ロシア軍のウクライナに対するミサイル攻撃(Shahed-136を含む)は7月も続いているものの攻撃規模は縮小傾向で、特筆すべきは極超音速ミサイル、弾道ミサイル、巡航ミサイル、S-300による攻撃が大幅に減少している点だ。
6月は各種ミサイルを発射を1日平均「6.4発」も発射していたものの7月は「0.7発(15日時点の数値)」まで減少
ロシア軍は5月と6月にShahed-136×622発+各種ミサイル×379発=計1,001発も撃ち込んだが、7月も都市に対する空からの攻撃が続いており、15日までにShahed-136×130発+各種ミサイル×22発=計152発をウクライナに撃ち込んでいる。
ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃(無人機を含む) | ||
2022.09 | Shahed-136×26機(24機) 各種ミサイル×5発(4発) | 09月の総発射数×31 09月の総撃墜数×28 |
2022.10 | Shahed-136×244機(236機) 各種ミサイル×230発(149発) | 10月の総発射数×474 10月の総撃墜数×385 |
2022.11 | Shahed-136×63機(62機) 各種ミサイル×184発(134発) | 11月の総発射数×247 11月の総撃墜数×196 |
2022.12 | Shahed-136×99機(94機) 各種ミサイル×261発(186発) | 12月の総発射数×360 12月の総撃墜数×280 |
2023.01 | Shahed-136×108機(108機) 各種ミサイル×96発(75発) | 01月の総発射数×204 01月の総撃墜数×183 |
2023.02 | Shahed-136×45機(40機) 各種ミサイル×142発(79発) | 02月の総発射数×187 02月の総撃墜数×119 |
2023.03 | Shahed-136×89機(71機) 各種ミサイル×79発(38発) | 03月の総発射数×168 03月の総撃墜数×109 |
2023.04 | Shahed-136×71機(60機) 各種ミサイル×23発(21発) | 04月の総発射数×94 04月の総撃墜数×81 |
2023.05 | Shahed-136×408機(369機) 各種ミサイル×185発(154発) | 05月の総発射数×593 05月の総撃墜数×523 |
2023.06 | Shahed-136×214機(169機) 各種ミサイル×194発(132発) | 06月の総発射数×408 06月の総撃墜数×314 |
2023.07 | ||
02 | Shahed-136×8(8)、Kalibr×3(3) | 発射数×11 撃墜数×11 |
03 | Shahed-136×17(13)、スームィの建造物にShahed-136が着弾 | 発射数×17 撃墜数×13 |
04 | イスカンデルKがハルキウ州のペルボマイスキーに着弾して31人が負傷 | 発射数×1 撃墜数×1 |
06 | Kalibr×10(7)、ウクライナ西部のリヴィウに巡航ミサイルが着弾して41人が死傷した | 発射数×10 撃墜数×7 |
07 | Shahed-136×18(12)、ドニプロペトロウシク州にShahed-136の残骸が落下して2人が死亡 | 発射数×18 撃墜数×12 |
08 | Shahed-136×?(5)、ウクライナ空軍は発射されたShahed-136の総数を明かしておらず、一部のShahed-136を迎撃出来なかったと述べている。 | 発射数×ー 撃墜数×5 |
10 | 空軍の公式発表はないが、ムィコラーイウ当局は10日午前1時頃にイスカンデルMで攻撃を受けたと発表 | 発射数×1 撃墜数×0 |
11 | Shahed-136×28(26)、キーウ州で撃墜したShahed-136の残骸が落下してビル1棟と民家12棟が損傷、オデーサ州の港湾施設に撃ち漏らした2機のShahed-136が着弾した。 | 発射数×28 撃墜数×26 |
12 | Shahed-136×15(11) | 発射数×15 撃墜数×11 |
13 | Shahed-136×20(20)、Kalibr×2(2)、イスカンデルM×1(0) | 発射数×23 撃墜数×22 |
14 | Shahed-136×17(16)、ドニプロペトロウシク州にShahed-136が着弾 | 発射数×17 撃墜数×16 |
15 | Shahed-136×6(4) | 発射数×6 撃墜数×4 |
ロシア軍の総発射数:2,918発、ウクライナ軍の総迎撃数:2,347発 |
攻撃ペースは5月や6月とほぼ変わらないものの攻撃規模は縮小傾向(それでも月300発ペースなので過去月と比較すると多い方)で、特筆すべきは極超音速ミサイル、弾道ミサイル、巡航ミサイル、S-300による攻撃が大幅に減少している点だ。
6月は各種ミサイルを発射を1日平均「6.4発」も発射していたものの7月は「0.7発(15日時点の数値)」まで減少しており、ロシア軍のミサイル攻撃における特徴な変化と言える。
この変化が何を示唆しているのか今のところ謎だが、考えられるのはロシア軍はミサイル在庫を回復させるまで攻撃の主体をShahed-136に変更したという可能性で、この攻撃目的は軍事的に重要な施設やインフラを破壊ではなく「ウクライナ軍の防空システムに対する負荷=消耗」だろう。
要するに人口密集地の都市に向けてShahed-136を発射し、ウクライナ軍の防空システムに迎撃を強制している=迎撃弾の備蓄回復させる暇は与えないという意味だ。
それでも首都に対する極超音速ミサイル、弾道ミサイル、巡航ミサイルの攻撃が減少したため、パトリオットシステムによる迎撃回数も減っているはずで、この点はウクライナ軍や西側諸国にとって朗報と言える。
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※アイキャッチ画像の出典:Dmitry Terekhov/CC BY-SA 2.0
レーニンな共産党思考で考えれば6月に消費しなければならないミサイルUAVの「割り当て枠」があっただけではないでしょうか
※ミサイルUAVの生産都合とは別枠
ロシア軍の戦術変更か、撃ちたくても在庫逼迫で撃てないかでかなり違ってきますね。
後者だと制裁や財政面で回復が困難になっている事になりますから、朗報です。
ウクライナの反転攻勢が起きてる間は、部隊集積点とかの攻勢部隊の軍事後背アセットを攻撃するためにフルスペックのミサイル撃ってたが、
それが終わったので、今は安いシャヘドで都市部への攻撃を緩く行って、防空部隊を都市に張り付かさせるだけのフェーズに移ったってことでしょ。
これだけ攻撃に緩急付けられるの、意思決定能力がほんま凄い。
そうやって根拠のない想像だけで礼賛できるのがすごいわ
金がないだけでしょ。
対して豊かでもなかったのに大損するだけの新竜しちゃうから
本当にそんな迅速な意思決定が出来るならこれまでのロシア軍の醜態も、ましてや今この瞬間まで戦争も続いてないんだよなぁ
ご自慢の諜報組織から上がった情報を正しく判断・行動決定できていれば
そもそも戦争していなかったか、あんな中途半端な攻撃はしなかったですよね
嫌な情報が上がってきたら怒るプーチン、イエスマンだけで固めた側近
そして始まった戦争。喜劇なら滑稽で笑えますが…
もちろんロシア軍は痛いところ突いたり、すぐに立て直してきたりと舐められない相手ではありますけど、上層部の意思決定能力が凄いとはお世辞でも言えない
ロシアは半導体を第三国経由(中国と香港)で輸入し、ミサイルや戦車の生産体制を維持し、フル稼働で生産している。今の所ロシアのミサイルの生産が減っている兆候は見られないので、近く(遅くとも8月)始まる攻勢転移に備えてミサイルの在庫を貯めていると判断した方が良い。
ロシアの兵器生産の状況を考えると、今はミサイルの在庫を貯めているのだと言う点に付いては同意しますが、果たして今のロシア軍の状況で攻勢転移が出来るのかと言う疑問が有ります
単純に金がないだけだよ。
T-14も予算が取れなくて作れなかったし。
国家予算が韓国より10兆円も少ないんだから。
侵略なのにこんな全面戦争して金かかりすぎ。
経済の大半を米国の力に依存してる国と、米国の影響を極力排除しようとしてる国をドルベースで比較しても大した意味はないのでは?
アメリカの影響を排除しようとして、中国依存になってしまってますね。
資源はあっても、ハイテクや製造装置は海外依存なので意味があるのでは。
この世界には「ドル」でなければ買えないものがありまして、いくら「ドルに頼らない経済圏」を目指したところで、出来る事には限りがあるのですよ。
鎖国状態となって他国と一切かかわらないと言うのであれば、それでも誤魔化しが効くかもしれませんが、戦争と言う誤魔化しようのない他国との競争に晒されたら、「ドルに頼らない経済圏」など砂上の楼閣でしかありませんね。
中国の属国になるか
イランと北朝鮮と経済圏を組むか
さて どっちがいいでしょう?
今年6月、ロシアの石油産出量が減少し、それを値上げで補おうとしたところ、インドと中国が購入量を大幅に削減し、結果、ロシア財務省の石油ガス収入は47%も減少しました。
さらに7月11日には中国・インド相手に石油の販売を手掛けていたロシアの石油関連企業が破綻するなど、ロシアのエネルギー輸出事情は急速に悪化してます。
中国インドはあくまでも「ロシアが格安で売ってる」から購入したのであって、値上げされてまで購入してくれるような義理は持ち合わせていなかったのです。
>ロシアの石油産出量が減少し、それを値上げで補おうとした
これは因果関係が逆です。サウジもそうですが減産は原油の価格維持を期待しての行動です
「産出量が減ったので値上げ」ではなく「値上げするために産出量を減らした」です
実際、WTI先物は6月末の67ドルから75ドルに、ウラル原油の価格も60ドルを超えて制裁ライン越えになっています
通勤のガス代がキツイので、ロシアは7割引で中国や印度に石油を流してくれ!
そして割安なガソリンを、日本政府は輸入出来るようにしてくれ。
で、その値上げするために産出量を減らしたら、総売り上げが激減してロシアの収支が悪化してるわけですよね。
中国やインドからすれば値上がりした石油を買うメリットなんてないのですから、当然の結果だと思いますが。
それにしてもロシア産が相対的に格安であるにはかわりなくBRICSだけで経済圏を形成できることが証明された。
中国イラン北朝鮮などから継続的に支援を受けたロシアは鉄壁と化している。
ウクライナには支援してもリターンがない。
すでに倒産寸前の破綻国家はビジネスにならない。
>イラン北朝鮮などから継続的に支援を受けた
これって笑うところですかね?
今のうちに対UAV用の機関砲を手厚くしたいところ。
本邦も、早く装輪対空車両を開発したいですね。
遅れまくってるし。
理想的なモデルはパンツィーリですね。ドローンやヘリと巡航ミサイルに両方対応できるShoradはぜひ欲しいです。
西側の中では我が国は野戦防空が手厚い方なのですが、旧東側のウクライナの防空網がドローンと巡航ミサイルの飽和攻撃で弾切れに陥ったのを考えると、迎撃弾の備蓄・製造を相当急がないと対中有事の際に大変なことになりかねず心配です。
6月にロシアは成果どころか混乱しか起きてない
原油価格も落ち着き中国も景気が悪くロシア産からさらに安いイラン産に切り替える動きも見られる
ロシア産LNGの最大輸入国は日本だが米国LNG大手と増産分の獲得でまとまりそうな気配がある
ロシアの財政は一気に厳しくなりそうな予感
通勤のガス代がキツイ。
イラン制裁なんて、いらん!
経済制裁発動した時点でロシア産の原油は禁輸になっているのだが?
言ってることが支離滅裂。
今の状態でロシアが諦めるとは思えないので。
ロシアが自己都合で攻撃を控えているなら、その間に対抗準備を進めておいては。
PAC3の有効性は証明されているのですから、発射機と弾の数を増やしてもらって、
キーウ以外も防衛できるようにするとか。
自爆UAV対策の機材(捜索から撃墜まで完結しているもの:例ゲパルト)を調達するとか。
既存の対空砲の能力アップを図るのも必要かと想像します。(例:夜間用機材)
他所の記事で、先日、日本の岸田首相が、UAV捕獲システム(東芝製?)を
ウクライナに提示したとのことでした。
このシステムは良いセンサーを持っているみたいですね。有効かも、ですね。
ロシア軍は、南部のウクライナ軍の総反撃を見切ったというか、一安心したのでしょう。
それで、ミサイルは備蓄に回ったのだと思います。費用対効果はドローンがいいですからね。
ロシアは長期的な判断が多く、ウクライナは短期的判断が多いようです。
ウクライナは、西側の支援に頼っていて、それ次第なので宣伝の必要性などが高いのはやむを得ません。極論すれば、ウクライナに自己決定権はないのかもしれません。
ロシアの方は逆に、わりに自己決定権があるので、このミサイルの消費についても長期的な安全策をとっているのではないか推測します。なぜなら、ロシアの多くの政策は、一発逆転でなく、負けない政策を志向しているに見えるからです。
生産状況と在庫、攻撃の中味を1番知る立場にあるのはロシアだけだし、どんな理由があって制限しているか外野には分からんよな。
攻撃回数減少の理由が在庫切れなのか在庫をどこかの時点で有効活用するつもり(油断させて物資集積を固めさせるとか)なのか、戦時量産品の誘導精度がそれ程でもない、発射してもまともに飛ばないなら撃つだけ無駄だから改善中とか前向きな理由であって欲しいが。
ミサイル月300発はやはりロシアの戦時体制でも、1ヶ月の生産量以上に、ミサイル発射していたんでしょうね。
天候の影響はどうなんでしょうね?
雨天が続くと航空攻撃が減りますし
最近のウクライナはどっかしら雨降ってたような
発射数の推移を見ると年始から春にかけて溜め込んでいた分を放出しきって、またチャージ期間に入ったかのように見えます。