ウクライナ戦況

ウクライナ人ジャーナリスト、兵士の自己犠牲で前線が支えられている

ウクライナは欧米からの支援以外にも「動員問題」を抱えており、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は「兵士の並外れた自己犠牲で前線が支えられている」「1年間で10日間しか休息を取れない現状は容認できない」と指摘して追加動員の必要性を訴えた。

参考:The Biden Administration Is Quietly Shifting Its Strategy in Ukraine
参考:Мобілізація та війна-2024

欧米からの軍事・財政支援を引き出せても動員問題が未解決のままだと「武器も弾薬もあるのになぜ?」という事になるかもしれない

ゼレンスキー大統領は「全ての占領地からロシア軍が撤退するまで戦い続ける」という方針を維持しているが、欧米からの軍事・財政支援が不明瞭な上、まともなローテションや休暇もなく22ヶ月間も戦い続けてきた兵士達は疲れ果て、行き詰まった動員計画のせいで新たな人的供給も損失をカバーできなくなっており、戦略的勝利に結びつくような反攻作戦を2024年に仕掛ける可能性は相当低く、ロシア軍の防衛戦術を取り入れて「ロシアやベラルーシと国境を接する地域」や「国内の前線地域」に地雷、対戦車溝、対戦車障害物(龍の歯)、鉄条網、塹壕、コンクリート製の防衛陣地で構成された防衛ラインを建設中だ。

出典:Командування Об’єднаних Сил ЗС України

米国のPoliticoも「バイデン政権と欧州当局は反攻作戦の結果を受けて静かに戦略の変更を協議している。ウクライナはロシアに対する完全勝利(占領された全てのウクライナ領解放)を主張しているが、欧米は最終的な戦争終結交渉におけるウクライナの立場を改善することに焦点を移しつつある。これは交渉過程でウクライナ領の一部をロシアに明け渡すことを意味するだろう」と報じている。

バイデン大統領は2022年2月以降、ゼレンスキー大統領が掲げる対ロシア戦勝利の公約を全面的に支持し続けてきたが、政権に近い議会関係者は「和平交渉に関する話し合いは始まっているものの、政権はバイデン大統領の政治的リスクのため公に引き下がることができない」と指摘、一部のアナリスト達は「バイデン大統領がウクライナ支援に関する表現を『必要な限り』から『可能な限り』に変更して『既にウクライナは大きな勝利を手に入れプーチンは失敗した』と述べたのは一種の暗示だ」と信じている。

出典:Президента России

CIAの元ロシア分析チームに所属していたジョージ・ビーブ氏は「バイデン大統領の勝利発言は事実(短期戦での勝利に失敗)であるものの時間の経過はウクライナの労働力や産業能力にとって不利に働く。これは西側の支援があっても同じことだ。この状況が長引けば長引くほどロシアを交渉テーブルに着かせるため我々は事前譲歩を余儀なくされる」と指摘。

インテリジェンスの専門家として米陸軍士官学校で働くアンソニー・ファフ氏も「防衛にシフトすることでウクライナ側は資源を節約することができプーチンに妥協を迫る時間も稼ぐことができる。さらに防衛へのシフトは『これ以上の成功が見込めない』とロシアに悟らせることが出来るかもしれない」と、ワシントンに駐在する欧州の外交官も「ロシアとの交渉立場を可能な限り強化するため『ウクライナのNATO加盟を早める』とEUはアピールしている」と述べており、ウクライナは大きな方針転換を迫られている可能性が高い。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

ウクライナにとって2024年の重要課題は「欧米からの軍事・財政支援を引き出せるか」「長期戦を支えるための追加動員を実行できるか」で、前者の課題はウクライナだけの努力で何とかなるものではないが、後者はウクライナ人自身が解決すべき課題だ。ウクライナ人ジャーナリストのユーリイ・ブトゥソフ氏も「この国の防衛能力、前線の状況全体、戦場で任務を果たしている人々、冷たい塹壕で戦う人々の将来を決定するのは動員次第だ」と訴えている。

