米国の経済誌「フォーブス」は28日、米海兵隊は日本の岩国基地に配備している複座型の戦闘機F/A-18Dを最新のF-35Bへ更新すると発表した事に対して懸念を表明している。
参考:The Chinese Navy Catches A Break As U.S. Marines Retire Anti-Ship Fighters
米海兵隊は岩国基地のF/A-18DをF-35Bで更新すると対艦攻撃能力を喪失する?
米海兵隊は今年10月以降、岩国基地に配備されている第242戦闘攻撃中隊(第12飛行大隊)が装備する戦闘機F/A-18DをF-35Bに更新すると明らかにしたが、この機種改変は日本の駐屯する米海兵隊の航空戦力が対艦攻撃能力を喪失することを意味すると米国の経済誌「フォーブス」は指摘した。
米海兵隊は米海軍が訓練用途で採用した複座型のF/A-18Dを戦闘任務(制空/偵察)に使用するため採用、3年前から対艦ミサイル「AGM-84 ハープーン」を搭載して対艦攻撃任務もこなすようになり、中国海軍が配備した空母等の水上艦を牽制もしくは攻撃するのに重要な役割を果たしているのだが、F/A-18Dは通称「レガシーホーネット」と呼ばれる旧式機で海軍が装備しているF/A-18E/Fとは別ものだ。
そもそも米海兵隊はF/A-18E/Fを採用せずレガシーホーネットを使用し続けておりAV-8BをSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)タイプのF-35Bで、F/A-18Dを海軍使用のF-35Cで更新する予定だったので岩国基地のF/A-18DはF-35Cで更新されるはずだったのだが、F-35Cは3タイプ存在するF-35の中で開発が一番遅れたため米海軍ですら本格的な運用開始(2021年予定)に至っておらず、米海兵隊はF-35Cの初号機(2020年1月)を受け取ったばかりという有様である。
いきなり話しが脱線してしまったが、今回の本題はここからだ。
F-35B/CはレガシーホーネットやF/A-18E/Fで使用されている対艦ミサイル「AGM-84 ハープーン」ではなく新型の長距離対艦ミサイル「AGM-158C LRASM」を統合予定なのだが、いつ統合されるのかは不明で岩国基地に配備しているレガシーホーネットを失えば中国海軍の水上艦を阻止するための手段を失うと指摘しているのだ。

出典:public domain AGM-158C LRASM
恐らくF-35B/CにLRASMが統合されるのは現在開発中のソフトウェア「Block4」だろうと思うが、Block4の開発は予定より2年遅れているため現在のBlock3FからBlock4にアップグレードされるのは2026年以降になるかもしれない。
それまでに岩国基地のF-35Bで中国海軍の水上艦を攻撃する必要に迫られれば、対地攻撃用のレーザー誘導のペイブウェイやGPS誘導のJDAMを使用するしかないという笑えない状況(この問題は米海軍が実行に移そうとしているライトニングキャリアに影響する)に陥ることになる。
ただ岩国基地の米海兵隊が中国海軍に対する対艦攻撃任務を一手に引き受けている訳ではないので、レガシーホーネットを失っても在日米軍全体から対艦攻撃能力が失われることはない。それでもF-35に対艦ミサイルが統合されていない事実を思い出させてくれたという意味でフォーブスの指摘は注目される。

出典:Kongsberg Defence & Aerospace AS
因みに日本はF-35のウェポンベイに収まる=F-35のステルス性能を維持することが可能(LRASMは恐らく機外搭載になる可能性が高い)なノルウェー製対艦巡航ミサイル「Joint Strike Missile(JSM)」を導入予定だが、これもBlock4へのアップグレード後でないと使用できない上、日本がいずも型護衛艦用に導入するF-35Bのウェポンベイ(F-35A/Cとサイズが異なるため)にJSMは収まらない。
果たして日本のF-35Bが対艦任務にJSMを選択するのかLRASMを選択するのかは現時点では謎だが、発注したF-35Bが引き渡され空母化工事を終えたいずも型護衛艦で運用が開始された際に対艦攻撃能力を備えているのか微妙になってきた。
補足:機外に対艦ミサイルを搭載するということはステルス性能を犠牲にすると言う意味なので、どうせステルス性能を犠牲するならJSMよりも射程が長いLRASMを選択したほうがマシだと思う。
もしBlock4の完成が今以上に遅れると、折角のいずも型護衛艦+F-35Bの組わせが色褪せることになるかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Lauren Brune
とりまF-35CにAGM-84 ハープーンを運用できるようにアップデートすれば良いんじゃないかと思うが?
