中国関連

GlobalData、中国が今後5年間に支出する国防予算は1.4兆ドル=202兆円と予測

GlobalDataは2023年~2028年までの中国防衛産業に関する市場規模、市場動向、予算配分、主要な買収計画などを分析したレポートを発表、この中で「中国が2024年から2028年までの5年間に支出する国防予算は1.4兆ドル=約202兆円に達する」と予測した。

参考:China Defense Market Size and Trends, Budget Allocation, Regulations, Key Acquisitions, Competitive Landscape and Forecast, 2023-2028
参考:China’s naval plans propel $1.4trn PLA modernisation over 2024-2028

日本と中国の投資額の差は約5倍となり、殆どの資金が国内に投資されるため中国防衛産業の発展は凄まじいものになるだろう

GlobalDataは2023年~2028年までの中国防衛産業に関する市場規模、市場動向、予算配分、主要な買収計画などを分析したレポートを発表、この中で「中国の国防予算は2023年に2,303億ドル、2024年から2028年までの年平均成長率は6%以上を記録すると予想されており、南シナ海での領有権主張や米国との軍事的対立が軍事力強化に拍車をかけるだろう」と指摘し、中国が2024年から2028年までの5年間に支出する国防予算は1.4兆ドルに達すると予測した。

出典:CCTV 正午国防军事 055型駆逐艦

巨額の国防支出はミサイル、ミサイル防衛システム、潜水艦、水上艦艇、固定翼の軍用機、戦術通信システム、レーダーシステム、EO/IRシステム、電子戦システム、水中戦システム、INS/GNSSといった中国防衛産業の主要セグメントに投資されることになり、Naval technologyは23日「強力なブルーウォーター・ネイビーを構築し、信頼できる核抑止力を確立するという中国の戦略的な動きは現在進められているプログラムを見れば一目瞭然で、ここには4隻目の空母、096型原子力潜水艦、054A型フリゲート、055型駆逐艦の取得が含まれる」と述べている。

GlobalDataのアナリストも「1.4兆ドルに達する巨額な国防投入は中国の戦略的なビジョンを明確に示すもので、このイニシアチブは数字上の問題だけではない。防衛産業への投資は将来技術に対するイノベーションの促進、人民解放軍の即応性向上、中国の影響力拡大に応じたグローバルな役割を演じるための計算された投資だ。これまでも中国は欧米が課す技術移転の制限や禁輸措置を巧みに利用してチャンスに変えてきた。自立した防衛産業を育成することで民需産業と軍需産業のギャップを埋めてきた」と指摘。

出展:彩云香江

さらに「中国の技術革新を支える土台はデュアルユースの積極的な活用で、このアプローチによって中国は戦闘機、ミサイル、空母、潜水艦といった最先端の防衛システムを幅広く設計し、生産する能力を向上させきた。緊張の高まり、領土紛争、戦略的同盟関係に応じて変化する力学は、世界の舞台で影響力と地位を高めたい中国の野心を浮き彫りにしている」と付け加えている。

因みに日本は今後5年間で総額43兆円=約2,970億ドルを防衛費に投資する予定だが、本当に中国が1.4兆ドルも投資してくると1年あたりの国防支出は2,800億ドルになるため、日本と中国の投資額の差は約5倍となり、その殆どが国内に投資されるため中国防衛産業の発展は凄まじいものになるだろう。

関連記事:中国軍が調達を進めるJ-20、2023年の生産数は限りなく100機に近い?
関連記事:旧式機の更新を進める中国空軍、上半期だけでJ-16とJ-20を計26機取得
関連記事:中国、待望の新型エンジンWS-15を搭載するJ-20Bの初飛行に成功か
関連記事:中国空軍はJ-20を200機以上保有が確定、大量生産への移行が濃厚
関連記事:中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
関連記事:中国が2023年度の国防予算に2,247億ドルを配分、前年度から7.2%増

 

※アイキャッチ画像の出典:中国中央電視台のスクリーンショット

ウクライナがロシア軍パイロットの取り込み成功、Mi-8を操縦してハルキウに到着前のページ

クリミア・プラットフォーム、岸田首相が最大70億ドルのウクライナ支援を発表次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    第6世代戦闘機開発が進行中の中国、Su-57用新型エンジンを入手か

