レズニコフ国防相が先月25日「ドイツから到着した」と明かしたゲパルトに再び問題が発生、どうやらノルウェー企業製の35mm弾薬がゲパルトのシステムで認識できないらしい。
参考:Deutsche Panzerhaubitzen in der Ukraine zeigen Verschleißerscheinungen
参考:Panzerhaubitzen 2000 nach vier Wochen im Ukraine-Einsatz reparaturbedürftig
参考:Norway-delivered Gepard SPAAG 35mm shells are useless in Ukraine
事前の適合テストは実施されているのに、なぜゲパルトのシステムで認識されないのか謎
ゲパルト搭載のエリコン製機関砲が使用する35mm弾薬はスイスがウクライナへの移転を拒否したため、ブラジルから取り寄せた6万発(30万発提供に応じたという報道もあるが詳細は不明)しかなく、ゲパルトをウクライナに提供しても弾薬不足に陥る可能性があったのだが、ノルウェーで35mm弾薬を製造できる企業が見つかり弾薬問題は解決したと報じられていた。

出典:Derwatz / CC BY-SA 3.0
しかしウクライナに引き渡したノルウェー企業製の35mm弾薬がゲパルトのシステムで認識できず、SPIEGEL紙は「この問題を解消した改良弾の開発が進められている最中で8月中にテストが行われる」と報じているが、引き渡し済みの35mm弾薬はドイツに送り返して修正を加える必要があるらしい。
因みに弾薬問題の解消を報じた当時の独メディアは「ノルウェー国防省の協力で35mm弾薬を製造できる企業が見つかった。早ければ来週中にもドイツ国内の射撃場で35mm弾薬の試射が行われる予定だ。ドイツはウクライナに提供するゲパルトの弾薬問題を解決した」と報じているので、事前の適合テストは実施されているはずなのに「ゲパルトのシステムで認識されない問題」をなぜ発見できなかったのかは謎だ。
関連記事:ゲパルトの弾薬問題が解決、ノルウェーの協力でドイツが製造企業を確保
関連記事:ウクライナ国防相、ドイツからゲパルトが弾薬と共に到着したと発表
装備の数や操作方法だけでなく「ウクライナ軍内部での保守体制」も確立されないと西側製兵器の性能を生かした戦いは難しい
以前の記事「イタリアがウクライナ支援パッケージを発表、PzH2000が含まれる可能性」で少しだけ触れた「PzH2000に想定以上の摩耗が発生している問題」について、もう少し情報があるのでついでに紹介したい。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
6月末にウクライナの戦いに投入されたPzH2000の一部で想定以上の摩耗が発生、直ぐにでもオーバーホールを必要としており、ドイツ陸軍は直ちに問題を改善するためスペアパーツの追加供給をウクライナ軍に約束、ドイツ政府は独KMWと交渉してPzH2000の保守センターをポーランドに設立する予定だとSPIEGEL紙が報じている。
SPIEGEL紙の報道によるとウクライナ軍はドイツ国防省に「7輌のPzH2000を使用して敵陣地を集中砲撃した後、幾つかのPzH2000でシステムがエラーメッセージを表示している」と訴えており、1日100発以上の砲弾を発射するウクライナ軍の運用方法(連続射撃モードの多用)ではPzH2000の装填機構に大きな負担がかかるらしい。

出典:Ministerie van Defensie
さらにSPIEGEL紙は「遠距離の目標にウクライナ軍はPzH2000から特殊砲弾を発射しようとした」と指摘しており、ドイツがウクライナに提供した155mm砲弾の中で「特殊砲弾」に該当するのは対装甲車輌向けのトップアタック子弾を内蔵した「SMArt155」か、通常砲弾よりも射程を拡張した「ベース・ブリード弾」のどちらかで、ドイツ軍関係者は「ウクライナ軍の激しい運用方法はシステム全体に大きな負荷がかかるのでPzH2000の消耗も理解できる」と述べている。
直ぐに対応するとドイツが言っているので「エラーメッセージの解消」は時間の問題だと思うが、英国やノルウェーが提供したM109も保守や修理方法を教えるため西側諸国の兵士がマンツーマンでウクライナ人を訓練している最中で、装備の数や操作方法だけでなく「ウクライナ軍内部での保守体制」も確立されないと西側製兵器の性能を生かした戦いを継続するのは難しいのかもしれない。
関連記事:イタリアがウクライナ支援パッケージを発表、PzH2000が含まれる可能性
※アイキャッチ画像の出典:Hans-Hermann Bühling / CC BY-SA 3.0
