ロシア対外情報庁のナルイシキン長官が「ポーランドはウクライナ西部併合のため住民投票の準備中」というフェイクニュースをぶち上げたが、国営メディアも「ポーランドが進めているウクライナ西部の併合は正義の回復だ」と煽っている。
参考:Польская мечта о Западной Украине близка к исполнению
ポーランドに急いで行動を起こせとけしかけつつ、一時的に影を潜めているウクライナ人が抱くポーランド人への不信感を煽っている
ロシア対外情報庁のナルイシキン長官が「ポーランドはウクライナ西部を併合するため住民投票の準備を加速している」というフェイクニュースをぶち上げたが、これに便乗してロシア人アナリストや国営メディアもポーランドによるウクライナ西部併合を次々と取り上げ始めており、政治アナリストのイリーナ・アルクスニス氏は「ポーランドの野望は実現に近づいている」という持論をRIAノーボスチで披露した。
ポーランドが密かに進めていた領土拡張計画が公の場で言及されたのは初めてのことで、リヴィウ、イバノフランコフスク、テルノピリといった地域の権利を主張しているのは「ここが元々ポーランドの土地であった」という信念に基づいている。元々ポーランドの土地であったというのは「相対的な概念」に過ぎないが、この地域が長い間に渡ってポーランドの一部であったという事実に異論の余地はなく、これを回復させるという行為はポーランドにとって「正義の回復」だ。
ポーランドはウクライナの民族主義者によって引き起こされた「ヴォルヒニア虐殺」に対する補償を受け取っておらず、この地域の返還を要求するのに十分な量の公文書を持っていると信じている。
ポーランドはロシアと戦うウクライナに膨大な軍事支援を行い150万人ものウクライナ人難民の受け入れており、この数字は約250万人(占領地域から強制的に連れ出した人数も含まれているが数字自体は自称)を受け入れたロシアに次ぐ規模で、客観的に見てもウクライナ支援のためポーランドが支払う負担は相当重い。
それにも関わらずキーウ政権はウクライナ軍の誤射でポーランド国民を殺しても謝罪はおろか「自分達とは無関係である」と装い続けており、逆にポーランドは西側諸国とウクライナの連帯を維持するため「キーウ政権の態度」を飲み込まざるを得なかった。
このような背景を考えるとポーランド人が「手厚い補償を受け取る権利がある」と考えるのは理解でき、ウクライナ西部の返還を求めるのも頷ける話だが、これは欧米が主張する「法に基づいた和平」と矛盾するもののポーランドは偽善的な西欧諸国とは違い「世界的な領土の再配分」という現実を否定しておらず、寧ろ領土の再配分競争に参加する意思を隠してしない。
西側諸国とロシアの交渉時期が熟しているため、ここで何らかの原則的な合意がなされるとポーランドの野望は次の機会まで達成できなくなる=ポーランドが割り込む余地がなくなる恐れがあり、この機会を逃すのは勿体ないと考えるポーランドはロシアの手法を見習い「住民投票によるウクライナ西部併合」を考えているが、現時点で現地住民の積極的な支持は得られないだろう。
ただウクライナ人は本質的に「ポーランド人は何世紀にも渡り自分達を奴隷として扱ってきた」と考えており、現代でもポーランドの雇用主のウクライナ人労働者に対する扱いが良くないこと、ウクライナ人はヴォルヒニア虐殺を引き起こした民族主義者=ウクライナ蜂起軍を英雄と称え、この報復として実行されたヴィスワ作戦(ポーランド南東部に住むウクライナ系住民の強制移住や虐殺)を非難するためポーランド人と衝突するのは必定だ。
そのためポーランドがウクライナ西部で行動を起こす場合、地元住民の支持を引き出すため「何らかの手段を講じる」と予想しておく必要があり、ポーランドを含む西側諸国がウクライナに提供した武器の量を考えると非常に血なまぐさいものになるだろう。
以上がアルクスニス氏が披露した持論の要約で、ウクライナ侵攻は世界的な領土の再配分の一貫であり、西側諸国とロシアが交渉で合意に至れば「ポーランドの野望や潰えるので急いで行動を起こせ」とけしかける内容で、一時的に影を潜めているウクライナ人が抱くポーランド人への不信感を煽っているとも言える。
しかしウクライナとポーランドは過去の歴史よりも「目の前の脅威は誰なのか」という点で一致しているため、ナルイシキン長官がぶち上げたフェイクニュースが西側諸国の結束に何らかの影響を与えることはないと個人的には思っているが、歴史問題が絡む問題は当事国以外には理解できない部分があるのでウクライナ人やポーランド人がフェイクニュースに何を思っているのかは分からない。
関連記事:ロシア対外情報庁、ポーランドがウクライナ西部を併合するため住民投票を計画
※アイキャッチ画像の出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0
「そんな寝言を真に受ける馬/鹿いるのかよwww」って笑ってるそこのアナタ
結構いるんですよー?
ウクライナへの領土的野心持っとるのはお前だけやこのクソハゲが!!!
ミサイル着弾事件で拗れたポーランドとウクライナの関係に目を付けた所までは良いけれど、幾ら何でもこんな粗雑なフェイクニュースは意味無いでしょ、ロシアさん……
住民投票の準備なんて報道、ポーランド政府が否定したら最後、何の意味の無いと思うのですが?
むしろ、これでポーランドとウクライナ両国民が互いに不信感を抱いたら、こっちの方が「どっちも元・東側か……」と思いつつ、呆れますけどね
後、この記事に出て来る政治アナリストのイリーナ・アルクスニス氏ですが、実はソ連邦末期に「黒い大佐」と呼ばれたヴィクトル・アルクスニスと言うヤバい政治家が居た(元ソ連空軍大佐で、現在も存命中らしい)のですが、もしかしてイリーナ氏はこのアルクスニス元大佐の御家族か親戚の方なのでしょうか?
>歴史問題が絡む問題は当事国以外には理解できない部分があるのでウクライナ人やポーランド人がフェイクニュースに何を思っているのかは分からない。
うーん
でも例えば中国が日本と韓国の間の歴史問題を熱心に煽り始めたとしたら普通に警戒されるだけなのでは
ポーランド「ほしいのはカリーニングラード」
・・ってならないのかな・・?
ロシア「世界的な領土の再配分が必要」
全世界「ロシアを分割する」
そのロジックに従うなら世界の安定のために西側がロシアを分割しても問題ないですね。
技術は握られてた状態だったので経済上のコントロールで良いですし。
それを言うと、鎌倉時代にロシアなんてあったか?ということに。
いっそポーランドがウクライナ西部の併合を宣言したらどんな反応するかな?
当然言葉だけでウクライナ軍の活動はそのまま、ロシアが抗議しても”民兵”の制圧準備中とかとぼけてみるのもいいかな
まぁ…ポーランドとしても武器送って、難民受け入れてやって、あれだけ支援してやって、ミサイルで民間人までころされてるのに、なんの見返りも補償も無いってのはあんまりだよな。
いやいや、いくらなんでも視野がロシア並みに狭すぎる
(ウクライナが勝利したあとの)戦後はともかく、現時点でのポーランドの本音は「ロシア本土と国境接したくない」でしょう。ポーランド人と話してみたら解るけど、ウクライナ人も嫌いだけどロシア人はもっと嫌い(というか憎んでる)だから。
例えば2021年12月(つまり侵攻前)にロシアがNATOを恫喝して提示していた安全保障案は「1997年5月時点の位置までロールバックさせること」で、つまりロシアに好き勝手させるとポーランドはNATO(1999年加盟)としての地位すら失いかねないわけで…
関連記事:リンク
仮に2月時点でのロシアの目論見(皮算用?)通りロシアがウクライナを併合していた(→ロシア本土とポーランドが隣接する)場合、そして米国/NATOがロシアの恫喝に譲歩していた場合、現在のウクライナの状況がポーランドに起こっていても不思議はない。一般人はともかく、さすがに政治家は理解しているでしょう。
仮にウクライナの勝利で平和が訪れた場合に、ポーランドが見返りを求めることはあるとは思うけれども。
ポーランドにとっての見返りは終戦後のウクライナ復興を主導したり、NATOでも有力な軍事強国に成って発言力を増すことだよ。報酬として領土の一部を貰うなんて中世時代的発想に食いつくのはロシアと偏狭なナショナリストだけ。ウクライナがEUに加入すれば国境は実質なくなるんだし、加盟国側から見れば全部手に入れるようなもの。だからこそロシアはウクライナに侵攻したわけで、ポーランドには西部の土地だけで我慢しろと言っている。
まずはブレストをロシアの力でベラルーシからポーランドに返還
それが実現すればウクライナ西部のことも少しは考えてみててもいい
ポーランドのその程度の回答で終わりそうな気が
ウクライナ「お前ら(ロシア)が西側各国に対して絶対に自分達に攻撃してこないと確信してるのと同じ位ポーランドを信頼してるから問題無ぇんだわ(皮肉)」
というかまぁ、ロシアとしてはウクライナのポーランドに対する誤射で両国の間に不穏な空気が漂ってるからそれをここぞとばかりに利用してやろうとしてるんだろうけどそれにしたってシナリオが雑過ぎるんだよなぁ…(逆説的にむしろロシアはこの程度の工作で転がされるレベルなんか?という…)
雑なんだと思うよ(棒)
その根拠は、ロシアの話ではなく、過去の我が国と北朝鮮の話。2002に北朝鮮合意の下で、拉致被害者が5人帰ってきました。当時の最高指導者金正日は、五人返還で我が国が日本に貸しを作ったので、日本がお金と技術支援をしてくれると判断していたようです(ソース不明)。確かに昔々王朝間で人や物をやりとりした時代もありましたが、今の民主国家には選挙があり民意は無視できないことを、金正日はわかってなかった可能性ありましたから。
プーチンも最近、ウクライナで息子を亡くした母親に向かって、「人は最後は死ぬものだ」と宣う強者エピソードもありましたし…(以下略)
でかい嘘にも、多少の真実が含まれているのでは?と猜疑心や混乱を生む効果もありますね
ポーランドはウクライナに対する感情より、カティンの森事件によるロシアに対する憎しみの方が大きいのでは
ワルシャワ蜂起の時の恨みや、冷戦時代の支配の恨みもあるでしょうしね・・・・。
ソビエトとナチスドイツの挟撃でポーランドが割譲された過去があるんで、そんなん誤差の範囲
ソビエト後継のロシア連邦がまさにナチ的侵攻を隣国にしたら絶対ロシア殺るモードですわw
中学時代、エスペラント語大会に関係してポーランドにホームステイした時にソビエトの名称を出したら
ロシア人がいないか確認した後、罵詈雑言大会になって驚いた…まさに憎悪の対象。
カティンの森事件は首謀者がグルジアのスターリンとべリアで実行部隊はウクライナのNKVDな
元ポーランド領をベラルーシとウクライナに分割したのはソ連では?
ソ連の継承国として元の国境線に戻すためにポーランドに協力する、とかロシアが取引を持ち掛けたら興味深いですが、ロシアにはごみクソ以下の信用しかないですしねえ。
クリミア半島併合前あたりに工作活動をやってればワンチャンスあったかも、くらいか?今となっては、ロシアが片付いてから考えるで一般人は見解がまとまりそう。
ロシアが侵略しなければ、こんなんでも火種になったかもね。
ロシアが侵略しなければ、(大事なことなので略
これはポーランドとウクライナを仲違いさせる為の策略というより、(あり得ないほどの可能性の低いことでも)先行き不安が強いロシア国民が希望を抱けるようにするためのロシア国内向けのプロパガンダだと思う。
ロシア国民の戦争継続の支持は負け続けたせいでもう25%位しかない。
戦時中に不利なほうが、世界大戦時の日本含めて古今東西よくしているプロパガンダだ
大戦末期の日本でもソ連が停戦交渉を仲介してくれるなどと妄想に基づいて戦略を策定していたし
ロシアはもう限界ということだろう。
ポーランドも本音ではウクライナの西側領土が欲しいのかもしれませんが、このタイミングで実行に移してしまえば西側諸国からロシアと同様の制裁を受ける恐れがありますよね。
ロシアほどエネルギーや穀物に余裕のないポーランドにとっては死刑宣告にも等しいですし、さすがに怖くて出来ないと思います。
時代錯誤だね。定期的に指導者が変わる民主国家において今とは違う「歴史的な領土」について固執するのは難しい。もちろん日本のように自国領も蔑ろにするほどナイーブではないにしろ、領土拡張を主張するのはどちらかというと独裁的な権威主義政権が殆どでしょ。ポーランドがそうならともかく欧米と歩調を合わせた今は違うのでは?っていうかウクライナがEUに加盟すれば国境はなくなるから西部どころか全部手に入るようなものだし。
EU内でも未だに領土問題はありますし、歴史問題に起因する国民感情はそんなに簡単に整理のつく問題ではないと思います。
この話題におけるロシアの難点はだ、
それこそ歴史的理由からウクライナポーランドの双方から信用されてなくはっきりと嫌われているということ
ま、まずはお友達になれるか、軍を退いて侘びる、そこから始めなさいって笑い話
カーニングラードの問題にも飛び火してしまうけど
カリーニングラードの歴史をたどると、そのへんはポーランドではなく、プロイセン、ドイツということになってしまうでしょう。
そもそもポーランド領の東を削ったのはウクライナでもベラルーシでもなく、ロシアだろ