古い兵器を最新の戦闘システムに統合するのはそんな簡単な事じゃないだろ
完成していない新型ミサイルよりは、早いでしょう。
有事の際には世界中から様々な作戦機が展開してくるのだから何の問題もないだろう
まずは自衛の能力と意志をもたないと。
安全保障を楽天的に考えるどころか、日本のために世界が血を流してくれる
という妄想はやめたほうが良いと思う。
F-35にハープーンを搭載出来ない事は最初から分かっているのに、何を今更と思っていたのだが…数年前までのF-35に関する和書ではハープーンも搭載可能と書かれてあったのには吹いた
要は米国内でも「何であの時、ハープーンを運用可能にしなかった!」と叫んでいる奴がいる訳ね
F-35Bに期待するのは、鉾ではなく目や頭の役目じゃないかな?
「F-35BのPにはTACCO出身が良いのではないか」等と述べる人もいるくらいだし。
飛行隊の頭脳としての役割はもちろん十二分にこなせる。
しかし目としての役割をステルス機に任せるのは本末転倒でしょ。
F-15EX登場のあたりからステルス機の運用において誤解をしている人が滅茶苦茶多く見受けられるが自衛隊でも米軍でもステルス戦闘機にレーダーをフル稼働させた積極的な広域索敵を任せようなんて運用は考えられてないと思うぞ。(スクランブル任務時やステルス機が普及して戦闘機のほとんどをステルス機が占める時代になったら話は変わるが)
いや、Bに関してはステルス機云々の優位性もあるがSTOVL機の新型機であるという無二性があるから。
軽空というか、いずも・かがの汎用艦を中心とした艦隊の目になりうるだけでも十分に意味はある。いずれはウェポンベイに収まるASMも開発はされるだろうけど。
>日本がいずも型護衛艦用に導入するF-35Bのウェポンベイ(F-35A/Cとサイズが異なるため)にJSMは収まらない。
これはずっと指摘されていたことではありますけれど、一体どうするつもりなのがが全く見えてこなくて不信感を覚えてしまうんですよね。
その間F-2にはいっぱい働いてもらうことになりますし、F-3は絶対に失敗できない存在になってしまいました。
大丈夫、F-15JSIがいるさ。
フォーブスが指摘の問題は米軍は百も承知なはずで、撒き餌に見えますね。
英MBDAが開発中のspear3ならF-35Bのウェポンベイにも搭載可能なのでそちらを導入するのも手かと。
本邦のいずも型DDHに載せるF-35Bは艦隊防空やSHを狙う敵機の排除、データリンクを活用した簡易AEWという役目が主任務だろうし、あるとしたらSDBやJDAMを用いた島嶼部に対する近接航空支援だろうから然程問題にはならないと思う。
いずも型でF-35Bが運用できる頃には、解決しているんじゃないかな。
対艦攻撃は米海兵隊にとって、部隊再編で廃止の対象ではないのか?
どちらかというと、特化対象の任務です。
対艦ミサイル部隊を中心に、これを護衛、支援する部隊に再編されます。
いずもはヘリコプター搭載護衛艦で主な任務は対潜水艦だから無問題
厚木から移転したアメリカ海軍のF/A-18E/Fも海兵隊のF-35Bと同じ岩国配備ですし、F-35Cでハープーンが撃てない分はアメリカ海軍機に頑張ってもらうしかないでしょうね。
F/A-18C/Dは強襲揚陸艦ではなくアメリカ海軍の空母に載せてもらうしかないですし、F-35Cのメインユーザーであるアメリカ海軍も当然把握しているので、当面はF/A-18E/Fに分担してもらうことになるのでしょう。
F/A-18E/Fブロック3の配備が今の所未確定なので、空母からの空中給油などで疲弊している海軍のF/A-18E/Fにさらなる負担がかかるのは気になるところですが、F/A-18E/Fブロック3の検証をさっさと済ませてF-35ブロック4+までの中継ぎ体制を構築してもらいたいところです。
当面は、F-35が制空した後を、F/A-18E/Fが対艦攻撃をするといった感じになるのでは?
機体のblock4なのかソフトウェアのblock4なのか判別出来ない記事だな
記事内に「ソフトウェア「Block4」」と明記されていますよ。
搭載兵装の話なので、ほぼ間違いなくソフトウエアのblock4の事だと思いますよ
海上は海軍、上陸は海兵隊って分担じゃなかったの?