地対空ミサイルによる抑止がないウクライナの都市マリウポリではロシア軍が自由に空から攻撃を行うことができ、都市の防衛を担当している部隊は「MANPADSではなく通常の防空システムが必要だ」と訴えている。
参考:“Сделайте так, чтобы Мариуполь выжил!” Украинский защитник призвал помочь городу системами ПВО
参考:Україна обороняється 23 день. ОНЛАЙН
地対空ミサイルの抑止を失うとウクライナの都市は全てマリウポリと同じ状況に直面することになる
ロシア軍に包囲され砲撃や空爆に毎日晒されているマリウポリ市当局は「民間人が2,400人に死亡した」と発表しているが、確認が取れていない不正確な数字まで入れると民間人の死亡者数は最大2万人(推定)になるとも報じられている。
なぜここまで数字に開きがあるのかと言うと「ロシア軍の攻撃が止まらないため遺体の回収も埋葬もできないからだ」と市の関係者が述べており、ライフラインが損傷して水もガスも止まったマリウポリ市内には20万人~40万人の市民が閉じ込められていると推定され、都市の防衛を担当している部隊も「MANPADSでは敵機を撃ち落とせない。我々には通常の防空システムが必要だ。瓦礫の下で子どもや老人が死んでいる。水も光もなく23日間も座りっぱなしで街から逃げることもできない」と中央政府に訴えている。
つまりマリウポリ市には他の都市と異なり地対空ミサイルによる抑止が存在せず、ロシア軍は厳重な対空陣地を構築、比較的近いクリミアやロシア領の基地から戦闘機を飛ばしてウクライナ空軍機の接近の拒否できる体制が出来上がり、マリウポリ市を空爆するロシア軍機はMANPADSが届かない安全な高度を飛んでいて「手が出せない」という意味だ。
実際、現地部隊からの要請でTB2による航空支援(都市を砲撃する部隊への攻撃)を試みたものの「失敗に終わった」と報じらており、包囲を破る試みもマリウポリから約60km離れたヴォルノヴァーハ付近でロシア軍に阻止され、ここに増援を送り込もうとしても他の部隊は100kmも離れた場所にいるため「敵が制空権を確保している地域を徒歩で100kmも移動するのは困難だ」と専門家は指摘している。
まぁS-300でマリウポリ上空を飛行するロシア軍機を迎撃するという手段もなくはないが、そうなるとザポリージャ近郊にS-300を移動させる必要があるため流石にリスク(ロシア軍の地上部隊に見つかる可能性)が高く、不用意に地対空ミサイルを失うとウクライナの都市全てがマリウポリと同じ状況に直面することになるだろう。
果たしてマリウポリはどこまでロシア軍の抵抗を続けられるのか謎だが、包囲から解放される見込みのない抵抗は流石に厳しいかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:VoidWanderer / CC BY-SA 4.0
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少数の生きた防空システムが抑止力になってる以上リスクの高いこっちには回せないわな。
制空権が取れてるところではどんどん都市爆撃するところを見ると、ロシアは民間への無差別攻撃を手控えていたのではなく、単に攻撃に失敗していただけか。。
ドネツクがとられている以上、仮に通常防空システムを構築できたとしても各種火砲にさらされ破壊されるだけでしょうし、立地条件が厳しすぎますね……
アイアンドームでも仕入れるしかないね。
短SAMも対空レーダーもないと無誘導でも一方的だから1両完結の短距離防空が少数あれば次元違うが信頼性と継戦性だとガンとPSAMのコンビが優位だ
短SAMとてPSAMとでは保有弾数が桁違うし性能差で劣ると言えどPSAMさえなければロケット機銃掃射までしてくるから孤立中なら車載PSAMが欲しい所
そこで7km狙える車載化スターストリークなのだが投入はまだらしいな
PSAMなんて自衛隊ぐらいしか使ってないような呼び方紛らわしいから止めた方が良いよ。
>>TB2による航空支援(都市を砲撃する部隊への攻撃)を試みたものの「失敗に終わった」
やはりTB2による戦果は防空網の穴をついてのものなんだなと。
ドローンも既存の兵器システムとの組み合わせで初めて結果を出せる。
それと以前から東部のウクライナ軍はなぜ後退しないのだろうと思っていたけど、東部はロシアに航空優勢があり、後退中に撃破される危険性が高くて、やりたくても出来ないんだろうな。
— 個人的には、どう失敗だったかを知りたいと思いました。
— TB2が撃墜されたか、何らかの方法で無力化されたか、撃墜を恐れて近づけなかったか、攻撃したがジャミングなどで命中しなかったか、あたりでしょうか。
攻撃失敗の理由
1)地形的な問題
マリウポリ地上周辺の写真見る限り木の植生がそれ程でもない平原のようだし、センサー類が優秀なら探知に苦労する事はなさげ。
南側ルートはアゾフ海から入る事になるので探知されやすく攻撃ルートが制限されている可能性。
2)航空機の運用がしやすい
クラスノダールツェントラルニー空軍基地からの航空機支援の可能性、マリウポリまで300km圏内だし。ここにきて初めて?キンジャール使っての攻撃している以上は最新兵器使用にためらいは無くなったかもしれないのでSu-57で撃退もあり得る話。
3)コントロール部分を何とかした
地上管制ステーションの破壊もしくは妨害に成功した。
頭を押さえたうえで低空に追い込んだ航空機ならMANPADSで対抗可能だけどMANPADSが届かない高度を自由に行動されると抵抗できない、だから防空システムが稼働している都市では露空軍が自由に行動できていない
露軍の防空システムが展開し露空軍が活動が活発なエリアへのTB2による攻撃は困難(っぽい)
なんというかあれこれ予想していた推測の答え合わせが出来てすっきりした感がある(もちろんこれが完璧な正解とは言わないが)
逆に言えば露空軍が活発に活動できない地域ではやはり今も防空システムがしっかり機能しており露軍の発表は嘘
もし仮に防空システムの提供が実現すればMANPADSと合わせて露軍に大きな抵抗力になりそうだね
マリウポリを救うには、まずはヴォルノヴァーハで地上決戦か、これが戦局の転換になるかも知れない
戦略的には放棄しても良いのかも知れないが、すでに国民戦争の体になっている以上、同胞を見棄てるのは国民の戦意をそぐ
難しい判断になるかも
マリウポリが落ちると、その分の兵力が転用されますからね……
冷酷な判断をすれば、マリウポリが包囲下で粘ってくれている状態がベターというのがなんとも……
レニングラードじみてきましたね。
PSAMの射程外というと、9M38なら高度3500mより上ならSu34だろうがTu95だろうが無抵抗で爆撃できる訳ですね。余裕を持たせてたとして高度4kmからの爆撃ですか…。
ロシア空軍は戦闘機用の精密誘導兵器の在庫を温存していて無誘導爆弾使っているという話がありましたが、無誘導爆弾を高度4kmから落としたら2,000lbクラスでもなかなか当たらないですよね…。効果を出そうと思ったらそれこそ、同じ場所を繰り返し繰り返し、大量の爆弾で耕していくしかないですが、そうなら付随被害は増える一方だなぁ。費用対効果で言ったら黒海洋上から空軍の長距離巡航ミサイルや海軍の艦砲射撃で区画ごと吹っ飛ばすのと大差無さそうですが、都市に完全に人が残っているというのが何とも。
重箱の隅をつつくような指摘になってなって悪いけれども、9M38だと9K37 Buk(SA-11)用のミサイルになっちゃうぞ。正に今のマリウポリが欲しがっている物だ
9K38 Igla(SA-18)のことですね
これは失礼
温存しているというか誘導爆弾が無誘導より3倍高いとかあるし、ソ連時代の在庫もかなりあるって話で純粋に在庫が足りてなくて過去資産の有効活用(今回に関しては出来ているとは言わない)をしているだけでは?一応シリアでは誘導弾は使うけど無誘導使用率は高いというデータは出ている。
どこまで信じて良いか分からないし、どんな状況下で性能を発揮出来るかも分からないけど。Su-34の照準は優秀で無誘導でもCEPは誘導弾に近い物があるらしいので、無誘導使っているんじゃ無いかと思ってるんだけどな。
S-300の防空網の切れ目だった以上、ウクライナ軍は当初マリウポリは限界一杯迄持久してから放棄って作戦だったと思うのだけど、ロシア軍に取っては「自軍の勢力圏であるウクライナ東部からクリミア方面への連絡路が打通出来る」「マリウポリを制圧すれば、攻略に当たっていた部隊で新たな攻勢(クリミア方面から北上して首都キエフを脅かすとか)が出来る」と言うメリットが有るから、ここからロシア軍が本領発揮して戦局を大逆転する事が…出来るのかなあ?(弱気)
マリウポリに対する補給は、どんなルートを使っているのだろう。
包囲下でも成功させたことがある、と記事があったと思う。
ひょっとして海かな。それとも、ヘリコプターによる強行輸送かな。
今回求められているのは、少なくとも、スターストリークSAMとAEWのデータをもらえる受信機でしょう。
これだけあれば、スティンガーSAMと合わせて、敵機を5000m上空に追いやることができますね。
実際のところ、どのように補給をしているのだろう。
東欧諸国が以前使っていたソビエト製対空兵器で稼働状態にあるならば供与してほしい所ですが、
MiG-29の件と同じ扱いになるのでしょうね・・・
供与された所で、マリウポリに運び込む手段が無い……
キエフやウクライナ自体の抗戦継続には役立ちますがね
ザポリージャ方面にS-300やBukで防空網を構築し、その傘の元でマリウポリ救援を行えるといいんですが。
数日前の時点での戦闘機・爆撃機の稼働機が80機前後の様なので、戦闘機も余裕無いだろうし、ヘルソン方面もなんとかしたいだろうし、悩ましいですね。
過去のウクライナ軍の広報を見ていたら、開戦間もない頃に支援物資としてAAMを受け取ったとありましたので、戦闘機部隊の弾薬はもう少し保つと思いますが。