の国は防御と攻撃が一体になってる訳で自分の都合であえて防戦に徹し続ける国はないという事を忘れなさんな
殴り殴られのどつき合いになった時、一発でも被弾を減らせれば万々歳
そのためのアイアンドームなんだから
パトリオットは巡航ミサイルの迎撃もできないの?
本当なら日本のメディアも騒ぎそうなんだけど、なんかイマイチ信じられない情報だな
パトリオットは弾道ミサイル迎撃に重きを置いてるから、その性質上レーダーも高高度目標に最適化されてる
あと、システム全体が大型で、輸送が大変。弾代も高い
アイアンドームは、近距離迎撃なため、クラッター対策もされて低高度目標に最適化されてる
おかげで小型目標も探知しやすい
システムとしても小型で、民間トラック車(実際、ハマスのロケット砲の迎撃でも、輸送に民間トラックに乗せて運んでた)でもはこべるほど輸送もしやすく、パトリオットに比べても弾代もずっと安い
展開のしやすさもダンチなので、巡航ミサイルやロケット砲、ドローンの迎撃はあきらかにアイアンドームの方が向いてる
低空からの巡航ミサイルによる同時多数攻撃への対処能力は全く不十分。
だから防衛装備庁が超低空で同時多数飛来する巡航ミサイル等の撃墜能力を有する「基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾」の開発に着手しています。
アイアンドーム
ロケット弾や砲弾類を迎撃する目的で開発(=安価)
→ソフトウェアアップグレードで無人機、巡航ミサイル迎撃に完全対応(=安価)
AIM-9Xインターセプター
無人機と巡航ミサイルの迎撃高価優先で開発(=非常に高価)
→将来はロケット弾や砲弾類に対応予定(=非常に高価)
という両国のコンセプトの違いが興味深く面白く感じた。
イスラエルは国土が陸地で繋がってるし、グアムは海で隔てられてるから短射程のロケット弾は考えなくて良い
米軍がアイアンドーム活かせるのはイラクとかアフガニスタンのような海外遠征時だろう
配備がグアムなんで、展開先は東アジア全域
中東に持ち込むならディエゴガーシアやカタール配備にならないとおかしいよ
短距離ロケット対策は、漁船からでも撃ってくる想定しなきゃいけないし、その対策として必須だよ
中国軍が漁船を活用してるのを知らないわけじゃないでしょう?
東南アジアの国や、東欧なんかでは、アイアンドームの水上型のシードームが売れるだろうなぁ
日本はここらへん自前で頑張ってると思うけど
ランチャー数が少なすぎて不安になる
バッテリーのこと?
あれ、交換めっちゃ簡単
しかも小さいから、佐川急便でも運べるわw
佐川さん結構ぶん投げるけど、壊れないかな?
(リチウム系のバッテリーだと下手したら発火するかも)
リチウム系バッテリが発火するほどの衝撃はさすがに与えないかと
バッテリー=ランチャーのことだよ
アイアンドームの交換ランチャーのことを、バッテリーと言う
全装填でも重量は970kgと、1t切ってるおかげで輸送がしやすい
日本も国防と国土維持のための重要拠点に
アイアンドームを配備した方がいいんじゃない?
インターセプターろくな検証無く前倒し配備しないである物を有効活用するのは良いと思うけど、差し迫った脅威あったのはアフガンだったが配備しなかったのは理由があったのかな。
インターセプターは対地性能まで有した認知機能が高いAIM-9Xを使う事で低空目標の迎撃率を上げ、かつ撃ちっぱなしとする事でイージス並のシステムを不要としたままコンパクト安価なシステムで同時対処能力上げるって感じなのかね。
あと何回か書いているけどアイアンドームのタミルミサイルは射程70kmなんて無いからな。AMRAAMやAIM-9Xとかの地上発射だと空中発射時の大体1/4の射程になる。AMRAAMですら70kmなんて無理なのにそれより遙かに小型のタミルミサイルがどれだけ弾頭を小型軽量化して高性能な推進薬使おうが1.5倍以上の射程になるとは考えにくい。むしろそれが可能であるなら日本はすぐにでもイスラエルと軍事技術の交渉を始めるべきだと思う。70kmは探知範囲の話しで基本は有効射程までは待ちのシステムでしかない。同じ土俵で比較してはいけないけどタミルミサイルが70kmも射程があるならそれに近いサイズの11式短距離地対空誘導弾の射程だってどれだけ性能低くても30kmあるって事になるが。
日本の防空網は確かに下手な国よりは厚い。空自の機体数や地上発射型だと抗堪性考えてセンサーとシューター分離したりしているが昔ながらの4世代以下の航空機とか攻撃ヘリ相手なら効果は大だろう。でもステルス機や巡航ミサイル小型UAVとかの対処を考えれば数が限定されていると思うし、さらに稼働率も絡んでくる。IM-SHORADみたいな物はないし、XM1296 ストライカーICVDの30mmみたいにやり方次第ではUAVに使えそうなエアバースト弾撃つような車両もない。インドがボフォース40mmを対UAV用に使えるか検証しているように、VADS後継も含めもうちょっと研究しても良いと思うんだけどな。
4,5年前にパトリオットてフーシ派の弾道ミサイルの迎撃にも失敗してませんでしたっけ?
なんか不安だなあ、アメリカのMDは。
双尾蝎とか相手にパトリオットで対応してたらコスパ合わないよね
アイアンドームぐらいの方が使い勝手良い