    中国では第6世代戦闘機などの開発に使用する巨大風洞施設が完成したと報じ…

  2. 中国関連

    075型強襲揚陸艦はモンスター?中国、空母建造の裏で進む水陸両用戦力の強化

    米国のワスプ級強襲揚陸艦(満水排水量約40,000トン)と肩を並べても…

  3. 中国関連

    J-20複座型に続き今度はJ-31艦載機バージョンの実機、飛行中のJ-35を収めた写真が登場

    数日前に中国が開発を進めていると噂されたJ-20のツインシート(複座)…

  4. 中国関連

    日米海軍にとって厄介な存在?世界最強の駆逐艦、中国海軍「055型ミサイル駆逐艦」が遂に公開!

    中国海軍設立70周年を記念した観艦式で、恐らく現時点で、世界最強の駆逐…

  5. 中国関連

    中国軍がインドとの国境に兵士1万人以上を動員、一部は既にインド領へ侵入

    中国はインドとの国境沿いに位置するギャルワン渓谷に軍を集結させていると…

  6. 中国関連

    カバー出来る面積は東京ドーム約1,000個分、中国が翼竜IIを派遣して被災した住民に通信環境を提供

    中国は災害で通信施設の早期復旧が困難な地域の住民に臨時の通信環境を提供…

コメント

    • 無印
    • 2023年 8月 24日

    >ここには4隻目の空母、096型原子力潜水艦、054A型フリゲート、055型駆逐艦の取得が含まれる
    空母や原潜、055型を増やすのは分かる
    でも054A型っていつまで増やし続けるんだろ
    そろそろ新型のフリゲートを出してきてもいいと思うのですが

    2
      • くらうん
      • 2023年 8月 24日

      それだけ054型のドンガラが優秀だったという事でしょう。
      でも数年前から054B型の生産に置き換わっているはずですが、Aは誤植ですかね?

      6
      • MAT
      • 2023年 8月 24日

      054B型自体は既に建造がスタートしてるので、予算の中心がいつかはAからBになるが、今はA型を仮置をしているのか、誤読かのどちらだと思いますね。

      個人的に気になるのは052DL型の次の駆逐艦がどうなるか気になります。現在だと055型と052DL型が並行して建造されているのですが、055型は他の中国艦艇よりも大きいのでミドルサイズを新たに求めるのでは?と考えてます。

      2
    • dai
    • 2023年 8月 24日

    国防予算が年平均6%成長って…。
    GDPがもう5%も成長しないどころか、デフレに入りそうな雰囲気さえあるのに大丈夫ですかね。

    33
      • らら
      • 2023年 8月 25日

      民主主義では無いんだから人民が飢えようが知ったことではないでしょ
      ただのデカい北朝鮮と同等の国と思えばいいかと

      3
        • ==
        • 2023年 9月 02日

        では2023国防予算が年間20%増加した日本は北朝鮮よりも劣っているのではないでしょうか

        1
    • たむごん
    • 2023年 8月 24日

    中国は、造船業も世界一になっており、海軍力の基盤として極めて大きいです。
    アメリカの軍需企業は、余剰利益の株主還元を続けているため、特に海軍の生産余力はメンテナンスを含めて最低限しかありません(経営効率を上げるためです)

    量を作れば質が向上するため、中国軍を昔のように侮るのは極めて危険です。
    中国は、世界の工場として基礎工業力も上がっているため、電装部品の質も著しく向上しています。

    管理人様のこの部分、とても深いと思います。
    日本は防衛予算をいくら増やしたとしても、海外からの装備購入額が増えるだけならば(トマホークなど外国産を買っても)、防衛産業の育成に繋がりません。

    >…その殆どが国内に投資されるため中国防衛産業の発展は凄まじいものになるだろう。

    37
      • .
      • 2023年 8月 24日

      >日本は防衛予算をいくら増やしたとしても、海外からの装備購入額が増えるだけならば(トマホークなど外国産を買っても)、防衛産業の育成に繋がりません。

      日本が正面装備を輸入に頼る比率は2割強程で、世界的に見ても国産率高い方だが。
      米国だって主力戦闘機を国際共同開発に頼る時代に、過剰な国産信仰はどうなのかな
      中国は戦闘機を共同開発出来るような、信用に足る国際パートナーがいないって事でもあろうしね

      国産のJ20は第4世代機としては高性能だろうが、国際共同開発の賜物であるF35のような第5世代機の域には達してないだろうし、まして高度な半導体など西側技術のアクセスを断たれた中国は、量はともかく質において言う程西側水準には追い付けないでしょう。
      舐めプは厳禁なれど、過大評価のやり過ぎもそれはそれで問題ある。

      24
      • バーナーキング
      • 2023年 8月 25日

      2023年度予算では「12式地対艦誘導弾」「島しょ防衛用高速滑空弾」「極超音速誘導弾」辺りだけでも研究・開発・量産にトマホーク調達分を超える2300億以上を確保してますし、量産ラインの増強等にもかなりの予算が当てられてますので、数年前では考えられなかったほど環境はマシになると思われます。
      まあ中国がそれ以上に増額してるので相対的に更に苦しくなる事は否めませんが…。

      8
    • くらうん
    • 2023年 8月 24日

    長期的な経済失速の可能性に対して国防費がうなぎ上りになるアンバランスな状態は非常にまずいですね。
    中国共産党が中国を統治している正当性は抗日戦争への勝利と安定的な経済成長にあると、共産党自身が思っている傾向が強いそうです。しかし抗日戦争を実際に戦ったのは国民党軍であることへのコンプレックスも同時に内包し、特に習近平政権以降はそれに代わるレガシーとして台湾統一を志向し、PLAの改革に取り組んできました。
    そしてここにきてもう一方の正当性のよすがたる経済成長がハードランディングすれば、統一に対する動機は増々深まる可能性がある。自身が台湾を余裕で降伏させられる(と思いこめる)軍事力を保有していれば尚更です。
    それでなくとも、専制国家は国民の不満を外部に発散させる傾向が強いので、仮に偶発的な衝突でも余裕の無い政権であればエスカレーションに繋がる選択をしかねません。

    24
      • 31pty
      • 2023年 8月 24日

      習近平政権の経済政策は「短期的な経済失速を受け入れて長期的には安定的な経済成長を目指す」ですね。
      武力を用いない台湾統一を志向しているのは事実ですが、中国の経済改革もレガシーとして志向しています。
      不動産投機による経済成長から先端産業による経済成長に変革できればレガシーになりますし(不動産不況は中国が意図的に行っている部分が大きい)。
      中国経済が今後どうなるかはまだ結論を出せませんので現状は「お手並み拝見」かと。
      また専制国家が国民の不満を外部に発散させたのは、現代ですとフォークランド紛争ぐらいでは。
      そのフォークランド紛争はアルゼンチンが惨敗したので、中国は参考にしないと思います。

      7
      • ファーストオーダー
      • 2023年 8月 24日

      抗日戦争は共産党も国民党傘下として参画し間違いなく日本と戦ってますがね、なぜか認めたがらない認知の歪みを起こす人間は多いが。おしゃる通り共産党の正統性確固に文句なき日本を叩き潰せばいいわけです。台湾有事は日本有事!と中国に敵対的でありアジアへ干渉野心の首をもたげてきた日本を逃さず、断首すれば一石二鳥。ちなみにローマが領土防衛のために拡張をやめ共和制より専制国家へ移行したように、民主主義国家であるほうが衆愚支持得るために内部失政の不満を外部へ拡散するために、戦意煽り永続的な戦争狂である事はフランス革命時期の法律思想家達の見解です。

