ロッキード・マーティンは今月23日、独自に開発したデジタル・エンジニアリング・システム「StarDrive」や謎の無人航空機「Speed Race」に関する公式動画を公開して注目を集めている。
ロッキード・マーティンが開発中の謎の無人航空機「Speed Race」は主翼が折りたたみ式の空中投下型UAV
現代の戦闘機開発は要求性能や機能が高度化しすぎた結果、開発期間の長期化と開発コストの増大を招き完成する頃には想定していた戦場環境との齟齬まで発生するなど多くの問題に直面しており、この痛々しい問題を解決するため米軍はコンピュータ上に「Digital Twin(デジタルツイン)」と呼ばれる開発製品の双子を構築して、バーチャル環境でテストを行うことで設計通り作動するのか確認・調整を行う民間製造業分野で生まれた「デジタル・エンジニアリング」を軍用機開発に応用することを強力に推進している。
米空軍はデジタル・エンジニアリング、ソフトウェアのアジャイル開発、オープンアーキテクチャの3つを採用した軍用機開発の手法「デジタル・センチュリーシリーズ(1950年代に次々と異なるコンセプトや技術を採用して登場した戦闘機群「センチュリーシリーズ」に因んでいる)」を実際に用いて次世代戦闘機のプロトタイプを僅か1年で完成(すでにテスト飛行も実施済み)させており、戦闘機の開発期間やコスト削減を要求する米空軍の期待に応える=つまり今後も軍用機開発を米空軍から受注するためには最適化されたデジタル・エンジニアリング環境を他社に先駆けて構築して実証しなければならない。
そこでロッキード・マーティンは独自に開発したデジタル・エンジニアリング・システム「StarDrive」を昨年9月に発表、このシステムが軍用機開発において機能するのか検証するため「Speed Racer」と呼ばれる謎の無人航空機(UAV)を開発中で米メディアのAviation Weekは最近「スカンクワークスがSpeed Racerと呼ばれるUAVの地上テストを開始すると明かした」と報じて注目を集めていたが、遂にロッキード・マーティンが正式にSpeed Racerを公開した。
公開された動画を見る限りStarDriveを使用して開発されたSpeed Racerは「主翼が折りたたみ式の空中投下型UAV」で、国防高等研究計画局(DARPA)のグレムリンプログラムで使用されているUAV「X-61A」や空軍研究所(AFRL)のグレイウルフプログラムで使用されていた低コスト巡航ミサイルに酷似しており、米メディアは「Speed Racerはスウォームドローンやスウォーミング弾に発展する可能性を秘めている」と言っている。
DARPAのグレムリンプログラムは空中投下・空中回収可能で群れ制御に対応した無人航空機を実用化するのに必要な技術要素を研究するのが目的で、無人戦闘機XQ-58Aを開発したクラトス製のUAV「X-61A」を使用してテストを進めているのだが肝心の空中回収技術の実証で躓いており、実用化に失敗した戦略爆撃機B-36にXF-85ゴブリンを搭載する計画を彷彿させる。
AFRLのグレイウルフプログラムは低コストの巡航ミサイル開発がに必要な技術要素を研究するのが目的で、本プログラムの研究成果はGBU-39/Bに自律的な群れ形成や半自律的な目標の選別能力を付与して低コストなスウォーミング弾開発プログラム「GoldenHorde」に統合されており、米メディアはSpeed Racerもこの様な目的の実用兵器へと発展するのではないかと期待しているのだが管理人的には正直どうでもいい。
ステルス攻撃機F-117や超音速高高度偵察機SR-71などを秘密裏に開発してきたロッキード・マーティンのスカンクワークスが開発した「謎の無人航空機」という触れ込みだったので、管理人はもっと突飛でロマン溢れるUAVを期待していたのだが完全に裏切られた格好だ。
勿論、スカンクワークスと謎の無人航空機というロマン溢れるトキメキワードに胸を踊らされた管理人が悪いのであってロッキード・マーティンは何も悪くない。
関連記事:謎が謎を呼ぶ、F-117を世に送り出したスカンクワークス製の無人航空機が間もなく完成
※アイキャッチ画像の出典:ロッキード・マーティン
発想としては前にここでも取り上げてたエアバスの輸送機を母機とするUAV構想と似てるな
初代ウルトラマンとかマグマ大使とか、何となく1960年代の特撮に出てきそうな形状。
一方TACOMを捨てた防衛省の先見の明の無さたるや・・・・・・・
オイ、単なる無人偵察機の試作機に過ぎないTACOMと今回のSpeed Raceを一緒にするべきでは無いぞ
そもそもTACOMにはデジタル・エンジニアリング・システムなんて一切盛り込まれていないので、防衛省が切り捨てたのも無理は無いと思う(むしろ、早い時期に見切りを付けた事に先見の明があったとさえ言い得る)
後、管理人さんは「もっと突飛でロマン溢れるUAVを期待していたのだが完全に裏切られた」と嘆いているけど、俺に言わせたら今回のSpeed Raceで追及されているデジタル・エンジニアリング・システムは今後の技術開発の最重要課題となる可能性が大きいので、下手にロマン溢れる航空機よりも見過す事は出来ないな
管理人www
気持ちは分かる。
エースコンバットに登場するような、トンデモ兵器が実際に開発されることはないのかね。
「正直どうでもいい」管理人の落胆ぶりに悪いけど吹いたわ
ついつい革新的なUFO的を期待してしまったのは、スカンクワークスのネームバリューというよりも、最近パッとしないアメリカにここらで底力を期待する軍好きの総意ですから
僕も管理人さんと同意見です。これはロッキードが悪い!お詫びにマッハ6で飛ぶステルス機作って欲しいですね。
わたしももっと突飛でかっこいいものを期待しちゃったよ。
サンダーバード1号みたいな見た目だな
輸送機(サンダーバード2号)から発進するのはサンダーバード6号(デ・ハビラント タイガーモス)ですね
スカンクのマーキングに心ときめくなぁー。
VR設計、自動製造、実に素晴らしい
あとは口上通り飛べばなんの不満もありません
飛べば、な
デジタルエンジニアリング証明する機体で実物検証に時間が掛かるような凝ったが作れなかった可能性はある。ただ見た目平凡な機体だけどステルス性がすごい/エンジン出力の割には速度が速い/装備や形状バリエーションが豊富だけど来月あたり全機飛ばします/コストがとんでもなく安いんですとか隠し球はありそうなんだよなぁ(高望みしすぎか?
ジャスタウェイ
製造業には少量多品種の流れが来てるから開発費が安く上がるのなら戦闘機開発も同様の道を進むのかもしれませんね。
他の方も言っている様にまるでサンダーバードかウルトラマンに出て来そうな60‘sなフォルムとカラーリング。個人的にも巡航ミサイル?とか思ってしまったし、スカンクワークスと言われると何か突拍子の無いデザインやコンセプトが飛び出そうな期待感が有りすぎるんですよねー。
材料工学がほぼ発展の見込みがない以上今以上に高温、高速に耐えたりするのは難しい
これからは製造技術のイノベーションの時代なんですねえ
スカンクは早くマンタ開発して