米国防情報局のグレッグ・リックマン副長官は「以前のオープンソース情報は諜報機関が収集した情報の上に振りかける塩だったが、その役割は逆転してしまった」と述べ、オープンソース情報の収集を専門に扱うプロが必要だと述べた。
参考:US intelligence needs ‘professional cadre’ for OSINT to replace ‘amateur’ IC analysts: Official
情報を素早く理解して届けることは『どちらが優れた爆弾を持っているか』と同じか、それ以上に重要なこと
米国防情報局のグレッグ・リックマン副長官は「オープンソース情報は諜報機関が収集した情報の上に振りかける塩だった。しかしオープンソース情報の爆発的な増大は情報収集と分析の在り方を大きく変え、パラダイムが逆転した現在ではメインコースに振りかける塩は諜報機関が収集した情報の方だ」「我々は世の中に出回っている大量の情報を収集し、その意味を理解し、これを活用できるよう情報を加工することに苦戦しており、諜報機関の分析官が片手間でOSINTの真似事をやっている」「アマチュアではなくオープンソース情報の収集を専門に扱うプロが必要だ」と言及した。
米国のインテリジェンスコミュニティ(United States Intelligence Community=IC)はオープンソースを扱う専門家の必要性を認識しており、2015年にIC19番目の独立組織としてNational Open Source-Intelligence Agency(NOSA)を設立、アヴリル・ヘインズ国家情報長官とCIAは今年3月「IC OSINT戦略」を初めて発表。
ヘインズ長官はIC OSINT戦略について「OSINTを専門分野として確立し、情報分析の在り方を変革し、米国の優秀なイノベーターや志を同じくする海外のパートナーとの新しい協力の第一歩だ」「新しいOSINT分野の人材確保と技術開発は重要項目の1つだ」「国防情報局は企業全体に対する訓練と防御戦術に重点を置いているが、ICはオープンソース情報の扱い方について大きな変革を必要としている」と述べ、情報分野における危機感についても「過去20年間と異なる環境が自身の眠りを妨げている」と表現している。
ヘインズ長官は「情報の爆発的な増大が起こる中、ウクライナ危機、中東危機、中国の問題が大きくなっている。この3つが同時に発生しても情報を上手く活用できなければ我々は何もできないだろう。物事の意味を素早く理解し、これを意思決定者や兵士に手に届けることは『どちらが優れた爆弾を持っているか』と同じか、それ以上に重要なことだ」と述べているのが興味深い。
オープンソース情報が増大したため相対的に「諜報機関が収集した情報」の有効性が低下しただけで「オープンソース情報さえあればいい」「諜報機関が収集した情報は価値がなくなった」という意味ではないが、オープンソースから有益な情報を引き出すためには専門家が必要で「国家として取り組む必要がある」というのは新鮮な視点だ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Wesley Farnsworth
「オープンソース情報の収集を専門に扱うプロ」って管理人さんやDeep stateみたいな方々のことを指すのでしょうか?
だとしたら管理人さんは米軍に雇われるかもしれないですね。
それは本当にその通りで、お世辞ではなくここの情報の質量はアマチュアのレベルを大きく超えてますよ。
そして断言できますが、日本の政府機関がここの価値に気付くことは無く。いつか米軍系のシンクタンクか、中国系の工作機関に千万単位の年俸を積まれて掻っ攫われて行くことでしょう。
まぁここの管理人さんはしっかりした人なので中国はないでしょう
この戦争で老舗のベリングキャットや現地系のDEEPSTATEUA、RYBARあたりが信頼されるようになった一方でISWはすっかり評価を落としましたからね
本当に仰る通りで、ISWは信頼を失ってしまいましたよね…。
ISWを主たる引用元としている方々も、道連れで評判を落としたように感じています。
初めて戦争を目にする人が多いせいで、シリア内戦時から既に負け惜しみ構文が有名で、信頼に値しない三流官製メディアとして周知されたはずのISW又してもほかのOSINT老舗と同列で語るようになったとは、苦笑いしかできません
米国防情報局の副長官が、(もちろん人的情報も重要ですが)オープンソースに対してここまで評価が高いのは興味深いです。
SNSに情報が増大しているだけでなく、管理人様のように情報発信されている方に情報が集合知として集まりますからね。
いつも皆様から、勉強させて頂いています。
限られた数の諜報員が入手してくる書面上の情報も勿論大事ですが、例えば敵国在住の鉄道撮影オタクが、「何時何分に何駅を戦車10台載せた特別列車が走っていった!すげー!」みたいなのを写真付きでSNSに載せたら、その情報もかなりの高価値ですからねえ
ネットに公開される有象無象の情報を取捨選択する作業も立派な諜報活動の一つになってくると思います。
