欧州関連

アルメニアの肩をもつロシアに怒ったアゼルバイジャン、ウクライナ侵攻を正面から批判

アルメニアの肩をもつ露国営メディアの放送にアゼルバイジャン側が激怒、これまで特別軍事作戦を正面から批判してこなかったアゼルバイジャン国営メディアが「ロシアのウクライナ侵攻は侵略戦争で国際法に著しく違反している」とやり返した。

参考:AzTV ответил «Первому каналу»: Война, которую Россия ведет в Украине – это насилие – ВИДЕО

フランスのマクロン大統領もロシアとアゼルバイジャンを批判、和平交渉の枠組みは破綻しそうな勢いだ

アゼルバイジャンのアリエフ大統領はロシアによるドネツクとルガンスクの独立承認を支持しておらず、逆に「ウクライナの領土保全を支持する」と表明して石油製品の提供などを行ってきたが、特別軍事作戦を正面から非難してこなかっためメディアもこれに追従する報道を守ってきた。

しかし露国営メディアのRussia1はアルメニアの主張を重点を置いた番組を放送、これに怒ったアゼルバイジャンの国営メディアも「ロシアがウクライナでやっていることは侵略戦争で国際法に著しく違反している」とやり返し注目を集めている。

国営メディア「AzTV」が放送するHəftəの司会者(AzTVのママドフ会長)は「Russia1が国家のプロパガンダを拡散させるツールなのは明白で、我が国に対する露骨な挑発と侮辱を行ったRussia1の放送はロシア政府の意思を我々に伝えるためのものだろう」と前置きした上で「ロシアがウクライナでやっていることは侵略戦争で主権と領土の一体性に対する攻撃だ。ウクライナ領4州のロシア領併合は国際法に著しく違反しており、民間人を標的にした爆撃も戦時国際法に違反する戦争犯罪だ」と糾弾した。

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

因みにアルメニアとアゼルバイジャンの和平協定を仲介するフランスのマクロン大統領は「ロシアが意図的にコーカサスの不安定化を引き起こそうとしている」「アゼルバイジャンが残忍さを伴う恐ろしい戦争を引き起こしたが、我々はアルメニアを見捨てない」と発言してロシアとアゼルバイジャンから反発を買っており、和平交渉の枠組みは破綻しそうな勢いだ。

※残忍さを伴う恐ろしい戦争とは「アゼルバイジャン軍が捕虜状態のアルメニア人兵士を殺害した動画」が流出した9月の武力衝突を指しているが、アルメニア軍もアゼルバイジャン人兵士にガソリンをかけて燃やしたり、足にロープを括り付け引きずり回す動画が流出しているため、残忍さという点においてアゼルバイジャン軍とアルメニア軍に大きな差がないと管理人は思っている。

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※アイキャッチ画像の出典:AzTV

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コメント

    • 南蛮一の知恵者 朶思大王
    • 2022年 10月 25日

    アルメニアは欧米のロマン枠だから(汗)
    ペロシ議長もお墨付きをくれたから(開き直り)
    何をやっても許されるのはイスラエルと重なるが、この件ではイラン絡みで利害相反で、果たしてどうなることか…

    12
    • 折口
    • 2022年 10月 25日

    武力による現状変更を認めない国際社会の立場から言えば戦端を開いたアゼルバイジャン側に一段の非があるとは思いますが、戦争の調停をする立場に過ぎないマクロン氏が道義的な問題に触れたのであればあまり関心しませんよね。国連の停戦監視団が現地入りしているような状況でもなく、戦勝国と敗戦国の純粋な二者間合意なんですから、第三国が結果にケチつけたらそりゃあ反発あるでしょう。

    フランスが本心からこの戦争の結果に不満や不道徳を見出しているなら、常任理事国として国連安保理にはかればいいんですよ。PKOとまでは行かずともアゼルバイジャンが獲得した地域に人権監視団体を常駐させるとか、アルメニア系の自治を認めさせるよう要請するとか色々アプローチはある訳ですが、結局何もしてないですからね。

    36
      • STIH
      • 2022年 10月 25日

      ソ連崩壊直後くらいにアルメニアの方から先に殴りかかってきたんだから、アゼルバイジャンにだけ一段の非があるというのは第三者的にはフェアじゃないと思います。そんなこと言ったらナゴルノはアゼルバイジャン領という裁定を下したソ連に責任があるのかもしれませんが。

