米国のディフェンスメディアがロシア製軍用機の取得コストについて興味深い記事を公開しており、市場の為替レートではなく「防衛分野に調整された購買力平価」で換算するとSu-57の取得コストは1億3,910万ドルになるらしい。
参考:Here Is What Russia’s Military Aircraft And Missiles Actually Cost
ロシア製軍用機の中で最も高価のはTu-160で取得コストは5億ドル以上
Su-57の初期バッチ(2機)を取得するのに掛かったコストは1機あたり47億ルーブルで、2019年に発注した76機の生産が進むと取得コストは段階的に値下がりし「2028年生産分の取得コストは31億9,200万ルーブルなる」と予想されており、これを2020年当時のMER(市場の為替レート)ベースで換算すると初期バッチ分が6,500万ドル、2028年生産分が4,400万ドルとなる。

出典:統一航空機製造会社
ただ原油価格に大きく依存するMERで換算すると不正確(MER換算だと2012年に1億1,500万ドルだったIl-76MD-90Aは2020年に5100万ドルになる)で、英国の国際戦略研究所(IISS)が提唱するDS PPP(防衛分野に調整された購買力平価)ベースで換算すると初期バッチ分が1億3,910万ドル、2028年生産分が9,450万ドルになるらしい。
このDS PPPベースでロシア製軍用機の取得コストを換算するとIl-76MD-90Aは1億980万ドル(2020年/37億1,000万ルーブル)、Ka-52は3,050万ドル(2021年/11億7,700万ルーブル)、R-77-1は107万ドル(2018年/2,990万ルーブル)、LMURは51万ドル(2018年/1,420万ルーブル)になり、ロシア国防省は装備品の取得契約でインフレ率を考慮しない価格設定を原則としているため取得コストが生産コストを下回ることも珍しくなく、これを補填するため企業の借金を国が肩代わりすることもあるため上記価格を輸出価格の参考するのは無理がある。

出典:U.S. Air Force
因みに米ディフェンスメディアは信頼性の低い数値(プーチン大統領が2018年に口頭で言及した発言)を参考に「ロシア製軍用機の中で最も高価のはTu-160で取得コストは5億ドル以上だ」と主張しており、B-21の調達単価が6億9,200万ドル以下になると言われているので、性能差を考えるとB-21の取得コストは良好と言えるのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухой Su-57
F-2より安ーい
ユニットコストでこれだと、ロシアにとっちゃかなり高価な部類になっちゃうね…
米国でいうF-22どころじゃないぐらい高価
経済力の重要性が解かるね
ロシアくんとアメリカ様 残酷なまでに差が付いちゃう
経済負担率がフランカーの二倍ぐらいなってね?
Su-30SMがだいたい5000万って考えると
なんというか、その…
「サラマンダーよりはやーい」みたいに言われますと、非常に複雑な気持ちになるのですが…
この性能でユニットコスト4400万ドルって破格の安さなんだけどね。
F16Vの輸出価格が6400万ドル?(航空万能論記事)って事を思うとね。
問題はロシア自身もロシアの顧客も貧しいって点か。
「この性能」の方が疑問視されてるのもあるでしょうね。
そのくせ運用にはしっかり「この性能」に見合ったコストが掛かる訳で。
エンジンの寿命の短さを克服できているんですかねえ?
ランニングコストというものも考慮しないと…
Su-25とSu-34、各種ヘリがウクライナでバカスカ落とされてその補充も必要だろうし、陸で失った兵器はさらに膨大。
今のロシアに調達予算ねん出できるんだろうか?
予定機数に達する前に30~40機程度で調達停止になっても驚かんわ。
独裁国家、特に戦時下の国で兵器の調達価格を購買力換算で産出しても調達力の指標としてはあんまり意味ないですよね。首都に敵が迫ってるけど防衛予算超過しちゃうから今年度はもう兵器調達しないとはならないですから。現にロシアではT-90MやT-80BVMが1000両単位の大増産を指示されていますし、今までは1個飛行隊に満たない数しかなかったSu-57も生産増強が進むんではないでしょうか(それが戦場に投入されるのはもっとずっと先だと思いますが)。
戦時中の日本だと戦時国債という形で国民から金を巻き上げて、兵器製造の資金を確保しています。
兵器生産も企業活動である以上、金銭的な裏付け無しでは出来ないと思います。
国外から部材の購入が必要な場合は尚更です。
戦時下だから金なんか払わなくていいだろという話ではなく、戦争中の国の調達業務が同国経済に及ぼす影響と兵器の額面コストはあまり関係ないだろうということです。平時ならユニットコストがわかれば防衛予算の配分から調達規模が逆算できますけど、まさに触れられているように戦時国債や軍需企業向けの特別融資など様々な措置で国家の購買力が増補したり負担を先送りできるのです。ですから数字として価格が産出できたとして、例えば23年度にSu57を100機調達するからといって100機ぶんの代金をロシア財務省が今年度中に拠出しなければいけない訳でもないんです。
金銭的な裏付けは商取引において大事ですが、例示されている日本の戦時国債なんかは戦後にインフレを招く原因になったという意味で金銭的な裏付けを超えた資金調達だった部分がある訳です。ほとんどが償還された内地向け国債はまだマシなほうで、外地銀行が相互受け入れで錬金術していた外地銀行券や事変国債、軍が占領地で発行した軍票なんかは超インフレで占領地の物価と現地の人々の貯蓄を吹き飛ばしたっきりですからね。20世紀に盛んに研究されていた戦時統制経済そのものが市場原理を部分否定するような性質をもつものであり、それに近い経済統制を実施しているロシアにおいても、少なくとも短期的には高い買い物でも平気で出来るだろうという話でした。
兵器調達と資金の部分は難しいですね…
今後のロシアの調達で難しいのは正規品を入れられるかとコストは値上がり分をずっと吸収出来るのかとという部分は気になってます。
株式市場も外国に取引開放できてないので無理でしょというのが見立てになります。