大雑把に分けて公開情報(Open Source INTelligence)、信号情報(SIGnals INTelligence)、人的情報(HUMan INTelligence)でしたっけ
人的情報はご存知CIAが、信号はPRISM等でNSAが、と専門がそれぞれあっても公開情報は専門機関と専門家が居なかったと
ネットの発達で爆発的に増えましたからね…
昔は新聞と官報、ラジオやテレビ放送くらいだったんでしょうけど
最早片手間では片付かないと
今まで片手間でやってたのも凄いですが
日本がこう言った事に追いつくのは無理な気がしちゃいますね
IT責任者に耄碌した老人をつける様な国ですから
有事には日本は本当に何もできない国だと思います
お上が頼り無い時こそOSINTですよ
SIGINTやらと違って公開情報集める事は法に触れませんからね
プロパガンダ対策にもなります
自分で集めて分析するのは無理でも、良いとこ見つけて草の根で共有していけば国民は騙され辛くなる
民主主義国家はそうやって下のレベル上げてかないと、上も変わりませんしね
逆にいえば、こういうときでも鈴木宗男や森喜朗のような人は保守の立場でありながら、アメリカの情報を鵜呑みにせず、ウクライナは絶対に勝てないと予想し、また広く公言もしていたわけです。
元・自衛官の軍事評論家よりも、彼らの方がロシアに関する幅広い情報や知識を持っていたのかもしれません。職業的な軍事知識だけでは戦争は理解できないということです。そういうことは第一次世界大戦のときのフランスのクレマンソーも言っています。
まあ今さらそんなこと言っても遅いよ、特にウクライナ兵にとっては遅すぎる、完全に手遅れというべきでしょう。
日本陸軍の諜報の神様といわれたスウェーデン日本大使館の武官であった小野寺真少将のテレビドラマが昔、NHKで、ムーミンの翻訳者である奥さんの役を薬師丸ひろ子が出演してやっていましたが、小野寺真少将が重視していたのもむしろオープンソースの情報でした。
小野寺真少将は、中立国のスウェーデンの首都であるストックホルムでドイツ軍とソ連軍の情報を比較して、ドイツ軍が劣勢、不利であるという報告を日本陸軍の参謀本部に送り続けていましたが、親ドイツ派の作戦参謀の多い参謀本部では、小野寺真少将の報告はずっと無視されていました。
当時でも中立国のスウェーデンやスイス、スペインなどでは独ソ両軍の大本営発表、スタフカや総統大本営とは違う情報、記事が入ったわけです。特にドイツと貿易を続けているスウェーデンでは、ドイツが不利になると輸入品が値上がりしたり、物不足になったりしました。経済情報も一種の貴重な軍事情報なわけです。特に長期戦や消耗戦になればそうです。日本はソ連とは中立条約を結んでおり、ソ連に対する情報収集には日本軍の方がむしろ有利だったわけです。ドイツのゲーレンの方がむしろおかしい、極端に楽観的な分析をしていたわけです。
今の米軍、NATO軍はゲーレンの過ちを再び繰り返しているように見えますが、今、見習った方がいいのは小野寺真少将のような人ではないでしょうか?
小野寺真少将の様なというよりも、そういう情報を専門に扱い再確認や責任の所在を受けもてる本部を作る必要がある。という事を言ってるのではないかな?むしろ今は小野寺真少将の様な存在の片手間仕事に頼ってしまってて、それでは負担が大きい上に意見も重用され難いというか…高度な情報として高められる権威ある機関として更にそれを政治的に後押し出来る様にしないと過去の様に絵にかいた餅になりかねないと。
かつてあるレベル以上の詳細情報というものはとても貴重なものでした。
しかし、現在の我々は高度なネットワークと情報収集にアクセス出来る特殊な状況にいるとされています。
例えば、このサイト一つにしても、かつては専門機関が取り扱う様なデータを軽く用いる事が可能となっており、多くのニュースや情報機関の分析報告や民間や私的な検証分析報告等をすべて並べて比較検討するという事が可能となっています。
当然ながら、秘匿情報や現地の詳細な情勢等については情報機関の方が多くを得られる訳ですが…ここまでの条件が揃った場合、より重要なのは「情報を比較検討したりその情報から何を読み出せるのか」という能力が重要になってきます。
つまり、時によっては民間の名もなき者のつぶやきが物事の深層により近付いている事があるという事なのでしょう。
また、公的なデータであれ詳細不明なデータであれ、その中には誤報や誤解、意図的な虚報、それらに振り回されたものなども紛れ込んできます。
特定のグループが今まで思いつかなかった面白い分析であった場合も、そこから情報ソースの再確認や、どこかから受けた影響等を差し引いて再分析する専門家が必要となるという訳なのでしょうね。
コロンブスの卵とはよく言ったもので、常にプロが発見で先んじられるとは限らないという事です。むしろ、後になって重要な見落としに気付くなんていうのは過去の事例からもよくある話ですので…
例えば、どこかにウクライナに供与弾薬が眠っているなんていう発想もプロに任せたままだったならば当面は出てこなかったでしょうね。彼らは専門性が高い上に、その範囲が狭すぎたり、ルールに縛られ過ぎていて実は気付いていても言えなかったりする事もあります。