欧州関連

優勢なアゼルバイジャン軍、アルメニア軍の防衛線を突破

アルメニアとアゼルバイジャンが領有権を主張するナゴルノ・カラバフ地域を巡って27日早朝に軍事衝突が発生、激しい戦闘が現在も続いている。

参考:Armenian defense ministry presents facts showing that milita
参考:Azerbaijani Defense Ministry: Armenian armed forces’ defense line broken through, 7 villages liberated from occupation

アルメニア、今回の攻撃は用意周到に準備されたものでトルコが関与している可能性も示唆

これまでの経緯をアゼルバイジャン側から説明すると27日午前6時頃、アルメニア側が支援して実質的に支配しているナゴルノ・カラバフ地域からアゼルバイジャン領に対して大規模な挑発的攻撃が行われ、アゼルバイジャン側の民間人やインフラに大きな被害が発生、これを受けてアゼルバイジャン国防省は反撃を決断、ナゴルノ・カラバフ地域に対して懲罰的攻撃を仕掛けておりアルメニア側も反撃しているという状態だ。

しかしアルメニア側は全く異なる主張を行っている。

これまでの経緯をアルメニア側から説明すると27日午前7時10分頃、アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフ地域に対してロケット弾、大砲、無人航空機等で攻撃を仕掛け、ナゴルノ・カラバフ地域に侵攻してきたためアルメニア側が反撃に出たと説明しており、アルメニア国防省はアゼルバイジャン側が先に仕掛けてきた根拠として複数の根拠を提示して注目を集めている。

アルメニア国防省の報道官は27日、アゼルバイジャン軍の攻撃開始に合わせてアゼルバイジャンメディアが一斉に「アルメニア側が先に攻撃したためアゼルバイジャン軍の反撃は正当だ」と報道、その後もアゼルバイジャン国防省は大規模な反撃作戦に関する情報を短時間で大量に発信し続けており、このような対応は1時間や1日で出来るものではなく用意周到に事前準備していなければ不可能だと指摘した。

さらにアゼルバイジャンメディアが交戦直後から前線の情報を事細かく取材して報じていることに対しても「突然始まった戦いの前線に記者が1分で到着するのは不可能だ」と語り、トルコメディアも同様の動きを見せていると付け加えたため、今回の攻撃にトルコが関与している可能性が浮上してきた。

実際、アルメニア国防省の指摘通りトルコ外務省は「27日午前6時頃にアルメニア側がアゼルバイジャン領に攻撃を仕掛けた」と発表してアルメニアを強く非難しており、アゼルバイジャンとの息はぴったりと合っている。

参考:【アルメニアがアゼルバイジャンを攻撃】トルコ外務省報道官が非難声明

アゼルバイジャン側は「アルメニア軍の防衛線を突破してナゴルノ・カラバフ地域の7つの村を解放することに成功した。アルメニア軍はあらゆる戦線から撤退している」と発表して、ナゴルノ・カラバフ地域に対する攻勢が優勢に進んでいることを強調していることから、アルメニア側は相当苦しい状況に追い込まれているのかもしれない。

ただアルメニア防衛の責任を負っているロシア軍がアルメニア領に駐屯しているため、今回の軍事衝突にロシアが介入してくるのは目に見ている。

それまでにアゼルバイジャンはアルメニア側に占拠されたナゴルノ・カラバフ地域をどれだけ解放できるのか、逆にアルメニアはロシア介入までアゼルバイジャン軍の侵攻をどれだけ遅らせることができるのかが焦点になるのかもしれない。

因みにアルメニア側(ナゴルノ・カラバフ地域を含む)はアゼルバイジャン軍の攻撃ヘリを4機、無人航空機を15機、戦車や装甲車輌を10輌破壊したと発表、アゼルバイジャン軍が被った人的被害や装備の損失は甚大だと主張している。

 

※アイキャッチ画像の出典:Jonj7490 / CC BY-SA 4.0 アルメニア軍のT-72

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    まあ予想通りといいますか。
    アゼルバイジャンが過去敗北し実効支配された領域に侵攻し直しているのは明らか。

    15
      • 匿名
      • 2020年 9月 27日

      地図みると分かるけどこのナゴルノ・カラバフ地域っていう係争地域

      アゼルバイジャンとアルメニアの他の国境と比べてアゼルバイジャン側に盲腸や角みたいに侵食された形でアルメニアが実行支配してるから

      歴史的正統性がどちらにあるかは知らないけど
      アゼルバイジャン側からすれば他地域との領土一体性の観点や軍事バランス的優位な

      アゼルバイジャンから仕掛けてきたとみるな

      7
        • 匿名
        • 2020年 9月 27日

        加えて心配なのが、アゼルバイジャンって
        アルメニアとイランとトルコに囲まれたナヒチェヴァンっていう飛び地の領土がある
        (ロシアのカリーニングラードみたいな)

        カスピ海沿岸のバクー油田という莫大な石油資源を抱えアルメニアの三倍の軍事予算を持つ
        アゼルバイジャンが勝利の余勢を駆って

        アルメニア南西地域も侵攻して
        領土の一体化を図ろうとするかもね

        8
          • 匿名
          • 2020年 9月 28日

          アゼルバイジャンが飛び地へのルートを確保したいのは間違いないが、米国政界に強いアルメニア系ロビイスト活動がそれを許すかは

          2
        • 匿名
        • 2020年 9月 28日

        地上戦? 航空機は出ていないのですか?

        1
          • 匿名
          • 2020年 9月 28日

          アゼルバイジャン側がイスラエル製のドローンを使ってアルメニアの防空システムを潰してまわってる

          2
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    韓国による対北侵攻に首領様の領導で即時反撃し逆に3日間でソウルを占領したニダと今も主張する北朝鮮を思い出しました(^_^)

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    >ただアルメニア防衛の責任を負っているロシア軍がアルメニア領に駐屯しているため
    虎の尾を踏んだか、グルジア紛争を間近で見てたのにようやるわ

    4
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    日の出と共に戦端を開く教科書通りの侵攻作戦ですね

    13
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    ナゴルノカラバフについてwikiで読んだけど、こりゃヤバいw
    アゼルバイジャンに囲まれた土地にアルメニア系住民が多く住んでる
    ソ連時代にアゼルバイジャンの一部だったがソ連崩壊で独立してアルメニアと合流しようとしてる
    そしてアゼルバイジャンは取り戻したいと考えてる
    そら紛争になるわな、マトモに終わらんはコレ

    13
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    良い悪いはともかくこのくらい強引に仕掛けることも時には必要なんだろうな
    アゼルバイジャンにしたら少しでも領土広げられれば良い訳で
    ロシアが出てきたら停戦してのらりくらりで長引かせるだろうな

    2
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      ダメだよ、それ中韓を喜ばせる暴論だから
      文明人らしくしような

      8
    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    少し前まではEUは、過去のトルコによるアルメニア人虐殺問題で五月蠅かったけど、今のアルメニア人民族浄化に繋がりうるこの紛争にはだんまりなのだろうか?
    難民爆弾握られているから、やはり沈黙ですかね?

    7
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      まだ何も起きてないのにだんまりも何もあるかwww

      2
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      7月に衝突したときからNATOもEUも声明を発表してますよ

      4
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    何が始まるんです?

    1
    • HY
    • 2020年 9月 28日

     またトルコですね、そしてロシア。いよいよ地中海東から南コーカサスまでが「火薬庫」となってしまいました。再び動乱の時代が訪れようとしております。
     なお「平和な日本で良かったこと」などと呑気なことをおっしゃっている方がおりますが、動乱の兆しがあるのは北東アジアも同じです。決して他人事ではありません。

    7
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      ふーん、いつ日本を巻き込んだ戦争が発生するの?

        • 匿名
        • 2020年 9月 28日

        豚さんが日本列島直撃の弾道ミサイルのスイッチを押した時

        9
          • 匿名
          • 2020年 9月 28日

          それはいつ来るんだい?(笑)

          2
            • 匿名
            • 2020年 9月 28日

            何時何分何曜日?
            …って小学生か。

            23
            • 匿名
            • 2020年 10月 05日

            先に韓国と北朝鮮と中国を巻き込んだ殺し合いが始まるから安心してください。

    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    隣国との対立を勝手に煽るだけ煽って軍拡するその手口

    あれだ、不安を勝手に煽るだけ煽って壺を売りつける、怪しい壺詐欺と一緒だ(笑)

    2
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      核ミサイル使って似たようなことやってるヤツが近くにいるな。
      結果は成功。
      一発も削減せず既定事実にしつつある

      8
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    トルコは、カスピ海油田からのパイプラインが安定してトルコへ通りやすくなる経路があると嬉しいだろうな。
    トルクメニスタンからのパイプラインすら可能になるかもしれんし、中央アジアへのトルコの影響力を及ぼせる。

    これに大反対するのは当然ロシア。イランも中央アジア地域覇権のプレイヤーや安定した別パイプラインが増えるのは反対だろうな。アラブ勢の資源国も石油ガス価格下落の原因になるので反対。
    非資源国はトルコ支持。イスラエルもトルコ支持。中央アジアの各国はトルコが参入したら大国間の綱引きの中で良い交渉できるようになるので、トルコを応援しそう。
    欧米は原油価格暴落の被害受けてる立場だし反トルコだし反対なのかな、でも長期的には世界経済復活した時やトルコの親欧米政権樹立を視野に入れたら中央アジアへの良い経路の一つになるし、ロシアへの妨害という意味ではアリ。

    中国はイランと似た立場かもしれんが、一帯一路に有効に働く可能性があるかもしれん、どうするんだろう。
    日本はトルコ支持でいいね。中央アジアの石油やガスをトルコ経由で輸入することは無さそうだけど、世界供給口が増えることは石油やガスの価格下落に働くのでありがたい。あとロシアへの嫌がらせ。

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    全部管理人に記録されてるのによくやるよなあ

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    ロシアはCSTOによりアルメニアを援助しなくてはならず、いくら孤立気味でもトルコはNATOの一員だからトルコがアゼル側に立つならNATOはそれを無視できない。本音はともかく建前や面子を守るためには無視してはいけない

    つまり、こんなことは考えたくないし実際可能性は高くないはずだけど、極めるところまで極まって事態が悪化すればNATOとCSTOの衝突、つまり第三次世界大戦……

    またヨーロッパが導火線となるのか

    4
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    アゼルバイジャンがアルメニアに宣戦布告したらしいけどおさまりがつくのだろうか…

    1
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    気になるのはロシアがアルメニアに援軍を送りたいと思っても、はたしてジョージアが通してくれるかどうか

    6
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    正式に宣戦布告がなされた

    5
    •  
    • 2020年 9月 28日

    実質アルメニア領のナゴルノ・カラバフは、アゼルバイジャンの飛び地であるナヒチェヴァンと住民ごと交換すればいいんじゃないかな?

    2
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      いわゆる合理的意見は調停者が時間をかけて説得しないとムリ
      国連の弱さが浮き彫りだよ

      6
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      それはなかなか難しいですね。
      地縁血縁といいますから。

      5
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      無理言うな
      民族対立はオスマントルコより前にさかのぼるし、ナヒチェバンは塩とモリブデンの産出地だぞ。手放すものか

      4
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    日本側がこのような事件を真似て領土問題で武力的解決を図ろうとすれば相手国は絶対に許さないだろう。
    最近、自民のタカ派連中が所謂尖閣実効支配強化を叫びだしたようだが、これは緊張を高める愚かな振る舞いだと警告できよう

    1
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      中国市民から見れば、尖閣付近に接近した中国公船が撃沈されたら緊張を高めた中国に落度があるという発想もある

      4
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      いいから平日のアルバイトに行けよ工作員ちゃん

      9
        • 匿名
        • 2020年 9月 29日

        コロナで仕事ないんだよ。

        3
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      日本人の中国に対する反感を煽り戦意を昂揚させようと意図してるならなかなかの名文だな。

      2
      • 匿名
      • 2020年 10月 05日

      今は日本が中国や韓国を許さないターンだよ(笑)

      中国・韓国は許しを請う立場だから。

      1
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    もはや実戦におけるドローンの有効性は疑いない、保有およびその対策は、対長距離ミサイル類と並んで防衛の軸となるでしょう

    8
    • 匿名
    • 2020年 9月 28日

    アゼルバイジャン優勢に見えるのですが正直どちらが勝ちますかね。

    3
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      9k33をアゼルバイジャン空軍がイスラエル製の無人機や、9k33から発射した9m333対地ロケットで破壊。既にアルメニア側の防衛線は突破されている。空軍力はアゼルバイジャン側が二倍の戦力を誇って、陸軍はアゼルバイジャン、アルメニア両者拮抗しているがアゼルバイジャン優勢さらにトルコは同盟を理由にアゼルバイジャンの支援を表明。アルメニアからしてみればトルコが参戦すればアゼルバイジャンの二正面戦線を強いられることになり避けたいところ。ロシアは電話会談をを実施して両者の停戦を促しているが両者戦線拡大を止めていない。既にアルメニアでは動員法が発令されて厳戒令が発令一方のアゼルバイジャンでも厳戒令が敷かれていて両国緊張を高めている。アゼルバイジャンは違法に実効支配しているアルメニアを領内から追い出したい。アルメニアからしたら自身の国民が多くいるアゼルバイジャン領の支配を目標としている。イスラエルは宗教上の対立があるがアルメニアの支援を表明していたが近年アゼルバイジャンとの関係が良好になっているためアルメニアへの支援を渋り、アゼルバイジャンに無人機を売るなどアルメニアには厳しい状況.あくまで個人的な意見だけど決着を付けるのなら正直アゼルバイジャンが勝つと思う。戦術的、政治的な理由での勝利となると正直あまり詳しくはわかりません

      3
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      アゼルバイジャンに一票

      2
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