米海兵隊は23日、全ての戦車大隊(主力戦車M1A1エイブラムス)廃止や航空戦力(F-35BやMV-22など)調達の削減を含む大規模な部隊再編計画を明らかにしたが、なぜ海兵隊が主力戦車運用に見切りを付けたのかを「Marine Corps Times(海兵隊タイムズ)」が報じている。
参考:The Marines want to get rid of their tanks. Here’s why.
米海兵隊が主力戦車に見切りをつけた理由は無人機と精密誘導兵器の普及?
米海兵隊は23日、2030年までの10年間で兵士約1万2,000人と航空戦力(F-35BやMV-22など)を大幅に削減し、国が要求している国防戦略に海兵隊を最適化させると明らかにした。再編の大まかな内容は以下の通りだ。
- 戦車大隊(主力戦車M1A1や架橋戦車を含む)を全て廃止
- 歩兵大隊を3個大隊削減して21個大隊へ
- 砲兵大隊を16個大隊削減して5個大隊へ
- 水陸両用車中隊を2個中隊削減して4個中隊へ
- F-35を装備する飛行中隊の定数を16機から10機に削減
- MV-22とCH-53Eを装備する飛行中隊を各1個飛行中隊分廃止
- AH-1Zを装備する飛行中隊を2個飛行中隊分廃止
- 調達を予定していたF-35BとF-35Cを計130機分キャンセル
- 調達を予定していたCH-53Kを130機分キャンセル
- 総兵力の7%にあたる約1万2,000人の兵士削減
- 新たに編成される「沿岸連隊」を日本の沖縄に3個連隊配備
このような部隊再編と装備削減を行うことで浮いた予算は将来の装備やシステムに再投資される。
関連記事:米海兵隊が部隊再編を発表!戦車を全廃、F-35B等の航空戦力も大幅削減
海兵隊タイムズによれば米海兵隊が主力戦車M1A1「エイブラムス」廃止を決断を下したのは裏には、もはや珍しくもなく世界中に普及してしまった無人機や精密誘導兵器の前に「戦車」や「装甲車」といった時代遅れの装備は生き残れないと考えているからだと報じ、この考えを裏付ける実例として今年2月にトルコ軍とシリア政府軍との間で発生した戦闘とリビアの例を挙げた。
トルコは国境沿いに位置する「イドリブ」を拠点に活動している反政府組織をシリア政府軍から守るため、トルコ軍を動員してシリア政府軍の戦車や装甲車を100輛以上破壊し少なくない政府軍部隊を壊滅に追い込むことに成功したが、この時に活躍したのが無人機と精密誘導兵器だ。
Asil milletimiz emin olsun ki; İdlib’de barış ve huzur için toprağa düşen Aziz şehitlerimizin hesabını sormaya devam edeceğiz!#MSB #TSK pic.twitter.com/hutEL7g0Ey
— T.C. Millî Savunma Bakanlığı (@tcsavunma) February 29, 2020
シリア政府軍の戦車や装甲車は建物や茂みに隠れたりカモフラージュを施しトルコ軍からの攻撃を回避しようとしたが、上空を飛行する無人機に搭載されたセンサーや赤外線画像の前には無意味で次々と位置が特定され遠距離からの精密誘導兵器による攻撃で破壊されてしまった。
さらに北アフリカのリビアでは国連に支援を受けている政府軍が、対地ミサイルを搭載搭載可能な中国製無人機「翼竜Ⅱ」をUAE経由で入手した反政府武装組織「リビア国民軍」に苦戦しており、もはや無人機による戦場上空の偵察・監視や搭載した精密誘導兵器による攻撃は、米国など一部の国に限られた「特別な手段」では無くなってしまったのだ。
もちろん遠距離から精密誘導される兵器も同様で、最近中東海域で行われた臨検で輸送船から謎の誘導ミサイルが発見され米軍を驚かせた事件があった。発見された誘導ミサイルは公式に確認されているどの誘導ミサイルとも異なり、闇で流通する部品を使用して組み立てられたカスタム誘導兵器である可能性が高いと言われている。
このような戦場では先に発見し攻撃をしかけた方が決定的な「優位」を占めるため隠れている敵を見つけ出す「偵察」が非常に重要になる。海兵隊が提出した報告書の中で敵精密誘導兵器の射程範囲内でも活動を継続できるシステムや兵器は、精密誘導兵器の射程範囲から逃げなければならない「戦車」や「装甲車」などより重要性が高く、将来に向けて海兵隊が対処しなければならない課題に戦車の能力は「不向きである」と結論付けた。
当面、海兵隊は無人機や無人化された装甲車輛の開発、精密誘導が可能なロケット砲や長距離射撃が可能な自走砲などの開発を重点的に行う計画だが、敵精密誘導兵器の射程範囲内でも活動を継続できるシステムや兵器を見つけなければならないと指摘している。ただし、それが何を指しているのかは謎だ。
