ニューヨーク・タイムズ紙は20日「ウクライナ軍は膨大な死傷者と装備の損失を被ったが、約1,000kmに及ぶ前線の大部分で前進を続けており、特にクラスター砲弾がロシア軍の装甲部隊と砲兵部隊を破壊するのに効果的だと証明された」と報じている。
参考:On the Front Line, Ukrainian Commanders Are Buoyed to Be on the Offensive
クラスター砲弾がロシア軍の消耗を加速、砲兵の火力支援が低下していた兆候
ニューヨーク・タイムズ紙は「ウクライナ軍の反攻作戦は密度の高い地雷原や圧倒的な火力の前に最小限の結果しか残せておらず、まだまだ戦いが続くという見方が広まるにつれて楽観論も消えつつあるが、この数週間の間に取材した指揮官達の認識に変化が出てきた。何十億ドルもの援助で部隊の練度も装備も向上し、新兵の訓練方法にも改善が加えられたお陰で兵士の補充も容易になり、殆ど部隊で専門性が高まり規模が拡大している」と指摘。
複数のウクライナ人指揮官達は「我々の射程圏内に侵入するのをロシア人は躊躇し始めている。敵は他の武器=航空攻撃やミサイル攻撃に頼り始めている」と、第128独立山岳強襲旅団のドミトロ・リシウク大佐も「7月に到着したクラスター砲弾を効果的に使用している。これで敵の大砲を数多く破壊することができ、以前の敵部隊は20門の大砲から火力支援を受けていたものの現在では2門~4門だ」と明かしており、砲兵部隊による火力投射でウクライナ軍が優位性を手に入れ始めているらしい。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング氏も「集中的に敵の対砲兵レーダーを破壊したことで戦場の優位性は徐々にウクライナ軍側に傾いてきた」と指摘したことがある。
ロシア軍は多くの対砲兵レーダーを失ったため「発砲するウクライナ軍砲兵部隊の位置」を特定するのが困難になり、ワトリング氏は「この戦争で初めてウクライナ軍は敵陣地に対する持続的な砲撃が可能になった」と指摘、要するに敵の対砲兵レーダーが機能している戦場では射撃と射点変更を繰り返す必要があるが、これが減少もしくは消滅したため「射点に留まれる時間が増えた=1回あたりの投射火力量が増加した」という意味だ。
砲兵戦で優位性を失ったロシア軍の砲兵部隊は効果的な火力支援が出来なくなり、地雷原や側面攻撃で車輌を破壊しても「降車したウクライナ軍兵士の生存性」が向上、その影響で陣地を巡る戦いでも優位性を失いかけているため戦車や歩兵戦闘車を前に出すしかなく、これをウクライナ軍に大砲やドローンで破壊され消耗を強いられているらしい。
さらに興味深いのは別の指揮官や経験豊富な兵士達も「クラスター砲弾のお陰でロシア軍の消耗が著しくウクライナ軍よりも状態が悪い。侵攻初期と比較してロシア軍の装備も人員も残念な状況になっている」と述べている点で、戦線を支えるロシア軍部隊の戦力劣化が進んでいる可能性がある。
因みに第128独立山岳強襲旅団は12月に大損害を被って指揮官が戦死、この旅団の再建を託されたのがリシウク大佐で「旅団は1週間後に再び機能を取り戻した」と述べ、補充兵の供給が以前よりも円滑に行われていることを示唆している。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
155mmクラスター弾頭は子弾24or48個
ハイマースクラスター弾頭は子弾644個
現在、アメリカ議会ではハイマース用のクラスター弾も供与しようという動きもある模様。
湾岸戦争で地雷原突破にも使用されたこのクラスター弾頭が供与されれば色々捗りそう。
もう少し早く供与できればよかったんだが
クラスター弾の有効性が再確認されましたがオスロ条約署名国はこれからどうするんでしょうね?相手は使ってくるけど自分達は使えないと言う状態は不利になるのでは?と思うんですけど。
陣地に撃ち込んだりするようなら高密度EPFを使うんじゃね?
