ウクライナ戦況

現時点でロシア軍のヘルソン撤退はない、新たな部隊を配備して防衛を強化

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将は24日、現時点でロシア軍のヘルソン撤退はないと断言し「ノーバ・カホフカの水力発電所をウクライナ軍が抑えた段階で撤退を検討し始めるだろう」と述べた。

参考:Кирило Буданов: Коли повернемо Крим, Кримський міст перестане існувати

ウクライナ軍情報部の見解なので全てが真実とは思わないが、ロシア軍にヘルソン撤退を決断させるにはもうひと押し必要

ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将は24日、メディアの取材に応じて戦況の見通しを明かしたが、ヘルソンからの撤退は時期尚早で「ロシア軍は撤退するのではなく新たな部隊をそこに配備して防衛の準備を進めている」と明かした。

出典:МВС України

ロシア軍の戦術変更は何を狙っているのか?
以前のロシア軍は主に軍事施設を優先して民間施設への攻撃は比較的少なかったが、現在の攻撃は民間施設だけを攻撃しており、この戦術変更の最優先目的はウクライナにパニック、恐怖、将来への不安をまき散らすことでテロ攻撃そのものだ。

具体的にはウクライナのエネルギーインフラに深刻な損害を与え、欧州への電力輸出を停止させ経済的にも打撃を与えようとしている。ロシア人はウクライナに暗闇と寒い冬をもたらすことを夢見ているが、これは絶対に実現しない。どうか私を言葉を信じてほしい。

出典:dalکاخ/CC BY-SA 4.0

ロシア軍はインフラ攻撃に使用しているイラン製無人機を何機保有しているのか?
ロシアは途切れなく発注を行い、イランも次々と出荷(1ロットは300機)しているので質問に回答するのは不可能だが、22日時点でロシア軍は330機のShahed-136を使用、私の記憶が正しいなら222機がウクライナ軍によって撃墜された。

現在使用されているShahed-136は2回目に出荷された分で、ロシアは幾つかの無人機を計1,700機ほど発注しているが製造する必要があるので出荷されるまで時間がかかる。

ウクライナに対する攻撃の激しさをスロビキン上級大将と関連付ける報道が多い
彼は戦争のやり方の根本は何も変えていない。もし侵攻直後に同じことをやっていれば違った結果になっていたかもしれないが、いまさら残忍さを強調する攻撃を増やしても手遅れだ。もう多くの人々が死に慣れてしまったので何も驚かないし、心理的な効果も期待できないだろう。

出典:Google Map 南部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

スロビキン上級大将は最近「ヘルソンで難しい決断を下すかもしれない」と語ったが?
ロシア軍がヘルソンから撤退するかもしれないというのは偽旗作戦の一貫で、住民避難に関する発表やニュースは「我々は住民の命を大切にしている」というプロパガンダに過ぎない。ロシア軍は撤退するのではなく新たな部隊をそこに配備して防衛の準備を進めている。

現時点でロシア軍がヘルソンから撤退する兆候はないが、ノーバ・カホフカの水力発電所をウクライナ軍が押さえればロシア軍もヘルソンから撤退を検討するだろう。ロシア軍はヘルソンから逃げる準備も進めているが、まだ撤退を開始する時期ではない。

ヘルソンは年内に奪回できると思うか?
そうなると思っている。

出典:Министерство обороны Республики Беларусь

参謀本部はベラルーシからの攻撃リスクを警戒している。ロシアはヴォルィーニに(ウクライナ西部地域)向かうのか?
報道される情報と事実には違いがあり、ロシアがベラルーシに移動させた戦力は約3,200人に過ぎず、攻撃グループが形成される気配もない。そもそもベラルーシには重装備が殆ど送られていないため物理的に戦うことは不可能だ。

追記:ヘルソン当局は領土防衛部隊の創設を発表、ドニエプル川南岸に避難しなかった男性は自由意思でヘルソン防衛部隊に参加することが出来るらしい。

関連記事:ロシア軍がヘルソン州の拠点を放棄して後退、噂されていた撤退の予兆?
関連記事:ウクライナ国防省、この戦争のターニングポイントは8月で年内に終結する

 

※アイキャッチ画像の出典:Головне управління розвідки Міністерства оборони України キリロ・ブダノフ准将

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コメント

    • らっしー
    • 2022年 10月 24日

    自由意志とは。
    何となく街を離れたくないだけで、巻き添えで死ぬならそれまでと、
    運良く生き残れば解放軍の到来を出迎えるつもりだった爺さんとかまで、
    「よく残った、勇敢で熱烈なる愛国者同士よ!!」とか言われて生肉のカカシにされそう…。
    去るも地獄、残るも地獄。
    徹底的に自分に都合のいい解釈しかしないサイコパス軍相手に、
    自分や家族、隣人を守るのにどれだけの手札があるか考えると頭が痛いな。

    しかしこの御仁の示した数の信憑性も興味深いけど、
    こっちが本当なら報道がロシアの情報戦に踊らされたって事になるのか。
    或いはニセ情報の拡散元や拡散要員を特定出来たから、あれは嘘だよーって言い始めたのかな?

    9
    • AAA
    • 2022年 10月 24日

    イスラエルがイランのドローン工場を爆撃してくれたようだ
    アイアンドームよりありがてえぜ
    なんとかドローン攻撃がこれで沈静化に向かえば良いんだが

    51
      • 匿名
      • 2022年 10月 24日

      ここでも議論された有効なドローン対策について、イスラエルの回答が得られましたね。
      当事国の防衛能力を強化するより、供給元の製造能力を潰してしまえば良いと。
      可能条件は限定的ですけど、情勢的に実行可能な国とパイプを持つ事も重要ですね。

      38
        • hoge
        • 2022年 10月 25日

        防衛側は無尽蔵にリソースが必要で全く割に合わないので、供給元を絶つのが一番ですね。

        12
      • 1.44スキー
      • 2022年 10月 24日

      成る程、アイアンドームは提供出来んけど、こっちはこっちでやれることやってやるよ。
      と言った感じで供給元潰してくれたのか。

      イランもこれについて何かイスラエルに対して行動起こすのかな?

      10
      • 無名のミリオタ
      • 2022年 10月 24日

      そういや西側にもイスラエルとか言う色々キマってる国有りましたねぇ…

      6
      • ななし
      • 2022年 10月 25日

      アイアンドームの提供はウクライナにだけメリットがある
      イスラエルによるイランのドローン工場爆撃は、イスラエル・ウクライナ双方にメリットがある

      14
    • ingsoc
    • 2022年 10月 24日

    自由意志(強制)

    20
      • くらうん
      • 2022年 10月 24日

      特攻隊も自由意志でしたね。

      5
      • kitty
      • 2022年 10月 25日

      イッチャン良いのは、志願して武装を受領して、イザ戦闘が始まったら、督戦隊とか政治将校をぶち殺して、後方攪乱・ウクライナ軍に投降でしょうねえ。

      1
    • G
    • 2022年 10月 24日

    >追記:ヘルソン当局は領土防衛部隊の創設を発表、ドニエプル川南岸に避難しなかった男性は自由意思でヘルソン防衛部隊に参加することが出来るらしい。

    この噂と先日のロシア軍ヘルソン防衛部隊が私服戦闘するという噂、今までの4都市の市民投票によるロシア併合()を併せて考えますと、ロシアは「現地のウクライナ市民はウクライナからの離脱・ロシアへの併合を望んでいる」という映像を撮り、作り出そうとしているその風潮を強化したいと考えているのでしょうか

    10
    • xyz
    • 2022年 10月 24日

    ウクライナが汚い核を使うだとか、ヘルソン防衛部隊(笑)とか
    分かってはいるけど息吐くように虚言を撒き散らす。
    そして始末に負えんのは露助の中では事実になってるだよな。

    11
    • TKT
    • 2022年 10月 24日

    冷静に考えれば、だいたいこのブダノフ准将のような状況判断になるでしょう。

    先の話はともかく、現時点ではロシア軍はドニエプル川の西岸から退却する準備などしておらず、住民は確かに東岸に避難させているが、ノバカホフカのダムの橋も埋立てた場所を通っての迂回が可能であり、渡し船を使った補給が可能であり、クリミア大橋も応急修理により通行可能であり、ドニエプル川西岸のロシア兵が孤立して、戦意喪失し、集団投降するということも大規模には起きておらず、むしろ水路を障害として使う要塞化が進められているというというような

    スバトボや、クレミンナからも現時点でロシア軍が退却するというような話はなく、バフムトやソレダルにはロシア軍の攻撃が続いています。

    330機のシャへド-136のうち、222機が撃墜されたということは、108機が撃墜できなかった、あるいは上手く目標に命中したということかもしれません。

    ベラルーシ軍がロシア軍と共に西ウクライナに侵攻する可能性も確かに少ないかもしれません。

    一方で、ロシア軍の攻撃が今まで軍事施設優先で、民間施設への攻撃が少なかったというブダノフ准将の話は、これまでのウクライナ政府の発表や、西側の報道とは相当に違う話ですが、これはウクライナ軍特殊部隊や、工作員によるロシア国内での破壊活動が増えた影響というような意味でしょうか?

      • 匿名11号
      • 2022年 10月 24日

      単に程度の差というだけでは。
      そして、まともな軍隊に対する交戦能力が低下していっているので、弱いところに攻撃対象を移しているだけでしょう、ロシアは。

      9
    • 七市
    • 2022年 10月 24日

    記者:ウクライナに対する核の脅威は現実のものですか?
    ブダノフ少将:私たちの隣人は少し病気で核兵器を持っているので、それは常に現実です.
    しかし、その脅威は、3 か月前、8 か月前、2 年前と同じです。同じです。

    ブダノフ少将、ローマ法王を引っ張り出して捕虜交換を交渉したり、黒い噂もあるけどやり手ですね。ザポリージャ原発の危険な状況でも動じてない。空元気かもしれんけど腹をくくってる。
    ホント、戦後にこの人の回顧録が出たら読みたいね。

    8
    • 投石機
    • 2022年 10月 24日

    >ノーバ・カホフカの水力発電所をウクライナ軍が押さえればロシア軍もヘルソンから撤退を検討するだろう

    水力発電所奪還の戦闘の最中ダムをロシア軍に爆破され、ウクライナ軍の仕業とされそうですね
    そうして、冷却水を失うザポリージャ原発のメルトダウンに伴う強制停戦を企んでいたりとか..
    プーチンにとっては、戦術核使うよりはマシでしょうし

    4
      • k
      • 2022年 10月 25日

      >冷却水を失うザポリージャ原発のメルトダウンに伴う強制停戦を企んでいたりとか

      余計にロシアへの報復で燃え上がりそうだけどね…ウクライナに限らず周辺国全てが…
      被害は他の欧州諸国にも飛びかねないし
      南部どころかクリミアまで汚染され、本末転倒となる。
      そして誰がこの状況でウクライナの犯行とか信じるのか。

      本当に実行したら愚かすぎるし、クリミアの維持を諦めた訳ではないなら
      あくまで牽制でたぶんやらないとは思うなぁ
      まぁプーチンの事だし解らんけど…

      1
    • NHG
    • 2022年 10月 24日

    川の東で防御態勢を整えて待ち構えているならやはりサボリージャあたりから黒海に向かって打通作戦やってほしいな
    故事にある「絡まった糸をほどくためには糸を引っ張らず元を断つ」のが得策に思えるけど現実には無理かな

    • 58式素人
    • 2022年 10月 25日

    >サボリージャあたりから黒海に向かって打通作戦やってほしいな
    同意します。
    おそらく、ウクライナ軍もそう思っているのでは。
    まだ、戦力が不足のようですが。
    クリミア大橋をピンポイントで破壊できる精密誘導兵器も
    まだ持っていないようですし。
    先日の落橋は船に爆発物を仕込んで行ったみたいですし。

    2
    • (=^・^=)
    • 2022年 10月 25日

    ウクライナ軍と米軍との机上演習でヘルソン奪還は困難だと結論されたんだからウクライナもゴリ押しで獲りにいかないしロシア軍も放棄する理由はないでしょ。
    空挺や海軍歩兵の精鋭を撤退させるのは彼らは攻撃用の殴り込み部隊であり防御戦闘に使う意味ないという軍事的合理性による判断。
    陣地に籠って防御戦やるなら2線級部隊や地元徴用民兵でも数が揃ってればいいので。

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