スイス国民議会の安全保障委員会は24日「自国製兵器の再輸出禁止宣言の無効化と戦争物資法18条の改正を要求する発議を可決(14対11)した」と発表、ウクライナ向けの武器移転を特例で認める方針だ。
参考:KOMMISSION WILL WIEDERAUSFUHR VON KRIEGSMATERIAL IN DIE UKRAINE ERLAUBEN
特にエリコンが製造した機関砲や弾薬のウクライナ提供に大きな影響を与えることになるだろう
スイスは政治的に中立を宣言しているため交戦国への武器輸出を禁じており、これは輸出されたスイス製兵器の再移転承認にも関係してくるためドイツが要請したゲパルト自走対空砲向けの35mm弾薬、デンマークが要請したピラーニャIIIC、スペインが要請した20mm対空砲のウクライナ移転を拒否しているが、スイス国民議会の安全保障委員会は24日「自国製兵器の再輸出禁止宣言の無効化と戦争物資法18条の改正を要求する発議を可決(14対11)した」と発表した。

出典:Outisnn / CC BY-SA 3.0 スペイン軍のピラーニャIIIC
この発議の内容を簡単に説明すると「国際法上の武力行使に違反した場合、特にロシアのウクライナ侵攻に関して再輸出禁止宣言を無効化するべきだ」「安保理が国際法上の武力行使の禁止に違反すると宣言した場合、スイス製兵器の購入国が当該物資を交戦国に再移転するのを容認するため戦争物資法18条の改正を要求する」というもので、スイス自体は今後も交戦国への直接的な武器輸出を行わないが「国連が違法だと認定した場合に限り購入国によるスイス製兵器の移転を認める」と意味になる。
委員会の発議を受けて連邦評議会(日本の閣議相当)や議会(上院に相当する全州議会と下院に相当する国民議会)が「宣言無効化」と「戦争物資法18条改正」を承認すれば5月1日に改正法が発効する見込みで、特にエリコンが製造した機関砲や弾薬のウクライナ提供に大きな影響を与えることになるだろう。

出典:Derwatz / CC BY-SA 3.0
因みに国連が違法だと認定しても「スイスの国益に反すると判断されれば移転を禁止するべきだ」とも委員会は述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Hans-Hermann Bühling / CC BY-SA 3.0
そういえば、スイスも第3国への武器供与を拒んでいたために、支援が進まない案件を抱えていましたね。
ドイツと違って批判の矢面に立たされていないのは永世中立国と言う看板と、経済力・軍事力の規模がドイツとは比較にならないからなんでしょうね。
大国には大国として相応の責任が求められるという事で、日本は憲法による制約と、小国と言い逃れる訳にはいかない経済力・軍事力のバランスをうまく保ってほしいものです。
スイスは国是を破って一部ロシア人の資産凍結を行い西側の制裁に参加してるのが大きいと思う
今の日本と同じで制約の中でできることを最大限やってるポジ
永世中立国ですら無法な侵略者との戦いを支援しようとしてるのに、未だに何もしてないなんちゃって平和主義国が極東に存在するらしい
残念ながら台湾という第二のウクライナがすぐ近くにあるのでヨーロッパを支援するような余裕はありません
アジア諸国は有事の際には全く頼りにならないことが確定しているのでヨーロッパと比べて条件が悪すぎる
退役が確定している兵器を
解体工場に送るかわりにウクライナに送るくらいなら
戦力が下がるわけではないから問題ないとおもうけどね
日本から見て古くて退役させる兵器でも
ウクライナ基準では現役で使えるものは結構あるでしょう
改良ホークなんかがまさにそれですよね。現在進行形で退役進めてる装備を向こうが欲しいと言ってるんだから。
まあ、ウクライナに送るなら台湾やベトナムとか東南アジアに送ると思うけど。
とはいえ近年の日本近隣における緊張状態を見るに、退役兵器を交戦中の国に輸出or提供できるようにすること以上に、予備として保管できるようにして欲しいところ
(現在の日本では現役でない兵器の保管に予算がほとんど出ない(=兵器の予備をろくに所持できてない)体制なので、いざ戦闘になった際、破壊された兵器の穴埋めが非常に厳しい)
こんな状況のウクライナに火器1つ送れない国が台湾に何かあったときに支援できると思ってるならお花畑感ありますね。今日のドイツは明日の日本ですよ。戦車の再輸出なんて話にはなりませんが、ヘルメット5000個では許されませんからね。
とはいえ本邦も自衛隊法改正案次第で状況変わりそうですが。そうなればウクライナにも台湾にも支援するでしょうし、そうでなければ両国ともになにも送れないでしょう。
台湾有事はほぼ確実に日本も当事者になるって言われている以上台湾に支援なんてレベルの話では無いと思いますけどね。
むしろ当事者になれるのであればラッキーではないでしょうか。いくらでも介入できます。
最悪なのは台湾にのみ攻撃を行い、核実験でもして日米をけん制されれば日本の政治家に何ができるでしょうか。中国の内戦であればアメリカが介入する根拠が国際法的にあるとは思えませんし、介入があれば中共はプロパガンダの材料には困りません。朝鮮戦争でも北がわには正規軍ではなく義勇軍という体裁で入っていますよね?航空機動部隊が義勇軍というのは無理があると思います。
武器を支援するくらいは可能だとしても飛行機は近づけずに輸送船は武装船に体当たり(グレーゾーン)されて引き返すしかないでしょう。
そもそもFH70捨てるくらいならウクライナに送ってもいいんではないでしょうか。台湾有事がどのような事態になるかはわかりませんが、様々な状況に備えてウクライナ支援を教訓にするべきでは?仮に当事者になったとしたらそれこそ台湾に支援するべきです。
>最悪なのは台湾にのみ攻撃を行い~
台湾関係法絡みの話で、仮に中国が内戦名目にしても米国の態度次第では普通に参戦してくる可能性があるので安易にその選択肢に出来ないというのが現状だと思う(こっち視点、米国が動くわけがないって話をしても逆に中国からすれば米国は本当に動かないのか、絶対に動かないという保証は何か、という話でもあるので
そして米国が参戦するなら当然日本も同盟関係で引っ張り出されるので自動的に当事者となります
現状バイデン大統領がかなり踏み込んだ発言をしている事やペロシ下院議長の訪問などからも考えられるように米国は何かあったら台湾有事に参戦寄りの姿勢ですので、中国としては今は無理せず日米+α以上の軍事力を自分が発揮出来るようにするまで待つのが適正という話かと
兵器供与以外を支援とみなさないのはあまりに視野が…
ウクライナが命を守るために一番必要としているものを送らずにいるのによくそんなことが言えますね。
立場が逆ならそんな寛大な精神を発揮するのは難しそうです。
FH70やMLRS捨てるくらいなら送って欲しいはずですよ。命かかってますからね。
ウクライナの現地報道も伝えずに勝手読みして批判するのはアンフェアです
少なくともこのサイトを見る限りではウクライナから日本に軍事物資を求める声は伝わってきてません
ゲパルトが運用出来て、少しでもウクライナ民衆の被害減らせればよい。
VADSが残っていればインフラ防空用って事で供与しやすかったと思うんですがね
“特にエリコンが製造した機関砲や弾薬のウクライナ提供に大きな影響を与えることになるだろう。”
たしか、ノルウェーに代替工場があるのではなかったかしら。
親会社のラインメタルも、ドイツ国内に工場を建てる予定ではなかったかな。
現時点で既に欧州に存在してる在庫を使える様になるのは大きいかと。
法改定が5月1日であれば、
エリコン絡みの備蓄分の供給開始はそれ以降ですから、
遅くはないでしょうが、
大変役立つと言うものでもないと想像します。
中立とか時代に合ってないんだろうな
コンプラとか重視される時代だし
誰がどう見ても悪党が隣人に対して悪逆非道してるのに目をつむって中立的に接しますとか、
まともな現代的感性があるなら受け入れがたいやん
ドイツが支援に動き、ドイツ以上にロシア色んなコネクションがあると言われているスイスが国是を曲げても支援に動いているのだから、次は日本がせっつかれる番ですね。今年のG7議長国としてキーウ訪問と揃って何らかの目に見えるものを支援できるといいのですけど