エアバスは今月20日、空中給油機A330MRTTに搭載される自動化された空中給油システム「A3R」の開発フェーズが完了したと発表して注目を集めている。
参考:Tanking goes automatic Airbus A330 MRTT auto refuelling system completes development phase
空中給油システムの自動化でボーイングのKC-46Aに大きく差をつけたエアバスのA330MRTT
エアバスが開発した自動空中給油システム「A3R」は給油を受ける側(戦闘機等)に何の追加装備も必要とせず、A330MRTTのオペレーターはA3Rを起動させるだけで数センチ単位の精度で制御された給油ブームが自動的に受け手の給油口にめがけて伸びていき最終接続のタイミングもシステムが自動的に判断を行い、さらに燃料の移送も全て自動化されているためオペレーターは一連の作業を監視するだけで良く緊張が強いられる空中給油作業の負荷を大きく軽減することが可能だ。
エアバスの説明によればA3R搭載のA330MRTT(自社所有機)を使用して2018年にオーストラリア空軍のKC-30A(豪空軍のA330MRTT)に7回、2020年にポルトガル空軍のF-16に120回自動で給油ブームをドライ接続(ブーム先端と給油口の接続のみで燃料移送はなし)することに成功、これを受けてシンガポール空軍がA3Rを装備する「A330SMART MRTT」開発プログラムに参加。
2021年初頭に実施されたシンガポール空軍とのテスト(F-15SG、F-16C/D、A330MRTTなどが参加)では実際に約30トンの燃料移送に成功しており、この結果を受けてエアバスは「A3Rの開発フェーズが全て完了した」と発表して注目を集めている。
年内に最終調整を施されたA3R搭載のA330MRTTは最終認証テストを受ける予定なので、海外市場における空中給油機のシェア争いでボーイングのKC-46Aは決定的なダメージを受けるかもしれない。
ボーイングが開発したKC-46Aに非常な深刻な欠陥が3つ残されており、1つ目は空中給油作業を監視・制御する「リモートビジョンシステム(RVS)」の映像に歪みが発生して作業が困難になる欠陥、2つ目は空中で給油口に差し込むブームが給油を受ける航空機の機体表面に損傷を与える欠陥、3つ目は現在のフライングブームの設計だと推力抵抗が大きすぎてA-10の給油口にブームを押し込むことが困難な欠陥だ。
但し2つ目の欠陥はRVSに起因している問題なので深刻な欠陥の原因はRVSとフライングブームに2つにある。
この問題を解消するためボーイングは様々な修正が試みたが問題を完全に解決することが出来なかったためRVSとフライングブームを自社資金で新しく作り直しことを決定、新たに開発する「リモートビジョンシステム 2.0(RVS2.0)」が完成するのは早くても2023年頃で順調にテストをパスすれば翌年の生産分からRVS2.0搭載が始まり、新設計のフライングブームは2024年頃に届けることができるとボーイングは予想しているが、これは作り直すRVSとフライングブームが順調にテストをパスした場合の話だ。
KC-46Aも作り直すRVS2.0を半自動もしくは完全な自動空中給油に対応させるとボーイングは主張しているが、まともに動かなかったRVSの基本機能を先に作り直す必要があるため自動化された空中給油システムの市場投入はエアバスよりも大幅に遅れるだろう。
さらに致命的なのがKC-46Aの運用制限で、米輸送軍司令部は給油ブームが航空機の機体表面に損傷を与える可能性を考慮してKC-46Aによるステルス機(F-22A、F-35A、B-2)とA-10への空中給油を制限している。
米輸送軍司令部はRVSとフライングブームの問題が解消するまでKC-46Aの運用制限は継続すると言っているので、KC-46Aを採用した日本やイスラエルは頭を抱えるしかない。
イスラエルが発注したKC-46Aの引渡しは最速でも2024年以降なので運用制限が解除されている可能性も残されているが、日本の発注したKC-46A1号機は年内引渡しなので米輸送軍司令部が実施している運用制限(2号機と3号機も2023年までに製造ラインに乗るので欠陥を抱えたRVSとフライングブームが搭載される可能性が高い)に引っかかるはずだ。
少々話が脱線したがA330MRTTとKC-46Aは現在インド、インドネシア、アラブ首長国連邦(F-35調達予定国)で競合しており、欠陥に苦しむKC-46Aよりも空中給油の自動化対応への道筋が示されているA330MRTT(F-35への空中給油に正式対応済み)の方が魅力的に映るだろう。
関連記事:エアバス、フライングブームによる空中給油作業の自動化に世界で初めて成功
関連記事:日本が導入する空中給油機KC-46A、当面はF-35Aへの空中給油が不可能?
