まともに飛行できる戦闘機が不足しているという問題に悩まされてきたドイツ空軍では、現在、戦闘機よりもパイロット不足に悩まされているという。
参考:German Air Force short on pilots, not planes
ドイツ空軍に足りないのは戦闘機ではなくパイロット?
昨年、ドイツ空軍のタイフーンは128機のうち39機、トーネードは93機のうち26機しか運用が出来ない状態で、残りの機体は地上から離れることが出来ず、これは主にスペアパーツの供給不足が原因で、ドイツ空軍のタイフーンとトーネードの平均稼働率は約30%という驚異的低さを叩き出した。
そのためドイツ空軍の42%に相当する363人のパイロット達は昨年、NATOが定めた年間最低訓練時間(180時間)すら受けることが出来ず、この状況に不満を抱いた少なくない数のパイロットが軍を去っていったという。
しかし2019年に入って、ドイツ空軍のスペアパーツ不足による戦闘機の稼働率は大きく改善した。
タイフーンパイロットを養成しているドイツ空軍の第73戦闘航空団(ラーゲ基地)では、まれに初期型のタイフーンに使用されるスペアパーツが足り無いこともあるが、配備された24機のタイフーンは70%台の稼働率を維持しており、去年のような悪夢(年間最低訓練時間問題)を回避するため、タイフーン用の地上シミュレーターを新たに2基導入したという。
このような対策が講じられたのは、NATOが定めた180時間の年間最低訓練時間のうち、40時間は地上シミュレーターの訓練で行うことが認められているからだ。
以上のように、ドイツ空軍は昨年の悪夢から抜け出すために改善を続けているが、今度は別な問題が浮上した。
ドイツ議会で軍の監察官を務めるハンス・ピーター・バーテルス氏は、ドイツ空軍の戦闘機パイロットは必要とする2/3しか確保できていないと報告し、現在のドイツ空軍に足りないのは戦闘機ではなく、パイロットの方だと現状を訴えている。
では、なぜドイツ空軍の戦闘機パイロットが足りないのか?
これは世界中の空軍で問題となっている民間航空会社よる空軍パイロットの引き抜きが主な原因だが、ドイツ空軍の場合、パイロットへの新しい志願者が恐ろしいほど人気がなく、辞めていくパイロットに対して、新しく供給されるパイロットの数が間に合っていないことが問題を大きくしている。
上記で登場した、ドイツ空軍のラーゲ基地では現在、23人のパイロット達が訓練を受けているが、本来ならもう20人のパイロットが必要だと、第73戦闘航空団の副司令が訴えているが、昨年見せた失態(稼働率や訓練時間の問題)は、ドイツ空軍に対する国民のイメージを大きく傷つけてしまった。
しかも2019年に入っても、ミスや事故が重なり、微かに残っていたドイツ空軍への希望が、完全に失望へと変わってしまったことも、ドイツ空軍の不人気をさらに高める要因になっていると言える。
2019年4月、空軍に管理と運用が任されているボンバルディア製のドイツ政府専用機は離陸直後、機体制御に関する深刻なトラブルに直面し、緊急着陸を試みたが大きく機体が左右に揺られ機体と主翼が地上と接触し、滑走路から大きく外れて、なんとか停止したがもっと大きな事故に発展してもおかしくない状況だった。このトラブルは主翼フラップの不適切な調整が原因だと言われており、空軍に対する批判が起きた。
7月には、訓練中のタイフーン2機が空中で衝突しパイロットが1名死亡するという事故が起きたが、その1週間後には訓練中だった軍用ヘリ「EC 135」が墜落し、再びパイロットが死亡することになり、9月には、老朽化が問題になっているトーネードが訓練飛行中、左右の主翼下パイロンに取り付けられた2つの増槽(機体外燃料タンク)が、同時に落下するというミステリアスな事故まで発生した。
ドイツ空軍にとっては2018年に続き、2019年も頭の痛い問題が続いているが、逆に落ちるところまで落ちたと考えれば、これ以上失望されることはないので、地道に信頼回復に努めれば、いずれ低迷しているパイロット志願者の数も上向のではないだろうか?
どちらにせよドイツ軍全体としてみれば、陸軍と海軍のスペアパーツ不足問題は2019年も継続中で、軍全体としてのイメージは悪化し続けているのかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:Julian Herzog / CC BY 4.0
一般的なメディアから聞こえてくる「ドイツ」は、借金が少なくプライマリーバランスが健全で経常収支は黒字続きで財政出動に頼らなくても国が回る優等生、ってのが大半なのに、なぜドイツ軍は予算不足でヒィヒィ言ってるのか。
一説によれば、そもそも日本と他主要国では「国の借金」として計上する基準自体が違うので、ドイツも日本並みの基準にすればGDP比で変わらないくらいの借金まみれと出てくるとか。
日本は「財務官僚の策略」とかよく聞く話ですが、それに加えて財政の健全さが強調されると円高が恒常化してしまうからわざと危機を演出しているのかもしれません。
消費税なんかは百害あって一利なしですが、すでに導入していたヨーロッパ各国から「導入国と非導入国では市場競争力に差が生じて不公平だから日本も導入しろ」という圧力が凄かったとか?何そのマッチポンプみたいな?まぁ都市伝説レベルではありますが、あり得なくもないよなぁという話でした。
経済やら官僚組織が云々は置いておいて。
日本の自衛隊もドイツの事を笑っていられない状態ですよね。
ここ十年+α。
約8~10〔%〕の定員割れが続いてます。
兵士の平均年齢は35歳。
世界的にも高齢な軍隊。
正面装備にばかり金を継ぎ込んで要員確保や後方支援体制を疎かにしているツケ。
どんな形で現れるのか?
今から心配する必要が在るのでは。
随分前、まだ在隊時に、以前は同じ中隊にいて、当時募集を担当する地連(今は地協)に出向してた人と話す機会が有った時にその人が言ってました。
応募自体は実に旺盛で減ってはおらんそうです。
問題は隊側で、応募者が多い事に気を良くしたのか何を勘違いしたのか、選考をキビしくしたそうです。
『テメぇでハードル上げてヒト足んなくなってりゃ世話ネェや』、って言ったら、深刻な顔で深々頷いてました。
やっぱアホっすよ。
あんな花形職種が倍率割れなんて信じられん。
日本なんて真逆っしょ。
機数が少ないのは同様だろうけど、希望者が多過ぎて、充分通用するような人材でも言い掛かりみたいな理由で落としてるんじゃないかな。
今の欧州はドイツとイギリスがギリギリ耐えていてスイスの一人勝ちみたいですね