ウクライナ戦況

ウクライナ軍の反攻、ムィコラーイウ州のロシア軍をほぼ駆逐

ウクライナ軍はムィコラーイウ州のロシア軍をほぼ駆逐することに成功、ヘルソン奪還がおとぎ話の類いではなくなってきた。因みに34日目の各戦況の詳細は以下の通りだ。

北部戦線

ドニエプル川西岸では28日にイルピンをウクライナ軍が奪回、引き続き占拠されたホストーメリ空港に向けて前線を押し上げようとしている。東岸については目立った動きや戦闘は報告されておらず、ロシア軍に包囲されたチェルニーヒウではロシア軍による砲撃や空爆が続いているらしい。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

ただロシアは29日、キエフとチェルニーヒウ方面の敵対行動を根本的に縮小すると発表、米国の国防総省も「キエフ周辺から戦術大隊(BTG)を含む幾つかの部隊が撤退を始めた」と述べているので、同戦線の戦況は今後大きく変化する可能性がある。

追記:ロシアの発表ついてウクライナ軍参謀本部は「これは部隊の撤退ではなく個々の部隊のローテーションで、我々にキエフ包囲をロシア軍が断念したと思わせるための方便に過ぎない」と述べている。

北東部戦線

トロスティアネッツ市の奪回に成功したスームィ方面のウクライナ軍は国境沿いのKrasnopilliaとSlavhorodに到達、ここ拠点にしてスームィを包囲するロシア軍の排除に乗り出す模様。スームィ州とハリコフ州の交通を遮断しているロシア軍の突出部の排除も進行中だ。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

ハリコフ方面のウクライナ軍はチュグエフまでのアクセスを確保することに成功したが、イジューム周辺の戦いは依然として激しいだけしか伝わってこず詳しい戦況は不明。

ドンバス戦線

ルハーンシク州やドネツィク州の戦闘は激しいもののロシア軍(ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国を含む)の攻勢は全て撃退され、特に目立った変化はない。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

イジュームの防衛ラインを突破されると合同部隊作戦(Joint Forces Operation)の背後にロシア軍が回り込めるようになり、キエフとチェルニーヒウ方面の戦力がこちらに再配置されると根本的に戦いの様相が様変わりするだろう。

南東部戦線

マリウポリの中心部に侵入したロシア軍は全て撃退されたと言われているが街の約半分はロシア軍の手に落ちており、マリウポリ中心部を取り囲むロシア軍の包囲の輪は日に日に小さくなっている。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

マリウポリを守るアゾフ連隊はゼレンスキー大統領から街を離れることを許可されていたが、同連隊の副司令官は「最後まで街を守り、負傷者を救助して戦死者を埋葬するため全力を尽くす」と述べており、絶望的な戦いを最後まで戦い抜くつもりだ。

ザポリージャ州ではウクライナ軍の反攻に備えてロシア軍がNovokarlovkaとLuhivskeに地雷原の設置を進めている。

南西部戦線

ムィコラーイウ州のロシア軍はほぼ駆逐(突出部が消滅)され、ヘルソン州のロシア軍占領地域もじわじわとウクライナ軍に削られており、黒海に面したStanislavからロシア軍は撤退した模様。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

ムィコラーイウはロシア軍の脅威から脱した格好で本当にヘルソン奪還が見えてきたと言えるが、これ以上後退するとドニエプル川西岸地域にウクライナ軍が再上陸するたロシア軍も本気で防衛に出てくるだろう。

オデッサ州は目立った変化はない。

注意:ロシア軍の支配地域はウクライナ軍発表やメディアの情報に基づいたもので「大まかまもの」だと思って欲しい。

関連記事:ウクライナ軍の反攻、ロシア軍に占拠されていたイルピン奪還に成功

 

※アイキャッチ画像の出典:Defence of Ukraine

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

ロシアが発表したキエフ方面の戦力削減、停戦交渉や合意を促進するため?前のページ

騙されないゼレンスキー大統領、ロシア人は結果でしか信用できない次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    EU、ウクライナ支援を強化するため「戦闘機」を提供すると発表

    EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏は27日、ブリュッセルの資金で…

  2. ウクライナ戦況

    スペイン国防相、レオパルド2A4のウクライナ提供を断念すると発表

    スペイン政府は2日、何ヶ月も検討を続けてきたレオパルド2A4のウクライ…

  3. ウクライナ戦況

    ロシア軍が報復攻撃を開始、インフラ攻撃に費やしたミサイルは3,000発超え

    ロシア軍がクリミア大橋攻撃に対する報復を開始、18日と19日のミサイル…

  4. ウクライナ戦況

    バルト三国はウクライナ支援に14億ユーロ以上、英国は支援額を25億ポンドに増額

    リトアニア、エストニア、ラトビアはウクライナに対する「長期的な支援(複…

  5. ウクライナ戦況

    ドイツとオランダ、共同でウクライナにPzH2000を追加供給すると発表

    ドイツのランブレヒト国防相とオランダのオロングレン国防相は28日、ウク…

  6. ウクライナ戦況

    南ドネツクの戦い、ロシア軍がポジション改善に成功して前線を維持

    南ドネツク方面のウクライナ軍は8月にウロジャイネ解放に成功したが、9月…

コメント

    • 名無し
    • 2022年 3月 30日

    ムィコラーイウも全然ダメなのか。オデッサとか落とすって話はどうなったんじゃい。

    8
    • 1.44スキー
    • 2022年 3月 30日

    マリウポリの戦況絶望的か。四面楚歌とはな…。この包囲網ではウクライナ軍の補給は無理じゃ。

    27
    • すえすえ
    • 2022年 3月 30日

    マリウポリはきっついなー

    ただまだ陥落しないところにウクライナの意地を見た
    ロシア軍の戦力を拘束したという意味では意味はあったと思うけど。

    ヘルソンに関しては奪還に成功すればマリウポリ方面のロシア軍のクリミア経由での補給を絶てるかもしれないので
    要注目か

    36
    • REX
    • 2022年 3月 30日

    マリウポリ落として勝利宣言して、はいおしまい。ってならんのかなぁプーチン。

    8
      • 無無
      • 2022年 3月 30日

      そういうこずるい人物であることが期待されてるんだが、
      無駄にプライドが高いからな

      17
    • ナナシ
    • 2022年 3月 30日

    地雷を設置するということはロシア軍も進めないのでこれ以上の進撃は諦めたと見ていいのでは。ならばやはりキエフは防御陣地を固めて、機動戦力の多くを東部にまわすべきでしょうか。それとも撤退はただのブラフですかね?

    4
      • 匿名
      • 2022年 3月 30日

      キエフ防衛隊と西部予備隊が東部行かれると困るので露軍はキエフ攻撃できる隊を維持したいが目論見バレてるからキエフ周辺では反撃すごい事なるだろしそれを露政府は平和的な撤退の妨害だ言い始めるだろう
      自軍の屍放置して逃げ帰るだけが目的達成とぬかして頭大丈夫か思われそうだがキエフ周辺で継戦能力は既に無く東部までもマウリポリ占領しても他が負けると最低限の緩衝地帯も得られない可能性あるからな

      5
    • AAA
    • 2022年 3月 30日

    ドニエプル川西岸のロシア軍を叩き出す目処はついたって感じか
    しかし東部はまだまだ時間かかるな
    制裁が効いてロシアの継戦能力が崩壊すれば良いんだけどいつになることやら

    4
    • 名無志野
    • 2022年 3月 30日

    マリウポリのウクライナ軍を救えないのは辛いですね
    過去の経緯もあって一時停戦撤退とかありえないでしょうし

    11
      • 戦略眼
      • 2022年 3月 30日

      住民を1万人以上強制収容したという話もある。
      マジなら、今後世界おけるロシア人の扱いが変わるだろう。
      いよいよ、中華が失地回復に出るかな?

      14
        • 無無
        • 2022年 3月 30日

        中華はロシアよりずっと狡い
        ロシアが弱りきって反撃の意思を失うまでは手を出さず、逆に助けるふりをするだろう
        核を持ってるから用心は重ねないとな

        3
        • ミリオタの猫
        • 2022年 3月 30日

        確か、ロシア軍がマリウポリの住民をシベリアやサハリンへ強制移住させている件ですね。
        それだけなら未だしも裏で反ロシア派の住民を選別して「カティンの森事件」張りの虐殺なんかやっているとしたら、NATO諸国の国民が「民族浄化だ!」と叫んでNATO軍の介入を要求するかも知れないので要注意だと思います。
        ※NATOはかつて、非加盟国だった旧ユーゴスラビアで民族浄化が起きた事を理由に軍事介入をやった事があるがこれは「欧州域内でホロコーストを再び起こさせない」と言う意思の表れだった。
        その為、もしも今度のロシアのウクライナ侵攻で同じ様な事態が起こった場合、NATOは軍事加入を拒めなくなる(介入しないとホロコーストとの整合性が取れなくなって欧州内で混乱が起きる為)。

        2
          • 2022年 3月 30日

          樺太送りがマジなら、これはもう自衛隊と米軍(米軍基地設置許可が報酬)
          でロシアに虐待されているウクライナ人を保護しに行くしかないね!
          現状回復分の南樺太なんてケチなことを言う必要は無い。
          日ソ不可侵条約破りの賠償分で北まで全土を分捕っちまえ。

          2
            • 匿名
            • 2022年 3月 30日

            そんな兵力、人員不足が深刻化してる自衛隊のどこにあるんですか?
            そもそも当の隊員たちが反対するでしょ
            彼らは国民・国土防衛の為に志願してるのであって、国際紛争で政治的利潤を得る為に自身の命を使われるのを良しとはしない筈

            10
    • 匿名
    • 2022年 3月 30日

    キエフ包囲の残存部隊が砲兵火力持ち合わせて首根っこ掴んでるのこっちだぞ抜かしても単に撤退進んでないだけなのバレてるし案の定交渉材料のつもりでいやがるの笑っちゃうけどまさか旧軍バリにこれは転進だ言い始めるとはね
    しかも国内的には目的達成で転進だ!国外的には平和に向けての撤退だ!などと令和の今にマジもんの大本営発表をリアルタイムで見てしまうととはね

    12
      • けい
      • 2022年 3月 30日

      管理人さんが地図にしてくれてるから戦線が分かりやいけど、
      実際には点と点ですからね

      これだけ分散してるのは、プーチンからは「前進」のみ、
      軍上層部からは「前進」「停止しての戦闘・占領」の以外は認めてないのかも
      それなら逃亡兵が多いことや、戦闘車両が簡単に放棄されるのも整合性とれそうですし
      やはり近代以前の軍隊にしか見えない、、

      3
    • 通りすがり
    • 2022年 3月 30日

    これで問題は東と南東方面だな
    停戦交渉中にどこまで持ちこたえ盛り返すか

    6
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP