米空軍はローエンドの戦いに使用されてきた無人機MQ-9リーパーの調達を中止して、低価格の商用無人機を同機の後継機にあてる計画を検討しているらしい。
参考:Could a commercial drone replace the MQ-9 Reaper? The Air Force is considering it.
無人機MQ-9リーパーはローエンドの戦いに用いるには高価になりすぎた?
米空軍は無人機MQ-9リーパーを2021会計年度予算で24機調達することを要求しているが、それ以降の調達計画は全てキャンセルしたため2021年の契約をもって米空軍向けのMQ-9リーパー製造は終了することになるが、米空軍は同機の後継機を開発していない。
では、米空軍はMQ-9リーパーの後継機を何処から調達する計画なのだろうか?
MQ-9リーパーは米空軍にとって素晴らしいプラットホームでありパイロットをリスクに晒すことなく累計400万時間の運用が行われてきたが、あくまで同機の主戦場は防空システムが未熟な地域での「ローエンドの戦い」であり、これを中国やロシアなどとの「ハイエンドの戦い」に持ち込めば簡単に撃ち落とされる。
さらに戦場環境の変化やローエンドな戦いに対応した無人機が多く登場した現在では、1,500万ドル(約16億円)~3,000万ドル(約32億円)と言われるMQ-9リーパーの調達価格は非常に高価な部類に属し、運用にも多くの手間や人員が必要で、米空軍独自の規格や基準でMQ-9リーパーの後継機を開発すれば必ず同機よりも高価なシステムになると言われており、特に無人機の運用は有人機とは異なり、場合によっては撃ち落とされることを前提にした作戦に投入されることもあるため経済的損失を最小限に抑えるためにも調達価格は非常に重要な要素だ。
以上のような理由から米空軍はMQ-9リーパーの後継機を開発するのではなく、有望な商用無人機企業にまとまった数の発注を与えることで中国製部品を排除した商用無人機を作らせ、軍独自の機能や搭載兵器を統合することで後継機に仕立て上げる計画を検討しているらしい。
ただし2021会計年度予算をもってMQ-9リーパーの調達を打ち切れば、同機の製造に携わる多くのサプライチェーンに影響を及ぼす事になり、暫くの間運用が続けられるMQ-9リーパーの保守に影響が出る可能性が指摘されており、ローエンドの戦場を担当する米国中央軍(中東方面)や米国アフリカ軍からはMQ-9リーパー調達中止を懸念する声が挙がっているため、どのように転ぶのか未知数だ。
因みに米国のMQ-9リーパーを模倣した軍用無人機は多くの国で作られており、中国が開発した軍用無人機「翼竜Ⅰ」はMQ-9リーパーと同じく偵察・監視だけでなく武装することもでき価格が約100万ドル(約1億円)と低価格なため、中国だけでなくサウジアラビアなど9ヶ国が採用した実績があり、後継機の「翼竜Ⅱ」は衛星リンクを備えて長距離での運用が可能になり最大12発の空対地ミサイルを搭載することが可能でパキスタンやUAEなどの国が採用した。
こう見るとMQ-9リーパーが如何にローエンドを主戦場とする無人機の中で高価なのか良く分かり、米空軍がこの分野に掛かるコストを削減したくなるのも頷ける。
※アイキャッチ画像の出典:public domain MQ-9リーパー
無人機もコモディ化の時代か~……
ソフトウェアだけ飛躍的に進化する現代って軍事と相性悪いよなぁ
アメリカ軍はは全軍を根源からあらゆる面で見直さないとこれから大変なことになるな
今も十分状況がひどいが
まさか中国製を購入するとか。
いやいや韓国製か!
写真の機体は翼竜Ⅱか、なんかアニメみたいにかっこいいマークが機首についてるな。
流石に1億円vs16~32億円だと違いを分析しろとメーカーに突っ込みたくなりますね。会社だったら、じゃあ翼竜IIと同じ装備でいいから同じ値段にしろと言いたくなるところw
中身が翼竜Ⅱと同じになりそう。