ニューポート・ニューズ造船所は10月29日、建造中の「ジョン・F・ケネディ(CVN-79)」が横たわる「乾ドック」に海水を流し込み始めた。
参考:PCU John F. Kennedy Crew Marks another Milestone, Flooding of Dry Dock
当初の予定よりも3ヶ月早く進水の日を迎えた空母「ジョン・F・ケネディ」
空母「ジョン・F・ケネディ」は、ジェラルド・R・フォード級空母2番艦として2015年8月に起工、あらゆる工数削減の努力が実り、当初の予定よりも3ヶ月早く進水の日を迎えた。
John F. Kennedy (CVN 79) Dry Dock Flooding B-Roll pic.twitter.com/Mi54M9M1iS
— Dylan Malyasov (@DylanMalyasov) October 30, 2019
10万トンを超える空母「ジョン・F・ケネディ」を建造した乾ドックを海水で満たすには、数日間に渡り、約4億リットルもの海水を流し込む必要があるため、まだ空母「ジョンF.ケネディ」の船体が海に浮かんだと言えないが、進水日は海水を流し込み始めた日付で記録される。
今後、空母「ジョン・F・ケネディ」は海水で満たされたドック内で各種試験が行われ、12月7日に予定されている「洗礼式(船首にシャンパンボトルを叩きつけて割る儀式)」を受けた後、乾ドックから出渠し、ニューポート・ニューズ造船所の桟橋に係留され艤装工事が行われる。
空母「ジョン・F・ケネディ」が米海軍に引渡されるのは2024年を予定しているが、1番艦の空母ジェラルド・R・フォードが直面している問題を解決出来ない限り、ジョン・F・ケネディもまた同じ問題で苦しむことになる。
特に電磁力で作動し、ミサイルや爆弾を飛行甲板へ運ぶための「先進型兵器エレベーター(計10基)」は、エレベーターを制御するためのソフトウェアに問題があり、就役から2年以上が経過しても正常に作動するようになったのは、たったの3基だけだ。
残りの7基について米海軍は、2019年中に正常化すると言っているが、本当に上手く動くのか誰にも分かっていない。
1番艦の空母「ジェラルド・R・フォード」は就役後まもなく動力部に問題が発生、この問題を解決するためニューポートニューズ造船所のドックに戻り、約15ヶ月間に及ぶメンテナンスを受け、10月25日に海へ戻ってきたばかりだ。
そのため、蒸気式カタパルトの代わりに開発した「電磁式航空機発射システム」の基礎データ(艦載機を射出するための数値データ)収集が進んでおらず、電磁気と水圧でアレスティング・ワイヤーの制動を行う「新型着艦制動装置」のテストも中断されたままだ。
空母「ジェラルド・R・フォード」は現在、動力部の修正箇所を海上で試験しており、このテストに合格すれば海軍へ復帰し、再び電磁式航空機発射システムや新型着艦制動装置のテストに復帰する予定なので、2024年までに問題を潰しきれば、空母「ジョン・F・ケネディ」の就役も大きな問題なく進むことが予想される。
そのためにも空母「ジェラルド・R・フォード」は、これ以上、新たに問題を増やすことなく「順調」にスケジュールを消化する必要がある。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Adam Ferrero/Released
ソフトウェアだけの不具合なのかどうかも疑問ですね