以上のように局地的な紛争に真っ先に投入される海兵隊にとって上記のような戦場に直面する可能性が高く、さらには国が要求している中国の西太平洋海域進出阻止にも対応しなくてはならないため戦車を廃止し新たな戦い方を構築しながら、中国の進出に備え新たに「沿岸連隊」を編成するのだろう。
因み海兵隊は、地上戦から戦車が消えることはなく今後も陸軍によって戦車や装甲戦力が提供され続けるだろうと述べている。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Kevin Payne/Released
戦車厨にとっては信じられない記事だな。戦車には戦車をって言ってたまぬけが少しでも減ればいいね。
>>因み海兵隊は、地上戦から戦車が消えることはなく今後も陸軍によって戦車や装甲戦力が提供され続けるだろうと述べている。
占領しようとしたらドローンでは不可能だからねぇ
戦車には戦車なのは全く変わらんだろ…
内容を理解できずに頓珍漢なことを言う間抜けにまぬけ呼ばわりされるとは心外すぎる
相手が戦車で上陸してきたら日本なら無人機で対戦車ミサイルぶっ放したほうがいんじゃない。
戦争・国防ってのは彼我共に持ってるモン全部出しでやるもんですよ?そんな「戦車VS無人機」ジャンケンみたいな過度に単純化し過ぎなシチュエーション提示されても現実世界では無意味ですよ。戦車だけで攻めて来る国家軍隊なんて存在しないし、上陸地が日本の島嶼(無人の魚釣島なのか有人島なのか)か本州や九州なのかでも話は大いに違ってくる。また、島嶼ならその上空の航空優勢が彼我どちらに傾いているのかにも関わってくる。そもそも島嶼国家日本へ侵攻してきた敵軍は、政治外交的要素や時間的猶予などの状況が許せば兵站阻止して日干しにする殺し方もあるんですし。
米軍全体の話ではなく、海兵隊に限った話だという事を記事から理解しよう。海兵隊ってのは基本、言ってみれば海棲両生類、むろん敵地のショアでの軍事活動の初動も担任する組織。そんな地域で上空の強固な航空優勢も得られる保証もない状況で戦車揚陸・進攻も困難、早く言えば無理・無駄・無意味。なので海兵隊戦車部隊は廃止して、そのリソースを別に割り振ります、って事。逆に言えば、米陸軍の戦車部隊は敵の無人機&ミサイルの経空脅威を排除した地上で動かすつもりなんだろうね、という訳だ。沖縄配備の海兵隊ミサイル部隊の件は、これまで攻勢戦力として生きてきた海兵隊が、ショアでの防勢戦力という新たな能力を身に着ける事に自身の存在価値を見出した、という感じですかね、
>海兵隊は、地上戦から戦車が消えることはなく今後も陸軍によって戦車や装甲戦力が提供され続けるだろうと述べている。
この程度の文章すら理解できないまぬけが何言ってんすかね?
今後はドローンを狩るドローンが流行するでしょうね
段々とAIが戦場を支配する様になるのでしょう
戦車そのものよりも任務的な問題からか
3月26日付の当ブログの第一報「米海兵隊が部隊再編を発表!戦車を全廃、F-35B等の航空戦力も大幅削減」を読んだ時は『気が狂ったか?』と思ったが、これを読んで腑に落ちた。
2019年9月14日に発生したイランによるサウジ石油施設攻撃に使用されたドローンと巡航ミサイルを見れば分かるが、今やドローンと精密誘導兵器はやろうと思えば、ハンドメイドレベルの技術でも開発出来る。
しかも、それによって得られる戦闘力は従来型の軍隊以上だ。
つまり、現状の米海兵隊の兵器体系と戦術教義では、この様な装備を持つ武装組織に対しては対抗不可能だから、全く新しい兵器体系と戦術教義が必要であると考えたのなら、納得出来る。
恐らく、中国に対する「沿岸連隊」構想は上記の話のついでだろう。
ステルス装甲車を開発するしか…
ドローンの方が戦闘車両よりも小さく作り得る以上、ステルス装甲車を作っても意味は無いだろうね(ステルス性と機動性でドローンに勝てる見込みは無い)。
むしろ、パワードスーツを作って歩兵の機動力と装備搭載量を増大させる方が、まだ望みが有る様な気がして来た。
エグソフレームとかマシーネンクリーガーとか?
いやいやいや
重い装甲・装備を担いだら機動性を持たせるために何らかの動力が必要でモーター+バッテリでも発熱が有り結局発見される。今はピンポイントの精密攻撃だがパワードスーツを装備した小隊又は中隊で分散すると今度は面攻撃になり制圧される。
小規模の機動力有る対空レーダーを離れた場所に複数配置、射程距離10Km程度のSAMで熱を発しない(自走しない)偽装発射機を用いてドローンを狩る方が現実的な気がする。
人間の熱でもくっきり見えてる現状エンジン積んでる車両はもう隠れる手段がない
地上物はパッシブステルスでどうにかなる段階過ぎてると思うわ
対空レーザー搭載したドローン駆逐車両作って機甲師団に随伴して適宜撃墜するしかない
戦車全廃の件はひとまず置くとして、他の装備削減には合点がいきません。
オスプレィやヘリなど無くしたらどのように迅速な展開を行うのでしょう。
まさか徒歩や自転車で?