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※アイキャッチ画像の出典:AIRBUS
最近ちょっとボーイングがどんなことをやらかしてくれるか楽しみになってる
自衛隊ぇ・・・
それな。
この人日の丸付けてるよね。
遠回しにイスラエルもディスってるの草
挿入が下手
色んな意味で自信なくすよね・・・
流石世界のエアバスだな
KC-46「F-35の倒し方、知ってますよ(フライングブーム展開)」
ラプターも撃墜できそう
米軍最強の機体w
ボーイングの技術は完全に消えてしまったように見える。
本社の技術陣がリストラされて、航空機の知識の無い5次下請けがやってるように感じる。
稼ぎ頭の737MAXの簡単な欠陥も改修できずKC46の給油システムも作れない。
素人考えだが、デジカメの顔検出システムを流用すれば自動化なんて簡単だろうに。
F-15の延命策がなくなったらボーイングは軍用機部門から撤退するしかない。
B737maxもこけたし商業部門からも撤退しよう(提案)
ここまでボーイングがだめとはね…
T-7Aの契約があるからまだ大丈夫
ロッキードの方が最近は成功してるとはね
もうアメリカはボーイングじゃなくてロッキードを頼った方が良いのでは?
……難しいか?
ボーイングの飛行機は道化が監督し、猿が作っているから仕方ない
日本と同時期に空中給油機事業を推進した韓国は、米国に服従を拒否し、検証されたA330MRTTを注文した。 これを見ると韓国は日本よりもっと先見の明がある国だね。
日本は米国服従が基本ですからな、隙を見て自力で作る枠を拡げるべし、
なのだが、利益が出なくてメーカー達が持ちません。
いや、これは別に韓国に先見の明があるわけじゃなくて、韓国はこれが初めての空中給油機調達だったから純粋にスペックで選びやすかったのと入札にエアバスとボーイングが入ってたのよ
日本の場合KC-46A調達決定以前にKC-767を4機導入済みだったからエアバスが同じ767ベースのKC-46A採用する可能性が高いから入札見送るわってなって、そもそもボーイングしか入札に入ってなかったから選びようがなかった
日本は既にKC-767とKC-130Hを運用してるから、不具合解決するまで当面の間、F-35への給油だけ制限すれば大丈夫ですよね
ただまぁ、ボーイングさんしっかりしてよとは思いますが
本当に先見の明があるならそもそも韓国に空中給油機は必要ない。
しかも、現在韓国空軍には給油管制官が足りてなくて4機中2機は運用してない。
あ、後の2機は部品取り用か。
F-15Kのような機体にこそ空中給油機が必須なんですが…
まあ配備機数が少なすぎるので何がしたいんだとは思う
というか、日本はB767の生産にも参画しており(半国産機とも言われた)、国内の航空会社も大量に運用していた
対して韓国はA330の生産に参画し、韓国の航空会社もA330を多数運用しているというだけの違いでは?
実際、大韓航空の中型機はエアバスばかりだし、アシアナも比較的少数の767を運用しただけだからね
半国産機は痛い表現だね
なんで?
10〜90%くらいなら「半〇〇」って普通に言うでしょ。
採用され部品の日本産比率が多いと言えばいいだけで半「国産」機ってどーなのよって意味
散々お隣の国の国産は国産じゃないって叩くなら半国産なんて言い方はやめた方がいいじゃないかと思っただけで他意はないよ
B767は「日本産部品が採用されている」とか言う次元ではなく「米伊日の共同開発機」だよ?
リンク
流石にもうちょっと調べてから書こうよ
機能面はA330が先行してますが機体規模が大きく運用に制約があるのがデメリットですね(メリットでもありますが)
となりの芝は青く見えるんじゃ
と済ませるにはボーイングのやらかしはかなりが酷いからな
とはいっても、日本にはA330を運用してる航空会社がなく、メンテナンスを委託するところがないから、初期費用的にKC46を採用したのは仕方がない
ワークシェアも日本にあるから、国内産業面での見返りが期待できたのもあるし
普通の国だったら
こんな事態になるなら、自国産で給油機のベース機になれそうな機体があるなら
保険として自国機産ベースの給油機の開発も進めておこう・・・ってなるもんだけど
ただひたすら日本のKC-46導入は仕方がない。それしか選択が無い。完成するまで待つしかない
保険であっても自国産の給油機開発なんてコストがどうのこうのもってのほか
高額なアメリカ製を欠陥機のまま買って、高額のアップグレードも仕方がない当然のこと
半永久的にこのスタンスが国益に適うに違いない・・・だからな
これでまともな愛国者や保守派のミリオタつもりなんだから笑えるわ
これこそがお花畑思考じゃなかったら何がお花畑なんだろう?
日本は普通の国じゃないからでFA
もっとも日本が普通の国だった所でベースに出来る機体がないのでね・・・(そもそもそっちにリソース回せるだけの研究開発予算を回してくれないし)
空中給油用のシステムも作った事がないからそこだけ外注にするとしても相当無理があるので、仮に普通の国だったとしても取れる選択肢はKC-46A初号機が正式に契約される前にもう一回入札しなおしてA330MRTTが入札に入ってくることにワンチャン掛ける事くらいだったんじゃない?
もっともその頃にKC-46Aはもう発覚してたっけ?という話とそもそもA330の運用体系日本にないけどどうするの?という問題は結局最後まで付きまとうので空中給油機の問題に関しては割と詰みに近いかと
あ、いっそ給油機追加導入するのやーめたって言えばまだよかったかも?
つもりって笑われてもそんな宣言も自称もした覚えないから困る
そもそも論として日本がこの手の給油機を導入する意味ってなんなんだろうな?って時代になってしまったのは確かにあるな
米軍からですら台湾有事では役に立たないと駄目だしされてる非ステルス大型給油機を
そのアメリカ仕様のまま日本周辺有事で自衛隊はどうやって有効活用するつもりなんだろうか?
ドクトリンが見えてこないよな
なんで台湾有事の一事だけで全体が語れるんだよw
それはNGADを使った場合のケースと比べて余り役に立たなかったって話だったと思うんだけどね・・・
機体サイズ、それから研究してるエンジンの要素を踏まえると次期戦闘機は航続距離と兵器搭載量を重視してるっぽいので基本的にはそれと同じ方向なのでは?>日本
空中給油機は爆装した攻撃機を一番燃料を使う離陸の後に給油することによって離陸重量と航続距離を延ばす役割もあるから 対艦攻撃を行うF-2には必要
いずも型を効果的に使うにも必要ですよね
めいいっぱいまで武装積み込むと、その分燃料削らないと発艦できないので、近隣に給油機を待機させておく必要が生じるかと
F-35B同士でバディ給油させるのは流石にもったいない
F-2はASM-2を4発搭載して450海里(830km)の戦闘行動半径を誇るけど
830kmじゃ築城から魚釣島には届かんからね。
あとE-767の滞空時間延長、ってのも地味に効くと思う。
給油機がないとそもそも長距離の作戦が立てられなくなりますからね
前線近くの航空基地が使用不能になった際など、状況次第で後方の基地から直行みたいな事もできなくなります
記事を読むと日本に引き渡される機体は対策前の機体になるので、
対策済みの部品を無償か有償かは知りませんが、改修の為に後日アメリカへ再持ち込みになるのでしょうか?
これ有償だとすると、なんか釈然としませんね
KC-46はFMSでの購入ですので、機体の性能・信頼性は米軍が保証することになっています。ボーイングの改善案で試験をパスすれば、米国に戻してアップグレードされるでしょう、無償で(無償だといいな)。
ブローブ・アンド・ドローグ方式に問題が無いなら、南西諸島方目での使い道はあるか。