戦車には効かないみたいだけどランセットで対処すればいいだけだしそこら辺はなんとかなると思う
どうするも何も批准国は批准してない国からの攻撃を受けるか、NATOみたいな協力体制にあるかとかは考えないと。クラスター弾が使われる可能性があるのかで困るか困らないは有ると思うが。
ロシア砲兵、ウクライナ軍の脅威になってましたからね。
ウクライナ軍、被害軽減に繋がりそうで何よりです。
クラスター弾頭、タングステン弾の威力を写真で見たのですが、比重大きいので凄いですね。
重装甲の車両や掩体陣地ばかりではないでしょうから。
勘違いかなオルタナティブ弾頭のタングステン弾だと思うが。
見出しはクラスターの成果と言いつつ内容は対砲レーダーの喪失が原因となってる件。
ICMで効率化というよりもまとまった在庫の放出がそもそもの要因ではないかとの話。
米軍在庫で一律の供与ならそれを使用する西側火砲はそれ前提の物で射表調整は不要。
ドローン可視化の今にICM運用でゲームチェンジ等は当然起こり得るわけもなく。
クラスター弾のおかげで敵陣地を破壊しやすくなった=対砲レーダーも破壊しやすくなった
では?
或いは対砲レーダーを狩った後だから、
ドローン等で特定した敵の密集地に落ち着いて
クラスター弾を撃ち込んで
一網打尽にし易くなったとかもありそうですね。
・ロシア側の対砲レーダーの不足によりウクライナ砲兵部隊が有効な砲撃支援を出来るようになった
・クラスター弾によりその効果がより強力になった
ということでは?
記事のタイトルと内容で矛盾があるようには見えませんよ。
地雷はあくまで足止めであって、止まった敵に火力を投射できなければいずれは突破されてしまう。
そういう意味で火砲潰しは最適解なんよな。しかし、クラスター弾を手放したがらない国がいる訳だよこりゃ……。
クラスター砲弾は、純軍事的に考えれば、全くないよりは当然ある方がウクライナ軍にとって有利には違いありませんが、この記事でむしろ気になるのは、
「ウクライナ軍は膨大な死傷者と装備の損失を被ったが」
とか、
「因みに第128独立山岳強襲旅団は12月に大損害を被って指揮官が戦死」
「この戦争で初めてウクライナ軍は敵陣地に対する持続的な砲撃が可能になった」
「ウクライナ軍が優位性を手に入れ始めているらしい。」
とかいう話で、じゃあやっぱり今までは不利、劣位だったのか、練度も専門性も低かったのか、ということです。
今までは、ロシア軍の対砲兵レーダーのせいでウクライナ軍の砲兵がすぐに位置を特定されて砲兵戦で不利だった、という話もあまりなかったような気がしますが、まあずっとそうだったのでしょう。
今までもウクライナ軍の損失は少なくないが、ロシア軍の損失はより大きいと言う話で何も矛盾はないと思うが
砲撃数もロシア軍が優位だったのは散々言われており、それが崩れてきたって話では?
対砲レーダーも、数回射撃して移動しなければならないなんて話はテレビの取材でも取り上げられた有名な話だと思うが知らないのか
数回しか射撃出来なかったのが移動せずに射撃できるようになったので優位って記事の内容読み取れないかな?
その通りだと思う
自分好みの情報にだけ目を走らせてる人は、それを見つけた瞬間全体を見られなくなるのよな
あと心なしか、そういう人に限って物事を俯瞰したような知った風な口調になりがち
開戦からこの方、砲兵火力の優位がロシア軍を支えてきた
この優位が失われれば戦場の様子は大きく変わってくるかもしれませんね
思い返せば去年ハイマースが供与されて露軍の前線付近の弾薬が叩かれた時も兵站線の再構築が完了するまでの間、露軍の砲火力が大きく落ちていましたね
(サーマル衛星で森林火災の減少が確認されている)
米国の在庫的には当面の間は節約せずに撃ち続けられるので、可能な限り砲兵を叩いて選曲を優位に持って行って欲しいところ
問題はここに来てロシア軍が航空戦力をより活用するようになってきてるんですよね。
ここの対策が出来ないとせっかく優位になりつつある砲兵力も航空機によってアウトレンジされかねませんから。
もしここでF-16にAMRAAM積んでCAP出来る状態だったならばと思わずにはいられませんね、CAS実施するのに比べれば数が少なくても効果的だったでしょうし…
そうやすやすと対地攻撃で損耗を出すほど宇軍砲兵も迂闊ではないと思いますが、上手く凌いでほしいですね
f16を露ミサイルから守るために基礎となる、すぐ飛ばし、退避し、整備し、補給し(ミサイル)、備蓄ミサイルを秘匿分散保管し、必要な掩体を整備する等のインフラ整備やノウハウを習得する事で初めて持続可能な作戦かと思います。
ウクライナの抱える課題は大きく、時間が必要な事だと考えていますが、何とか現状に堪え、出来れば実現して欲しいと願っています。
ついこの前まで「ウクライナ軍はNATOの戦術を実施できておらず、旧来の砲兵戦のやり方に戻っている」と批判していましたが、随分な掌返しですね。まあ、あの記事自体、「航空戦力なしでNATOの戦術が出来るわけないだろ」とツッコミ満載の代物だったので、サッサと取り下げた感じもありますね。
新聞やニュースサイトは一貫性や正確性よりも速報性を重視して、そのときそのときの断片的な情報を流しているだけなので、手のひら返しに見えるのはしかたがないところです。
侵攻初期もスティンガーやジャベリンが大活躍してキーウの占領を防いだような報道が目立ちましたが、しばらくしてからは実際のところブークや砲兵部隊の全力射撃が効果的だったとわかってきたようですし。
>実際のところブークや砲兵部隊の全力射撃が効果的だった
ほほー!それは面白い話ですね。
仮に、西側兵器にわざと花を持たせて本格支援を引き出していたのだとしたら大したものです
このサイトはそこらのサイトどころか大手マスコミより専門的で高度で最新の冷静な分析を含む情報を提供してきたのにその言い方は無いわ。そもそもここではそんな批判もしてないし、その時点で分かる情報から見た事実しか言っていない。そんな見方しかできないならここ見に来なくていいよ。
「クラスター砲弾の到着で」とあるけれど、クラスター弾だからこその戦果なのだろうか
それとも、砲弾の種類がクラスター弾かどうかより、大量の砲弾が前線に届いた、ということが重要なのか
この戦争で「やっぱりクラスター弾は強力だな」となるのは嫌かなあ
機甲戦力が不足してきていて、戦力を補おうと大量の歩兵を投入しているロシア軍は、軟目標が当初に比べると大幅に増えているので、クラスター砲弾/爆弾が威力を発揮しやすい戦況になっているのは確かでしょう。対砲レーダーや対空ミサイル車両などもクラスター弾のタングステン弾程度でも当たれば無力化できるので、展開地域に対して砲撃する場合、通常弾よりもクラスター弾の方が広い範囲にタングステン弾の雨を降らせる分、効果的です。
クラスター弾の主要生産国が、同兵器の使用を禁じる条約に加盟してないのも、その効果を深く知るからだと思います。
不発弾に戦後苦しむのは悩ましいですが、それを嫌って、敵兵を倒せず好き勝手されるのでは本末転倒ですからね。
もうオスロ条約破棄しろよ
「国際法で禁止すれば非批准国も使い難くなる」なんて効果も皆無だったし
事実上の侵略助長法だろうが
効果的なんだな
今からでもわーくにオスロ条約脱退した方がよくね?
使うとしたらどうせ自国領土だから他国に迷惑はかけないだろ
ネットではクラスター弾効果薄いとか言われてたけど、やっぱ現実の戦場で戦ってる人間が欲しいと言ってるんだから確かな使い道があるんだろうな
ドローンの躍進もそうだしロシア人とウクライナ人は日々必死で兵器の使い道を模索して対策してのイタチごっこをやってるわけだから、
ネットで情報を得ただけの知識なんてすでに周回遅れの可能性がある
効果が薄いとか言う人居たのかな、提供する側が条約批准とかアメリカみたいに実質的に禁止状態で提供が難しいとか不発率の問題とかの声しかなかった気がするが。
なにやら地雷原の処理にも有効でクラスター弾万能論も持ち上がりそうな今日この頃