エアバス防衛部門のトップは、新型コロナウイルスによって発生した経済的ショックが欧州で計画されていた複数の戦闘機プログラムを手の届かないものに変えてしまったので「統合」されるべきだと指摘している。
参考:AIRBUS WANTS FCAS, TEMPEST MERGER TALKS IN 2021
2つの次世代戦闘機開発プログラムが欧州で競い合うように顧客を奪い合えば良い結果にならない
エアバスの防衛・宇宙部門の総責任者ダーク・ホーク氏によれば、現在欧州では英国の主導する「テンペスト」と仏独が主導する「FCAS」の2つの次世代戦闘機開発プログラムが進められているが、新型コロナウイルスの影響でダメージを受けた経済的状況では両方とも手が届かなくなる恐れがあるので、英国のEU離脱に伴う貿易交渉が完了して防衛に関するルールが確定すれば英国と欧州は次世代戦闘機開発プログラム統合へ向けて話し合いを開始するべきだと訴えている。

※出典:JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0 第6世代戦闘機「FCAS」モックアップ
ホーク氏は「あのサイズのシステムを英国と欧州が競い合うように開発しても市場規模が小さすぎて十分な量を販売することも購入することも不可能で、ユーロファイター、ラファール、グリペンを並行開発した過去の過ちは繰り返してはならない」と主張、もし2つの次世代戦闘機開発プログラムが欧州で競い合うように顧客を奪い合えば双方の規模が小さくなり「主導的な役割」を果たせなくなるのは明らかで、これは英国にとっても欧州にとっても悪い結果にしかならないと付け加えた。
ホーク氏が言う「主導的な役割」とは、恐らく規模が小さくなれば影響力が狭まり革新的な技術やアプローチを提唱しても普及せずに埋没してしまう=主導的な役割を果たせないという意味だ。
確かに新型コロナウイルスの影響で欧州の主要国は経済状況が悪化しているので、これを理由にすれば2つの次世代戦闘機開発プログラムを統合する良いキッカケになるだろう。しかし、英国のテンペストと欧州のFCASとでは1つだけ大きな違いがあるので両プログラムが統合されるかは未知数だ。

引用:BAE Systems テンペスト
仏独が主導する「FCAS」は未だに欧州の枠組み囚われた価値観の元で進められているが、EUから離脱したことで欧州の枠組みに囚われる必要のない英国が主導する「テンペスト」は開発段階から潜在的な顧客の取り込みに制限がないので今更「欧州の枠組み」に戻れと言われても難しいかもしれない。
今の所、開発参加に声をかけた日本が参加する可能性は限りなく低い(部分的な技術の共同開発に留まる方向)が、拡大を続ける中国対抗やF-35製造に参加中の自国防衛産業を更に発展させるため豪州は英国のテンペスト関与に興味を抱いている。
さらに石油輸出による収益を背景に兵器を買い漁ってくれる上客だった中東の国々は、ここ最近自国の防衛産業育成のため現地生産や技術移転を要求するなど考え方が変わってきている。特に武器輸入額で常に上位をキープするサウジアラビアは米国製の多用途ヘリS-70(UH-60の発展型)の製造に参加するなど確実に防衛産業ビジネスへの参入度合いを高めており、英国がテンペスト導入と引き換えに開発や製造への参入を認めれば仏独が主導する「FCAS」より先に中東を囲い込める可能性も0ではない。
このような動きが可能なのも英国が欧州航空産業維持のため共通利益を確保しようとする「欧州の枠組み」に囚われていないからであり、EUを抜けた英国が欧州と次世代戦闘機開発プログラムで迎合しても英国の存在感が埋没するだけだ。

出典:Airwolfhound from Hertfordshire, UK / CC BY-SA 2.0
結局、欧州の枠組みを強力に主張するフランスにとって今回の「FCAS」開発はNATO加盟国に全く受け入れてもらえなかったラファールのリベンジだと考えているのだが、英国は今後の兵器輸出ビジネスは利益や技術を独占するのではなく、ある程度共有する形にしなければ輸出が難しいと考えているのかもしれない。
関連記事:ラファール失敗は単独開発? フランス、反省を生かした第6世代戦闘機開「FCAS」で共同開発の罠に嵌る
以上のような理由から、英国の主導する「テンペスト」と仏独が主導する「FCAS」は技術的に統合可能でも欧州の枠組みや兵器輸出ビジネスに対するアプローチが異なるので、これを1つにまとめるのは難しいと管理人は思っているが、では英国のやり方が正しいのかというと正直自信がない。
※アイキャッチ画像の出典:Swadim / CC BY-SA 4.0 第6世代戦闘機「テンペスト」のモックアップ
でも、フランスは意に反したとして離脱する
ユーロファイターの悪夢再びという予感しかしないがな
国王の居なくなった独仏の政治は、酷いもんだな
国王がお粗末だったので、廃位されました。
複数あったほうがロマンはあるので統合はしないでいただきたい。
というかそもそもFCASのほうは碌に高出力エンジンの開発経験がないドイツにやらせてる時点でもうダメなにおいがプンプンしてるし財政難抜きでもそりゃイギリスに泣きつくだろっていう
エンジンってドイツ担当でしたか
スネクマがやるもんだと思ってた
いや、ドイツ単独でやるわけじゃない。
フランスとドイツの共同。
エアバスに、何の関係がある?
また、ロクでも無い軍用機つくって、補てん費用のくれくれか
もしテンペストとFCASが統合されるのなら片足突っ込まなかった日本の危機管理能力は結果論にせよ大したモノですな。
ユーロファイターの二の舞になるフラグびんびん。
アドーアの悲劇で痛い目に遭ってるから日本が戦闘機開発で欧州と手を組む可能性は低い
イギリスはF-35Bがあるから、艦載機作りたいフランスと共同開発するのは無理では?
色々な可能性はあるんだろうけど、
根本的な問題としてフランスが「艦載機」を捨てなければ統合は無理でしょう。 もっと言えば、ドゴールに替わる次期・制式空母をあきらめる(F-35Cを買うのならフランス誇る兵器産業に寄与しないから無よね フランスの主要産業は農業、原発、防衛産業、衛星・・・)
むしろイギリスがQE・POWをCTOL化して艦載機を採用すればスムーズに行くかも。
ラファールを見ると仕様が合理的なら艦載機は成功するし、空母を英仏で共同利用できればメリットも大きい。完成すればF-35Cより高性能(特に搭載量と機動性)だし、Bは売却しても同じ艦上で使っても良い。
ならもうF-35でいいじゃないかな。
エアバスさんのセリフを意訳すると
欧州の次世代機市場はウチが独占したいから、
お前ら此方の傘下になれ
かな?
間違い無くソレ
でもコロナショックを機会にアジアも欧州も不穏な空気が漂っていますから、再び戦争の時代(冷戦・熱戦)になって軍事予算が増えれば、また欧州各国が戦闘機作ってもペイするかも
欧州第4世代カナードデルタ3機種も、開発開始は冷戦時代ですから。冷戦が終わった“平和の配当”で各国が軍事予算を削減したのが、各機種の導入数削減やユーロファイターの開発遅延の原因な訳で
チームテンペストには合流するメリットが無いように思えるのですが…
欧州は案外、自由競争を嫌がりますよね。どちらもがやれる限りをやってみれば多少傷を深めても違う地平線が見えるだろうと思うのですが、妥協し内々で手打ちを図ろうとすればじり貧しかないでしょう。その点ではまだイギリスの方が覚悟と決断力があると思います。
西欧は、血眼になり量産機型の機種にゾッコン
そこには、輸送機と戦闘機に入れ込み過ぎ、挙句にマルチロール機に拘るが・・
アメリカほどの機種は要らないが、英国軍程度の多様性がいるのでないか
そりゃま切磋琢磨して成長しようなんて気が更々無いもの
いかに自分達に有利な環境作って主導権握るかしか考えてない
モータースポーツや自転車競技系の機材なんか毎回このクズ気質のせいで日本がワリ食ってるじゃん
実は欧州の技術力なんて大した事無いんだよね
この手の統合プロジェクトってフランスがわがまま言って全て台無しになるイメージ
「仏がわがまま」って言うけど独も大概ですよ。
少なくとも今開発中の戦車と戦闘機に関して言えば
独の方が無茶言ってる印象。
何にせよ「英独仏で仲良くやろう」なんて、
歴史的に考えて上手くいくとは到底思えないですね。
フランスは、国民の幸せより、元植民地アフリカや原油などのアラブ利権が優先してるね
ドイツは、西欧を見捨てるんじゃないか
コロナでも、フランスの支援要請をドイツは断ったかも
そこにEUも見捨てたイタリアのコロナの悲劇、、、EUは分裂まじか、、、元々ドイツは東欧なんだけどね
【ロンドン時事】英誌エコノミストの調査部門は17日・・・
日本はギリギリ及第点 新型コロナ対応、検査で最低評価―英誌調査 2020年06月18日
欧米の白人は狂ってるかも・・
3月には3密云々の見識を示した日本
同見解を5月に漸く出してきたアメリカ
6月に上記に理解を示しだしたドイツ
日本の新型コロナ対応への評価、
不当に低いように思えます。
そもそも、日本で流行した新型コロナは主に欧米由来のようだし、
欧米が本当に高い効果の対応してたら、日本はこんな苦労せずに済んだものを﹙恨み節﹚。
アベが悪いよアベが
さすが全能神への熱い期待は変わりませんね
西欧といっても、それぞれの国で必要としている性能が違うからなぁ……。
>経済的に無理、英国と欧州の次世代戦闘機プログラム統合を訴えるエアバス
世界の中心、世界で最も進んだ先進国、とかいうが威張りたいだけで程度の低い民族である
アジア(特亜除く)のように、平和な社会が築けない思想だから、、それは、世界に先んじた大戦を数回もやって自爆した
欧州以外の国から見たら、アホの楽園、、
経済的に無理、というのも未だ経済植民地でブロック経済の国であり内需も理解出来ないから経済も進化しない
じつは、すでに世界の中心でも無く、人口で言えばアジアにも及ばない人口なのだそうだ
欧州は勝手にやっテロの世界、、そう、欧州は世界に出てくるなの時代、勝手に欧州戦争やっテロと
あのHondajetの拠点みても、欧州には1カ所であり、米国には7カ所もある
米国に比べてびんぼくさい欧州としかいえない
この様子だとEU各地で採用されたファーウェイの5G網の様に
中華製戦闘機がEUの空を守る日も近いかもしれんね
まあアメリカは今後内乱と頭脳流出で終了だろうし、マトモに新規戦闘機を開発できる国は中露二国のみになるかもな
EU的に暗黙の仮想敵国であるロシアの機体を導入はありえないだろうが直接の脅威になりえない中国機ならワンチャンあり得るかもしれん
10年後にはドイツの空を鉄十字付けたJ20が飛んでるかもよw
本記事の内容、コメント共に質が高く様々な意見を拝見しました。
矢張り余計な釣り針のコメントが無ければ、コメンターからの良質かつ意外性のあるコメントが得られるように見受けられます。
これぞブログというものを堪能致しました。
宇宙世紀のガンダム世界で言えばAE社がマラサイとネモを同時期に開発するのは経済的に無理なのでティターンズとエゥーゴに対して統合してネモサイにしましょうと提案する様な感じ?
統合しようにも想定する任務が違えば作れないし、すり合わせれば中途半端。
現実的にはF-35シリーズに陥って終わりだろうな。
それでもモノにするにはさらなる金がかかる。
諸氏の意見にもあるように、統一されない本質は、艦載機型の有無とエンジン(RR、サフラン、MTU)の利権でしょ。
機体や電装側から呼び掛けても、纏まらないんじゃ?
時間をかけて丁寧に書いても、気分や心情で載せないのは、失礼じゃないですか?
しかも、今回が最初ではないでしょう。
他人の時間を奪っていることを、自覚しましょう。
例えば、字数などを制限したいのなら、その旨を明記しておけば、
その分、人の時間を奪うこともなくなる。罪深いですよ。
ところでユーロファイターは、十分な量の購入と販売が出来たのかな?全世界で570機は十分少ない気がするけどね。
>並行開発した過去の過ちは繰り返してはならない
並行開発の過ちよりも、タイフーンのような失敗作を作った過ちの方が繰り返してはならないと思う。
その点、FCAS陣営のドイツにそもそも先進的な戦闘機を作る技術力が今現在あるのだろうか?
75年前と違って。