それって旧日本陸軍ですよね。
「沿岸連隊」ってあの島嶼戦前提ですね。
立て籠もるにしても補給無しでどうやって戦闘継続するのずしょう。
戦車や航空機は他軍頼みになるかな。
逆だよ
陸軍、機甲化師団、航空兵力、歩兵の展開は無い
空軍、海軍による無慈悲なミサイル、爆弾、巡行ミサイルでやる
陸上の拠点の制圧、戦後の処理 知らんがな!!!!!! って感じ(戦後の占領、占拠はやらない)
なら海兵隊要らないねってならないのかな?
察するに、艦上から発進させたドローン部隊が敵戦力を壊滅させた後に、比較的軽武装な歩兵部隊が占領任務に当たる。
との構想なのでは? 重厚な機甲戦力が無いので輸送部隊も削減。ドローン部隊を優先するので砲兵戦力も削減。之で説明出来ませんか?
また、沿岸連隊とは島嶼守備隊ではなく、沿岸警備隊+海兵隊と云うイメージかと想像します。
確証は無いのですが、沖縄に展開するなら上記の部隊は使い易いかと思います。
なるほど気付きませんでした。
沿岸部隊≠守備隊ということですね。
お二人のご教授に感謝します。
>オスプレィやヘリなど無くしたらどのように迅速な展開を行うのでしょう。
そんな事実は記事中どこにも書いてないがな。
MV-22とCH-53Eはちょいと減らす・CH-53E型→K型への更新の話はとりあえず白紙撤回、それだけだろ…
敵地占領を求めないなら精密誘導兵器だけで事足りる、アメリカなら北朝鮮の核ミサイルの製造・格納地点をミサイル攻撃して後は知らね~ですすますが一番安全で安上がりだろう。
トルコのやったようなことも、相手側が高性能な対空監視レーダーと連携した地対空ミサイルかステルス機を持っていれば逆の結果になっただろう。
アメリカの海兵隊ならF35Bで接近してくるドローンとその発進基地を空爆後に上陸部隊を展開すると思うんだが。
ドローンならカタパルト不要でいすも型で運用できるから、長時間飛行可能で遠距離の警戒監視用のプレデタータイプの無人機を運用するのもありだと思う。
先日、アメリカ軍の展開能力がガタガタだったという記事がありましたよね。
それで海兵隊の戦車を諦めたのかも。
外注してた輸送手段が、ダメダメらしいから、自前の輸送機や船でできる編成にしたとか?
順番が逆かな?
でも海兵隊のドクトリン(MAGTAFだっけ)はどうするんだろ?
地上戦闘を放棄したら、海兵隊は要らない。
土地の占領がある限り、AFVは無くならない。
ドローンや精密兵器も妨害手段が確立すれば、優位性が失われる。
イージス艦が漂流させられたくらいだからね。
F35Bを大幅削減となると
強襲揚陸艦アメリカにF35Bを搭載したライトニング空母構想はどうなる?
あれやこれや削減したら海兵隊の要望で復活したウェルドッグの存在価値はあるのか?
こんないきなり装備縮小や部隊削減して内部からの反発はないのか?
ここまで極端だといわゆる観測気球っぽいですね。
米空母艦上機はあくまで海軍だけでやってちょうだい、我々海兵隊の航空部隊は空母から降りますんで、って事でしょ?
市街戦とかで移動トーチカを担う兵器がなくなっちゃうけど大丈夫なのかね
米軍が経験した大規模な市街戦はもう20年近く前になるからその戦訓は既に役に立たないという理屈も分かるけど
全く無いのは流石に問題なんじゃ?
いずれにせよ、現場の兵士の血で代償を支払うことにならないといいけど
海兵隊だから市街地戦闘はもうやらないのだろう
やりたいなら戦車が残る陸軍がやれと
すでに大きく高価な戦車は安価な兵器の標的にしかならない時代に移ろうとしてる
最近の戦車を見ててもわかるよ、敵に対する攻撃力よりも地雷やロケット弾への防護力が強調されてて、なんのための兵器なのか見えにくくなってるし
>>新たに編成される「沿岸連隊」を日本の沖縄に3個連隊配備
東シナ海を米国が注目してきた。尖閣諸島の射爆撃訓練も始めるかも。
この件4/12付けの読売新聞に載っていました。
「今後10年間で」とありました。
どう転ぶかわかりませんね。
戦車が時代遅れ云々より、米軍は第一列島線に船を沈める対艦ミサイル部隊を配置して、陸海空海兵で中国の軍事進攻を抑止する方向に舵を切っている。
陸自の地対艦ミサイル部隊が演習やったのを見てそれに習って部隊を作り直す戦略です。
勿論日米共同でね。