      23
        • 折口
        • 2022年 10月 25日

        この手の問題は「今起こってる問題より過去の経緯」まで遡ったらキリないですよ。過去のナゴルノ・カラバフ戦争やソ連時代の国境策定と民族宗教問題、オスマン帝国時代のアルメニア人虐殺、それ以前のイスラムと正教の対立やオスマンとロシア帝国の戦争でもあの地域は最前線だったんですから、掘り出せばいくらでも自陣が優位に立つ悲劇的な物証が出てきますよ。

        歴史を恣意的に掘り返して自分が一方的に優位になる主張を第三者に発信する行為がいかに無意味で非生産的かは東アジア各国が執心する歴史戦の展開を見ればわかることでしょう。「今回はXXが悪いけどOOは昔もっと悪かったから」がまかり通るようでは、何でも日本のせいにする韓国政府と同じですからね。
        部外者の第三国としては誰か一人に熱心に耳を傾けたりどちらかに肩入れするような事はすべきではないんですよ。

        10
          • STIH
          • 2022年 10月 25日

          そもそも30年前のアルメニアの武力行使から停戦状態だったというだけで依然として両国関係は戦争状態ですし、日本含め世界的にはソ連から離脱した際のアゼルバイジャンの領域に対し、アルメニアの占拠状態と認識しているわけですから、それを中韓の歴史戦と同じ不毛な争いと言うのは乱暴かと思います。
          結局のところ歴史的にそういう土地だという話であって、今この一瞬だけを切り取ってアゼルに非があるというのは、それこそ第三国としてはフェアじゃないと思います。
          フランスが中途半端に首を突っ込んで、さらにアルメニアの肩を持つのは、馬鹿じゃないかとも思いますが。

          8
    • 名無し
    • 2022年 10月 25日

    NATOは一致団結してアゼルバイジャンを支持して、ロシアの手先であるアルメニアを追い詰めるべきですな。

    3
      • たま
      • 2022年 10月 25日

      アゼルバイジャンのケツ持ちはトルコだよな。ロシアとやり合ったら手を引くんじゃないか?

      1
    • 白髪鬼
    • 2022年 10月 25日

    いずれも旧ソ連とい事で同じ穴の狢感がぱない。
    バルト三国の外交官がロシア人の異常性を指摘しているけど、日本におけるヴェトナム人の犯罪を見ていると、少なからずコミュニズムと言うものが人としての倫理感覚を毀損しているのではないかと思わずにはいられない。
    一神教共通の排他的な部分には問題があるにしろ、人としての最低限の倫理観を与えている点は否定できない。そもそもキリスト教やイスラム教にしても人としての倫理観をもたらすために、神と言う絶対者を持ち出したとも見れる。しかしコミュニズムは宗教を毒として排斥してしまったが故に合理性のみが暴走し、人としての基本的倫理観の欠如を生んでいる様な気がします。
    ちなみにロシア正教会は王権を正当化していく過程で権力の付属物化していたし、ソ連崩壊後もその体質にはなんら変化が無いのでしょうね。

    6
      • モンパ
      • 2022年 10月 25日

      アブラハムの三人の息子と言われるユダヤ教、キリスト教、イスラム教が
      世界に争いを起こしていることは間違いない。
      カトリックも過去、権力を操っている時代があった。
      今は金持ち喧嘩せずという感じだけど。
      ロシア正教会は過去も現在も、権力の付属物と言うより権力を動かしているように見える。

      5
      • hiroさん
      • 2022年 10月 25日

      なんか無理やり共産主義を原因を求めている印象。
      ISのやっでいる事や、民主主義を標榜しながら白人が有色人種に仕出かした事は山程ある。

      4
      • おにぎり
      • 2022年 10月 27日

      ベトナムは若者向けのオシャレな服屋の店内に仏壇があるくらいには宗教に熱心な国ですよ。

      2
    • nachteule
    • 2022年 10月 25日

     プーチン政権自体アゼルバイジャンとの関係強化をしようとしていてアルメニアと距離を置いていたけどアゼルバイジャンの攻撃により方向転換と自国に武器を輸出してくれるイラン側にも配慮した結果なのかね。
     アルメニア側がどう考えているかは分からないけどロシア戦力低下と自国に擦り寄ってくる姿を見て、アルメニア支持って勘違いでもしてたのかね。

    • 半蔵
    • 2022年 10月 25日

    当面の協力を得たくてイランの顔色うかがいすると普通にアゼルバイジャンは怒るよな。これ何気に大きい話になると思う。

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