ウクライナ戦況

ウクライナ、待ち望んでいた旧ソ連規格152mm砲弾の連続生産を開始

NATO諸国がウクライナに提供した155mm榴弾砲は砲弾供給に問題が生じているが、ウクライナ軍参謀本部は29日「国営企業のウクロボロンプロムが152mm砲弾の連続生産を確立した」と明かして製造された152mm砲弾を公開した。

参考:«Укроборонпром» показав 152-мм боєприпаси, виробництво яких налагодили в Україні

どれだけ旧ソ連規格の砲弾を製造できるのかは不明だが、155mm砲弾不足の緩和に繋がる可能性がある

ウクライナ軍とロシア軍の戦いは大砲が戦場を支配しており、NATO諸国が提供した155mm榴弾砲で使用する砲弾を米国は90万発以上も供給したが、1日数千発も消費するためウクライナ軍の需要に供給が追いついておらず、このまま155mm砲弾の備蓄を解放し続ければNATO加盟国は自国の安全保障にもリスクを生じることになる。

ただウクライナ軍が保有する榴弾砲はNATO規格の155mmより旧ソ連規格の152mmの方が多く、NATO諸国は加盟国や第三国が保有する152mm砲弾をかき集めてウクライナに供給していたが、ウクライナ軍参謀本部は29日「国営企業のウクロボロンプロムが152mm砲弾の連続生産を確立した」と明かして製造された152mm砲弾を公開した。

ウクロボロンプロムが何処で152mm砲弾の製造ラインを確立したのかは不明だが、同社は122mm砲弾の連続生産も開始しているためウクライナは一定数の砲弾を自前で供給できるようになったという意味だ。

出典:Сухопутні війська ЗС України

因みにNATOはウクライナ軍が使用する旧ソ連規格の弾薬やスペアパーツの製造に投資することを考えており、具体的にはチェコ、スロバキア、ブルガリアにある旧ソ連規格の砲弾工場に投資して生産を再開させるつもりらしい。

ウクロボロンプロムや東欧諸国の工場でどれだけ旧ソ連規格の弾薬やスペアパーツを製造できるのかは不明だが、少しづつ砲弾不足を解消する動きが出てきているので155mm砲弾不足の緩和に繋がる可能性がある。

関連記事:両軍が激しく争うバフムートの戦い、弾薬や物資を無限に消耗するブラックホール

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

ロシア軍が前進を見せるバフムートの戦い、ウクライナ軍にとって厳しい戦い前のページ

ロシアの情報戦、ポーランドのウクライナ西部併合は正義の回復だ次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ人捕虜を輸送中のIl-76が墜落、ロシア側は撃墜されたと主張

    24日午前11時頃にロシア領ベルゴロド州でIl-76が墜落、ロシア側は…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナが南部と東部での前進を公式に発表、TB2の攻撃シーンも公開

    ゼレンスキー大統領は4日「ウクライナ南部と東部でロシア軍から拠点を奪還…

  3. ウクライナ戦況

    侵攻834日目、ロシア軍がクピャンスク方面でイヴェニフカを占領

    ウクライナ人が運営するDEEP STATEは6日夜「ロシア軍がクピャン…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ最高議会が日本支持、ロシアには北方領土の返還義務がある

    ウクライナ最高議会は7日、日本の立場を支持して「北方領土はロシアが不法…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍参謀本部、ドンバス地域で4つの拠点解放に成功したと発表

    ウクライナ軍参謀本部は24日「ルハンシク州とドネツク州で4つの拠点を解…

  6. ウクライナ戦況

    ロシア軍がリシチャンシク市内の中心部に到達、ウクライナ軍は撤退か?

