ウクライナ戦況

スロバキア、9月以降にMiG-29をウクライナに引き渡す可能性が高い

スロバキアのナド国防相は「MiG-29がウクライナに引き渡されたという情報はフェイクニュースだ」と主張したが、同機の8月末退役を匂わせているためMiG-29を「9月以降」にウクライナへ提供する可能性が高い。

参考:Jaro Naď – minister obrany SR, OĽANO

ここまで状況証拠を積み上げれは、もうスロバキアのMiG-29は「ウクライナに提供される」と断言してもいいのかもしれない

スロバキアのナド国防相は14日、Facebookに「スロバキア空軍のMiG-29がウクライナに引き渡されたという情報はフェイクニュースだ」と投稿して注目を集めているが、同時に「空軍のMiG-29は8月末まで我が国の領空を守る予定で、8月27日に開催されるSIAF(スロバキア航空ショー)で正式に分かれを告げる姿を見ることができる」と明かしており、8月以降の領空保護については「同盟国やパートナーと協議している最中だ」と付け加えている。

出典:Rob Schleiffert/CC BY-SA 2.0

勘がいい方ならナド国防相が何を言いたいのかもうお分かりだろう。

スロバキアはMiG-29の後継機としてF-16Vを世界で2番目(2018年12月)に発注、2023年に引き渡しを受ける予定だったのだがCOVID‑19の影響でF-16Vの製造スケジュールは大幅に遅れており、米国政府は正式に「同機の引き渡しが予定よりも1年遅い2024年になる」とスロバキアに通知している。

出典:Lockheed Martin F-16V

つまりスロバキア空軍はMiG-29の退役を2024年まで延長する必要があるのに、ナド国防相はFacebookの投稿の中で「8月末でMiG-29が退役する」と匂わせており、7月にヘゲル首相が「9月からスロバキア領空の保護にチェコ空軍が協力してくれる」と発言したことを合わせると「MiG-29のウクライナ提供が9月以降に行われる可能性が高い」という意味だ。

ナド国防相は8月以降の領空保護について「同盟国やパートナーと協議している最中だ」と説明しているが、恐らく9月からの領空保護に目処がついているのだろう。

ここまで状況証拠を積み上げれは「もうスロバキアのMiG-29はウクライナに提供される」と断言してもいいのかもしれない。

関連記事:スロバキア空軍のMiG-29をウクライナに提供、実現は9月頃か
関連記事:一向に実現しないウクライナへの戦闘機提供、何処に問題があるのか?
関連記事:ポーランド、スロバキアがウクライナにMiG-29を送れば領空保護を提供
関連記事:米国、スロバキアにF-16Vの引き渡しが1年遅れて2024年になると通知

 

※アイキャッチ画像の出典:Conflicts.pl

日本政府、次期戦闘機輸出を視野に防衛装備移転三原則の見直しを検討前のページ

ウクライナ軍がアントノフスキー橋を再攻撃、戦闘機の援護下で空爆も実施次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    要塞で時間を稼いで2025年に備える、上手く行くかどうかは動員次第

    ウクライナメディアのRBC Ukraineは「まもなくロシア軍の攻勢は…

  2. ウクライナ戦況

    侵攻886日目、ドネツク州ポクロウシク方面の状況悪化が止まらない

    ウクライナ人が運営するDEEP STATEとロシア人ミルブロガーが運営…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍は敵撃退を、ロシア人はクラスノホリフカの防衛突破を主張

    DEEP STATEは8日「ロシア軍がクラスノホリフカの東市内に侵入し…

  4. ウクライナ戦況

    セベロドネツクで戦うウクライナ軍、最後の橋を失い補給路を失う

    セベロドネツクとリシチャンシクと繋ぐ「最後の橋」をロシア軍が破壊、ウク…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍は後退の連続、ロシア軍はクピャンスク、リマン、シヴェルシク、バフムートで前進

    ウクライナ軍のシルシキー大将は27日「東部戦線は依然として厳しい。敵は…

  6. ウクライナ戦況

    侵攻519日目、ウクライナ軍がザポリージャと南ドネツクで大きな前進

    ウクライナ軍がザポリージャ州オレホボ周辺のロボーティネ付近で仕掛けた攻…

コメント

    • kankan
    • 2022年 8月 14日

    今まで何度も何度もウクライナにMiG-29が引き渡される、引き渡されたというニュースを見てきて
    その度にやっぱりダメでした、フェイクニュースでしたというのを繰り返してきた
    果たして今度こそ何度目かの正直になるのだろうか?

    7
      • ???
      • 2022年 8月 15日

      ???:「また今度も駄目だったよ…」

    • たまねぎ
    • 2022年 8月 14日

    戦闘機に関しては、前々から思っているけど公表しないだけでバンバン提供しているんじゃないだろうか。
    さすがに西側装備だとバレるし、機体丸ごとだとロシアに口実与えるから
    旧ソ連装備を自動車のノックダウンパーツみたいにばらばらにしてから送ってウクライナ内で組立・出撃しているのでは。
    ウクライナ空軍がいまだ航空戦力を保持しているのは支援がないと不可能ではないかと。

    16
      • 月虹
      • 2022年 8月 16日

      2013年7月に中米パナマで拿捕された北朝鮮の貨物船からコンテナに収められたミグ21や防空ミサイル・システムが見つかり国連の安保理決議違反(武器禁輸措置)で大騒ぎになったことがありました。この時、ミグ21は機体2機分とエンジン15基が見つかり、エンジンはコンテナの底から50センチ浮かして固定している一方で機体は下にタイヤが敷かれただけで海が荒れれば損傷する可能性があった。専門家は「北朝鮮で配備済みのミグ21のジェットエンジンの取り換えが主目的で、機体は分解して老朽化したり損傷したりした箇所の修理に使うつもりだったのだろう」と見ている。

      ポーランド-ウクライナの間ではロシア軍による空襲を避けながら陸路を使って重トレーラーによる戦闘車両(戦車、装甲車)の輸送などが活発に行われています。輸送中は基本的にシートを掛けているのと輸送日程も非公表(空襲リスクの低い夜間が多いらしいが軍事マニアが撮影しているのはたまたまで詳細は知らされていない。撮影していると場合によっては警察や軍人に取り締まられる場合があるとか)なので車列の中に戦闘機がパーツ単位で紛れ込んでいてもおかしくないと思います。

    • 鳥刺
    • 2022年 8月 15日

    スロバキア航空ショーでフライパスしたその足でリヴィウ行きとかでしたら映画的ですが(笑)まあ実現したら「退役済のスクラップとして業者(ウ○ラ○ナ)に売却しました」ですかね。

    廃用兵器掻き集めて戦った第一次中東戦争のイスラエルのような。

    4
      • ミリオタの猫(ロシア軍は強い…と思っていた時期が私にもありました)
      • 2022年 8月 15日

      退役済みのスクラップとして〇ク〇イ〇(爆)へ売却…ありそうですね。
      或いは「某国制作の映画『キーウの幽霊』の制作会社に売却しました。機体は再生整備の上でロケ地(ウ〇ラ〇ナ)へ向かう予定です」かも知れないですね(第一次中東戦争時、イスラエルがこの方法で英国からボーファイター双発戦闘機5機を入手している)。

      2
        • daishi
        • 2022年 8月 15日

        マッコイじいさんが絡んでるとしか思えない手段を使いそうですよね。
        もしくはガンダムUCのシナンジュみたいに輸送中に強奪と見せかけて譲渡するとか、手口は色々ありそうで興味深いです。

    • ヘンリー八世
    • 2022年 8月 15日

    何故スロバキアが migを提供することを否定するのか理解に苦しむ。プーチンは himarsを提供したときに「何も新しいものではない」と言って見過ごしたのだから、今回の判断にもロシアは過剰反応しないだろうに。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP