米国の上院軍事委員会は、極超音速ミサイルの登場で、火力投射ツールとしての空母は時代遅れになる可能性があると警告した。
極超音速ミサイルの登場が空母の存在を脅かす
米国の上院軍事委員会委員長である共和党議員のジム・インハーフ氏は、中国やロシアの極超音速ミサイルがもたらす脅威に晒されている高価な空母システムについて、何も有効な対策を講じていない海軍の愚かさを批判し、このままでは極超音速ミサイルが空母を「時代遅れ」に追いやる「悪魔の武器」になるだろうと警告した。
さらにインハーフ氏は、新技術採用(電磁式航空機発射システム、新型着艦制動装置、先進型兵器エレベーターなど)による技術的リスクや、必要なスケジュールを理解せず、コストが130億ドル(約1兆4000億円)以上に膨らんだジェラルド・R・フォード級空母について「犯罪だ」と批判した。
上院軍事委員会は、米国が保有する高価な空母が、中国やロシアの極超音速ミサイル攻撃により、ものの数分で「消滅」する可能性を指摘し、海軍作戦部長に対し、この問題について真剣に取り組むよう指示をした。
高価で複雑になりすぎた空母に未来はあるか?
マッハ5.0以上の速度で飛翔し、飛翔中のコース変更が可能な中国やロシアの極超音速ミサイルは、米国が構築してきた既存の迎撃システムを完全に無効化してしまう可能性が非常に高い。
極超音速ミサイルの迎撃を困難にさせる最大の問題点は、弾道ミサイルとは異なり、飛翔(または落下)するコースの予測が、飛翔中のコース変更により不可能に近く、マッハ5.0以上という驚異的な速度によって、迎撃を行うための対処時間が短いという点だ。
そのため、米海軍が維持している伝統的な火力投射ツールである「空母」は、1発の極超音速ミサイルで撃沈される可能性があり、もはや割に合わないという意味だ。
この高価で伝統的な火力投射ツールを維持するためには、極超音速ミサイルから空母を守るための迎撃システムが必要になるが、直ぐにこの問題を解決できるアテはないに等しく、今後の研究・開発に希望を託すしか無いが、この迎撃システムの構築に莫大なコストが必要になるなら、過去、航空機やミサイルによって戦艦が駆逐されたように、空母は「時代遅れ」の火力投射ツールになるだろう。
空母という火力投射ツールは、艦載機の高性能化や大型化、空母自体も原子炉を搭載するようになり排水量は10万を超え、運用するためのコストが高価になりすぎたという事実は否定できない。
現在、最新型の空母「ジェラルド・R・フォード」は、2年前の2017年に就役したものの、新しく採用した電磁式航空機発射システム(電磁式カタパルト)、新型着艦制動装置(新型のアレスティングワイヤー)、先進型兵器エレベーター(電磁力で駆動するエレベーター)が、未だに完全に稼働せずテストと改修を繰り返しており、現時点でのコストは約1兆4000億円(艦載機の価格は含んでいない)を超える。
早い話し、空母に必要なコストよりも低価格で「火力投射」が出来るシステムが実現できるのなら、空母にこだわる必要はない。
仮に、米国本土から発射し、世界中のどこにでも火力を投射できる新兵器が完成し、空母による火力投射よりも「安価」であれば、空母が完全に必要無くなるとまでは言わないが、大金をかけて大型空母を11隻も維持する必要性がなくなる。
更に言えば、極音速で長距離飛行が可能な戦闘機が実現できれば、もはや空母に頼らなくても、柔軟性や多用途性をもつ航空機による火力投射を実現出来るかもしれない。
伝統的な火力投射ツールである「空母」を維持し、これを極超音速ミサイルから守るためのシステムを開発するためにコストを投じるのか、新しい火力投射ツールを開発するためのコストを投じるのか、簡単に決断することは出来ないだろうが、現在の空母というシステムを維持するためのコストは高価になりすぎ、複雑になりすぎた。
果たして、米国は極超音速ミサイルの脅威に対し、どのような答えを導き出すのか注目される。
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しかしながらその一方で、肝心の中国は空母打撃群を構築しようとアメリカの背を追い資金を投入しているわけであって、少なくとも今の、そして当分は中国の極音速ミサイルはアメリカの戦力を極端に脅かす存在にまで到達しないことを、中国自身が証明しています。恐らく航続距離や誘導性能に大きな難があると見るべきでしょう。それはロシアにおいても同様の疑念があります。両国とも北朝鮮を利用して試す場面はいくらでもありましたが、それもしていません。
結局のところ、現時点では物量を覆すほどの質を得た兵器はまだ無いのではないでしょうか。そしてアメリカがそれを気にかけるべき相手はせいぜい中国とロシアぐらいで、その状況では空母の有用性は揺らがないでしょう。
レーザーの実用化が目前でしょ。
原子力+レーザーは最強じゃね?