      4
    • 名前 (必須)
    • 2023年 8月 24日

    局地戦ですら日本は中国に太刀打ちできなくなる時代が来るのだろうか…もうとっくの昔にそうなっていたのか。
    防衛省のサイバー被害で最高機密すっぱ抜かれた失態といい、ちょっと軍事面では仮に中国と衝突する事態になっても出鼻を挫かれて大打撃を食らう未来しか見えない。
    政治的な結束を徹底的に固めて中国包囲網を盤石にするしか手が無いというか、もはや情報戦での挽回は難しいだろう。
    そうであるならば、ある意味で左翼や野党のいう外交的解決が、不本意にも日本に残された僅かな活路になるのだと思う。

    7
      • .
      • 2023年 8月 24日

      >局地戦ですら日本は中国に太刀打ちできなくなる時代が来るのだろうか

      日本は同盟国との共同戦線が前提なので、日中の格差だけ見て悲観するのはズレてるとしか。
      中国包囲網の構築が(中国のやらかしもあり)恐ろしく上手く言ってるので、例え中国が5年で200兆円投じようがこちらの優位は維持出来るでしょうよ。
      左派野党の言う通りの「平和的解決(中国に下る)」に活路見出せとか、狼狽え過ぎでしょ…。油断は禁物だが、過剰な悲観論も害でしか無いなぁ…

      22
        • 名前 (必須)
        • 2023年 8月 24日

        確かに深夜テンションで情緒がおかしかったかもしれない。失礼しました。
        ただ、この場で言った外交的施策による活路というのは、あくまでも中国包囲網を盤石にするための折衝のことで、故安倍元首相の行っていた外交方針を何が何でも徹底的に維持しようという意味です。
        中国は搦め手から切崩してくるのが上手い警戒すべき相手なので。

        3
          • バーナーキング
          • 2023年 8月 25日

          >この場で言った外交的施策による活路というのは、あくまでも中国包囲網を盤石にするための折衝

          違うのでは?
          「左翼や野党のいう外交的解決」が「中国包囲網を盤石にするための折衝」を意味する様には到底思えないのですが。

          4
    • あさり
    • 2023年 8月 24日

    これ景気刺激として公共事業に金突っ込むの辞めて軍需産業に金ばら撒いてるだけじゃないですかね…
    恐ろしいのは間違いないんですが、拡張した軍を維持することもしっかり考えているんだろうか

    11
      • AH-X
      • 2023年 8月 24日

      そういう側面も少なからずあるでしょうね。旧ソ連みたいに軍拡しすぎで崩壊してくれたらいいんですが、中国もその辺はしっかり研究してるでしょうからなかなかそうはいかないのが面倒なところ。

      ただこの論表は欧米のシンクタンクですから少なからず中国脅威論で誇張してる部分はあると思いますよ。

      8
    • k.ziro
    • 2023年 8月 24日

    オホトニクもどきがちょっと格好良くなっていて、プレゼンは中共の方が上手いですなあ。
    早く飛んでいるところが見たいです。

    1
    • 下僕
    • 2023年 8月 24日

    無理してんじゃないか、大丈夫かという意見もあるようですが簡単に計算で確認きます。中国のGDPは17.73兆USD。単純計算で単年度の国防費の対GDP比は1.4÷5÷17.73=0.0158つまり1.6%になります。これは国家経済に対する負担としては全然普通で、無理のない数字です。ちなみに米国は3.5%。ポーランドは4%くらいですかね?この位になると平時としてはきつい気もします。

    6
      • バーナーキング
      • 2023年 8月 26日

      ・中国の国防費には国防関連の研究開発費や武装警察予算等が含まれてない(中国の武装警察は「警察」ではなく「軍隊」です)
      ・中国のGDP含む経済指標が軒並み信用に値しない

      6
        • 成層圏
        • 2023年 8月 26日

        宇宙開発費(軍事衛星等)も含まれていないのでは?
        全部あわせたか、5%程度はいってそうですね。
        まぁ、これくらいで破綻はしないけど、国民は不便するでしょうね。
        独裁者には気にもならないでしょうが。

        5
    • 匿名
    • 2023年 8月 25日

    中国脅威論とか言われだした時点で真面目に考えりゃ良かったのに
    どうしてこんな状態になるまで放っておいたんですか…

    1
      • DEEPBLUE
      • 2023年 8月 25日

      キッシンジャーとかのパンダハガーや民主党が頑張った

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP