米国関連

新たな戦場の神、新型155mm自走砲「M109A7」を米第1騎兵師団が受領

米陸軍第1騎兵師団傘下の第3旅団戦闘団「通称グレイウルフ」は最新の155mm自走砲「M109A7」を受け取ったと明かした。

参考:U.S. Army fields next-generation artillery system

M109A6の時よりもアップグレード内容は地味だが、米陸軍の兵站部門にとっては歓迎すべき内容

米陸軍は現在、約900輌(更に約500輌を保管状態で保有)運用している155mm自走砲「M109A6 パラディン」のアップグレードに取り組んでおり、BAEシステムズでは「M109A7」大規模な再生産が開始された。

出典:Public Domain M109A6 パラディン

米国が開発した155mm自走砲「M109」は幾つもの改良や派生型を経て1994年に155mmの長砲身化(33口径→36口径)や装甲の強化、射撃管制装置やエンジン・サスペンションのアップグレードなど大幅に改良された「M109A6 パラディン」を取得、M109A6最大の特徴は何とも言っても移動中から初弾発射までにかかる所要時間を60秒以下(撤収作業も30秒以下)に短縮したことで、敵の反撃を交わしながら自在に射点を移動しながら味方部隊に間接支援を提供し続けることが可能だ。

しかしM109A6も最終発注分を1999年6月に受け取ってから十数年が経過、現在はM109A6にアップグレードを施したものはM109A7(旧:M109A6 PIM)の調達が本格化している。

出典:Public Domain M109A7のプロトタイプ

ただM109A6からM109A7へのアップグレード内容は「M109A6 パラディン」ほどの派手さは無く、主にエンジンやトランスミッション等のコンポーネントを「M2 ブラッドレー歩兵戦闘車」と共通化することが目的で、このアップグレードを行うことで米陸軍の兵站はM109A7とM2のスペアパーツ管理がシンプルになり、保守にかかるコストを削減することが出来るようになるらしい。

※M109A7はM109A6を分解して再製造しているため新規製造ではない。

更に155mm砲の俯仰角や旋回角を制御する油圧システムが電気駆動式に変更されており目標に素早く155mm砲を向けることが可能、新しく追加された大容量の電源ユニットは将来追加される電子機器やネットワーク機能に十分な電力を供給することにも対応している。

出典:US Army Photo by Edward Lopez 58口径の新型155mm砲を搭載した試作車輌

このようにM109A7へのアップグレード内容は一見すると地味に見えるかもしれないが米陸軍の兵站部門にとっては嬉しい内容だろう。ただ米陸軍はM109A7の次も準備中(58口径の新型155mm砲を搭載した試作車輌をテスト中)で、今後も継続して自走砲戦力への投資を続けていくものと思われる。

 

※アイキャッチ画像の出典:米陸軍第1騎兵師団(@1stCavalryDiv)のツイート

米仏に続きUAEまで東地中海問題に介入、F-16Eをギリシャに派遣前のページ

露メディア曰く、韓国は第5世代戦闘機に関する技術協力をロシアに希望?次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    ロシアや中国の妨害に耐性を備えたGPS軍用Mコード、2021年に提供開始か

    スプーフィング(なりすまし)攻撃や妨害電波に対する耐性が強化されたGP…

  2. 米国関連

    F-35スペアパーツ問題に米議会が激怒、5年間で3億ドルの追加コスト発生

    米下院監視・政府改革委員会の議員達はロッキード・マーティンに書簡を送り…

  3. 米国関連

    米国の第6世代戦闘機開発、空軍の「F-X」は迷走し海軍の「F/A-XX」は開発費不足

    米空軍の次世代戦闘機「F-X」は未だ行く道が定まらず、米海軍の次世代戦…

  4. 米国関連

    米メディア、陸軍の近距離防空システム「IM-SHORAD」はUAVの的になるだけ

    米国の経済誌「フォーブス」は14日、米陸軍が無人航空機(UAV)対策と…

  5. 米国関連

    米海軍長官が提唱したインド洋担当の第1艦隊構想、実際には司令部設置のみ?

    米海軍は中国に対抗するため47年前に廃止した第1艦隊の復活を検討中だと…

  6. 米国関連

    F-35最大の欠点解消に向けて前進、ALISに代わるODINの評価は上々

    F-35の管理システム「ALIS」に代わる「ODIN:オーディン」がア…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    世界中に余剰になっているM108/109シリーズは、大量にあるだろう。
    此等の改修転売は、やっていないのだろうか?

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      古い自走砲だからお金に余裕があるところは新しい自走砲買うし、更新できない所はお金がないか後回しにされてるだろうし
      M109を改装して使ってる軍隊なんてアメリカと韓国くらいだろ

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    原型なんてどこかに残っているのかしら。もうテセウスの船状態? それを言っていたらF-16、UH-1Yも同じようなものか。制式名を変えるのは相当面倒なようで。

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      エンジンスワップと足回りの交換、砲塔の駆動方式の変更なんて派手なことしてるけど、車体本体は結構そのまんまな感じがする。
      たぶん砲塔は写真を見る限り、A6で新造されて、A7もそれをベースにしてると思う

        • 匿名
        • 2020年 8月 24日

        重量が、29t → 35t で6t重くなってる。

        それでも尚、くそデカ図体の割に軽いので、装甲は薄いが拡張余力はたっぷりあったんだろうんな。
        取り回しはすごく良さそうです。

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    パッと見、戦車だと思った。
    戦車との違いは砲弾と装甲厚くらい?

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      あと射角と射程とそもそもの運用思想な。
      違いに関して、大昔までさかのぼれば分かるが自走砲は砲、つまりもともとは敵が密集しているところに撃ったり、壁に穴を開けるためにあった。
      威力が重要だが、高火力=高重量 となり 人の手では運べなくなったので原動機をつけて自走できるようになった。
      戦車はもともと銃弾の雨をものともせず塹壕を突っ切ってマシンガン陣地などを征圧する為にあった。
      歩兵だけでは攻略が困難な場所はこいつの出番となる。

      1
        • 匿名
        • 2020年 8月 25日

        他の者ですみません。
        戦車と自走砲の区別とはわかっているようでもなかなか説明できぬもの。
        とても分かりやすいご説明ありがとうございました。

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    しかし米国のは将来余裕、アップグレードの余地がたっぷりあるというか。こんなのを見ると75式を退役させて99式に更新している陸自は「なっとらん」という人もいるかもだが、将来余裕というモノは使われなかったら単なるムダだし、開発段階でそこまで将来を見通せるか、それを盛り込めるか、というのも難しいところ。M109も2020年になっても使われる、なんて考えていなかっただろうし。

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      アメ車は大きくてナンボ。
      嘘です。

      日本の場合、調達数が限られてるので、新規開発した方が、防衛産業全体にお金が行き渡るのではないかと。
      アップデートだと偏るかも?
      私の妄想ですが。

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      アメリカが古い車両のアップグレードで済ませてるのは、必要性の問題とあと更新する数が圧倒的に多いからだろう。陸自みたいに買い換えたほうが何かと良いと考えるのもそれなりに一理はある。
      アメリカ人って古い車も修理して結構乗るけど日本人は買い換えた方が特と考えて買い換える。
      こういうとこにも国民性が出る気がする。

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      アメリカの場合は新規開発だと予算が出にくいのですが、改造とか扱い別の型式という扱いだと予算が出やすいのです。
      正直、ネジ単位までバラバラにして組み上げてるので、ほぼ新造に近いことやってるだけど、それがアメリカンクオリティ。

        • 匿名
        • 2020年 8月 25日

        新型にいつ移行するかの見極めは確かに難しいですね。ただ陸自のようにほとんど改良を施さないのはさすがにどうかと思う。
        新規開発じゃないと旨みがないとかいうのだととんでもない。

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    陸自はアップグレードの話題聞かないね
    そういう発想に欠けてるのかな

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      陸自が、というより財務省が認めないらしい。すなわち「旧型の改良で済むのなら新型を開発する必要はないだろう」「新型を開発するのなら旧型の改良は不要だろう」という論法。旧型を改良して延々使い続ける、というのも、部品供給の面から相当難しいと思うが。

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      防衛省ではなくて財務省の官僚が軍事や国防って観点を全く持ってないのが悪い
      縦割り行政で数字しか見てないからアップデートなんて発想するわけもなく…

        • 匿名
        • 2020年 8月 25日

        財務省は、無駄な神学論争するからね。
        その割に国民から絞り取る事には、やりたい放題。

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      上で書いてる人いるけどアップグレードより新規製造の方が優れてる部分もあるから、一概にダメ出しするもんじゃないでしょ。どのやり方を取るかだけのこと。
      逆に聞くがアップグレードするけど新新規製造への置き換えサイクルが長引いても良いのか?(予算は一定の前提な)

        • 匿名
        • 2020年 8月 25日

        補修部品の共用等、実戦運用に必要な事を、防衛省にも学んでもらいたい。
        何時まで経っても張子の虎のまま。

        • oominoomi
        • 2020年 8月 27日

        手作業でネジまでバラして組み直すくらいなら、ラインに乗せてどんどん新製した方が安い気もしますけどね。
        特にアメリカ軍みたいに生産数が多いなら。
        また若い技術者が経験を積める、という点からも新規製造の方が利点が大きいと思います。

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    3枚目の写真を見て驚いた。
    今の自走砲って、砲塔があって旋回するのか。
    知らんかった。

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      陸自の総火演でも99式は砲塔を真横に向けて発砲するのを見せてくれます。車体を壕に入れた場合、砲塔が旋回できないと困るそうで。

      • 匿名
      • 2020年 8月 24日

      砲塔が有ろうが無かろうが旋回しないと仕事になりませんがな。旋回角度の自由度は昔に比べれば上がったように感じますが。(イメージ:フンメル左13度右15度→M109全周、19式装輪榴弾砲でも左右45度程度)
      見た目、砲塔が装甲化してると印象違いますよね。

    • 匿名
    • 2020年 8月 24日

    安倍総理への信心が足りない
    安倍総理を信じれば救われるのに

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      ここそういうブログじゃねえから

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      Say in English.

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      変な釣りコメやめてくれませんかね・・

    • 匿名
    • 2020年 8月 25日

    相変わらずの短砲身やな

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      それでもBB弾を使えば射程は45kmと、52口径砲の99式より長い。BB弾に特別な工夫でもあるのか? これで58口径になったら何km届くんやろ。

    • 匿名
    • 2020年 8月 25日

    大人の事情でアップグレードしないって、それ予算の問題であって現場無視だよね。74式でも追加装甲やサイドスカート無しのまんまで終わったし、防衛省は戦争の無い前提で予算請求してるのかと。
    というか、どの国でも財務省との折衝はあるでしょ、我が国だけが同じことやれないって話で済ませると、それ国防の闇じゃないの

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      教育現場とかいまだに、アメリカの核には反対するけど中露の核にはだんまりなのと同じ。
      闇と言えば闇だし、考えなしの連中が多いともいえるし。

    • 匿名
    • 2020年 8月 25日

    クルセイダー自走砲は、まーだ時間掛かりそうですかねー

    • 匿名
    • 2020年 8月 25日

    これ今はBAEが作っている(改造している)っていう解釈でいいのかな?
    もともとがどこが作ったか、全然わからないんだけどわかる人いる?

      • 匿名
      • 2020年 8月 25日

      開発はデトロイト工廠が行って、生産は第一次、第二次生産契約をキャデラック社が、第三次契約はクライスラー社が行い、そのどちらもオハイオ州のクリーブランド戦車工場で生産されたとある。

      おそらく大本の権利はアメリカ政府が持っていて、生産委託を契約しているのだと思う。

        • 匿名
        • 2020年 8月 26日

        ありがとうございます。
        いただいた情報を元に追うと、1970年代にボウエン・マクラフリン・ヨーク社が担当してその会社がBAEに買収されたみたいですね。
        なんでBAEなんだと思ってた謎が解けました。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  4. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  5. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
PAGE TOP