電磁砲とかもね
極音速で長距離を飛べる戦闘機が未だ不可能だから空母を作って運用してるんでしょ。ってか、そんなものが今の段階でできる目処なんかたってないでしょ。あったらもう作ってるわ
光学レーザーは大気減衰が激しいからそこがネック
雨の日は防空できませんじゃお話にならないから、そこをどうクリアするかですよ
そこがネックなら雨の中で極音速の飛翔体を運用できるか疑問になりませんか
朝鮮戦争前の、次は核戦争時代も似た議論あったな。半端な戦術兵器いらないみたいな。冷戦でもなかった本気で主力艦沈めるレベルの軍事行為を前提とするかで議論相当変わるだろうに。
「可能性がある」段階で米空母のような巨大システムを見直すのはちょっと大仕事にすぎますな。
そんな事は言われなくても分かってるわ、でも、ではどうしろと?ってな話にしか見えない。
確かに、以前のアメリカならば旧ソ連の謎の新兵器に対して即座にカウンター兵器を開発開始していただろうという点に比して、現状のアメリカは兵器開発の面で迷走している感じは受けるけれども。先手を取られているというか。
第2次大戦直後と同じ
当時も戦略爆撃機の航続距離の発展で、空母要らないんじゃね?
ってなってたけど、結局朝鮮戦争を含めた戦績による
移動基地としての価値、継続的に陸軍の近接支援ができる、象徴としての抑止の価値等によって、整備されることになった
空母が時代遅れではなくら迎撃システムが時代遅れなんだと思う。
単に火力投射として見れば、空母や強襲揚陸艦程の物はないと思うけど…
我が国もスクラムジェットエンジン搭載の極超音速誘導弾や滑空弾の研究を始めたようだし
やはり将来はこういった迎撃困難なミサイルが戦場を支配するのかもしれない
古くは火縄銃なんかと同じ、常に鉾の方が先に進化して
盾が後追いしてるだけな状況にしか見えないけどな。
フォード級は、まあそぉねぇ…
建造計画とか先端技術試験用のテストベッドとして一隻
だけとかってしておけばこんなことには感はある。
ミサイルだけで勝負が決まるなら話は単純、そうじゃないから必要なんでしょ。戦争ってのは一つの優秀な兵器だけで決まる訳じゃない。
空母は大国同士の決戦兵器じゃないからでしょう。もし中国やロシアが本気でアメリカ空母を沈めようと思ったら、現行の対艦ミサイルや潜水艦でも可能だと思いますよ。でも、それをする時点で、もうアメリカとの全面戦争になるわけですから、それはどの国も避けたいということになる。タリバンやISのような組織が、そういう兵器を運用するようになれば、また話は変わってくるでしょうが…。
これはミサイル万能論じゃないか。
みんな何言ってんのw
極超音速の空母を建造したらいいじゃんwww
閉廷!解散!おちゅニダ!
ところで静止衛星から高密度、超音速、高比重の鉄の棒落として小規模クレーター作れるレベルの衛星兵器の話はどうなった?
結局あれを形にできたら最強じゃねーの? 空中制動が高難易度なんだろけど
極超音速のミサイルなんてもうアメリカは開発しているのでは?公開しないことくらいアメリカ軍にはあるでしょう。トライデント撃って国は一つ滅びますよ。
空母は国威発揚と政治的圧力としてまだ充分に存在価値が有ると思います。だから支那が空母機動部隊を作ろうとしてる。
空母打撃郡にはイージス艦が随伴しているんじゃないんですか?イージスシステムもバージョンアップを重ねてきたのだから、中露の対艦ミサイル対してもある程度の備えはできていると思うんですけど…
空母を一隻も沈めたくないのは分かりますが、実戦では損害はつきもの
戦前の日米の空母対空母の決戦は何度聞いても興奮するね。
南雲中将の名前は何度聞いても気分がよくないね。
戦後の世界で空母対空母の戦いは一度もない。
何よりもその巡航速度が遅い、それを防衛するために多くの艦船・人員が必要。
日本が軽空母を作ったのはいいが、その後を追いかけて韓国も英国の力を借りて軽空母を作るという。
幕末と同じことが起ころうとしている。
空母の力を借りて中国が南シナ海・尖閣周辺で軍事行動を取り始めている。
一方不思議なのはロシアの行動だ。
予算の関係もあるだろうがこの国だけは空母にあまり関心を示さない優等生だ。
何か隠されているようだ。
アメリカはドルを握っているので無理ができる。
それがこの兵器を未だにはびこらせている。
日本に必要なのは独自の軍事技術・兵器の開発とその生産ラインを速やかに作ることだ。
日本はその可能性を持っている例外的な国だろうが、憲法改正の議論がそれにしても好きだね。