“戦場で戦っている兵士達は部隊のローテションを増やし、きちんと定められた休暇を取得できるようにする決定を待ち望んでいる。疲れ果てた兵士や部隊を交代させられるかどうかは動員にかかっている。戦争は兵站の戦いであり、兵站には軍需品や物資だけではなく人的資源の供給も含まれ、ウクライナ軍が軍事作戦を実行できるかどうか、攻撃を仕掛けられるかどうか、これが成功するかどうかは兵士の数(武器や弾薬あっても肝心の人間がいないと意味がない)によって決まる”

出典:Генеральний штаб ЗСУ

“これらの要件は事前に計算され、政府は必要な資源を軍に供給しなければならない。勿論、この問題が難しいことは理解しているものの、もう20ヶ月前に戦いへ参加した兵士達が前線での任務を継続するのは困難だ。誰かが戦いに疲れ果てた者、戦いで負傷した者、戦いで戦死した者の代わりを務めなければならない。そのためには質の高い防衛計画が必要で、だからこそ動員に関する議論が白熱するのだ”

動員に関するブトゥソフ氏の記事は「2024年の動員計画に関する政府の取り組み」「動員に関する法律の変更点」「徴兵制の廃止」「動員予備軍の創設」「ローテションの実施や休暇の取得状況」「50万人の追加動員に関する私見」「兵士1人を確保するのにかかるコスト」「復員=動員解除」など広い範囲の問題に言及しており、これを分かり易く要約するのは難しいので興味のある方は原文にチャレンジして欲しいが「そんな時間は無い」という方のためにポイントだけ書き出すと以下のようになる。

出典:PRESIDENT OF UKRAINE

“ゼレンスキー大統領は50万人の追加動員について「これらの人々をどこから集めるのか」「動員に必要な5000億フリヴニャをどこから調達するのか」と述べて参謀本部に再検討を命じたが、これは動員問題の責任を大統領府から軍に押し付けただけだ。大統領府や政府は2024年の戦争戦略も動員戦略も準備していなかったのだ。この2年間何をやっていたのか、最高司令官を務めるゼレンスキー大統領主催の最高司令部は2年前から毎週開催されているのに何をやっていたのか。動員に関する憲法や法律によれば動員の責任者は最高司令官を務めるゼレンスキー大統領だけだ。これは憲法と法律の両方で明確に規定されている”

“本来ならゼレンスキー大統領が「動員はこうあるべきだ」と国民に說明すべきだったのに何も言わなかった。記者会見での彼の発言は理解しにくいものだったが自身が(動員に対して)何を提案しているのかさえ明かさなかった。つまり大統領府や政府は動員の責任を負いたくないのだ。国民の僕も参謀本部が動員に関する全てを担うことを望んでいる。動員に関する否定的な意見や批判は政治家ではなく軍に向かうよう仕向けているのだろう”

出典:Генеральний штаб ЗСУ

“最高司令官の代わりにザルジニー総司令官は動員について「一定数の人的資源が必要(敵に知られてくないという理由で何人必要かは明言を避けている)」とだけ述べたが、同時に「財源を管理しているのは政府」「国の人口統計指数を管理して潜在的な動員数を計算するもの政府の仕事」「そのため軍は動員法案に関する政治的責任を負っていない」と軍の立場だけは明確している。結局、シュミハリ首相率いる内閣は動員法案を最高議会に提出したが、未だに首相を含む内閣の誰も法案の内容を国民に說明していない”

“最近訪れたバフムートでは歩兵が著しく不足していると断言できる。現在の前線は並外れた自発性や道徳性を備えた兵士の自己犠牲で支えられており、ここで出会ったある兵士は1年間もバフムートで戦い続けていた。彼が取得できた休暇は年10日間(法律では30日の休暇が義務付けられている)過ぎず、2023年もローテションなしに4ヶ月間も前線で戦い続けた。2週間に1度の頻度で街に入浴しに行くが、朝までには自分のポジションに戻り、3日~4日ほど前線で過ごして後方の小屋で眠る生活を繰り返している”

出典:Генеральний штаб ЗСУ

“この兵士は年齢が若いものの現在のまま生きて行くのは難しいだろう。何故なら人間には休息が必要だからで「1年間で10日間しか休息を取れない」というのは絶対に容認できない。この状態を緩和するためローテションを増やす必要があるが、代わりの兵士や部隊がない状態ではローテションを増やすのは不可能だ。我々が今直ぐ議論すべきは「新たな法案の必要性」ではなく「如何に効率的に動員を行なうか」で、ローテションを増やすに何人必要なのか、この動員が社会から支持させるためにはどうすればいいのか、国が動員された人々を効率的に活用するにはどうすればいいのか、どれも国がやっていないことばかりだ”