    ロシア軍によるルハーンシク州制圧を阻止する最後の拠点「リシチャンシク」…

コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 12月 01日

    今まで自国で砲弾を作っていなかったのが不思議。

    11
      • 無無
      • 2022年 12月 01日

      いかにも泥縄式に見えますが、おそらくクリミア半島を奪われるまでは本気の緊張感に欠け、そしてソ連時代からの弾薬備蓄がたっぷりとあったのでしょう、
      それにウクライナがロシアと緊張関係に入ってからは兵器を西側基準に更新する意向を持っていたとすれば、もはや152ミリ砲弾を製造する必要も感じていなかったのでしょう

      74
      • ぬるぽ
      • 2022年 12月 01日

      ウクライナは腐敗や汚職がひどく去年の時点でも軍需産業に十分な資金が行っていなかった

      駅前に戦車!? 支払い拒否の国防省にダミー製造企業が抗議 ウクライナ 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News リンク

      この戦火と欧米からの支援でようやく必要な資金が届いたのだろう

      6
      • TKT
      • 2022年 12月 01日

      まあ今年の前半くらいは、旧・ソ連の152㎜榴弾砲は時代遅れだ、時代錯誤だ、やれジャベリンだ、バイラクタルだ、ハイマースだ、M777だ、スイッチブレードだ、フェニックスゴーストだ、ゲームチェンジャーだ、アメリカ西側の生産力は無尽蔵だ、ロシアは西側の経済制裁で弾薬が枯渇するんだ、とさんざん言っていた、宣伝していたわけです。

      それが今に至って、M777という言葉もほとんど聞かれなくなり、遂に155㎜砲弾の補給はどうやらもうこないらしい、勘違いすんな、というとこに来てしまったのです。

      わざわざイギリスまで行って、一か月の訓練を受けたウクライナ兵が、自国に戻ってきたら、155mm砲弾はもうないから、旧・ソ連の152㎜榴弾砲を使えというわけです。

      M777や、カエサルも砲弾がなければもう撃てないのです。

      16
    • ぱんぱーす
    • 2022年 12月 01日

    月産どのぐらい作れるのか分かりませんが良いニュースですね
    西側から供与された兵器もあるとは言え、未だに主力は旧ソ規格の152mmの方でしょうから

    38
    • nachteule
    • 2022年 12月 01日

    砲弾があろうが砲身消耗すれば交換が必要で、そこの問題はクリアしているのか。

    9
      • タイヤキ
      • 2022年 12月 01日

      リマン戦でロシア軍がソ連の砲弾大量に提供するまで、砲弾不足でウクライナ軍の大量の砲使っていなかったから、砲身の問題はまだ先で、ウクライナ軍の砲が余っているから、欧米にもソ連規格の砲はまだ倉庫に沢山ある。

      21
    • 成層圏
    • 2022年 12月 01日

    東欧諸国は昔から軍事技術があったんだから、これから東側の152mm砲弾と西側の155mm砲弾の混成ラインを開発すればいいんじゃない?今時自動車は混成ラインで作るのが常識だしね。
    これなら投資に値するんじゃない?自国の在庫兵器の状況によって砲弾を生産できるんだから。

    10
    • HY
    • 2022年 12月 01日

     ロシアにインフラを破壊されて停電状態であるはずのウクライナでの砲弾製造。虚勢を張るためのフェイクという可能性は?

    4
      • 田中
      • 2022年 12月 01日

      ウクライナが計画停電してるのはこういう軍需工場や病院等のインフラを最優先してるからなわけで
      むしろなにもおかしくないと思う

      27
        • 通りすがり
        • 2022年 12月 01日

        全然違うけど。

        送電を止めて修理するための計画停電。

        調べもせずに何でもかんでも良いよう情報操作すんな。

        2
          • 町田巨人軍
          • 2022年 12月 01日

          いや普通に電力不足だからだぞ
          攻撃後の復旧までの停電は送電網の再構築のためだけど
          恒常的に続いてるのは需要に対して明らかに電力の供給力が不足しているから
          破壊された重電設備の復旧は数ヶ月単位でかかる

          21
      • タイヤキ
      • 2022年 12月 01日

      電気で製造したほうが効率よいのは確かだが、元々榴弾砲の弾手作業で製造していたことから、トラックや車のバッテリーの電力や発電機で工具を動かせれば製造は可能。
      無電力でソ連がソ連規格の砲弾製造させて使用していたから榴弾砲の弾に電力が必要不可欠という訳ではない。

      3
    • (=^・^=)
    • 2022年 12月 01日

    開戦初期に軍需工場が空爆されて使えなくなってたから仕方ない。
    やっと復旧できたということか。
    ただ電力不足の影響でフル稼働という訳にはいかないだろう。

