米海軍は戦闘機F/A-18E/Fを調達し続けるのか、それとも第6世代戦闘機プログラム「Next Generation Air DominanceもしくはF/A-XX」を進めるのか帰路に立たされている。
参考:At a budgetary crossroads, the US Navy’s aviation wing must choose between old and new
F/A-18E/F BlockⅢ調達を打ち切るか継続するかで米海軍の未来が決定される?
ボーイングは先月にF/A-18E/F BlockⅢのプロトタイプがロールアウトしたと発表したが、同機の開発を発注した米海軍は折角開発したBlockⅢの調達を打ち切って第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」へ資金を回すことを検討している。
米海軍は計608機のF/A-18E/F BlockⅡ調達をすでに終えており、2021年から新たに開発したF/A-18E/F BlockⅢ調達(78機+)を開始する予定はずだったのだが、今年2月に発表された米海軍の2021会計年度予算案によれば来年発注分(BlockⅢ 24機)だけでBlockⅢ調達を打ち切り、浮いた予算を第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に回すと言い出したのだ。
ただしこの予算の付け替えは議会了承を得ていないため、最終的な結論ではない。
しかしF/A-18E/F BlockⅢ調達資金を第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に回したとしても、米海軍には新規に次世代戦闘機を開発するための予算を確保することは不可能だという意見もある。
元海軍将校で現在ハドソン研究所のアナリストを務めるブライアン・クラーク氏は「海軍に次世代戦闘機を開発する資金はないのでF/A-XXはF-35Cをベースにした改良機になり、将来の海軍航空戦力の構成はF-35CをベースのF/A-XXが半分、残り半分はF-35Cもしくは改良を重ねたF/A-18E/Fになる」と語っている。
一方の米議会は、過去の事例から早急にF/A-18E/F BlockⅢの調達を中止するを警戒しているという。
ここで言う過去の事例とは、米海軍がF-35C調達を本格化させるため2015会計年度予算からF/A-18E/F BlockⅡ調達を中止して資金をF-35C調達に移行させることを立案していたが、F-35の技術的な問題が解決せず本格的な調達を2018年以降に延期することになり、結局はF/A-18E/Fの調達を継続することになった事を指している。
さらに下院議会の軍事委員会は海軍は既に戦闘機が49機不足しており、2030年代初頭に寿命を迎える問題や事故によって機体を失うことまで考慮すると、仮にF/A-XXが間に合ったとしても2025年以降は実戦で大きな戦力不足に直面する可能性があると指摘している。
要するに運用中のF/A-18E/Fは2030年代初頭に寿命を迎える機体が出てきて数が減少を始めるため、もし新規で開発する第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に遅れが発生すれば何で空白を埋めるのか心配しているのだ。
米海軍が2022年以降のF/A-18E/F発注を止めても海外受注でボーイングのF/A-18E/F生産ラインが維持されていれば慌てて同機の調達を再開することも可能だが、F/A-18E/Fは海外市場であまり人気がなく同機の生産ライン維持は米海軍からの受注によって支えられていると言っても過言ではない。
そのため米海軍の受注が切れればF/A-18E/Fの生産ラインは閉鎖される可能性が高く、最悪F-35C調達数を増やして数が減少するF/A-18E/Fを穴埋めすることも不可能ではないが、F-35Cの調達価格はF/A-18E/Fよりも高価(※1)なため万が一、F-35CでF/A-18E/Fの穴埋めを行う事になれば第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に割く予算を持っていかれるかもしれない。
※1補足:F-35Cの価格は予定されいる最も安価な価格でも9,150万ドル(ロット14)で、F/A-18E/F BlockⅢの価格は推定5,000万ドル以下と見られている。さらに高価なステルス戦闘機F-35CでF/A-18E/F BlockⅢ並な兵器運搬量を実現するにはステルスを捨てて機外に兵器を携行(通称ビーストモード)する必要があるためF-35CでF/A-18E/F BlockⅢの穴を埋めるのは割に合わないと言いたいのだろう。
ただ米海軍は議会の心配を余所に、空軍とも協力しながらF/A-18E/Fが寿命を迎える2030年代初頭までにF/A-XXを間に合わせることが出来ると主張している。
MQ-25を中止してF/A-18E/Fを追加購入するのも一つの手ではあるが・・・
この問題をさらに複雑にしているのは、議会が海軍に対して空母搭載の航空戦力の作戦半径を拡張せよと介入してくるかもしれない点だ。
議会は中国やロシアの長距離攻撃ミサイルによって高価な空母が失われることを恐れ「沿岸から離れた場所で空母を運用しろ」と主張し始めており、これが決定事項になれば米海軍の作戦機は空中給油回数が増えることになり、これは現在空母で空中給油機任務に使用され酷使され続けているF/A-18E/Fの寿命を更に削る結果になる。
ただ現在開発中の無人空中給油機MQ-25が議会の要求する負荷からF/A-18E/Fの寿命を守ってくれるという見方もあるのだが、MQ-25プログラムの総コスト(R&D費用+72機調達費用)は約130億ドル(約1兆4,000億円)と見積もられており、無人空中給油機に130億ドルも投資するならこの資金でF/A-18E/Fを120機購入すれば戦闘機不足も増加する空中給油機任務にも対応でき、余った資金を第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に回せるという意見が出てきた。
因みに、130億ドルあればF/A-18E/Fを260機調達することができる。
逆に第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」を中止するなら、資金をMQ-25プログラムに回して攻撃や偵察に対応できる無人攻撃機にすればいいという意見もあるが、これを実行するならステルス無人攻撃機「X-47」計画を何故、中止したのか意味が分からない。
以上のように米海軍は資金不足で戦力が足りておらず、スケジュールが遅れれば致命的な戦力の空白が生まれるリスクを覚悟して第6世代戦闘機プログラム「F/A-XX」に全力を注ぎ込むか、リスクを回避してF-35Cベースの改良機とF/A-18E/Fに加え、先祖返りしたステルス無人攻撃機バージョンのMQ-25を開発して中国の第5世代戦闘機や第6世代戦闘機と戦うかの決断しなければならない。
こう見ると中々、米海軍の抱える悩みの闇は深いものがある。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Shannon E. Renfroe
米空軍の第6世代戦闘機もまだ先の話だし、米海軍の次世代戦闘機がF-35C改良型になったらボーイングの戦闘機部門の死亡宣告になるかな?
F-16はまだまだ好調なセールスなのにスパホはジリ貧状態だから厳しそう。
次世代機が失敗する可能性があるのは日本も同じだし
日本も保険のためにF/A-18E/Fを買い支えてあげよう
意味がわからん。思いつきで書き込むな
日本の場合、NGFの開発遅延した場合は、先ずはF-2の延命かと。
FSXの時の遅れは、F-1の寿命見直し→F-4EJ改の手配、の順に対応したので。
シュミレーションでsu-35にボコボコにされるホーネットシリーズなんか要らんわ
釣り針でかいな
失敗必至のKF-Xの代わりにJF-17を買い支えて晴れてレッドチームに入ろう。
買うならもはやオワコンの米からより中国のFC-1買った方が利口なのでは?
「もうアメリカには戦闘機の定数すら維持する体力が無くなった」というのがこの記事の要点で、仮にこれ以上アメリカから機体を買っても米航空産業が没落すれば消耗部品の供給すら覚束なくなり早々に産廃化するのは火を見るまでもない
いっそNGF開発費をFC-31導入へ回せば1/3以下の資金で第6世代ステルス機を入手でき、予算難に苦しむ航空自衛隊の防衛力の底上げにも期待できるだろう
突っ込まないぞ?
お前、何が楽しみで生きてるの?
嘘吐くのが楽しみとは…哀れだなwww
中国との同盟論を主張する方がちらほら居らっしゃいますね。私は断固反対です。
はい出た~五毛党の工作員
数少ない中国の友好国であるパキスタンですら拒否するゴミはイランがな。
中国軍すら購入しようとしないFC-31とか、どこの誰が買うんですかね?
実際中国の戦闘機で輸出に成功しているのってMiG21のコピー機F-7系や発展型のJF-17辺りの低価格機だから、その顧客だとFC-31は高価格だし維持も大変だと思う。
FTC-2000の様な軽攻撃機辺りなら顧客はいそうだけど。
F-35とF/A-18の引用写真
F/A–18の方はE/Fじゃ無くてC/Dでは?
キャプションに「F-35CとF/A-18E/F」とあるけど、インテークの形状からするとレガホです。
日本の国家予算の75%も軍費を費やして、資金不足に悩むってある意味すごい。
日本ももう少し予算上げてもいいと思うんだが、GDP1%以内に抑えなきゃいけないっていう風潮みたいなのが何故か強すぎる。平均の2%まで今のうちに上げておかないと、周辺諸国と比較してどんどん技術格差が広がり、手遅れになりそうで心配だ。
近年の米海軍のプロジェクトは、ズムウォルト級やフォード級を筆頭に、深刻な費用暴騰と開発遅延の大炎上続きでしたので・・・・・・
ズムウォルト級はロマンはあったけどねえ
砲弾すら満足に供給できないとはおもわんかったけど
F-35Cはほんと無駄だったな
こいつをJSFに統合しなきゃF-35A/Bはもっと早く開発完了してただろうし
海軍もF-18からF/A-XXへ進めただろうに、どうしてこうなった…
重篤なJOINT病のせいですね・・・・・・
JSFを推進したのは米議会なんだよなぁ
まぁ海軍もズムウォルトやらLCSやらのやらかしはあるけど米議会も大概やらかしがヒドイ
そのくせ米議会は責任取らないんだから米軍はやってられないよなぁ
まぁその分今回は海軍より議会の方が冷静ではあるよね
スパホのライン維持して凌いだ方が現実的な選択肢ではある
結局他の国はBしか空母用途にしてないというね
一番難航するのはF-35Bだろうと予想してたのですが外したようですね。
しかし、何故F-35Cが他のタイプより難航するのでしょうか?
着艦フックの衝撃に耐えるために機体を補強しなきゃならんのと同じ理由で足回りの強化
そして低速での揚力稼ぐために翼を大型化かつ折り畳みにしなきゃならんて事で
共通パーツがABと比べて全然少ないのよ
なのにその少ない共通パーツ使うために機体設計に制約受けるっていう無理ゲー
元々垂直離着陸機としてスタートした計画なんでBは別に無理ない設計なんだよね
C型が難航したというか、ハリヤ―の寿命がホントにやばいので急がないといけないB型と他国も導入するので何としても実用化しないといけないA型に比べて、米海軍だけの運用で、しかも現役のF‐18がまだまだいけたので、急がないから後回しにしていたらこうなった。
成る程。
ご教授ありがとうございました。
F-35の最初のコンセプトの多国籍で多用途な機種を同一プラットフォームで安くって方針はどこに消えたのか。
我が国も買うのはともかく値段は文句つけてもいいのでは。
確か少し前の記事で米国防省が空母を12隻から9隻に削減することを検討していませんでしたっけ?ひょっとしたら戦闘機不足はさらなる空母の削減を迫られるかもしれません。
空母9隻なら空母航空団は現状より一個削減(ホーネット飛行隊4つ削減)できるので49機の不足は解決できますね
ただその場合現在の航空団配置である太平洋5個と大西洋4個のバランスをどうするのか
中国の台頭で太平洋からは削減できないとすると大西洋3個なんてことが・・・
その分同盟国に空母もしくは空母っぽいものを持たせるのではないでしょうか。
艦載機はクロスデッキ化し流動的な運用を可能にすれば経費は安く済むと考えたのかも?
戦闘機を開発できるのは日本だけになってしまったみたいですね
アメリカの次期F-XはF-3で決まりのようですね
左巻き自慢のSNS力で中止or延期 でしょうな
(増強中国には何故か目を瞑る左巻き勢)
マクナマラの呪い(F-111)臭‥
オーストラリアの次世代戦闘機への苦悩というか、我が儘振りを眺めてると、
F-111もFB用途だと優れた機体だったのだ、と思うようになりました。
湾岸戦争では無事?活躍したしな