ブトゥソフ氏は他にも「もう動員は強制でなければならない」「そのためには戦争の目的や何をどうするのかを具体的に提示する必要がある」「新たな人的資源を確保するには実態経済を支える分野から動員しなければならない」「恐らく50万人という数字はウクライナの潜在的に動員できる最大数で1度に50万人を動員する訳でない」「恐らく1年から1年半の間に段階的に招集されるだろう」と述べているが、これ以上を知りたい方は原文にチャレンジしてほしい。

出典:Оперативне командування “Схід”

西側諸国の支援が約束通り供給されていれば「2023年の反攻作戦が成功していた=ロシア軍の防衛ラインを突破してアゾフ海に到達していた」かは何とも言えないが、現在の劣勢は「米国のウクライナ支援が滞っている」ことだけに原因があるのではない。

ゼレンスキー大統領はバフムートを巡って激しい戦いを演じていた2023年1月「軍に追加の予備戦力を確保するよう指示した」と明かしており、プロパガンダを拡散するロシア人ではなく「ウクライナ人ジャーナリスト」「ウクライナメディア」「海外メディア」も2023年に兵士不足、ローテションが行われていない状況、動員問題を何度も取り上げていたため「反攻作戦後に降って湧いた問題」ではなく「前々から予見されていた問題」で、反攻作戦の成功=戦争の早期終結を信じすぎて動員問題から目をそらしていた可能性すらある。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

ウクライナが抱える動員問題は非常に難解(軍事委員会の不正は同問題の一端に過ぎない。ウクライナの義務的徴兵制度と予備役を管理するシステムが時代遅れな上、基本的に徴兵を延期する合法的なカテゴリーが無数に存在するため対象者が実際に徴兵されるケースは非常に少ないらしい。動員も同様の問題を抱えているため「ロシアとの戦争に参加する」という認識の部分に大きな問題が潜んでいそう)なので一般受けしないと思われるが、欧米からの軍事・財政支援を引き出せても動員問題が未解決のままだと「武器も弾薬もあるのになぜ?」という事になるかもしれない。

因みに、タラン国防相の顧問を務めたこともあるブトゥソフ氏は知名度を活かしてロシア軍と戦うウクライナ軍の戦果をTelegramに毎日投稿し、不足するFPVドローン調達のため資金集めに協力するなど精力的にウクライナ軍を支援している人物だが、それだけに現在の状況が歯がゆいのだろう。

関連記事:激しいバフムート巡る戦い、ゼレンスキー大統領が追加動員を行うよう指示
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • uralT72
    • 2024年 1月 04日

    細かい話でなんだけど、最高司令部会議は「毎日」ではなく「毎週」では?

    6
      • 航空万能論GF管理人
      • 2024年 1月 04日

      確かに。修正しました。

      11
    • 無名
    • 2024年 1月 04日

    軍が人も装備も足りないって話は随分前からありましたけど、やる気ある人は自発的に志願してるだろうから今の徴兵の対象は戦争に興味ないというか行きたくない人でしょうね。
    既に徴兵逃れで国外に逃げようとしてるのも度々問題になってるし、実際に強制的にでも徴兵って話になるともっと逃げようとする人も増えそうなような。

    まあ、まず徴兵する為の人と金が無い問題があるし、もし徴兵出来たとしても今度はそれを維持する為に人と金が更にいるようになるんで課題は山積みでしょうけど。

    というかやっぱり大統領や政府は徴兵の問題での責任取りたくないんですね。
    政府や官僚、警察の身内は徴兵されてない話あるし、国民からはまずその身内も徴兵されるべきって話も出るだろうけど。

    19
      • たむごん
      • 2024年 1月 04日

      仰る通りです。
      上級国民・エリート層との格差が、本土決戦中であるのに本当に大きいと感じています。

      首都キエフでは、バーやクラブで遊んでいる様子が、SNS・ネット・テレビ番組などで流れているんですよね…

      >政府や官僚、警察の身内は徴兵されてない話あるし、国民からはまずその身内も徴兵されるべきって話も出るだろうけど。

      4
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 1月 04日

    少なくとも2022年の時点では展開している兵数はウクライナ軍のほうが多かったはずなのですが、現状では兵数が逆転しているんでしょうか?
    そうであれば、反攻作戦で大損害を出した事を差し引いても、世間で言われている「ウクライナ軍の損害は少なく、ロシア軍は毎日死傷者を多数出している」というのは真っ赤な嘘だという事になります

    であるとすると、ウクライナ国民に対して「ロシア軍に大損害を与えている」と言い続けてきた立場から追加動員の正当性・必要性を適切に説明して理解を得る事は非常に難しく、強制的にならざるを得ないと思います

    まさか支援国に表立って「人もくれ」とは言えないでしょうし、どうするのでしょうね…

    30
      • 774
      • 2024年 1月 04日

      侵攻の前日にバイデンが「ウクライナで戦争が起きても我が国は軍を派遣しない」と表明してしまいました
      今更アメリカ軍orNATO軍を派遣してくれと言われても誰も支持しないでしょう
      今ウクライナ政府がやるべき事は停戦交渉の一択です
      本来やるべき時にやらなかったツケが今回ってきているのですから、多少の譲歩や損失は覚悟しなければなりません

      28
    • つぐみ
    • 2024年 1月 04日

    大規模動員が可能か否かはウクライナ国民のやる気次第で、欧米諸国からの軍事支援が調達可能か否かは欧米市民のやる気次第で、

    ウクライナ側の戦況が改善する材料が見当たらない状況でそういう曖昧な要素に依存せざるを得ない悲惨さといえば、言葉に尽くし難いね…

    18
      • 古銭
      • 2024年 1月 04日

      ウクライナの動員問題に関する国民の意識が曖昧かというとそうでもありません。
      14年の紛争で復活した徴兵制に猶予条件等が次々と加えられたり、徴兵制(再)廃止議論が政治的タブー視されずに政権中枢ですら度々起こっていたことを考慮すれば、”他の誰かがやってくれる限り”以上のものではなかったでしょう。軍以外でも生きていける社会の人間なら当然と言えば当然ですが。

      国家元首はどのような経緯があろうと最終的に責任を負う立場ですが、ゼレンスキー大統領が政権初期の数年に政治的リスクを承知で試みた対露融和を頓挫させたのが誰かと考えた時、有権者とは実に自由な立場です。

      15
    • ポンポコ
    • 2024年 1月 04日

    今も拉致のような動員の動画がウクライナから発信されているので、動員自体は続いていると思う。(例えば、軍人がスポーツクラブを封鎖して中の人を検問している動画もあった)

    動員問題は、昨年、軍事委員を解任して前線送りとかにしたのが原因だと思う。

    そのため急に9月から動員力が落ちている。確実でない数字だが取り敢えず数字をあげると、今まで月に4、5万動員していたのが、昨年の9月に1万に急減した。その後やや回復したと思うのだが、軍が最低限の維持に必要とする2万に達していないのではないか。

    動員力が回復していないのは、動員問題は人気がないので、ゼレンスキーは関与したくないからだと思う。

    13
    • 58式素人
    • 2024年 1月 04日

    動員は法的根拠が必要でしょう。政府の責任でしょうね。
    動員規模を検討するのは軍部でも良いですが、実行は。
    長期戦だし、国民の協力が必要でしょうね。説明が必要でしょう。
    今までの損害/収支についても明らかにする必要が出て来るのでは。
    あと、変な言い方ですが、省力化も必要でしょうか。
    例えば、3人で運用しているT72を、AI化を進めて将来は1人で運用するとか?。
    例になるかわかりませんが、Strv103戦車は、1人で動かすことはできるそうです。
    当然、整備と補給は別勘定になるでしょうが。

    4
    •  
    • 2024年 1月 04日

    動員問題と追加支援が満額回答を得られたとして、それで明るい将来が得られるかというと良くて現状維持だろうし、まあ誰も責任取りたくないよね
    うちの国はお国のためにで動員規模を維持できたけどウクライナ人にそんな愛国心あるんだろうか