    8
      • D
      • 2022年 12月 01日

      ウクライナ国内で作る必要なく、有効国で生産しているのでは?
      その場合は、電力問題は無いはずです。

      3
        • 7743
        • 2022年 12月 01日

        チェコやポーランドの軍需工場はフル稼働状態らしいですね。
        とは言え、自国で生産できるのはウクライナにとっては輸送の手間が減りますので
        それはそれでメリットがあります。

        ウクライナは北朝鮮のように発電設備も軍需工場も、
        可能な限り地下で運用するようになっていくのではないかと思います。

        11
    • 58式素人
    • 2022年 12月 01日

    砲弾不足に一定の歯止めが掛かりそうで良かったですね。
    しかし、152mmの他に、西側155mm砲弾の生産も必要では。
    東側125mm戦車砲弾の生産もまた、必要と思いますが、
    そこはどうなのでしょう。
    ロシアの置き土産は、いずれかは射耗するでしょうし。

    7
    • ななし
    • 2022年 12月 01日

    工場が稼働できて自国生産が効くようなら明るいニュース。
    とはいえ米帝の生産量でも足りない消費ペースということなのだから、生産できても需要のうちどこまでを満たせるかは微妙なところ。
    生産して少しでも蓄積し、次回の反攻作戦で使う砲弾のうち一翼を担えれば、かなあ。

    このニュースでロシアは血眼になって工場がどこか探すだろうから、ロシアにフェイク情報流しまくって見当違いのところに長距離攻撃を逸らす…みたいなことはできるかもしれない。

    6
    • ndk
    • 2022年 12月 01日

    ロシアからの砲弾供与的な書き込みがちょくちょくあるのが(事実すぎて)笑えるw
    しかし当初ロシアはウクライナの非軍事化を目指して特別軍事作戦を始めたのに、
    結局、過去最強の軍隊がウクライナで誕生しつつある現状をどう思ってるのだろうか。

    ぷーなんとかに、ねぇ今どんな気持ち?って聞いてみたい。

    12
    • lang
    • 2022年 12月 01日

    月100発()生産でも嘘じゃないですからね

    期待しすぎるのもどうかと

    1
    • 七市
    • 2022年 12月 01日

    UPの記事だと「NATOの技術」を利用したと書いてあり。GPSとか仕込んだのか?と勘繰りたくなる。
    生産地はスロバキア、ポーランドとか有りな様な気がする。フライトレーダー見てると稀にUzhhorodからスロバキアの方に謎の飛行機が飛んで行ったり(ウクライナ領内は飛行禁止になってる。)ウクライナのAn124があの辺をウロウロしてたりする。
    何かあるかもしれませんね。

    2
    • ぬっこ
    • 2022年 12月 01日

    どうせすぐ使うから塗装してないのかな?

    • 折口
    • 2022年 12月 02日

    一般的な152/155ミリ榴弾砲の砲身寿命は7000発程度だそうです。砲によっては一体形成の削り出しだったりライフリング周辺のみ内筒になって交換できるものなど色々ですが、1日に30発撃つとしても1ヶ月あれば費やしてしまう数字なんですよね。一口にウクライナと言っても戦闘の烈度は地域差があるでしょうけど、いずれ砲のほうも新規生産しなくてはいけなくなるんでしょう。(そう考えると地対地ロケットって長期的には経済的なんですね)

    そうして砲兵戦の体制が固まったら今度は資金の問題が出てくるでしょうが、まぁウクライナのバックはNATOやG7ですからその問題に直面するのはもう少し後でしょう。砲兵の戦争は国家総力戦、国家総力戦は経済力の闘争ですね。

    3
      • タイヤキ
      • 2022年 12月 02日

      ウクライナにあるソ連時代の置き土産の5000門の砲が寿命つきるのが、7000発だと今ウクライナ軍が発射していると言われているのが1日3万発だから、砲の寿命つきるのに、千日以上二年以上かかるから、流石にそれまでには、ウクライナかロシアの体力つきて休戦か侵略されているかになっていませんかね。
      ウクライナ軍発表で数百の砲のロシア軍からの提供もあったみたいですからね。

      7
      • hiroさん
      • 2022年 12月 03日

      1日30発で1ヶ月だと900発強じゃないの?

      3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP