ウクライナ戦況

ヘルソン州の戦い、ドニエプル川左岸のオレシキー郊外にウクライナ軍が到達

ドニエプル川を挟んでウクライナ軍とロシア軍が睨み合うヘルソン戦線は前線の動きが少ない地域だが、左岸のオレシキー郊外に到達したウクライナ軍をロシア軍が砲撃している映像が登場した。

左岸地域に足場を築いても維持が難しいため、ウクライナ軍のオレシキー郊外到達は一時的なものである可能性が高い

ウクライナ軍とロシア軍が睨み合うヘルソン戦線は砲撃と少人数の兵士が中洲を奪い合う比較的静かな戦線と化しており、さらにウクライナ軍は「大規模な水陸両用作戦を実施する能力がない」と見られているため反攻作戦の候補からも外れている。

出典:GoogleMap ヘルソン周辺の状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ロシア軍は「無人機による監視」と「定期的な兵士の巡回」で軍事拠点と住民を後方に避難させたドニエプル川沿い地域を維持しているのだが、ロシア軍がオレシキー郊外のウクライナ軍部隊を砲撃している映像が登場した。

ロシア軍が砲撃しているのはヘルソンの対岸にあるダチとオレシキーで、ウクライナ軍が幹線道路「M17」に前進してオレシキーの手前まで到達していることを示唆している。

出典:GoogleMap ロシア軍が砲撃を加えた位置

ただドニエプル川に架かるアントノフスキー橋は損傷したままで、ボートでしかアクセスできない左岸地域に足場を築いても維持が難しいため、ウクライナ軍がオレシキーを解放するのは難しいだろう。

関連記事:ウクライナ軍、ドニエプル川沿いからロシア軍は15km~20km後方に移動

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • gepard
    • 2023年 4月 23日

    ヘルソン戦線は両陣営ともドニエプル川を盾に砲撃の応酬と小競り合いが続く。
    キンバーン半島にウクライナ軍特殊部隊が上陸し定期的にロシア軍守備隊と小競り合いを続けている様だが、遮蔽が皆無の為砲撃で毎回撃退されている模様だ。
    現時点では両陣営とも大規模な上陸作戦は期待できないが、クリミアもオデッサも近い為注視すべき戦線だ。

    15
    • 幽霊
    • 2023年 4月 23日

    ボートでは限られた装備や人員しか送れませんし、架橋を行えばそこを砲撃やミサイルで狙われるので橋をかけるのも現実的では無いですからね。

    10
    • 名無し
    • 2023年 4月 23日

    狙いは何だろう。かく乱?
    小規模な上陸作戦でもやるんだろうか。

    10
      • nachteule
      • 2023年 4月 24日

       攻撃対象になったウクライナ軍の戦力が分からないまま書くけど偵察かロシアの砲兵戦力の炙り出ししてHIMARSで潰すつもりだった可能性はある。上陸作戦なんて原発奪還にすら失敗しているから無理して戦力する潰す行為にしかならないと思うので無いと思う。
       ウクライナ軍戦力は不明だけど仮に他の町と同様にオレシキーの住民が退去されてそこにロシア軍が弾薬運んでいるなら、住民からの通報が無理で弾薬庫を探す任務とか持っていた可能性はあるかもしれない。

       現状なら最低ラインでGMLRSによる長距離精密攻撃でロシアの火力ポケット崩壊させない限りは大規模侵攻なんて無理だと思う。長い目でみて誘導ロケット弾なり155mm榴弾砲のGPS誘導弾かM9703 Practice Inert V-LAP辺りの世界記録出した長距離砲弾で陣地や兵器にダメージを与えた上で進撃でもしないと無駄に犠牲を払うだけじゃないだろうか。

      3
      • 2023年 4月 24日

      ウクライナ軍はこういう軍事的合理性に欠ける作戦を時々するので深い意味はないと思う。
      ロシア領内ベルゴロドに特殊部隊を潜入させたりとかね。
      国旗立てて動画撮るのが主目的かもよ。
      占領地住民やロシア国民に対する心理戦という面はあるかも。

    • フラット
    • 2023年 4月 23日

    ヘルソンで小競り合いが続いてる以上、ウクライナがザポリージャ方面へ南下してきた時もヘルソン方面から戦力を引き抜きにくくなりますからね。
    それまでは定期的にちょっかいをかけてそう

    15
    • パセリ
    • 2023年 4月 24日

    揺動か威力偵察の類だろうねー
    装甲戦力の大規模な揚陸なんて出来るとは思えんし、それがないまま攻め込んでも負い散らかされるのが関の山だし

    2
    • 名無しさん
    • 2023年 4月 24日

    ロシア軍はヘルソン市から撤退した後、ドニエプル川の対岸から度々市内に向けて砲撃を繰り返しているので、市民を守るためにもロシアの戦線を押し下げる必要があるのかもしれません。

    5
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