    6
    •  
    • 2024年 1月 04日

    人海戦術しか能のない軍が人海戦術戦術が採れなくなるのは致命的だな

    7
    • パーレブライン
    • 2024年 1月 04日

    動員兵に関しては冬季の間に錬成を行えば何とかなるのかもしれないですがロシアとの落としどころが見えなくなっているためにウクライナ国民も動員に対して不安視していますよね
    現状ありえませんがNATO及びEUへの加盟が出来れば現状のロシア占領地割譲も有と愚考
    最低でもアメリカとイギリス・ポーランドと相互安全保障条約でも結ばないと相手はロシアなだけに仮に休戦しても地力でウクライナが負けますしね
    まあプーチンの求める非武装中立要求は論外ですが

    4
    • nanashi
    • 2024年 1月 04日

    ロシア軍←人海戦術で兵の命を無駄にする非道な軍隊、独裁国家の屑
    ウクライナ軍←兵の自己犠牲によって支えられる素晴らしい軍隊、民主主義の鏡
    西側の報道)これもうわかんねぇな…

    32
    • 帝国
    • 2024年 1月 04日

     本朝が対米英他との戦争を検討した折、軍と銃後のへの輸送船の配分を如何にするかが大問題になった。軍の需要を優先すれば銃後が不足し、兵站を生み出す銃後が不足すれば前線の軍を維持できないからだ。力量がないのだから、手打ちをするという合理的な結論を出せればよかったのだが、対米英戦を煽りに煽って臣民の支持と膨大なリソースを引っ張ってきた行きがかりから降りるに降りられない自縄自縛に陥っていた。”輸送船が消耗しなければ当面、保つだろう”という無責任な妄想で開戦した。
     ウクライナの動員問題もこれで、人口総体が足りないので無理やり動員を増やすと前線を支える銃後が持たず前線を支える兵站が持たず、動員を増やせなかった場合と同じく前線が保たなくなる。だから苦しいのだが、本朝の指導部同様、敗戦、降伏の個人責任から逃げ、他人の命を以て時間稼ぎの悪足搔きをしてるのだろう。
     無条件降伏時の本朝の人口は徴兵のない植民地を省くと7000万、軍人は400万程度で6%。キエフ政権下の人口はどうも千数百万程度のようだ。仮に現軍人を150万とすると約1割で、降伏した本朝よりも多く国力で維持できる限界を突破しているだろう。老人や女性子供までが前線で戦いローテがないのはその反映だろう。ここから50万の追加動員はできなくはないが、サッカーの全員攻撃、1億総特攻、”2000万死ねば勝つる”式の話で、本朝で起きたように誰がどうやって運ぶんだ?で兵站崩壊→前線崩壊。なお、NATO側は”まだ大学生が残ってんだろ。惜しまず、突っ込め”とか”支援できても、兵隊がいなくて使いようがないかも”と言っていた。
     なお、ゼレンスキーは年頭演説で”ホスト国に送還を要請している。国外にいるものは帰国して戦え!さもなくば国籍を取り消して難民にしてやる”旨、言っていた。一方、女性向けネットアンケだが”徴兵されるくらいなら国籍を捨てる”が7割だったという。
     結局のところ、今のウクライナは1944年冬の日独のようなもの。本朝では大戦での死者の2/3は44年11月から翌8月までの9か月程度で出たという。ここから1年が「本当の戦争」だろう。ゼレンスキーらは”最後の一人まで”と言っていたことの意味がこれからよくわかるのではないか?
     米などによる停戦交渉だが、本朝のソ連仲介の対連合軍講和交渉味がある。ロシアはミンスク合意をはじめ、亡国寸前までさんざん米欧側に騙されてきたので”勝敗は決している。話は聞いてやるが取引(妥協、譲歩)はしない”という姿勢。22年3月に見せたキエフ政権の「国体護持」=停戦は受け入れないわな。

    18
    • ななしびと
    • 2024年 1月 04日

    これで反攻が上手くいってれば追加動員に関することももう少し反応変わったんだろうけどねぇ……
    戦争は継続するべきって国民は多いけど動員については別ってなるとまあそんなもんだよなって思うね。

    5
      • Authentic
      • 2024年 1月 04日

      その戦争は継続するべきという国民が多いって話もどこまで正しいかは分からないけどね
      内心もう止めてほしいけど口には出さない人とかかなりいるでしょ
      アメリカのただの大統領選挙ですらトランプを支持してることを言い出せない人がいたって言われてるんだから
      ましてや国家総力戦やってる国で領土を割譲しても停戦してほしいなんてそうそう言えるわけがないし

      9
        • nanashi
        • 2024年 1月 04日

        そういう人はもう既に国外に逃げてしまったんだと思います。
        逃げられなかった地方の貧困者は荒方動員してしまったでしょうから、
        今残っているのは、動員対象外だった子供、老人、そしてキエフ周辺に居る徹底抗戦派だけど従軍する意志のない、富裕層や特権階級の人たちなんだと思います。
        コレでは追加動員がうまくいく筈もないです。

        9
          • Authentic
          • 2024年 1月 04日

          どうかな
          ロシアが本気で進攻してくると思ってなくて逃げ遅れた人はかなりいるだろうし
          BBCの報道とか見てると国外脱出は簡単じゃなさそうだから逃げたくても逃げられない状況の人は結構いそうだけど

          4
          • ras
          • 2024年 1月 04日

          ある程度推測で悪し様に言ってしまうのですが、志願せず現在も生活している動員対象者で戦争継続を支持する者の多く(医療従事者などの専門職を除く)は、「自分の生死が関わらない範囲で西欧的価値観を強固に選択する」者たち、或いは「ロシアを許せないが戦場に立ちたくない」者たちかと。
          そういった者たちは欧米諸国の援助支持派と同様とみていいでしょう。特に中央都市部では、12月の動員拡大示唆の前夜時点で、戦争支持の世論調査にて9%ほど「領土割譲してもよい」が増加するという形で表れています。
          動員だけでなく、年末年始の大爆撃と情勢悪化の各種ウクライナ報道もあり、市民の動揺が今月の世論調査発表にどの程度現れて来るか注目です。

          6
      • 帝国
      • 2024年 1月 04日

      >戦争は継続するべきって国民は多い
       ゼレンスキーの大統領選挙の公約は”ミンスク合意の実行”で7割以上の得票率で当選してる。その前の大統領の公約もそうだったそうだ。つまり、ウクライナ語話者の多くも含めて”東部2州への大幅な自治権の付与とクリミアの帰属問題の当面の棚上げ”に賛成なのよ。また、2014年の内戦時にキエフ政権は予備役の動員を繰り返したが毎回7割前後が出頭しなかったそうな。前線に出た部隊も戦意が薄く(怒りと大義と義務感が薄弱)、中には分離派側に部隊ごと動いたりしたという。公約を裏切ったゼレンスキーの開戦前の支持率は2割に落ち込んでいた。
       戦時の高揚とメディア統制とプロパガンダで一定、戦意は高揚しただろうが通奏低音としては自分の命を懸けロシア語話者のウクライナ人を殺して東部2州の支配権を取り戻したいとは思わないというのが、キエフ政権下の国民一般の気持ちだろうね。また、「国を守る」というと”愛する人を護りたい”だの「故郷を守る」くらいのことを連想しがちだが、「国防の本質」はゲーリングが示唆したように”貧乏人が特権階級の権益を守るために、何の恨みもない他人を殺し、目や耳や手足を失いおかしくなっちゃうこと”でしかない。腐敗堕落し無茶苦茶なキエフ政権下のオルガリヒだの与党政治家、官僚、ネオナチ、自分たちを鉄砲玉にし肉壁にしやがった米欧らのために戦場に行きますか死ねますか?という話。2014年ごろの東部2州住民は”ロシアになりたい。物価を考えたってロシアになれば最賃も年金も遥かに良くなる”とあけすけなことを言っていた。ロシアが掲げる特別軍事作戦の名目は”脱ナチ化、武装解除、(ロシア系)ウクライナ人のキエフ政権からの解放、中立化”といったところ。平民にとって仇なすことではないし、プーチンロシアが「同胞たるウクライナ人」への「侵襲」をできるだけ避けていることは彼らは気づいているだろう。ロシアが「解放」した地域でのレジスタンスが薄いのも激戦地でロシア軍の解放を待つ住民が西側メディアにキャッチされるのも「解放区」へと逃げ込むウクライナ人の車列が見られるのもそういうこと。キエフ政権は住宅街にわざわざ陣を構えて国民を人間の盾にしてることはアムネスティにばらされていた。米欧は”イラクほかで俺たちがやったようになんで徹底的にインフラを潰さないんだ?無能なのかな?”と見ていたが、解放すべき「同胞」そのものを攻撃することだから抑制していた。だから変電所ではなく発電所を攻撃する方が効果的だが後者を抑制したのだ。米欧が後援するイスラエルのガザ攻撃と対照的。だから、多くのウクライナ人は腐ったキエフ政権体制を守るために障碍者になったり死ぬよりも、豊かでなんぼかマシぽいロシアに占領される方がワンチャンある?くらいの気分に見える。とりあえず莫大な借金と外国に売り飛ばした権益は踏み倒してくれそうだし懐柔のために米国が日本にしたように金も掛けざるえない。だから、前線から「やってらんね~よ」という動画がぽつぽつ上がってくる。ウクライナ兵は南ベトナム政府兵に見える。彼らは前線から逃げもしなかったが戦意が非常に乏しかった。

      20
    • Authentic
    • 2024年 1月 04日

    国民の生存権を否定してまでたかだか二割の土地に執着しつづけて何になるのかね
    ここまできたらはっきり言って異常だわ
    土地(石高)がイコール国力だった戦国時代ですら状況が悪くなればその国力の源泉である土地を割譲してでも和睦したのに
    人材こそが国力の21世紀に1ミリの土地も渡したくないから動けるやつは全員前線に送りますとか馬鹿としか思えない
    それこそイスラエルみたいに土地は狭くても高い産業競争力を持った豊かな国なんていくらでもあんのに

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      • ras
      • 2024年 1月 04日

      実際のところは土地への執着ではなく、正義の行使と強敵に打ち勝つ強力な軍いう自己プロパガンダの神話に酔った結果の現状かと。
      劣勢が明らかな現状では、もはやこのままでは二割の土地だけですまないのは明らかです。既にイスタンブール停戦交渉は存在せず、その後にロシアが4州の併合という形で提示された範囲がスタートです。
      また、たとえ停戦に舵を切っても確実に難航しますし、その間の欧米の支援は今よりさらに減少しかねません。

      また、半分冗談ですが、敗戦した場合の政権上層部は、現状の軍への責任押しつけからわかる通り国民からの責任追及を恐れてますし、たとえ亡命したとしても、ロシアの犯行で変死する可能性を捨てられないでしょう。

      9
    • たむごん
    • 2024年 1月 04日

    ゼレンスキー大統領は、余力のあるうちに、停戦交渉すべきだと自分は考えています。
    交渉は相手があるものですから、ウクライナが不利になればなるほど、条件は悪化していきます。

    トップリーダーの仕事は、汚れ役も大事な仕事です(継戦して改善の見込みがあれば、話は変わるのですが…)。
    ゼレンスキー大統領は、軍が50万人動員要請したと責任を擦り付けていましたが、ザルジニー総司令官が軍が要請した事を『公に否定』しており、齟齬はもう隠せなくなっています。

    ウクライナは、戦後の復興資金を既に使い始めており(日本支援分など)、長期化・消耗すればするほど戦後復興は困難になっていきます。
    ウクライナ海外避難民は、帰国しない事を決断するも者も多くなっており、若者・現役世代に見捨てられる事を懸念しています。

    9
      • Authentic
      • 2024年 1月 04日

      >ウクライナ海外避難民は、帰国しない事を決断するも者も多くなっており、若者・現役世代に見捨てられる事を懸念しています。
      この間新聞にアメリカ人の専門家がウクライナは兵員不足を解消するために動員を強化して国外滞在者も旅券を失効させて帰国させろって書いてて吐き気を催したけど
      今のままいったらもしかしたら本当にそこまでやるかもね

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        • たむごん
        • 2024年 1月 04日

        仰る通りで、自分も懸念しています。

        日本人(世界中で)、ウクライナ戦争のウクライナを応援している方がいらっしゃいますが、そうなると在留ウクライナ人の扱いが複雑になるでしょうね…。
        ウクライナ政府の立場・在留ウクライナ人の意思が異なってくるからです。

        (個人的な意見ですが)違法に出国していた人を帰国させれば、優先的に軍に招集するような、何らかのペナルティーを課す可能性があると考えています。

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