ウクライナ大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏は27日に「ヘルソン空港に11回目の攻撃を行なった」と明かしており、どれだけ無意味に破壊されても止まないロシア軍の機材補充は今だに続いているようだ。
参考:Олексій Арестович
参考:Ukrainians watch astonished at Groundhog Day blunders
これは命令遂行のみに専念するソ連のメンタリティーそのもので、彼らは任務失敗や部下を失うということよりも指揮官からの罰を恐れる
チョルノバイエフカ空軍基地(ヘルソン国際空港の別名)はウクライナ国内で「ロシア軍の無能ぶり」を指し示す代名詞として有名で、ロシア軍は10回連続で部隊と装備を基地に移動させ、ウクライナ軍の砲兵部隊は10回連続でこれを破壊し、アンドレイ・モルドヴィチェフ中将(第8諸兵科連合軍司令官)とヤコフ・レザンツェフ中将(第49諸兵科連合軍司令官)が戦死した。

出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ軍は正確な攻撃日時を発表していないので最初の攻撃日は不明(2月27日~3月4日の間)だが、2回目の攻撃は3月7日、3回目の攻撃は15日、4回目と5回目の攻撃は16日、第8諸兵科連合軍の司令官が死亡した6回目の攻撃は18日、ゼレンスキー大統領は20日の会見で「チョルノバイエフカはロシア軍や指揮官が無能で国民を無駄に殺すことしか出来ないことを示した場所だ。我々はここで6回も敵を破壊した。6回も連続して破壊しているのに連中はまだやって来るんだ」と述べている。
21日に撮影された衛星写真でロシア軍は破壊を免れた機材をチョルノバイエフカから撤収していることが確認され、周辺住民も「ようやくロシア軍も無駄に破壊されることに気づいたようだ」と話していたが、ロシア軍は22日、23日、24日にも機材を送り込んできて返り討ちに合い、記念すべき10回目となる25日の攻撃では第49諸兵科連合軍の司令官が死亡してしまい、ウクライナ大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏は27日に「11回目の攻撃を行なった」と明かしているのでロシア軍の機材補充は続いているのだろう。

出典:Denis NASik / CC BY SA 4.0
ウクライナ空軍の元大佐で旧ソ連空軍にも10年間勤務した経験をもつオレクシー・メルニク氏は「これは何の疑問も抱かず命令遂行のみに専念するソ連のメンタリティーそのもので、彼らは任務失敗や部下を失うということよりも指揮官からの罰を恐れるため西側の価値観とは全く異なる。我々がウクライナ軍を改革する上で最も重視したのが命令に従うだけのソ連式の文化を西側の文化へ変更することで、米英のサポートでこれを達成した」と述べているのが興味深い。
つまり諸兵科連合軍の司令官でも中央の決定した作戦計画に疑問の声を上げるのは厳禁で、どれだけ無意味な命令でも実行することに意味があり、将官クラスの人間でも「それ以外に選択肢はない」という意味だ。
因みにウクライナ陸軍が保有する国産MLRS「Vilkha-M」は300mm口径の誘導ロケット弾を12発連続で発射でき、GPS以外の誘導方式を採用しているため妨害下でも安定した命中精度(平均誤差半径30m以下という説と7m以下という説がある)が期待でき、最大120km~130km先の地上目標を破壊することが出来るらしい。
追記:ロシア軍はメリトポリ市民に対する情報封鎖を強行、携帯電話の通話やインターネットへの接続が出来なくなったらしい。ただ国際ローミングの機能は生きているため主導で通信会社を切り替えれば何とかロシア軍の情報封鎖をバイパスできると報じられている。
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※アイキャッチ画像の出典:VoidWanderer / CC BY-SA 4.0
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ヘルソン空港はリスポン地点か何かですか?
合理性を欠いた行動であるならそれでいいんですけどね…
もし、ヘルソンを何がなんでも確保すべき理由があるのかもしれない
だとしても、ヘルソンを確保する理由はミコライウにしかないと思う
ミコライウに化学兵器弾頭を打ち込むのか、それともマリウポリにでも化学兵器を撒いて、それをウクライナ側の仕業に仕立てて、それを口実にしてミコライウに核弾頭でも撃ち込むつもりなのかも
ロシア側のCBRNE部隊が国境に集結、またはウクライナに入ったなんて憶測も飛び交ってる中なので、
楽観視するのは危険
>ヘルソンを何がなんでも確保すべき理由
クリミア半島へ水道水を供給する北クリミア運河がヘルソン州に有るので、それの確保が絶対なのでしょう
ヘルソンの市街地はドニエプル川の西岸(右岸)側に有り、ドニエプル川を渡る数少ない橋も有りますから、ヘルソンを確保していれば対岸への奪還作戦は困難ですので。ある意味、この戦争におけるイゼルローン回廊なのかも
もっとも、その意味では北クリミア運河の起点であるノーバ・カホフカとそこの橋(というか水力発電ダム)の方がより重要ですが
「リスキルはマナー違反」とロシア軍は思ってるかもしれませんね。
損耗した兵員を補うために、士官学校の学生を動員したり、ナゴルノカラバフあたりからも部隊を引き抜いたりとギリギリの努力をしているのに、せっかくそうやって補充した戦力が端からやられるのではたまったものではないでしょう。
ベルジャンスク埠頭やられて南部の補給体制に大穴空いたとこなのにこんなこと繰り返してて大丈夫なんだろうか南部侵攻軍
ウクライナ軍が多連装ロケットで攻撃していると知って、数十Km圏内にまで砲兵が接近してるのかと疑問に思っていましたが、100Kmを超える射程を有する多連装ロケットを装備していたんですね。
情報ありがとうございます。
タワーディフェンスゲームとかで悪の軍事帝国が延々とキルゾーンに部隊を送り込んできますがあれって意外と軍事帝国の体質を反映した姿なのかな…
戦場のヴァルキュリアっていうゲームでの熟練度稼ぎで味方機関銃兵に突撃しては死んでいく帝国兵みたいなもんですかね…
ゲームだと間接攻撃の出来るユニットの習熟度は上がりやすいですが、ここを攻撃しているウクライナの砲兵部隊の習熟度はすごい上がってそうです。
まるでロシア軍ホイホイですね…。
以前別の記事のコメントにもあったのですが、ロシア軍は占領したヘルソンの市街の一部を拠点とすればウ軍も迂闊に砲撃出来ないのに何故わざわざ目立つだだっ広い空港に拠点を置くのでしょうか、、?
スペースを必要とする航空兵器ならともかく、中将のいる作戦指揮所や器材、補給拠点まで空港に集めて一網打尽にされている。まさか兵力と指揮所を1箇所集中しなければならないほどロシア軍の通信能力は崩壊しているのでしょうか?
市内だと周りは敵性住民だらけですから、移動中にテロにあいやすい上に逃げ難いですし、目撃情報から残置兵から狙撃されたりする危険性を重視しているのでは?
空港ならイザとなったらヘリで逃げられますし、クリミアからヘリでちょっと督戦に行くのに丁度いいのかも。
後方に行っても督戦にならないですし。
まあMLRSで空港ごと狙撃されているわけですが。
制空権さえ握ればウクライナにおける軍事作戦はうまくいくという考えに固執するあまり、航空戦力を運用できる空港の確保・拠点化が最優先目標になってしまい、かえって戦力や人材が消耗するという本末転倒な状態になっているのではないでしょうか
これがプーチン大統領の考えなら、それを否定したり変更させられるような立場の人間は事実上ロシア軍や政府内にはいないようですし
そりゃあ市街地に置いたら、地雷・夜襲・補給線破壊といったゲリラ戦や市民によるサボタージュ、下手すりゃ自爆テロすら警戒しないとならないからではないでしょうか。
基本的にロシア軍は人員不足だから完全な制圧なんてできず、公開処刑や死の部隊等々で恐怖支配をしたところで、みんな覚悟が決まっているいじょう効果は限定的。
そしたら市街地外に拠点を置いたほうが下手すりゃ安全で、その中で警備をしやすいのが空港だった、ということではないでしょうか。
まあ将官がいるような拠点を何回も置くのは理解できませんが。
新種の粛清方法なのかもしれない
割とマジで
ドンバスに注力するとロシアが公式に発表している以上、理屈としてミコライウの確保を目指せない。
なら、ヘルソンを確保している意味がない
そんなことはロシア軍側だって理解しているはず
なら、ヘルソンの確保は軍よりも上位の命令で貼り付けられているのか?
それとも、ミコライウ確保をし、オデッサとキエフの攻略を諦めてないのか?
ミコライウで化学兵器でも使う気?
計画達成のみを重視というか絶対視し、現場の意見を聞かず
いかなる理由であれ計画の変更を認めず、達成できないものは反逆者扱い
但し達成できれば品質や効率は問わない。
昔のソ連が蘇ったみたいです。
ロシア国内のテレビは嘘だらけ、西側メディアにはアクセスできず、スマホも持ち込み禁止、司令部は数日おきに指揮官ごと消失
そもそも後任の指揮官が状況をよくわかってないのではないだろうか。
ロシア側メディアは当然ロシアが正義で楽勝ムードという報道だけで、
軍内部でも情報統制がキツくて全体を俯瞰できるような情報は手に入らず、
肝心の現地情報は当地の司令部が吹き飛んでいて伝わっていない…
下手すると、現地のウクライナ軍を航空支援して弱体な反政府ゲリラをちょちょんと蹴散らすんだろう、くらいのノリで空港に進出している可能性が…?
普通だったらこんなん素人だってまずいと気付くわ
ところがロシア人は気付いてない、ソ連崩壊以来30年以上経ってもだ
これ組織が腐っているというより、人間そのものが腐ってる気がする
ソ連、ならびに共産主義はかくも人をダメにするという見本だなコリャ
旧日本軍も同じような無理な突撃を繰り返して消耗し、
日本軍指揮官は学習をしないと米軍から嘲笑われた例多数
なぜアンチ同士のソ連と日本が似通うのか
普通じゃ勝てない戦争をやってるってとこじゃないですか。後は人よりも兵器のほうが不足しているところも共通してるから、最後に残った突撃にすがりざる得ない、ってところじゃないでしょうか。
ウクライナにはボーナスステージかな。。。
ロシア兵には気の毒やけど
ロシアがスポーツで組織的なドーピングやめない理由が分かったかも
ロシヤ兵の不幸はウクライナ人の朗報
こういう思考が生まれるから戦争はいけないんだけどな、プーチンを倒すのは本来ロシア国民の責任だよ
なんで正規軍使ってわんこそばみたいなことやってるの・・・
絶対あきらめないという強い意志は大切です。
いつか目的を達成できるといいですね…まぁ無理でしょうけど。
単純に誰も中止する命令を出してない以上は無駄だと分かっていても占領、維持しないといけないだけの話。
拠点としては重要拠点だ(った)から占領対象ではあったが、今となっては施設破壊によって重要度は低下しているが命令を下す人間が入院中であったり、解任したりで命令が下りない。
40代将官という才能を何人も失うの現場が地獄なの証明してるだけでは