EUは欧州の再軍備を加速させる欧州安全保障行動=Security Action for Europe計画の運用を開始し、ギリシャは「SAFE計画から約12億ユーロの融資を受ける」と発表、この資金の使い道について現地メディアは「FDI級フリゲート4番艦の調達に投資する」と報じている。
参考:SAFE loans could fund fourth frigate
ギリシャも限られた資金を供給する優先順位に頭を悩ませているようだ
EUは7月末に欧州安全保障行動=Security Action for Europe計画の運用を開始、これは欧州再軍備計画の主要構成要素で「再軍備を加速させる最も即効性が高い措置」と評価されており、加盟国はトリプルAに格付けされるEU債券を通じて再軍備に必要な資金を調達できる、つまり「財政状況が厳しい加盟国にとってソブリン市場よりも有利な条件=低利で資金を調達することができる」という意味だ。

出典:Υπουργείο Εθνικής Άμυνας
SAFE計画には18の加盟国=ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、フィンランドから融資の申し込みがあり、ギリシャのミツォタキス首相は「SAFE計画から約12億ユーロの融資を受ける」と発表、この資金の使い道について現地メディアは「FDI級フリゲート4番艦の調達に投資する」と報じている。
ギリシャはトルコが一方的に宣言したEEZ=排他的経済水域内で掘削調査を開始したため軍事衝突寸前まで緊張が高まり、これを受けて海軍の大幅な近代化に着手し、フランスからFDI級フリゲートを3隻調達中、老朽化が進む209型潜水艦の後継潜水艦、FREMM級フリゲート艦、高速哨戒艇の調達も検討を進めており、FDI級フリゲートに巡航ミサイルを搭載するためアップグレードもほぼ確定しているが、ギリシャメディア=Πρώτο Θέμαは13日「SAFE計画の融資をFDI級フリゲート4番艦の調達に利用するかどうか検討している」「巡航ミサイルを最初から搭載する4番艦の取得費用は融資額=12億ユーロとほぼ一致する」と指摘。

出典:Υπουργείο Εθνικής Άμυνας
さらにFDI級フリゲートの追加調達はSAFE計画の融資条件(フランスとの共同調達)にも合致し、Πρώτο Θέμαの取材に応じた当局者は「この計画を推進する場合、今後12年間をカバーする防衛装備品調達計画内の優先順位を再設定する必要があり、汎用車輌取得など他の計画のスケジュールが変更させるかもしれない」と述べ、ギリシャも限られた資金を供給する優先順位に頭を悩ませているようだ。
因みに欧州再軍備計画で動員される最大8,000億ユーロもの資金を「何に投資するか」は「NATOが各加盟国に課した能力要件」に概ね沿ったものになり、総額5%に含まれる「防衛分野への投資3.5%」も「大幅に引き上げられた能力要件」を達成するために算出された数字で、この能力要件の詳細は機密事項なので公開されておらず、一般的向けには「ミサイルや防空システムについては現在の5倍、戦車と装甲車輌は数千輌以上、砲弾は数百万発以上、兵站を含む支援能力は2倍以上必要」「ドイツには10年以内に最大7個戦闘旅団を提供してほしい」程度しか明かされていない。

出典:Ministerie van Defensie
オランダが戦車大隊を再導入してLeopard2A8を48輌、リトアニアが戦車大隊を創設してLeopard2A8を44輌するのも「自国の戦力構造に戦車大隊というトロフィーを追加するため」ではなく「NATO全体に課されている能力要件を満たすため」なので、数十輌の戦車取得に「どんな意味があるのか」と考えても永遠に答えに辿り着けないだろう。
今後、各加盟国が発表する防衛装備品の調達をつなぎ合わせて行くと「NATOが各加盟国に課した能力要件=ロシア抑止に必要な戦力規模」の輪郭が見えてくるはずで、日本の(対中国や対北朝鮮の)安全保障を単独対処ではなく日米による共同対処で見るのと同じ構造だが、ギリシャとトルコは「NATOとしての能力要件=対ロシア」とは別に「単独対処を強いられる現実的な脅威」が存在するため、戦力増強方針は他のNATO加盟国とは一線を画すものになるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Υπουργείο Εθνικής Άμυνας





















FDI級見てると前弩級戦艦的な味わい深い感じがする
ギリシャも、色々な装備を揃えようとして大変だなと。
管理人様が、韓国企業が潜水艦の売込みしているというのを取り上げていましたが、『海上からの見える形での抑止』を考えればフリゲート優先なのでしょうね。
NATO単位で見ないで各加盟国の調達の意味を考えてもしょうがない、
まあおっしゃる通りですね。
ただ本当にNATO全体でいく、と決めたらもっと徹底するべき
だとは思いますが…
例えばFCAS対GCAP、KF-51対EMBT、ラファール対タイフーンとか
こういう争いに時間と金をかける必要ってないだろうと思うんですよね。
欧州統一戦車、欧州統一戦闘機、欧州統一フリゲートはまだ
作らないの?と思ってしまう。
そこで我が国の要求が!って言い始めたら何がNATOやという話で。
こういうEUとNATOの連動する動きを見るにつけ、ウクライナのEU加盟は絶望的だと思う
ただウクライナの敵は明確にロシアなんですがギリシャの敵は同じNATO内のトルコでというのがなんとも。
今非民主主義化が原因でEU加盟交渉止まってるけど同じ理由で、トルコがEU入ることは無いんだうなあ
まあギリシャの主敵はトルコだよね