米国関連

米国が英豪に対する輸出要件を大幅緩和、軍需品をライセンスなしで輸出可能

ロイターは19日「AUKUS協定に基づく防衛輸出促進のため米国は英豪に対する輸出管理要件を大幅に緩和する」と報じており、軍需品目、ミサイル関連品目、ホット・セクション・エンジン関連品目、衛星関連品目をライセンスなしで輸出可能になるらしい。

参考:US to reduce licensing by 80% for UK, Australia to boost AUKUS
参考:Commerce Significantly Streamlines Export Controls For Australia And The United Kingdom Advances Goals Of The Aukus Enhanced Trilateral Security Partnership
参考:Australia’s Bisalloy Steel snaps up HII steel contract

軍需品目、ミサイル関連品目、ホット・セクション・エンジン関連品目、衛星関連品目をライセンスなしで輸出可能

ロイターは19日「AUKUS協定に基づく防衛輸出促進のため米国は英豪に対する輸出管理要件を大幅に緩和する」と報じており、米商務省も18日「英豪に対する商務省規制リスト(CCL)のライセンス要件を撤廃し、CCLで管理していた軍需品目、ミサイル関連品目、ホット・セクション・エンジン(ガスタービンエンジンの高温セクション)関連品目、衛星関連品目をライセンスなしで英豪に輸出できるようになった」「英豪との貿易におけるライセンス負担は年75億ドル以上(1,800件)削減されるだろう」と発表している。

出典:Photo by Chad McNeeley

商務省で輸出管理を担当するケンドラー次官補も「我々はAUKUSの原則を支持しており、この動きから生まれるイノベーションを楽しみしている。今回の規則変更によって我々はリスクの低い国への輸出管理業務から解放され、よりリスクが高い国への輸出にリソースを集中できるようになる」と、英国や豪州も今回の決定を歓迎し「AUKUSのパートナーシップ実現に大きな利益をもたらすだろう」と述べているが、両国も米国に対する輸出管理要件の緩和を行う予定だ。

因みにAUKUSで約束されたサプライチェーンの強化についても具体的な動きがあり、潜水艦の耐圧殻用鋼材(高張力鋼材のこと)を製造する豪BISALLOY Steelは「米ニューポート・ニューズ造船所から鋼材の供給契約を締結した」と発表、コンロイ国防産業相も「この契約は豪企業が原潜建造プログラムのサプライチェーンの一部になる機会を示す素晴らしい実例だ」と述べており、同社の鋼材は米英の基準を満たしているらしい。

関連記事:豪州は2032年と2035年にバージニア級ブロックIV、2038年にブロックVIIを取得
関連記事:米英豪、AUKUSの枠組み下で原潜のサプライチェーンを分散化させる
関連記事:米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を導入
関連記事:豪州は2030年前半にバージニア級を最大5隻購入、後半に新型原潜を建造

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Chad McNeeley

ウクライナ軍参謀本部、国内外のメディアが問題視したフメニュク大佐を解任前のページ

米下院によるウクライナ支援法案の可決が濃厚、ロシア凍結資産の転用も次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    誤算続きのボーイング、議会が米空軍のF-15EX導入を「2機」までに制限

