欧州関連

F-35プログラム不参加を反省? ポーランド、米ステルス無人戦闘機計画への参加を希望

ポーランドのマリューシュ・ブワシチク国防相は23日、来週中にもステルス戦闘機「F-35AライトニングⅡ」購入に関する米国との契約に署名すると明らかにした。

参考:Poland, US to sign F-35 fighter deal in late January – MoD

F-35プログラム参加を見送った反省を活かし、米国のステルス無人戦闘機開発への参加を希望?

ポーランドは旧式化した旧ソ連製戦闘機SU-22M4/UM3K(SU-17の輸出型)やMiG-29A/UBを更新するため、米国に対しステルス戦闘機「F-35AライトニングⅡ」の販売を要請、昨年の9月に米国もポーランドが要請した32機のF-35A販売を承認、契約の総額は約65億ドル(約7,020億円)と言われていた。

出典:public domain F-35A

しかしポーランドメディアによれば、32機のF-35A導入に掛かる費用(予備パーツや保守システム、トレーニングパッケージを含む)は65億ドルより少ない40億ドル強に収まり、さらに同機導入の見返りとして要求したオフセット契約も辞退することで約10億ドルを節約したが、この契約にはF-35Aが搭載する武器の購入費用が含まれておらず、さらにF-35A運用のために必要な基地や施設の改修費用も別途必要で、全てを足すと約90億ドル程度の負担が必要だと報じている。

ポーランドがオフセット契約を辞退したのは、希望していたF-35製造のサプライチェーン参加が不可能で、米国が提案した代案(ポーランドが導入しているF-16C/DやC-130の整備拠点設置)の費用対効果が優れていなかったためだ。

因みにポーランド国防省は、F-35のオプションとして運用される可能性が高いステルス無人戦闘機、米国の「Loyal Wingman(忠実な僚機)」プログラムへの参加を希望している。

これは同国が過去、F-35プログラムへの参加を見送ったため、F-35導入の見返りにF-35製造に参加すること希望しても断られたことを反省し、F-35のオプションとして運用される米国の「Loyal Wingman」プログラムへ出資しておけば、将来、高い需要が見込めるステルス無人戦闘機の製造に関われると判断してのことだろう。

出典:public domain XQ-58ヴァルキリー

ただし、ポーランドが参加を希望している米国の「Loyal Wingman(忠実な僚機)」プログラムは、米空軍が開発している「XQ–58ヴァルキリー」を指しているのか、米国企業のボーイングが開発しているステルス無人戦闘機「ロイヤルウィングマン」を指しているのか、よく分かっていない。

XQ–58ヴァルキリーは米空軍の資金のみで開発され輸出が可能なのかも不明なため、恐らく外資の参加は不可能だと思われるが、もう一方の「ロイヤルウィングマン」はオーストラリアが開発資金を出資する形でボーイングが開発しているので輸出可能なステルス無人戦闘機だ。

恐らく、ポーランドが参加できる可能性の高い「Loyal Wingman(忠実な僚機)」プログラムはボーイングが開発している「ロイヤルウィングマン」の方だろう。

少し話は逸れたが、ポーランドが導入するF-35はロット13(7,920万ドル)~ロット14(7,790万ドル)で製造される機体なので、最初の機体(4機)引渡しは2024年を予定しているが、この機体は米国でのポーランド人パイロットの訓練に使用されるためアリゾナ州のルーク空軍基地に駐留することになる。

そのため、ポーランドが実際にF-35を装備した部隊を編成できるのは2026年以降になると見られている。

 

※アイキャッチの出典:storm / stock.adobe.com

月産1機VS11機、10倍の量産規模で中J-20を圧倒する米F-35前のページ

新たな名品武器の登場? 韓国、ウェイクホーミング魚雷「タイガーシャーク」量産へ次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    欧州が米防衛産業に依存しているのか、米国が欧州市場に依存しているのか

    Defense Newsは欧州の再軍備について「欧州の投資は将来のニー…

  2. 欧州関連

    英国提供の長距離攻撃兵器、Shahed-136タイプの自爆型無人機かもしれない

    英国がウクライナに提供する長距離攻撃兵器はストーム・シャドウと予想され…

  3. 欧州関連

    首都に迫るアゼル軍、ナゴルノ・カラバフ側がシュシャ陥落を認める

    アルツァフ共和国(旧ナゴルノ・カラバフ自治州が独立国だとして名乗ってい…

  4. 欧州関連

    エストニアで高まるロシアへの恐怖、弾薬確保のため計35億ユーロを投資

    エストニアではロシアへの恐怖が高まっており、ペフクル国防相は27日「2…

  5. 欧州関連

    フィンランド防衛産業のベストセラー、英国とノルウェーもPatria6×6に合流

    欧州5ヶ国が参加を決めた装甲兵員輸送車=Patria6×6の受注数は1…

  6. 欧州関連

    韓国がポーランドの潜水艦入札で巻き返し、競争力がある資金調達モデルを提供

    ポーランドの新型潜水艦入札は最終局面に差し掛かっており「ドイツ、スウェ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 24日

    身の振り方が大変だね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 25日

    ポーランドが実際にF-35を装備した部隊を編成できるのは2026年以降
    とはずいぶん気が長いというか日韓ほど切迫してないってことなんでししょうね。
    ドイツ軍のポンコツぶりといいあの周辺は呑気なものなんでしょうか??

    F-35のプログラムに参加してないのに日韓配備(特に日本)が早いのは情勢都合からの優遇分配なんでしょうか?

      • 匿名
      • 2020年 1月 25日

      ポーランドの経済力は台湾と同じくらい。
      世界レベルから見れば結構高いけど、それでもF-35等を早急にそろえるのはかなり辛い。
      またあまり急速にそろえると、ロシアがどう反応するかわからない。
      なので呑気に構えているなどと評するのでなく、その辺りの事も考慮して評価するべきかと思う。

    • 匿名
    • 2020年 1月 25日

    2度とロシア側につくことはありません、しかし緊張を高めないように慎重に動かざるを得ない

    • 匿名
    • 2020年 1月 25日

    出資とかじゃなくても本邦も目に見える形で動いて欲しい。F-35用の随伴無人機は手に入るのかなと国民は不安だよ。手に入っても本邦向きの機体ではないかもだしの。

    • 匿名
    • 2020年 1月 25日

    うちもF35に参加しなかったことや
    無人攻撃機とかの偵察以外のドローンで遅れていることを反省してほしいもんだ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP