クロアチアのアヌシッチ国防相は15日「政府がTB2の調達案を承認した」と発表、6機のTB2が含まれるパッケージの推定価格は9,500万ドルと報じられており、クロアチアはポーランド、ルーマニア、アルバニアと共にTB2を選択したNATO加盟国になった。
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MQ-9A Block5とTB2の極端な違いはヘルファイア、GBU-12、JDAM、AIM-9Xといった有人機向け兵器の搭載能力だけ
クロアチアは国防力強化と軍近代化の一環としてRafale F3R、HIMARS、Leopard2A8の導入を進めており、アヌシッチ国防相は15日「政府が軍近代化に向けた歴史的投資を承認した」「Leopard2A8とTB2の調達、取得したRafaleの整備体制構築に関する決定を下した」と発表、トルコ国営メディアも「アヌシッチ国防相は優先的かつ緊急的なTB2の必要性を表明し、クロアチア政府も提出されたTB2の調達案を承認した」「このパッケージには6機のTB2が含まれ、固定アンテナと移動アンテナの2重体制でクロアチア全土をカバーすることを保証している」と報じた。
Na današnjoj sjednici @VladaRH donesene su odluke o povijesnim ulaganjima @MORH_OSRH u modernizaciju i opremanje Hrvatske vojske. Usvojene su odluke o pripremnim radnjama za nabavu najmodernijih tenkova Leopard 2 A8, besposadnog zrakoplovnog sustava Bayraktar TB2 i o održavanju… pic.twitter.com/kb7XY3U9Vz
— Ivan Anušić (@ivananusic12) November 14, 2024
Breaking Defenseも「このパッケージには指揮統制装置、訓練シミュレーター、地上監視・制御装置、4,000飛行時間をカバーするのに十分な初期スペアパーツが含まれている」「TB2の訓練はトルコで実施され、機体の整備に必要な施設も用意される」と、Janesも「クロアチアのアヌシッチ国防相が軍近代化の一環としてTB2調達を発表した」「ポーランド国防省は以前、6機のTB2、3基の地上管制装置、スペアパーツで構成されたパッケージを6,700万ドルと評価していたことがある」と報じており、クロアチアのパッケージは推定9,500万ドルらしい。
因みにTB2はNATO加盟国のポーランド、ルーマニア、アルバニアを含む25ヶ国(非公開の国も合わせると31ヶ国)が導入済み、イラク、バングラデシュ、クウェートが発注中、セルビアとスロバキアも導入に向けた協議を行っており、MQ-9A Block5とTB2の長時間滞空能力(共に27時間前後/MQ-9Bは40時間以上)に大きな違いはなく、TB2にもSATCOMに対応したモデルが存在するため、両者の極端な違いはヘルファイア、GBU-12、JDAM、AIM-9Xといった有人機向け兵器の搭載能力だけだろう。
MQ-9A Block5と同等の兵器の搭載能力を求めるならAkinci(5ヶ国が導入済み)があるため、MQ-9とTB2のどちらを導入するかは政治的な問題=安全保障分野におけるトルコの影響力を受け入れ可能かどうかの違い、対米関係を重視する国(もしくはトルコの影響力を容認できない国)はMQ-9を、安全保障分野の影響力を複数国に分散させる方針の国(+MQ-9に手が届かない/売却の承認が得られない国)はTB2を選択する可能性が高い。
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※アイキャッチ画像の出典:Ivan Anušić
選択肢が一つしかない場合は最悪だ。トルコという代替案があれば、値切る手札としてだけ持ってきても便利です
一方、グローバルサウスでは中国やイランからより安価な製品を購入することができ、結果的にさまざまなUAVの使用においてより早く多くの経験を積むことができた
個人的にはまだ一つ大きな差があるかと思います。
それは将来性で、何より現時点でリーパーには後継機がいますから、将来的にガーディアンを採用するための購入もあり得ますが、TB2は今後ガーディアン系統と張り合える製品を開発し続けられるのか?
トルコの資金力やエンジン、アビオニクス開発能力でGAと張り合い続けるのも無謀に思いますし、価格以外で何かリーパー後継とは別の強みを実現してほしいものです。
おっしゃる点重要ですが、同時に考えたいのはコスパ重視で量を揃えることの大切かと思います。
ウクライナ戦争、そして、ガザの戦訓は質より量です。
同じお金でより量を稼ぐ方が良いと小国であるクロアチアが考えるのは結構いいかもです。
仰る通りコスパは大事なのですが、コスパ路線に走ってしまうと、ある時点で徘徊爆弾で良くないか?と言う結論に達しかねないのが難点と言いましょうか…
アメリカは高級路線のまま、海軍兵器として売り込みに来てますし、バイラクタルとしてはコスパ路線で徘徊爆弾と戦うのも、高級路線でアメリカ製と戦うのも厳しいんではないかと。新しい路線があれば良いんですが。
TB2は現「防衛力整備計画」記載の、「対戦車・戦闘ヘリコプター(AH)の機能」を移管する「多用途/攻撃用無人機(UAV)及び小型攻撃用無人機(UAV)」の前者に該当する候補装備の一つで、所謂「徘徊爆弾」は後者に該当する装備ですので、両者は南西諸島という運用環境に対する有効性を考察した上で分けて評価すべきと思います。
業務スーパーの格安食材なんて大半トルコ産ってくらい輸入しまくってるんだから武器も少しは‥とはならないもんですかねー
安さで覇権取って技術はあとから儲けた金でいくらでもって流れは白物家電で見た流れ
問題は相手は安価なUAV使ってくるのに、日本はアメリカ製の高価なUAVを使わざるを得ないこと
これでは経済的な優位性が生かせないし、数も少ない
ウクライナ戦争で質より量が実証されたのに嫌な感じだ
ただTB2は戦争当初は活躍を聞いたが今じゃろくに聞かないから対策されたのかもしれない
TB2 は今や「費用対効果的に高価な対空ミサイルで落とす価値のある目標」として認知されて対処されるので。
敵の対空ミサイルと戦闘機のいない空域でのみ活動可能な、いわばヘリと同種の使い勝手の兵器ということが判明してしまい。
国によってはヘリの代わりで便利でしょうが、わざわざ買う価値があるかはかなり疑問がありますね。
相手が防空力を少しでも持っていればTB2のような大型UAVを撃墜しやすい、大型UAV自体の価格は決して安くなく、経済的には割に合わない
だから平和な時期の偵察、パトロール、あるいは対テロ、武力衝突という低強度の戦闘にしか適していない
中東とウクライナの戦場は、まともな戦争では安価で使い捨てになるドローンが正しいことを証明している。例えば攻撃力を捨て、偵察装置だけを備えた無人機「オルラン10」は、数万ドルの生産コストで数百kmの偵察能力を持っている。安価な偵察ドローンが目標を発見したら、安価な方法(砲撃、自爆ドローン)で打撃を行えばよい
これは「百発百中の砲一門と百発一中の砲百門」ではなく、「百発百中の砲一門と百発三十中の砲百門」です。後者の優秀さは圧倒的だ
このサイズのUAVともなると米国一強、次点でトルコと言う印象ですが、ウクライナの戦況を見るに、このクラスのUAVはそこまで有用なのかと言う疑いを持ってます。寧ろ活躍しているのは徘徊爆弾とマルチコプターで、個人的には日本も積極的に開発すべきはこちらで、UAVは米国かトルコのを適当に運用してれば良いようにも思います。
ロシアの「オルラン10」が参考になります。生産コストは数万ドルで、最大離陸重量も15kgにすぎないが、数百kmの偵察任務を実行することができる
防空ミサイルよりも安価で、大量装備や使い捨てとしても適しており、長射程の自爆ドローン「ランセット」などにも合わせられる
問題のオルランですが、ウクライナの戦場でロシアは持て余してるようにしか見えませんが、そもそもこの手のUAVとコスパは非常に相性が悪いんじゃないですか?
実は結構使ってますよ
ロシアの長距離攻撃の大部分は、背後にオルランの影があるかもしれない。例えばランセットの射程はマルチコプターではついていけないので、戦果映像は基本的に安価UAVで撮影されているのではないでしょうか
それ自体は攻撃を仕掛けずに情報だけを集め、しかも技術力が低いので目立たないだけ
たった数万ドルで、コスパも悪くないでしょう。それを使って情報を得て、価格が同じかそれ以上の目標を破壊するのは難しくありません
オルラン10の操作可能距離は長く見積もっても200kmのようですが
数百kmの偵察任務…まぁ200kmでも「数百km」と表現するのは間違いではありませんが
陸自向けバイラクタルTB2はいつ来るんだろ
もう待ちくたびれたよ…
TB2 高くなっとる
この二つの記事を続けて作るのは暗に管理人さんも日本の国防にはコスパも大事と考えているのかな?
最大の問題は、無人機運用のための衛星コンステレーションが、十分な密度でトルコに維持できるかどうかでしょ
まして日本なんか地球の反対側で、ちゃんとカバーしてもらえるか大変怪しいですが、日本を引き合いに出しておられる方はその辺どうお考えなのか
ウクライナが自作した簡易ドローンもイーロン氏のスターリンクを使って操縦することができ、運用範囲が特に遠くなければ陸や船から直接操縦することもできるので、それほど問題ではないと思います
LOSのドローンについては別途調達してますので別の話です
スターリンクの利用はイーロンマスクの胸先三寸で左右されており、長距離ドローンによるロシア本土や軍港への攻撃はできなくなっています
こんな不安定なものを戦術に組み込む事はできません
長距離ドローンによる”スターリンクを用いた”攻撃、です
MQ-9Bの価格は1億ドル近くで、戦闘機よりそれほど安くはありません。弱い防空に遭遇しても撃墜されやすいので、まともな戦争の戦術に組み込むのには向いていません
戦争以外の場面での運用は、多少不安定でも受け入れられないことはないだろう。少なくとも20億ドルをかけて解決する価値のある問題ではない
海洋は「弱い防空」のようなグレーゾーンが発生し得ませんのであなたが懸念されるような危険は無いですね
戦闘機数機分の超高額哨戒機を20億ドルで削減できるのですからコスパは抜群です
オルラン10では全く不可能な仕事です
中国を含む複数の国が数百トンのボートに防空レーダーとミサイルを同時に搭載する試みを始めているが…それはさておき、MQ9で何をすることを期待しているのだろうか
大型化オルラン10やTB2ができないのにMQ9ができる任務は何ですか
数百キロ以内の操縦には衛星は必ずしも必要ではなく、防空が全くない貧弱な目標にとってより重い弾薬を持ち込めることに意味があるのだろうか
バイラクタルはペイロードが150kgしかなく、ソノブイポッドや対潜魚雷の搭載、合成開口レーダーを増設する余地がありませんので潜水艦の監視には全く役に立ちません
数百トンの船はレーダーに丸見えですので航空優勢の内側には一歩たりとも立ち入れません
あなたが主張するような「弱い防空」が生ずるには、殲滅の困難な小型防空ユニットが各所に潜伏することが必要です
海上ではありえません
いやいや、現在、中国もイランも防空能力を備えた数百トンのステルス艦を持っている
中国のそれはまだ詳細が分からないので、イランのを参考にしてください。例えばSayyad ShiraziやHassan Baqeriの防空ミサイルSayyad-3の射程距離は少なくとも120キロであり、MQ-9Bはこの距離には無力である
近くに戦闘機があれば戦闘は可能だが、近くに戦闘機がある状態を維持するのはUAVを使う動機とは逆ではないか
インドの契約には大量の弾薬と維持管理のためのロジスティクスの構築まで含まれているので、これを根拠に「MQ-9が1億ドル!」などと騒ぐのは語弊があるってレベルじゃないです
台湾で「1機あたり5440万ドル」と以前このブログで取り上げられてた数字も、地上管制ユニットとスペアパーツにその他の支援込みですから、本体単価はこれよりずっと安いわけで
日本が運用を想定している海上環境においては「弱い防空」のような中途半端なエリアが発生し得ず、航空優勢の境界線がはっきりしますのでこのような無人機の運用も容易になります
2億ドルの哨戒機の負荷をこれで減らせるんですからコスパ良好です