相変わらずのグダグダっぷり、そもそもゲパルトなんて空軍が低調で砲撃戦やってるウクライナ戦場の需要に合わないだろ。
都市部守るには射程短すぎるし。
対ドローンか、ソフトスキンに水平射撃するみたいですよ
古今東西対空砲の1番使われた用途は人間に向けて撃つことだぞ
市街地奪回の時には有効ですしね
それもあるけど、SAM群で低高度以上を安全に飛べない露空軍はSu-25を地面舐めるように飛ばしてロケットを斜め撃ちしてるから、出会い頭にゲパルトに撃たれるプレッシャーは与えられるはず。
山なり弾道で撃ったロケットも迎撃できる可能性もあるし。
ただ自走対空砲を対地用にしたようなターミネーターが活躍したという話を聞かないあたり、やはり水平射撃も強いとはいっても、やはり自走対空砲は対空能力(敵航空戦力への抑止力)あってこそのものではないでしょうか
(ただしターミネーターの索敵能力が対人索敵すらろくにできていないほどポンコツであった場合は前提条件が異なってくるため、この理屈はなりたたなくなる可能性がありますが)
お笑いドイツ軍。これが精強を誇ったプロイセン陸軍の成れの果てか
コントのような展開になりつつあるね
ドイツ軍、遂に「ユーモア」を実戦配備
最新のハイテク兵器より
昔ながらのソ連製兵器のほうが雑に使えるから有効なのかね
前線部隊で直せない不具合が発生するなんて兵器として失格じゃないのか
これはウクライナが悪いのでなく、西側装備が実戦をなめていたからの想定ミス
戦場はマニュアル通り、お上品には進行しないって、そんなこともドイツ軍は忘れてしまったのか
現代の戦争はサイバー戦争などとも言われますけど、結局の所は、侵略しようとすれば、昔ながらの人道関係なしの無差別爆撃、弾薬、人員の数がものをいうって感じですね・・。(精密攻撃や都市機能のマヒとかで、サイバー攻撃が無駄と言いたいわけではもちろんないですが・・)
実戦で使ってみないと分からない問題って常に付き纏うね
自衛隊が心配になるが、、はて
>100発以上の砲弾を発射するウクライナ軍の運用方法(連続射撃モードの多用)ではPzH2000の装填機構に大きな負担がかかるらしい。
韓国製の自走砲K9でしたっけ?K2も含めて韓国製の兵器はこの辺でもっとすごい粗が出てきそうですね。
陸自の戦車も、足回りだけは日本製として耐久性は期待したい所ですが、砲周りの機構は1日100発以上使い込むような局面では同じような不具合が出る予感がしますね。
陸自は演習時に弾薬がそんなに与えられてないようなんでそんな荒撃ちなんかやってないように思います
PzH2000にしても日本の機動戦闘車にしても装輪式にする過程で重量を減らす必要はあったと思いますし、そうなると真っ先に削られるのは各部部品の耐久性なのかもしれませんね。
現場猫案件
使えると言ってたから「ヨシ!」だろうなぁ
適合テストしないで、使用上適合してるからOKしたんだろう
想定外っていうぐらいだから長距離(装薬大)を連続砲撃するのは普通はしないってことなんじゃ?
「長距離を速射できるのこいつだけ」って状況だからオーバーワークなんじゃないかな
採用国がそれなりにあるんだから欧州各国の要求仕様自体そういうものだろうし
76mmオートメラーラ砲みたいな水冷システムももないので、連続で射撃すると砲身が熱でやられるというのもあるでしょうね
もっと上品に戦ってくれないと困るよ〜
やっぱ使ってく中で洗練されるものなんですかね、耐久テストとかどうだったんだろう
PzH2000で、1日で100発射撃するのは限界越えてるというのが衝撃的すぎる
ドイツ軍の要求仕様でも、この程度は含まれてると思うのですが、自走砲ってそこまで弱いものだったけ?
しかもPzH2000って高いことが一番の評判位は高級品・高性能・高耐久というイメージだったろうに
信用全滅ぐらいでは、、
なにか勘違いしてるのかと思って、Wikiとか見てきたけど
>自動装填装置の弾倉は容量が大きく、砲弾60発
>射撃速度は非常に優秀で、10秒間に3発、1分間に8発、3分間に20発である。
>砲撃の持続能力は、24時間の間に37の異なる目標に対し、300発(弾薬約18t)の砲弾を撃ち込むことができる。
これ公表されてるカタログスペックなんだが、それ以下で故障頻発って事だよね
それとも、実は300発撃ったらオーバーホール必要とか言うのだろうか
1日あたり100発を超えるような運用を1ヶ月近くやったから予想より早く消耗した訳で、即席の保守体制じゃ厳しいからメーカーが出張る訳でしょ?
1日100発が限界という意味じゃない
しかしPzH2000が以外に脆くて本当にびっくり
設計した通りの仮想敵のロシアに砲弾を打ち込むならそれこそ山のように撃つのは想定されるべきでは?
そのロシアでも酷使しすぎて砲身破裂した自走砲が出てるからなぁ、そうなる前に安全停止するのは逆に優秀だと言えるのかも
PzH2000がウクライナで経験した様々なエラーは今後の糧になる。
今後の製品開発と改良のトライが続けばだが……
M13みたいなただの旋回機銃座なら今頃何の問題もなく使えてたのでしょうが、レーダーと連動して弾種組み合わせを射撃ごとに変更し時限信管を電気的に評定して射撃する現代の自走対空砲ではこういう見えない適合障害は洒落にならないですね。同じ弾薬を使う同じ設計の兵器をそれぞれ使ってるのに相互融通の確認を毎度毎度やってるNATOや日米同盟の努力はこういう事態を回避するためのものだったんだなあと思わされます。
しかし、弾薬のシステム側での識別って弾薬ごとに手動で諸元入力してるもんだと思ってましたが(戦車はALSのラックごとに何を装填したか手作業で入力していく)ゲパードの場合は自動で弾種を選別するシステムでも入ってるんですかね。
弾薬リンクの装填方式にもよりますが、炸裂弾や曳光焼夷榴弾などを決まったパターンで組み合わせた状態で一つのドラムに入れて管理しているなら、同期するための機能があったりするのかなあ…
色々気になることはあるけど、送る前に1回位試射しなかったんですか?というものすごく根本的な疑問が…
兵器のテストといえば、過激な印象が有ったのですが‥カラシニコフさんは「破壊するまでテスト」とかもしてるようですけどね。
参考
リンク
エリコン35mmは、初速測定装置が砲口についているので、それが機能しないのでは?
自分もそうではないかと睨んでいます。
ゲパルトの搭載するエリコン社製L-90 35mm機関砲で使用される弾丸は
主に対空用のABM弾と装甲車両用のAPDS弾の2種類ですが、
ABM弾については発砲時に銃身先端部の砲口制退機により計測された初速
から弾丸の時限信管に電磁コイルを経由して最適な起爆時間を信管調停する
機能があります。これにより近接信管を使わずとも正確なタイミングで弾丸
を起爆する事が出来ます。
恐らく弾丸自体よりもこの電子信管とのマッチングが取れて無いのではない
でしょうか。そうすると撃った後にどのタイミングで起爆するか分からない
となれば、撃てはしても使い物にならないとなります。
全く分野違いですが、インクジエットプリンターと『互換性(のはずの)』カートリッジの関係をふと思い起こしました。
メーカー純正でないカートリッジは、プリンタ側で認識されなかったり、認識されてもインクの残量が表示されなかったり。
家庭用のプリンターの話なら、めんどくさい、で片付きますが、
やるかやられるかの戦場では生死に関わる問題です。
これならどこかからシルカでも見つけてきて供与した方がマシだな
99式やK9は、大丈夫かな。
PzH2000でこの状況ですか、K9は大丈夫なのかな? そして日本も、
6発撃ってすぐに退避して補給して、また前進して6発撃ったらすぐ退避
コストという問題を除けば射程は155㎜や203㎜より長く、敵に捕捉されにくい
威力も命中精度も十分なHIMARSの使い勝手の良さがよくわかる。
兵器としての質が違うので自走砲とHIMARSと比較するのはお門違いでは…
逆にHIMARSに1日100発を敵前線陣地に撃ってね、なんて運用は求めるものじゃないわけで
というかそれだと1補給で6発しか撃てないとか問題外って話になる
HIMARSは目標地点が完全に割り出されている脆弱な高価値目標を遠方から叩くことが出来るというのが強いだけで
敵の阻止や準備砲撃、対砲兵射撃は別のお仕事よ
そんなことはないですよ
高価値目標に対しては誘導弾を使いますが、もともとは進撃してくる敵陸軍や火砲・自走砲陣地に対してそれらの射程外から大量の子弾をばらまく無誘導弾を斉射して進撃阻止や陣地破壊をする目的で作られた兵器ですし
なるほど、用途別の弾頭で砲兵としての仕事もできるのは分かった。ただそれで言うと大砲とロケット砲の違いそのまま当てはまってしまう
主題である自走砲と比較できるかという意味では瞬間的な火力か継続的な砲撃かという違いがある以上、似た者同士とは言え兵器としては別物よね、というところは変わらないかと
純粋に運用方法についての指摘だけの話だったならごめんね
> SPIEGEL紙の報道によると
揚げ足取りレベルですみません。
シュピーゲルは新聞では無く、雑誌です。
シュピーゲル誌が正しいかと。
PzH2000の不具合に関する詳細も分からないのにディスっている人なんなの。砲の耐久性なんて状況により変わるから勝手にそう思っているだけなんじゃないか。
想定している連続射撃だって装薬量マックスのデータですとか証拠提示出来る人はいるの?旧日本海軍の大口径主砲とか強装薬で撃てば1発撃っても2発分でカウントしていた様に思うし、アメリカのM9とかサブマシンガン用の強装弾使って破損とかあったんだから強力な物は負荷が大きいのは今に始まった事じゃない。