    米空軍は老朽化したF-15C/Dを更新するためF-15EX導入予算を獲…

  2. 米国関連

    米国、ウクライナにHIMARS、M777、エクスカリバー砲弾を追加提供

    米国防省は4日、HIMARS、M777、M119、エクスカリバー砲弾な…

  3. 米国関連

    米大統領補佐官、米日豪印4ヶ国によるクアッドの軍事同盟化がバイデン政権の目標

    バイデン政権で安全保障問題を担当しているサリバン補佐官は29日、クアッ…

  4. 米国関連

    戦闘機メーカーとして生き残れるか? ボーイング、インドに米空軍が採用したF-15EXを提案

    ボーイングは13日、シンガポールで開催中の航空ショーで米空軍が採用を決…

  5. 米国関連

    流石にコレは安い、第4.5世代戦闘機F-16Vの機体単価は5,000万ドル台

    国防総省が14日に発表した契約内容を計算した結果、第4.5世代戦闘機F…

  6. 米国関連

    第2次大戦で使用されたパルスジェットエンジンに復活の兆し、米空軍が利用を検討中

    米空軍は将来の無人機やミサイルの推進システムに第2次世界大戦中のドイツ…

コメント

    • 桜〜桜〜
    • 2024年 4月 19日

    日本は?
    機密管理で無理か。

    18
    • 名無し
    • 2024年 4月 19日

    オーストラリアが本気で望めばB-21の豪輸出もあり得るのか?
    数年前までは戦略爆撃機輸出は100%無いと思われていたけど

    11
    • なさ
    • 2024年 4月 19日

    日本はいいっすよ
    それより完全に定着してしまった貿易赤字国の脱却や
    全通貨に対しての円安の解消といった身近な問題をまずはコツコツ解消してほしい

    正直こうも円安が定着してしまうと防衛費の比率を幾ら上げようが、平成の頃より一段と貧しい軍備しか出来なくなる

    23
      • のー
      • 2024年 4月 20日

      原発の再稼働が進めば、燃料費が浮くので円安の根本原因の貿易赤字はだいぶ減るはずですが。
      なかなか進みませんね。
      新規建設も停滞しました。
      原発停止によって失われた13年となってしまいました。

      10
      • ネす
      • 2024年 4月 20日

      防衛費5年で43兆円という当時としては大きな数字も、
      策定当時の為替1ドル108~110円を前提に作られてるから
      43兆円という見かけ大きな数字は、ドルベースで考えると何にも使わないまま昨今の為替変動で4割近く消し飛んだ計算になりますからね・・

      人民元やユーロに対しても円は著しく脆弱なので、
      このままだと本当に43兆円をなんとか財布から吐き出しても
      防衛増強どころか平成比で防衛大幅縮小方針となってしまいます

      6
    • 58式素人
    • 2024年 4月 19日

    この協定で得(?)をするのは英国では、と想像します。
    米英関係とは言われながら、以前から同じ物でも米国より一段性能の下がった
    性能のものを提供されてきていましたから。
    原潜の原子炉であるとか、SLBMであるとかはそうであったと記憶します。。
    今度は米国同等になるのでは。
    豪州は貰っても自国で消化できるのか、いまいち判らないところがありますが。

    5
    • daishi
    • 2024年 4月 19日

    AUKUS内で生産体制を整える、ということは中国の動きにできるだけ早く備える、という点も大きいのでしょう。
    西側アジア太平洋地域 + UKでコスト削減しつつ防衛装備を充実させる方針なら、本来であれば日本もこの枠に入ってもらうのが望ましいのでしょうが、機密情報の取り扱いなど法令面、組織面での体制が整わない限り難しいのでしょう。

    3
    • 傍観者
    • 2024年 4月 20日

    アメリカ兵器の体たらくがウクライナで暴露され、ようだボッタくり商売はもう成り立たないと覚悟したのだろう。安売りを始めた。軍事産業は長年アメリカ様の言いなりでボッタくりされまくっていた日本などよりむしろ制裁されていたイランなどが自国に適した独自の兵器体系をもち優位に立ちつつあるのは目出たい限りだ。
    イギリスの最新鋭空母、女王陛下と皇太子ともに故障続きで全く使い物になりそうもない。日本が落ち目のAUKUSなんぞに進んで引き込まれるような自滅的な事をしないことを望むのみ。

    3
    • DEEPBLUE
    • 2024年 4月 20日

    どれだけ高性能でも戦場に間に合わない兵器の性能は0で、間に合う兵器の方が有価値。WW2でアメリカがドイツに実証した事ですが、現代のアメリカがナチスドイツ兵器側とは皮肉です。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP