欧州関連

7月14日正式発表? 仏次世代空母は電磁式カタパルト採用で7万トン級か

7月14日に予定されているフランス革命記念日に合わせて、マクロン大統領が「次世代空母(Porte Avion Nouvelle Generation:PANG)プログラム」推進を正式に発表すると報じられている。

参考:PANG: What We Know About France’s Future Aircraft Carrier

フランスの次期空母は7万トクラスにも関わらず、先進的な省力化システム採用で米空母の半分以下の人員で運用可能

フランスのフロランス・パルリ国防大臣は5月、サンナゼールにある造船所を訪れ際に「空母シャルル・ド・ゴールの後継艦が2038年までに就役する」と発表して世界中を驚かせたが、フランスは7月14日に予定されている革命記念日に合わせてマクロン仏大統領が「次世代空母(Porte Avion Nouvelle Generation:PANG)プログラム」推進を正式に発表すると見られている。

出典:Public Domain 空母シャルル・ド・ゴール

フランスが計画している次世代空母の大きさは空母「シャルル・ド・ゴール(基準排水量3万7,000トン)」を遥かに上回る「7万トンクラス」と言われており、固定装備される対空システムには指向性エネルギー兵器の採用が予定されている。さらに同艦の航空支援システムには米国が新たに開発した「電磁式航空機発射システム(EMALS)」の採用が検討(実際に米仏間で調達に関する協議が進行中)されており、独仏主導で開発中の第6世代戦闘機「FCAS」を32機、早期警戒機E-2Dを2~3機、各種回転翼機を数機、新たに開発されれる偵察/攻撃/空中給油任務に使用可能な無人艦載機を搭載して運用されるらしい。

但し、原子力推進を採用するのか通常動力推進を採用するのについては今のところ未定だ。

出典:JohnNewton8 / CC BY-SA 4.0 第6世代戦闘機「FCAS」モックアップ

今回、フランスが次世代空母の大きさを7万トンクラスに設定しているのかについては、搭載が予定されている第6世代戦闘機「FCAS」はラファールよりも大型(全長約19m/全幅14m)になることが確定的で、既存の空母シャルル・ド・ゴール程度の大きさでは運用が難しいと判断されたためだ。さらに蒸気式カタパルトではなく電磁式カタパルトに興味を示しているのもFCASの発艦重量(最大重量30トン前後)がF/A-18E/F並に重くなることが見込まれているからだろう。

仮にフランスが次世代空母が7万トンクラスで完成すれば、英国の空母「クイーン・エリザベス(4万5,000トン)」や中国の空母「山東(5万5,000トン)」よりも大きく、米国のニミッツ級や中国が建造中の003型に匹敵するスーパー・キャリアーになるはずだ。

さらに注目されるのは先進的な省力化システムの採用で、次世代空母を運用するのに必要な乗組員の数はシャルル・ド・ゴールと同じ約1,000人程度(+航空機運用要員として500人~600人)で済むらしい。この数字は英空母クイーン・エリザベスの700人には劣るが、米海軍のニミッツ級やフォード級空母の運用に要求される2,000人~3,000人乗組員(+航空機運用要員として約2,000人)に比べれば遥かに少なくて済む。

これは高額な空母の運用コストを削減する効果が期待できる上、1人あたりの艦内スペースを広くとることが可能になるので長期ミッションが当たり前の空母乗組員にとっては歓迎すべき改良点だろう。

以上がフランスの次世代空母に関する情報で、本当に7月14のフランス革命記念日に「次世代空母プログラム」が正式発表されるのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain 空母シャルル・ド・ゴール

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    これはまた野心的な・・・早速韓国あたりが技術クレクレ言い出すんでしょうねえ。
    彼らも7万トンクラスにするんだと息巻いていますし。

      • 匿名
      • 2020年 7月 12日

      大型して乗組員には個室を与えてほしい。3畳でいいらさあ

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    すごいね。
    てんこ盛りじゃん!

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    イギリスほど必要性なさそうにも思えるけどフランスも頑張るね
    イギリスにせよフランスにせよ、単独でやるなら経済規模からしてヘリ空母か軽空母くらいが分相応だろうに

      • 匿名
      • 2020年 7月 08日

      フランスはフランスで海外派兵が多いから

      • 匿名
      • 2020年 7月 08日

      フランスは島と領地いっぱい持ってるから必要不可欠なんじゃないかな

      1
    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    西側の戦力が増えるなら良い事だ。

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    シャルルドゴールさんは低濃縮度の原発なので、5年?周期で燃料棒の交換が必要、
    7万tの空母はどうするんだろう?
    (アメリカが高濃縮度の原発を提供はしないだろうから)
    1、防御能力の低下を許容してでも燃料棒の交換を簡単にするのか?
    2、ドゴールと同じタイプで2基なら、全く足りないでしょう、4基搭載?
    一番の問題はFCAS(仏・独の共同開発)が物になるのか? かな。 
    空中分解すると予想、その場合にはF-35Cの購入を許容できるのかな?
     ちなみに、大西洋海域での本格的な運用(ドゴール的な、象徴的な運用では無く)を目指すなら、3隻、妥協しても2隻は必要だけど、フランスには建設できる経済的な裏付けがあるのかなあ? 
    攻撃型原潜(2隻、計画では5隻+核ミサイル シュフラン級)もあるし・・・

      • 匿名
      • 2020年 7月 08日

      空母1隻を前提として、自国の兵力投射や艦艇整備計画を立てるんでしょうね。服に身を合わせるというか。
      一見本末転倒ですが、2隻作って載せる艦載機がなかったり、軍事費が国庫を圧迫するよりはマシだと思う。
      後方部門の苦労は増すかもだけど。

        • 匿名
        • 2020年 7月 09日

        問題は1隻分の支援体制しかないのに、運用実績のない新技術がてんこ盛りなことなんですよね

        アメリカみたいに11隻もの現役空母でローテーションを組めるなら、使い慣れた古い装備で任務に就くグループと新技術の習熟に専念するグループに分けて順次更新することも可能ですが、1隻しか運用できないフランスで新技術が不具合を起こしたら、その間の空母稼働率が0%になってしまう

          • 匿名
          • 2020年 7月 10日

          例え1隻の空母でも、空母を持ってるだけで他国からの見方が変わりますからね、フランスは独自の空母、戦闘機ラファールなど開発してるし、しかも核保有国、日本もこれくらいの国になってほしいな。

          • 匿名
          • 2020年 7月 10日

          フランスは初期の戦艦建造の頃からでも、いつも常に持てる新技術を投入する国だよ。
          時には理論倒れに終わる時もあるけど、その姿勢ははるか昔から変わらない。
          良くも悪くもそれがフランス流。

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    7万トン級空母の運用実績自体がないのに、新技術をてんこ盛りして大丈夫か?
    電磁式航空機発射システムだって開発国のアメリカだって、運用ノウハウの蓄積が不足していてF35の実機には対応できないって記事があったのに

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    フランス空母ってアメリカからカタパルト買って取り付けてるだけだろ
    つまり電磁カタパルトってことはあのジェラルドRフォード級に使われてる欠陥品を買うってことになるが
    あれがちゃんと動くようになったって話はまだないはずだけどなあ

      • 匿名
      • 2020年 7月 08日

      欠陥品とはなんのことを指しているのでしょうか。
      カタパルトそのものの設計上の欠陥じゃないですよね。
      艦載機を射出するための基礎データ収集が間に合わない等々、大部分はチューニングの問題だった気がしますが。
      艦艇に装着する前に十分にデータ取りをする必要があるんですよ、こいつは。

      • 匿名
      • 2020年 7月 09日

      電磁カタパルトってアメリカが売るのかなあ? 
      (議会などの許可が出るのかなあ?)

      • 匿名
      • 2020年 7月 10日

      フォード級の問題点はカタパルトが欠陥と言う事ではないんだが、欠陥品というソースはどこ?

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    省力化が凄まじいな
    自衛隊も見習えよ

      • 匿名
      • 2020年 7月 09日

      画餅を見習えと言われても困ります
      毎度のことながらせめて完成してから叩き棒にしてください

      1
    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    ロマンはあるが空母打撃群としてローテ回せるかは別の話

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    空母2隻体制への復帰は絶望的かな

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    韓国の匂いがするが大丈夫か?

    • 匿名
    • 2020年 7月 08日

    正直そんな予算捻出出来るのかな?
    アフターコロナの経済推移も不明だし、フランスのコロナダメージってどれくらいだろ
    EUは英国という市場で儲けてたけど英国のEU離脱で今後の経済推移が見通せない
    まあ発表するなら無理してでもやるんだろうけど

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    7万トンというのは基準の方?満載の方?

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    フランス帝国主義にしか見えないのは私だけだろうか?
    フランスのような欧州の一国家がなぜ空母を必要とするのか?国家的虚栄心でしかない。
    20世紀に帝国主義国家として世界を侵略した国は21世紀になっても過去の「栄華」を追い求めたいのだろう。無様な残滓と吐き捨てられよう。日本も気をつけろよと言いたい。

    1
      • 9条教徒嫌い
      • 2020年 7月 09日

      >日本も気をつけろよと言いたい

      あんたこれが言いたかっただけだろ。

      2
      • 匿名
      • 2020年 7月 09日

      >日本も気をつけろよと言いたい。

      そんな空母を日本が造る意味が無い、カタパルト付きの正規空母の建造費と維持費で自衛隊の他の予算が削られるから要らないよ。

      3
    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    野心的な空母の構想といいFCASといい、武器商人として米露中にこれ以上置いていかれるわけにはいかないのでしょう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    ド・ゴールも計画よりかなり遅れたし内容の変更も多かった
    黙って眺めてましょうね、搭載機が完成してないってのがいちばん引っ掛かりになるでしょう

      • 匿名
      • 2020年 7月 10日

      別にラファール使ってもいいのでは?
      ずっとF-8もシュペールエタンダールも使い続けてたわけだし。
      小は大を兼ねるだね

      • 匿名
      • 2020年 7月 10日

      ラファールも相当優秀な機体だけどな?
      明確に上といえる艦載機はF-35だけだし、そのF-35の方は性能は確かに格上だが、未だ不完全、未成熟な部分がある。
      それに対してラファールはすでに安定しているのだから、ラファールでしばらく続けるという選択肢も十分ありだろうさ。

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    原子力空母にする意味は低い、通常動力で良さそう。

      • 匿名
      • 2020年 7月 09日

      艦用の液体燃料が不要なだけ、艦載機の燃料弾薬を増やせるから継戦能力が高まる
      戦場での補給回数は少ないほど安全だしな

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    いよいよ計画が動き出すのかと思うとワクワクしますね。ド・ゴール級はドックの兼合いで今の大きさになった様な気がしたけど、ドック改修は済んだのかな?

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    >はず
    御後が宜しいようで……

    • 匿名
    • 2020年 7月 12日

    「後継」って事はシャルルドゴールと一緒に運用はしないんだな。まあそりゃ無理か。

    • 匿名
    • 2021年 6月 27日

    1席しかないがイギリス空母とのローテンション制なんだよ。

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