欧州関連

クロアチア大統領、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟阻止を政府に指示

クロアチアのミラノヴィッチ大統領は18日、ボスニア・ヘルツェゴビナに住むクロアチア人の権利を守るため政府に「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対票を投じるよう指示した」と発表した。

参考:Croatian President to Instruct Ambassador to be Against Finland and Sweden in NATO

プレンコヴィッチ首相もノビロ氏もミラノヴィッチ大統領の意向に従うつもりはない

ミラノヴィッチ大統領は「ボスニア・ヘルツェゴビナの和平監視する上級代表事務所にはクロアチア人職員が1人もおらず、同国に住むクロアチア人の選挙における公平さが確保されていない」と訴え、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対票を投じるようNATO常任代表のノビロ氏に指示したと発表した。

出典:Damir Sencar / CC BY 3.0 hr ミラノヴィッチ大統領

さらにクロアチア議会に対しても「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟に関する合意を批准するな」と要請、こうすれば国際社会から信じられないほどの関心が集まり「ボスニア・ヘルツェゴビナの問題が解決する」とミラノヴィッチ大統領は説明しているが、要するにトルコが自国の問題を解決するためフィンランドとスウェーデンのNATO加盟問題を政治利用しているので、自分達もボスニア・ヘルツェゴビナの問題を解決するため同じ政治手法を行うという意味だ。

但し、同国のプレンコヴィッチ首相はミラノヴィッチ大統領の意向に従うつもりはなく、ノビロ氏も「大統領ではなく外務省の指示に従う」と述べているため、クロアチアがフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に反対票を投じる可能性は低いと見られている。

出典:President.gov.ua / CC BY 4.0 ウクライナを訪問したプレンコヴィッチ首相

ミラノヴィッチ大統領は過去にも「ウクライナは世界で一番腐敗した国で、もし情勢が悪化すればクロアチアは(ウクライナに)派遣した軍を撤退させる」と述べ、プレンコヴィッチ首相は「私達の軍隊がウクライナに派遣されたことはなく、ポーランドに派遣した部隊も国内に戻っているため大統領が言及した部隊がどこに存在するのか良くわからない。ウクライナが腐敗した国だという大統領の発言は政府の立場とは異なる。私は政府を代表してウクライナの人々に大統領の無礼を謝罪する」と後始末をしたことがあるので、今回も同じ結末を辿るはずだ。

因みにミラノヴィッチ大統領の任期が切れるのは2025年2月なので首相の悩みはまだまだ続くだろう。

関連記事:フィンランドとスウェーデンのNATO加盟、トルコはPKK取り締まりを要求

 

アイキャッチ画像の出典:NATO

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

バイデン政権は米国製MLRSのウクライナ提供を躊躇、戦いの拡大を懸念前のページ

バイデン大統領、M777が含まれるウクライナへの追加支援を新たに発表次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    トルコ、UAV専用の精密誘導兵器MAMシリーズに滑空爆弾「MAM-T」を追加

    トルコは交戦距離を拡張してきたロシア製近距離防空システムに対抗するため…

  2. 欧州関連

    極度の緊張に包まれるウクライナ、南部でもロシア軍が攻勢に出る可能性

    イタリアのクロゼット国防相は9日「ロシア軍の攻撃が今後数日以内に激化す…

  3. 欧州関連

    キプロス、トルコに対抗するためイスラエルからアイアンドームを導入

    ギリシャのKathimerini紙は19日、トルコのUAVに対抗するた…

  4. 欧州関連

    大幅な軍備拡張に乗り出したポーランド、今度は早期警戒機を調達か

    ポーランドのブラスザック国防相は23日「スウェーデンと早期警戒機の導入…

  5. 欧州関連

    不穏な米英関係、自爆テロで米軍に犠牲が出たのは空港ゲート閉鎖に反対した英国の責任?

    カーブル空港での自爆テロについて「英国の責任だ」と非難する国防総省の文…

  6. 欧州関連

    NATO軍事委員長、ウクライナは反攻作戦後に戦闘機を受け取るだろう

    NATO軍事委員長を務めるバウアー氏は3日、出演したラジオ番組の中で「…

コメント

    • 幽霊
    • 2022年 5月 19日

    政治に疎いので大統領と首相の違いがよくわからん

    5
      • 無無
      • 2022年 5月 19日

      国によりけり、大統領はお飾り元首だったりプーチンみたく独裁者のときもある、首相のほうが実権握ってる国も少なくない

      42
      • マモっちゃん
      • 2022年 5月 19日

      一応、選ばれる際の選挙の違いで別れてる
      大統領:国民一人一人が候補者又は候補者が所属する党に投票する直接選挙で選ばれる
      首相:国民の投票によって選ばれた議会(立法府)の議員からの信任という間接選挙で選ばれる

      16
      • かりにゃん
      • 2022年 5月 19日

      上の人が言うとおり、国によって権限は異なります。
      例えばドイツにも大統領はいるが、だれも注目しないでしょう?逆にフランスは大統領の話題がニュースになる、つまりそういうこと

      36
    • 名無し
    • 2022年 5月 19日

    >私達の軍隊がウクライナに派遣されたことはなく、ポーランドに派遣した部隊も国内に戻っているため大統領が言及した部隊がどこに存在するのか良くわからない。
    フォローするほうも大変だな……。

    61
      • 伊怜
      • 2022年 5月 20日

      一応ニュースサイト等だと、NATOに派遣した軍隊を呼び戻す(NATOとして派兵しない)というニュアンスで書かれているが…

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 19日

    「ウクライナは今最も腐敗している国で」そんなこと言うなよ。一国のお偉いさんが。それを直すのが仕事。

    3
      • ウィーン
      • 2022年 5月 19日

      いや、それはミラノヴィッチ大統領の仕事じゃないでしょ。
      国際社会が腐敗の解消を求めるというならまだわかるけど、それも他国のことだから、別に彼の仕事じゃない。

      31
    • あばばばば
    • 2022年 5月 19日

    大統領より首相が強い実権を持っているなんてわけわからん……。と思ったが、我が国も似たようなものか。
    大統領に権限がほぼ無いのに、その立場があるのはロシア除けの身代わりなのだろうか?

    1
      • ななし
      • 2022年 5月 20日

      議会の召集や外国大使の着任挨拶は国家元首が行うことが多いけど、立憲君主制や専制君主制なら「君主=皇族、王族」が行うんだけど、共和制は大統領がやるんだよ。
      首相はその下での実務が多い。

      大統領の比重が大きいか(仏米露韓中朝比など)、首相の比重が大きいか(日英独豪など)の違い。

      6
    • tny
    • 2022年 5月 19日

    痛々しいなぁこの大統領

    19
    • ナニガシ
    • 2022年 5月 19日

    鳩山みたいのは、どこにでもいるんだな。
    プレンコヴィッチ首相の冷やかなこと。

    48
    • kojima
    • 2022年 5月 19日

    首相の言っていることが本当なら、この大統領は一度検査を受けたほうがいいんじゃないのかw
    まあ我が国も人のことは言えない過去があるけどw

    23
    • 折口
    • 2022年 5月 19日

    バルカン諸国は汎スラブ主義のメッカだった場所ですし、内政問題のテコだとしてもあんまり西欧方面と足並みを乱すような事言うと不可逆的に立場が悪くなるのでは…?(ただでさえ中華マネーで債務の罠にどっぷりハマってる地域ですし)

    3
    • L
    • 2022年 5月 19日

    クロアチアでは首相と大統領は同じ党派じゃないのだろうか
    一般的に国内問題は首相で国際外交は大統領の領分みたいな説明がされることがあるが、クロアチアを見ると国内問題と国際外交が不可分な以上同じ権限でやったほうが筋は良いね
    その分諮問委を適切に使う必要があるが

    1
    • STIH
    • 2022年 5月 20日

    トルコじゃないのが残念だけど、こういうの魑魅魍魎が蔓延る”政治”の舞台という感じがして楽しいなあ。
    とはいえ流石にトルコもここまでするのかなあ。

    • 黒丸
    • 2022年 5月 20日

    NATOの歴史を調べてみた個人的な感想だが
    ソ連との戦争になったら西ドイツが自分の手で同盟他国を守るために
    自国領土か同民族領土の東ドイツに核兵器投下を行わせる
    これによってナチスドイツの贖罪を西側に行う、というのが目的のような気がしてきた。

    2
      • 無無
      • 2022年 5月 20日

      物語としてはありそうだが、それは陰謀論としか
      戦争によって国際関係を変えるという手段は、それ自体がヒトラーそのものですから今のドイツ人の忌避するところでしょう
      国家間のバランスで言えば、すでにロシアが自分から沈み始めてますから黙っていてもドイツの地位は高まります

      5
        • ネコ歩き
        • 2022年 5月 20日

        黒丸さんのコメは冷戦華やかなりしころ限定の話かと。
        実際、ワルシャワ条約機構軍の西欧侵攻が開始されればドイツ北部平原が緒戦の主戦場になることが共通認識でした。
        NATOはドイツ北部で侵攻を食い止める戦略で戦術核の使用も想定内でしたから、当時の西ドイツ政府にもその覚悟はあったと思われます。

        5
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP