欧州関連

エストニアがHIMARS追加調達契約を締結、新型CV90調達計画を中止

エストニアはLockheed MartinとHIMARSの追加調達契約を締結し、ペフクル国防相は「エストニアはウクライナとロシアの戦争から日々教訓を得ている」「これらの教訓とエストニア国防軍司令官の軍事的助言に基づいて新型歩兵戦闘車(CV90 MK.IV)調達計画を中止する」と発表した。

参考:Estonia to Procure Additional HIMARS Launchers and Ammunition
参考:Estonia purchasing 3 more Lockheed Martin HIMARS systems
参考:Estonia cancels €500M combat vehicle purchase, boosts drone defense

CV90 MK.4調達計画を中止して火力、機動力、状況認識能力の向上、無人システムに注力していくらしい

西側諸国は戦場への火力投射を航空戦力に依存してきたが、ウクライナとロシアの戦争は「高度な防空システムによる接近拒否は成立する」と証明し、これが地上ベースの火力投射能力の再評価に繋がって自走砲や多連装ロケットシステムの新規・追加導入が相次いでおり、バルト三国のエストニア×6両、ラトビア×6両、リトアニア×8両もHIMARSを調達し、エストニアはHIMARSの追加調達を検討していたものの納期が非常に長く、エストニア国防投資センターのマグヌス・サール氏は「もし引き渡しに時間がかかるなら別のものに置き換える必要がある」と言及。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

エストニア国防省は2025年10月「ペフクル国防相と安国防部長官がソウルで防衛協力協定に署名した」「この協定に基づきエストニアはHIMARS部隊を補完するため韓国製のChunmooを購入する予定だ」「この計画はエストニア産業界に対する数千万ドルの直接投資を意味する」と発表、ペフクル国防相は「HIMARSの追加導入についても米国と合意し正確な納入日について回答を待っている」「同時に長距離攻撃能力をさらに強化するため韓国製のChunmooを選択した」「米国製と韓国製のロケットランチャーをベースにした長距離攻撃能力の構築はポーランドでも採用されている」と述べた。

エストニア国営放送は2025年12月「HanwhaとChunmoo調達契約を締結した」「契約額は2.9億ユーロ(6基分)で2年以内に到着する」と報じていたが、エストニア国防投資センターは11日「Lockheed MartinとHIMARS追加調達契約(3両)を締結した」「このHIMARSは2027年中に到着する」と発表し、これでエストニア軍の長距離攻撃能力はHIMARS×9両、Chunmoo×6両となり、HIMARS換算なら21両分の長距離攻撃能力になる。

出典:Kaitseministeerium

さらに興味深いのはペフクル国防相が「エストニアはウクライナとロシアの戦争から日々教訓を得ている」「これらの教訓とエストニア国防軍司令官の軍事的助言に基づいて新型歩兵戦闘車(CV90 MK.IV)調達計画を中止する」「代わりに現在運用しているCV90(CV9035NLとCV9030N)の運用寿命を少なくとも10年延長する」「これには一定の資金が必要になるが新規調達に比べればはるかに安価だ」と明かした点で、CV90 MK.IV調達を中止したことで捻出した約5億ユーロの具体的な使用用途は決まっていないものの、注力していく方向性については以下のように述べた。

ペフクル国防相は「ウクライナ戦争の特定地域で『戦車部隊による通常戦が依然として必要となる』と示したが、主要な争点はますます長距離射撃に移行し、可能な限り遠距離から敵に影響を与えるようになっている」「我々は時代の流れに乗り遅れることなくウクライナ戦争から得た教訓を考慮に入れている」「状況認識能力を向上させるため防空システムの『目と耳』となる部分には追加資金が投入されるだろう」「これらの分野は今後数年間で大幅な能力向上を受けることになる」と述べ、火力、機動力、状況認識能力の向上、無人システムに注力していくらしい。

関連記事:エストニア軍が韓国製ロケット砲調達契約を締結、HIMARS部隊を補完
関連記事:エストニアはHIMARSの長い納期に不満、韓国製のChunmoo購入を発表
関連記事:エストニアがHIMARS追加導入を破棄する可能性、代替システムは韓国製
関連記事:エストニアのHIMARS追加調達、納期次第で他システムを選択する可能性
関連記事:エストニアが3度目となるK9追加調達を発表、2026年までに12輌取得
関連記事:自由に値段はつけられない、エストニア国防相がK9の追加導入を示唆

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

米国が維持する徴兵再導入のための法的枠組み、12月から対象者の自動登録を開始前のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ウクライナ危機、プーチン大統領は着々とウクライナ侵攻に向けて準備中

    米国もロシアも「NATOの東への拡大停止」について一歩も譲る気はなく、…

  2. 欧州関連

    クロアチアとドイツ、ウクライナへの装備移転とLeopard2A8値引きで合意

    クロアチアのアヌシッチ国防相は陸軍近代化について協議するためベルリンを…

  3. 欧州関連

    バフムートを巡る戦い、幹線道路M03でウクライナ軍がロシア軍の前進を阻止

    バフムートを守るウクライナ軍はロシア軍の前進を幹線道路「M03」で食い…

  4. 欧州関連

    エストニアが過去最大のウクライナ支援を発表、FH70やD-30などを提供

    エストニアは過去最大となる1.13億ユーロのウクライナ向け軍事支援を1…

  5. 欧州関連

    ロシア軍に要塞をプレゼントした無能司令官が解任、後任はタルナフスキー准将

    ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は「ポクロウシクの防衛ラインに…

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP