世界的な航空宇宙産業企業であるエアバスの防衛部門は、総利益の1/5を稼ぎ出している。しかし予定されていた受注や納品が遅れていることを理由に2,000人以上の従業員を2021年末までに解雇すると発表した。
参考:Failure to launch defence contracts left Airbus workforce to take hit
エアバスの防衛部門はドイツの禁輸措置と不正のダブルパンチで危機的状況か
要するに戦闘機などの軍用機や衛星を製造しているエアバスの防衛部門「エアバス・ディフェンス・アンド・スペース」は製品の出荷数に対しバックオーダーを積上げるための新規受注が減ったため、現在の雇用水準がこの先維持できないと判断したのだ。
エアバスの発表では受注や納品の遅れが原因と言っているが、これは主に戦闘機ユーロファーター・タイフーンや空中給油機のA330 MRTT、新規開発の輸送機A-400Mを指しているものと思われる。
ドイツは2018年に発生したジャマル・カショギ氏殺害事件に関するサウジアラビアの説明に納得できないとして武器輸出を禁止する措置をとったため、サウジアラビアが空軍向けに追加発注したユーロファーター・タイフーン48機の輸出がストップしてしまった。
さらにサウジアラビア空軍が導入した空中給油機A330 MRTTには、空中給油を構成する重要な部分にドイツ製の部品が使用されており保守部品に問題を引き起こしている。そのためエアバスはA330 MRTTからドイツ製部品を取り除くため代替品を探しているが、これを実行すればA330 MRTTは空中給油機として機能することを再実証しなければならず、そのコストを負担しなければならない。
この状況を最もシンプルに改善するには禁輸措置を行うドイツを説得することだが、ドイツは周囲の説得に耳を貸さず2019年9月に禁輸措置を6ヶ月延長することを発表した。そのため2020年3月31日までは禁輸措置が継続され、サウジアラビアがドイツを納得させるだけの説明を行わない限り禁輸措置は延長が繰り返されることになる。
サウジアラビアが発注したタイフーン48機は英国の生産ラインで組み立てられる予定だが、現在生産中のクウェート空軍向け28機の組み立てが終了するまでにドイツの禁輸措置が解除されなければ英国のタイフーン生産ラインは宙に浮くことになる。
因みにクウェートから受注した22機のタイフーンはイタリアの生産ラインで組み立てられているが、現在、クウェートではタイフーン採用に関する過程でエアバス側から不正な資金が政府高官に渡ったとして告発されており、契約通りタイフーン引渡しが実行されるのか怪しくなってきた。
さらにタイフーンを導入したオーストリアも導入過程でエアバス側から不正な資金が政府高官に渡ったと告発され訴訟問題になっており、もはやエアバスにとってタイフーン輸出はトラブルの元になっていると言ってもいい。
さらに新規に開発した輸送機A-400Mは技術的な問題解決のため生産が遅延、これを解決するためエアバスは追加投資を余儀なくされており、このプログラムは資金を浪費する泥沼化状態になってる。
エアバス本体の民間機部門も複数の不正が露見し米英仏捜査当局との話し合いの末、約40億ドルの罰金を支払うことで合意、ボーイングが737MAX機問題で身動きが取れないすきを突く体制を整えつつあるが、エアバスの防衛部門は今後も厳しい状況が続くと見られている。
特に戦闘機タイフーンは不正な資金のイメージが強まれば今後の採用にも影響を及ぼす可能性が高く、生産ラインの閉鎖を決断しても不思議ではないと管理人は見ている。
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ドイツってほんとクソだなあ
自分だけ困るなら勝手にしろと思うが、周辺国を平気で巻き込む姿勢はヨーロッパの難民大量受け入れにも同じ事が言える
タイフーンはオワコン
じきに価格でもF35に負けるだろう
ボーイング「ナカーマ♪」
と言うか、旅客機二大メーカーが揃って同じ分野で炎上(炎上の仕方が異なるが)して、どうするんでしょうねぇ……
ロッキードもダグラスも大型旅客機で炎上してたし、大型旅客機メーカーは炎上するのが伝統なのでは?
経済はまぁまぁだし自国はEUの盟主、宿敵ロシアは東に遠く後退、国内政治は首相レームダック状態。軍隊は縮小し票にならんし、クーデターの心配も無し。
正に政治の季節の到来ですな。しかも危機は遠く、政治で遊べる時代の。(まわりは迷惑だろうが)
そのEUが英国離脱の穴埋めを巡って、大きく揺れていることを考えると、春と夏を謳歌できる時間が、どれほど残されているでしょうか?
もうEUはオワコンだな、ブレグジットのイギリスは大正解。
なんとなく赤壁の連環計を思い出した。
やはり島国で物理的に離れているという根本的な立場の違いは、絡みもつれ合った大陸とは相容れないのでしょう。火を放つかどうかは別にして。
でもイギリスだから数年後にはまたEUと仲良くやってるかもしれませんね
ドイツ議会の暴走は相変わらずですな。
イギリスの離脱はこれが一因かも。
大物を国際分業にすると必ず失敗する@「遥かなる星」第二巻