ザルジュニー総司令官は30日、ウクライナ軍の攻撃に耐えられなくなり蛇島に駐留するロシア軍が逃げ出したと発表した。
参考:Залужный показал, как выгоняли оккупантов из Змеиного: помогла гаубица “Богдана”
参考:Россия в качестве жеста доброй воли вывела гарнизон с острова Змеиный
蛇島からの撤退はウクライナの穀物輸出をロシアが妨害していないことを示す行為?
黒海に浮かぶウクライナ領の蛇島はロシア軍が侵攻直後に占領、ここに配備された防空システムと巡洋艦モスクワがウクライナ軍機の飛行を制限していたが、4月下旬に巡洋艦モスクワが対艦ミサイルによって撃沈され、5月上旬に蛇島の防空システムがSu-27とTB2によって破壊されてしまう。
しかしロシア軍は蛇島へ新たな防空システム(Tor-M1など)を送り込み、対空能力が劣る22160型哨戒艦にはTB2牽制用に後部甲板へTor-M2を据え付けるなど対策を講じてきたが、ウクライナ軍は6月下旬に榴弾砲やMLRSによる蛇島への大規模な攻撃を開始、島に持ちこまれた防空システムが無意味に破壊され「駐留するロシア軍部隊」は大砲の餌と化してしまい、最終的に島を放棄して逃げ出してしまったらしい。
ロシア国防省も蛇島からの撤退を認めているが、撤退理由に関しては「ウクライナの穀物輸出をロシアが妨害していないことを示す行為だ」と主張している。
因みに蛇島に部隊を派遣しても今度はロシア軍の攻撃に晒されるため、ウクライナ軍が直ぐに無人になった蛇島を占領するかは不明だ。
関連記事:ウクライナ軍が蛇島のロシア軍を再び攻撃、奪還を試みている可能性も
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この報に接して、何故ロシア軍が撤退したのかを考えてみたのだが…
①蛇島にウクライナ軍を誘い込んで袋叩きにする為、蛇島を餌にした。
②黒海艦隊所属のキロ級潜水艦を蛇島周辺に展開させて制海権を維持する作戦に変更した為、蛇島を確保しなくても良くなった。
③実は、もう直ぐオデッサ攻略作戦を発動予定なので、蛇島に兵力を置く必要が無くなった。
さて、正解はこの三つか、それとも別に有るのか?
①案:射程から見て長距離ミサイル位しか攻撃方法がないけど、蛇島に弾数の少ない巡航ミサイルを注ぎ込む価値があるかと言われるとちょっと疑問。
②案:蛇島のすぐ近くを米海軍のP-8が度々居座っているけど、キロ級とはいえそんなところをウロウロして大丈夫?
③案:クリミア半島南部をグロホが監視しているから艦隊が出撃準備していたら即察知されるし、事前攻撃をしっかりしておかないと、手ぐすね引いて待っているハープーンやネプチューンでモスクワの二の舞いになりかねない。
単に維持するのがキツくなっただけでは?
どうも、ご指摘ありがとうございます。
もしかすると、ロシア軍としてはより重要な南部の確保に専念する為、蛇島へ兵力を送るのは一旦棚上げにしたって感じかも知れないですね。
>蛇島のすぐ近くを米海軍のP-8が度々居座っているけど、キロ級とはいえそんなところをウロウロ
非交戦国であるNATOがキロ級に攻撃出来る訳でもないし、P-8が蛇島の近くに居るって言ってもルーマニア領海とかレベルでは?キナ臭い所のEEZに軍用機飛ばすとか流石にアリエンでしょ。
ルーマニア領海外でキロ級が活動する分には制限なんて無いと思うし、攻撃出来るとしたらルーマニア領海内から巡航ミサイルぶっ放した時だろうがロシアがそこまでするかな。
例え情報があろうとも交戦国であるウクナイナが潜水艦に対する有効な手段を持っていないなら情報の有効活用も出来ない。
黒海は各国のEEZが隣り合って公海なんて無いが知る限り国連海洋法条約はEEZでの軍事活動は禁止してなかった筈、流石にロシアがウクライナ以外に無差別攻撃しない限りはウクライナが対応するしかないしキロ級のやりたい放題じゃないかな。
オデッサ攻略は諦めて東部だけ取って終わらせる気じゃないかなあ。
今後は更に東部へ火力を集中させてくると思うわ。
純粋に攻撃に晒され続けるわりに南部はオデッサ占領どころじゃなくなって占領する意味がなく割に合わないからでしょう。
オデッサ以西をやる気ならここを確保して揚陸部隊へのカバーや補給拠点にできるけど、ただタコ殴りにされるだけのリスキル地点と化してる。
これまでも書いてますが、明らかに旗色が悪いのはリシチャンシク方面くらいで、他は膠着またはロシアが押されています。リシチャンシクは全体の一部にすぎない(しかも実利的な意味は少ない)のに、そこに情報が偏ってるから注目されすぎてるってことです。
この蛇島撤退も、①~③のような能動的な理由ではなく、割に合わない、後ろ向きな理由と考えます。
まあ、①~③がロシアに可能であれば、
とっくに実行してたでしょうなあ。
で?どっちが優勢なんだ?
ロシアが勝つ事はないから安心しとき
対艦ミサイルや防空システムを置いてロシア海軍を牽制してもいいんだろうけど、ウクライナがMLRSで攻撃したようにロシアも同じことするかもしれない。
部隊を再配置しないってことなら、「貴重な対艦ミサイルや防空システムを失うぐらいならそのままにして、再占領するようなら攻撃しよう。」と判断するのかもしれないですね。
さすがにロシア側から火砲は撃っても届かないし、艦砲射撃はハープーンで接近拒否状態だけど、空爆・ミサイル攻撃されたら俎板ですからね。潜水艦の脅威と航空優勢の問題で輸送に不安があるし、守備隊の駐屯は考えどころ。
学習した…!?
西側から援助された重砲火器はこっちに投入されてた訳ですか…
逃げるは恥だが役に立つ
これは将来の島嶼戦について考えるときに参考事例になりそうな話ですね。
一度の侵攻や一度の奪還で戦争が終わらない場合、島嶼部が長期にわたって無人地帯化する懸念があったり、そのまま終戦を迎えて帰属が曖昧になってしまうリスクもあるんでしょうね。
私も日本の島嶼防衛の参考になるかもという気持ちでこの島を見てましたが、対象は大きい有人島よりも尖閣諸島のような場合ですかね。
遮蔽物のほとんどない島に人を送り込んでも、そこを安定した拠点にするにはかなり強固なエアカバーが必要でしかもそれも絶対じゃない。そしてそれをする動機を持つのは中国の側です。
もちろん単に尖閣諸島だけの奪取を目指して事を起こすとは思えないので、(代償に見合う価値はあるのか)という葛藤を持たせる上でも、この戦いは重要な意味があると思います。
蛇島はしょせんオデーサ辺りを広く利確した側に自動的に贈られる副賞みたいなもんだからこの島自体で騒がんでもいんじゃね
むしろ問題はその対岸の南部の戦況…なんでウクライナ側はこんなネチネチ情報統制してんですかね?
>「ウクライナの穀物輸出をロシアが妨害していないことを示す行為だ」と主張
では輸送船をオデーサに向かわせてみよう。「妨害はしない」のだから。
領海まで国連のお墨付きか有志連合~黒海沿海のNATO諸国の海軍あたりか~の護衛を付けて、になりますかね?
さて何が起きるか?
この島の放棄はむしろロシア軍が不利な拠点は無理せず後退するというある意味軍事的に正しい行動をしていると見えるわけで、無邪気に喜んでいいのか微妙ですね。
ロシアにとってみれば占領した土地からの撤退は政治的にあまり好ましいものではないにも関わらずそうした。
つまり政治的要求を跳ね除けられたとも考えられます。
ウクライナは東部で半包囲されて補給も難しいセヴェロドネツクやリシャチンスクを無理をしてでも保持しようとしてます。軍事的に見ればそういった場所からは後退して然るべきですが、そうしていない。
つまり政治的要求が優先されています。
さらにスポンサーである西側で英雄視されてるゼレンスキー大統領を始めとした政府が無茶な要求を軍にした場合、はたして軍はNOといえるのか、非常に心配です。
無茶な要求はされないと信じたいですが。
政治的な視点で見ると、ロシアが道を開けたのにウクライナがオデッサの機雷封鎖を解かないと今度はウクライナ側が非難される事になりますね
穀物輸出のために大型コンテナ船を航行させるには機雷を除去しなければなりません
海からの侵入を阻む機雷はロシアにとっては忌々しいものだったはずです
もしかしたらこれって上手くロシアにハメられてません?
>ウクライナの穀物輸出をロシアが妨害していないことを示す行為だ
キーウ方面から遁走した時も「停戦交渉の信頼醸成措置だ」とかなんとか抜かしてたよね。実に分かりやすい。
まぁでも実際に海上封鎖を解くのなら悪い話ではない。
が、どうせ海上輸送の具体的な話に入ったらフッカケて来ておじゃんにするんでないかな。そして責任転嫁。こういうのもロシアのお約束だ。
まさに鶏肋のような島だと思う
ロシアとしたらモスクワ撃沈の時点で維持は諦めるべきだった。
ウクライナからしたらロシアの戦力を無駄に消耗させた上に戦果で国際社会に対する良いアピールになった
ただ、ここでウクライナが本格的な戦力おいたら立場が逆になるから、送るにしても最低限の人員で旗たてる位じゃないだろうか
①この島取ると、ネプチューンミサイルを島に置けるようになる
②置けるようになったら射程約300kmで遠く離れたクリミアの軍港が射程圏内に入る
③射程圏内に入ったロシア艦隊はミサイルの餌になりたくないので軍港から逃げ出す
④軍港から軍艦が居なくなることで、東部寄りの陸地にネプチューンミサイルを置けるようになる
⑤東部寄りの陸地にネプチューンミサイルを置くことで、念願のクリミア大橋が射程圏内に入って橋を破壊することが出来る。
ここまで上手くコトが運ぶかなぁ…。問題は蛇島付近には潜水艦がウヨウヨ居て、有効な対策が殆どないこと。
潜水艦をどうにかしないと、島にミサイルを運ぶ船が接岸できない。
そもそも島には遮蔽物になり得るものが何も無いので例えミサイルを運び込んでも巡航ミサイルや航空攻撃のいい的にしかならないと思いますよ。
ロシア軍、キーウ周辺から撤退する時も「我々の和平に対する誠意の印として撤収する!」とか言い訳してたな。あの時もキーウ周辺を維持できなくなって撤退しただけだったように、今回も蛇島を維持できなくなっただけだろう。
最近のロシアシンパは「ロシア優勢! ウクライナ軍は崩壊寸前!」とか吠えてるけど、セベロドネツクに迫ればヘルソンに迫られ、セベロドネツクを奪えば蛇島を奪われるというのが「ロシア優勢(笑)」の実態。
蛇島からロシア軍を排除したことで、本当にオデーサからの穀物輸出が可能になるなら大きいですがそう簡単にいくのかどうか
高価な対空ミサイルシステムなどを何基も破壊したことは意味がありそうです
蛇島兵士と敵艦モスクワ(記念切手の絵)
リンク
ウクライナの攻撃で沈みゆくモスクワ
リンク
蛇島を巡る戦いを象徴する、新たな画像はどんな構図になるのだろうか?
蛇島上空を旋回するTB-2かな
セヴェロドネツクやリシチャンシクもロシア軍の砲撃に耐えかねてウクライナ軍が逃げ出した格好だけど
敗走ではなく戦略的撤退という扱いになるからまあおあいこってことで
キエフの時もそうだけど
ロシア軍は退くときはあっさり退くな
普通なら固執して被害を拡大させそうなもんだけど
変なところで合理的
撤退はロシア軍の伝統戦術だから
今日はこんくらいにしといたるわ!
そもそも昔からモスクワまで放棄するような焦土作戦を繰り返してきた国ですし。
合理的というか、領土領民を守るという意識が薄いのでしょう。
まあウクライナが上陸出来るわけじゃなし確保しておく意味も薄いから撤退も当然だろうね
オデッサ攻めるとなればその時になってから再占領してもローリスクハイリターンだし
SA-22やSA-15を島に持ち込んでいて、先日の大規模なUAVとミサイルの攻撃にも耐えたようでしたが撤退ですか
あそこに駐留し続けるコストが高いと判断したんですかね
衛星写真を監視してる人によると、5隻のボートで撤退する様子が写っていたようです
twitterの情報では砲撃で根こそぎにしたらしい
リンク
なんというか本当に火力としての榴弾砲の優秀さが際立つ戦争だと思う
そもそも上陸作戦をやめた以上この島を保有するメリットが無い
上陸時背後から撃たれないために必要だったが、なにもしないのにただ占拠し続けても爆撃され続けるだけで何一つ良い事は無い
逆マリウポリだ
むしろマリウポリのように、ウクライナ軍が配備された状態なら逃げ場は無いので適当に爆撃するだけで良い
爆撃しなくても島の支配のためにウクライナ兵が1000人かそこら派遣されたら、その兵は前線での戦争には参加できない死兵になるので戦力の分散になる
よって島からの撤退は妥当と言える。日本軍がハワイを占拠しなかったのと同じ理屈で、もはや戦場は東部と南部である
いやメリットはそれなりにあるよ
黒海西部の対空は蛇島の部隊が一手に担ってたわけだし
少なくともこれから黒海艦隊の水上艦の黒海西部での活動は制限される
ただまあそれだけだし必要になれば再占領は容易いわけで砲撃の中に部隊送り込んで維持しておくほどのメリットでもないわな