ウクライナ戦況

ウクライナがロシア軍パイロットの取り込み成功、Mi-8を操縦してハルキウに到着

ウクライナでは「ロシア軍所属のMi-8がポルタヴァ州上空を飛行していた」という噂が広まったが、どうやらウクライナ国防省情報総局がロシア軍パイロットの取り込みに成功し、このパイロットはMi-8を操縦してハルキウ方面に着陸したらしい。

参考:В сети сообщили, что вертолет РФ якобы “залетел в Полтаву”: что говорит разведка
参考:Разведка выманила в Украину российский вертолет Ми-8 с пилотом

映画のような話なので直ぐに信じることは出来ないが、Mi-8がウクライナに飛来したのは本当なのだろう

ウクライナでは「ロシア軍所属のMi-8がポルタヴァ州上空を飛行していた」という噂が急速に広まっており、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏も「ロシア軍のヘリがウクライナに着陸し、乗組員達が自主的に降伏した」と主張していたが、ウクライナ国防省情報総局(GUR)のユーソフ報道官は23日「(ロシア軍所属のMi-8がポルタヴァ州に飛来した)という情報を知っているが、この件を発表するにはもう少し時間がかかる。全ては順調に推移している」と述べたものの、Ukrainska Pravdaは事件の詳細を報じている。

Ukrainska PravdaはGUR高官の話として「ウクライナ国防省情報総局は長期間に及ぶ特別作戦の結果、ロシア軍パイロットの取り込みに成功した。GURは事前にパイロットの家族をウクライナに呼び寄せ、Su-27とSu-30の部品を輸送する任務を割り当てられた本人はMi-8を操縦してハルキウ方面に着陸、機体と積み荷を引き渡して家族と共にウクライナで暮らしている」と報じており、さらに興味深いのはMi-8に2人の無関係なロシア人兵士が搭乗していたことだ。

Mi-8にはパイロットや積み荷の他に2人のロシア軍兵士が搭乗していたものの、指定された基地ではなく「ウクライナに向かって飛行している」とは全く気づかず、ウクライナ到着後にGURによって拘束されたらしい。

出典:Viktor Andrusiv ウクライナの提示した報酬を受取るためロシア人兵士が戦車と共に投降した様子

映画のような話なので直ぐに信じることは出来ないが、ユーソフ報道官が「この件を発表するにはもう少し時間がかかる」と述べているので、Mi-8がウクライナに飛来したのは本当なのだろう。

追記:ハルキウ方面に着陸したMi-8の写真や積み荷だった戦闘機の部品の写真が公開されているので、この話は事実だ。

関連記事:ウクライナの提示した報酬を受取るためロシア人兵士が戦車と共に投降

 

※アイキャッチ画像の出典:Dmitry Terekhov/CC BY-SA 2.0

ウクライナ軍、クリミア西部に配備されたロシア軍のS-400破壊に成功前のページ

GlobalData、中国が今後5年間に支出する国防予算は1.4兆ドル=202兆円と予測次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ侵攻374日の戦況、クピャンスク、バフムート、アウディーイウカで動き

    ウクライナ侵攻374日の戦況はクピャンスク方面、バフムート方面、アウデ…

  2. ウクライナ戦況

    南ドネツクの戦い、ウクライナ軍が攻撃を再開して約4kmほど前進か

    ロシア側情報源は「ウクライナ軍が南ドネツク(ヴェリカ・ノボシルカ方面)…

  3. ウクライナ戦況

    HIMARSで再びアントノフスキー橋を攻撃、ロシア軍の輸送遮断に成功

    ロシア軍支配下のヘルソン州にあるアントノフスキー橋で再び爆発が発生、H…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ戦略産業相、国産155mm自走砲の生産量が月6輌に到達した

    カムイシン戦略産業相は「ボーダナの生産量は月産6輌で今後も生産量を引き…

  5. ウクライナ戦況

    ロシア軍はウクライナ侵攻に動員した約19%の戦術大隊を失う

    ポーランドのディフェンス・メディア「Defence24」は14日、ウク…

  6. ウクライナ戦況

    制裁を回避したロシア、精密誘導兵器の備蓄を使い果たす兆候なし

    ウクライナ軍は電力システムを守るため奮戦しているが「残念ながらロシアは…

コメント

    • class
    • 2023年 8月 23日

    降伏の手土産はヘリコプター+積荷に加えて捕虜2人というわけですね
    本当ならかなり悪魔的でシュールな話ですな
    というか領空侵犯しても迎撃されなかったのは事前に申し合わせて、という事でしょうか
    まあ訓練だと思ったらウクライナにいた人も居たので、なんか信憑性があるんですよね

    47
    • ななし
    • 2023年 8月 23日

    ウクライナ側からは機体番号がはっきり写ったMi-8の写真が公開されており、無傷の機体を鹵獲したのは確かっぽいです。
    ベレンコ中尉亡命事件程ではないけど、交戦中のウクライナに機体手土産で亡命が事実なら割とインパクト大な事件ですね。
    また粛清の嵐が吹き荒れそう。

    41
      • 名無し
      • 2023年 8月 23日

      日本人としてはベレンコ中尉を思い出すのはしかたのないところだけど、機体が機体だしなあ。
      ロシアのステルス機でも持ってきてくれたんなら完璧だったのだが。

      5
        • プリゴジンのつけ麺
        • 2023年 8月 24日

        mi-8はともかく、積み荷がSu-27とSu-30の部品なのが間違い無ようだし、これはロシアにとってマイナスでウクライナは貴重なパーツ入手できたんだからプラス
        あと一兵卒と違ってパイロットという優秀な人材がこんな形で裏切ったら少なからず影響あるだろう

        36
      • 匿名
      • 2023年 8月 24日

      スロヴィキンの粛清が効いてるんだろうか…空軍の士気が裏切りに繋がるまで下がってるのは致命的かもね。
      ウクライナからしたらいい喧伝材料で、笑いが止まらないだろうけど。

      28
    • panda
    • 2023年 8月 23日

    乗員の方は戦死との情報もありますがどうなんでしょうか

    何にせよこの事件は政治的な影響がありそうですね

    11
      • 名無し
      • 2023年 8月 23日

      パイロットともなればそれなりのエリートのはずなんですがね。
      ベレンコ中尉は軍での待遇の悪さから亡命を決めましたが、今でもそれか改善されていなのかもですね。

      6
    • タチコマァ
    • 2023年 8月 23日

    もしかしたらパイロットはウクライナ系ロシア人かもしれませんね
    ロシア国内にはロシア帝国時代にコサックとして移入したりスターリン時代に強制移住させられたウクライナ系ロシア人が何百万人も居住しています
    ロシア国内奥地のインフラ破壊も含めて、ウクライナ軍情報部は彼らの間に大規模なスパイ網を構築してるのかも

    9
      • 7c
      • 2023年 8月 24日

      日本も全く他人事じゃないんだよなあ…

      9
    •    
    • 2023年 8月 23日

    ウクライナにはロシア兵投降用のホットラインがあるからそれにアクセスしたんかな?
    一年くらい前だったか、かなりの相談が寄せられてたとの記憶
    ロシア国外の反体制組織にも徴兵逃れる相談とか多数きてる言うてましたね

    ベラルーシの反体制グループにも相談が結構来てたとか

    3
    • tom
    • 2023年 8月 23日

    一緒に乗ってた二人はどんだけ無能やねん

    10
      • shkk
      • 2023年 8月 24日

      同乗者が監視者だったなら無能だけど、ただの荷物番か相乗りで基地間移動に使っただけだったら分からなくて当然な気がするけどな…

      普通の軍隊だと荷物番や移動者でも常に地形と方角を把握する感じなの?

      38
    •  
    • 2023年 8月 24日

    ただの運搬要員の徴兵なら仕方ないかも?ロシアの地方民にウクライナの地理なんてわからないしそこまで外見てなかったのかも。と言うかみてもパッとわかるのは相当地図なりランドマークなりを把握してないと…。そもそもまず敵勢力権を堂々と飛んでるなんてなかなか想定しないからバイアスかかる

    34
      • 御影渦音
      • 2023年 8月 24日

      日本で飛行機の窓から眺めていても、素人にはっきり分かるのは富士山くらいですからね。
      ましてウクライナ東北部、延々と畑と林の連なる大平原地帯…

      13
    • NA
    • 2023年 8月 24日

    おまけで捕虜になった2人も結果的に戦時のロシアから国外脱出出来たわけで、それも「知らずにウクライナに連れてこられた」という体なら国内向けの言い訳も立つわけで
    なんにせよ鵜呑みには出来ないですね
    国内に家族(人質)がいるなど身一つで逃げられず、いずれ前線で死を待つのみの下級兵という状況ならわりと良い手に思える

    15
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP