ポーランドのドゥダ大統領は31日「まだプーチンはウクライナとの戦争に負けておらず、ロシアが1960年代の戦車を持ち出してきたと笑う人もいるが、この戦車は性能に関係なくあらゆるもの踏み潰す」と述べ、戦争の行方に関する楽観的な見方を牽制した。
参考:Prezydent: Czynimy wszystko, by NATO było jak najsilniejsze
古い鉄の塊でも量さえあれば「それ自体が質になる」と言ったところだろう
ポーランドのドゥダ大統領はダウ・ジョーンズのラトゥールCEO(WSJ紙の発行人)と対談した中で「プーチンはウクライナとの戦争に負けたと言われているが、彼の敗北はフィンランドがNATOに加盟したことだけで戦争自体には負けていない。私はプーチンが負けることを願っているが、今のところロシアのローラはウクライナを押しつぶし数百人が前線で毎日死亡している。ロシアの人口は1億人以上だが、ウクライナの人口は4,000万人未満に過ぎず、これだけでもどちらが有利なのかよく分かる」と指摘。
さらに「核保有で膨大な武器備蓄をもつロシアが1960年代の戦車(恐らくT-54/55のこと)を持ち出してきたと笑う人もいるが、当時の戦車も数十トンの重さがあり、この戦車が走り回れば性能に関係なく戦場のあらゆるものが踏み潰されるだろう」と付け加え、プーチンがウクライナとの戦争に負けたという楽観的な見方を牽制した。
広大な戦場で1年以上も争われているウクライナとロシアの地上戦は「機械化戦力が雌雄を決する壮大な戦い」ではなく「大砲と歩兵が主体の塹壕戦」が殆どで、戦車の運用もロマン溢れる対戦車戦ではなく「火力と防御力を活かして塹壕戦を戦う歩兵の支援」が主な役割りだ。
つまりドゥダ大統領の言及は「旧式でも数させあれば広大な戦場で優位性を確保するのに役に立つ」という類の話で、ロシア軍が持ち出してきた旧式戦車は役に立たないと馬鹿するのは「戦車が戦場で求められる役割を誤解している」という意味になり、古い鉄の塊でも量さえあれば「それ自体が質になる」と言ったところだろう。
因みにドゥダ大統領は「ロシア軍が国際的に承認されたウクライナ国境の外に押し出されればプーチンは戦争に負けたことになる。その時が来れば『この戦争でロシアは何も得ることができず、ウクライナ人を奴隷化する試みも失敗し、ただ何十万人もの命を失っただけで終わった』と言うだろう」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Kancelaria Prezydenta
あくまで例え話で、要は楽観するな敵を侮るなと大統領は言いたいのだろう
イラク戦争で、M14やA10が活躍したように古い兵器が猛威を振るうのはかつてもよくあった
鉄の塊が野を踏み荒らして火砲と機関銃を撃って来るのだから、歩兵にとって脅威なのは変わらない
量が質に転換するとは、ソ連時代に唱えられた共産主義の謎理論だったんですが、プーチン政権下でも継承されていたらしい
量より質に傾いていた平和前提の西側軍事理論に対してどこまで通用するだろうか
いやアメリカ陸軍だって、1台のタイガー戦車に3台のM4シャーマン戦車で対抗しろとか、航空支援や、榴弾砲の弾幕砲撃でタイガー戦車を阻止しろ、みたいな戦法で第二次世界大戦の西部戦線を戦い、M4シャーマン戦車はソ連軍も使っていました。
イギリス陸軍もモントゴメリーは物量主義で有名でした。朝鮮戦争のアメリカ軍は
「ヴァンフリート砲弾量」
で、中国軍を阻止しました。
量より質に傾くのは、量でどうやっても勝てないときの一種の精神論ともいえ、太平洋戦争の時の日本軍もそうでした。今の自衛隊もそうかもしれません。バフムトなどを見ても、現状で通用していないのは量より質の西側軍事理論の方です。そもそも平和前提の軍事理論などと本末転倒なのは通用しなくて当然です。
西側の理論も有効ですよ
ロシアだってソ連崩壊以降で平時に弱い旧来型のドクトリンから西側流に近い方向に転換していってその成果として花開いたのがクリミアなわけですし
ウクライナでは総力戦という戦争の一形態においてはやはり旧来型の東側の理論に優位性があるという通説が再確認されたに過ぎません
縛りプレイのウクライナの結果を全てに適応させると言うのは乱暴なのでは?ロシアと単独で戦うような西側の国と言うケースがレアのような気がする。
仮にアメリカ単独なりNATOだった場合は制限のないロングレンジや航空攻撃、より性能が高い兵器を多く投入出来るのだから、前線の攻撃力も後方への攻撃も効果的に出来るのだからバフムートみたいな事が起きるのかは疑問だけど。
西側軍事理論でどうしようもなかったケースはあるけど、多くの場合は慢心とか政治による制限とかで縛りプレイをしているケースが多くて最初から保持しているしかるべき戦力投入なりをしておけば量による攻撃を防げた感じで通用しないってのは乱暴じゃないのかな。
西側じゃウクライナみたいな総動員による人海戦術は無理だろうし西側ならウクライナより上手くロシアと戦えてるって話には同意出来ないかな
あと結局アメリカでもバスラみたいな要衝の攻略には時間がかかってバフムトみたいな1日何mの戦いしてる
アメリカはゾンビアタックなんてしないし、膨大な死者を出して無いから、バスラの話との比較自体ナンセンスかな。
西側は人海戦術で無くエアランドバトルが基本戦術で、そこがウクライナに西側が課したハンデ戦かも。
ウクライナ東部・南部の戦場においてロシアは負けていない
(現時点では持ちこたえている)
フィンランドのNATO加盟など政治的にはロシアは負けている
航空優勢とれていない戦場では、ロシアの旧式戦車は歩兵装甲車や歩兵には脅威です。
ロシアの旧式戦車は、ウクライナがT-62戦車の改良して、砲をT-72戦車と互換性もたせていたせいで、ウクライナが旧式戦車のT-60戦車を奪っても、砲の規格があわないせいで、ウクライナで弾生産しておらずに戦車としてはつかえません。
ウクライナは奪った旧式戦車を機銃無理やりつけて、足の遅い余り歩兵乗れない歩兵装甲車として改造して使用していますが、T-72と違い、ウクライナに奪われてもウクライナは戦車としてはつかえないので、旧式戦車のほうが動員兵士など士気低い兵士にもつかえます。
「鹵獲されても痛くないから使い易い」
なんとも消極的な売り文句ですね。
字面のせいもあって「虫歯の原因になりにくいガム」を思い出しました…
旧式だと戦車同士で殴り合えばそら負けるがそもそも戦車同士の戦闘が少ないのだろう
戦車以外なら100mm砲食らえばタダでは済まんし
1日数百人死んでるってさらっと言っちゃったな
話の流れから考えてウクライナの損害を指してるようだしな。
やっぱウクライナ軍の損害はプリゴジンが言ってたぐらいはあるんか?
T54/55は、突撃砲としては今も有能に思えます。
ウクライナにも歩兵支援で同種のものが必要では、と思います。
レオ1やM55S/AMX10-RCの供与はその為なのかな。
今現在、どのように使っているかわからないのだけれども。
でも、どうせなら、砲の口径はもっと大きい方が良いのでは。
120mmの直射迫砲とか、米軍で使っていた152mmガンランチャーとか。
M551は残っていないかな、と思います。
大口径の重榴弾の威力は、敵の塹壕陣地には極めて有効と思えます。
戦場の1歩兵からしたらWW2の銃も今の銃も変わらず命を奪うことには変わりない。戦車なんて尚更。戦争というシステムの中での脅威度は下がっても個人の目線では世代なんて関係ない。そしてアサルトライフルで倒せない以上、対戦車兵器というリソースを割く必要があるわけで、たとえT-34だったとしても、それが足りないウクライナには相当の負担をかける。あくまで対戦車戦闘での脅威度が下がるだけ。大砲は大砲、戦車は戦車。
ウクライナの戦場見るとソ連の戦車が車高を低くしたのも納得する
旧式でもその土地にあった設計されてるなら使いやすいでしょうね
「人のセックスを笑うな」という映画がありましたな。
ポ大統領は、戦死者は「100万人の命の上に立っている」までは行かないと読んでいるんですね。
私は行くんじゃないのかなと悲観していますが。
旧式戦車であっても広大な戦線を維持する部隊の火力支援にはちょうど良いという事だろう。IFVや歩兵には旧式といえど主力戦車は危険な相手だ。
この種の火力支援戦車はウクライナ側も緊急に必要としているはずだが、レオパルト1のオーバーホールと近代化にも相当時間がかかかっている模様だ。
リンク
オーバーホールが予定より早く終わったとか言ってるウクライナの軍事アカウントもありますね
何が届いて何がまだなのか、そろそろ管理人さんのまとめがあるかな
T54だって,スペックとしては第二次大戦のキングタイガーより強いですからね。
手元に対戦車ミサイルがあれば良いですが。そのミサイルが不発だったり外れたりしたら一方的に蹂躙されるわけなので、恐怖兵器としての役割は依然として健在でしょう。
流石に戦後第1世代主力戦車と大戦末期に作られ火力と装甲こそあったけど、機動面や生産性に難があった問題児と比べるのは酷な気が… そもそもT55やT54なんて稼働率もかなり低い気がするので幾ら歩兵の脅威と言えど今のロシアにそこまでの運用能力があるかと言われたら少し疑問ですね
>ロシアの人口は1億人以上だが、ウクライナの人口は4,000万人未満に過ぎず、これだけでもどちらが有利なのかよく分かる
あらためて4度に渡る中東戦争を戦い抜いたイスラエルの凄さが分かる。中東戦争では第三次まで味方だったイギリスとフランスが石油利権からアラブ側に付いて更にイランや中国が入りこみ、イスラエルが支援を受けれるのはアメリカだけだったにも関わらず鹵獲した兵器の有効活用や巧みな戦術で戦い抜いた。
ウクライナも欧米からの支援に加え、ロシア軍から鹵獲して使い道の無いT-62やT-55(ウクライナに対応する砲弾が無い)の砲塔を取り外して車体が損傷したBMP-2からの砲塔を取り付け火力支援の為の「装甲戦闘車」に改造したり、イスラエルのアチザリットの様に砲塔を取り外して新たに装甲で覆った兵員室を取り付けて「装甲兵員輸送車」にしたりといった現地改造が見受けられます。
まあ逆にいえばそんなイスラエル軍でさえも、第四次中東戦争では、歩兵を軽視する
「オールタンクドクトリン」
で失敗し、エジプト軍のソ連製対戦車誘導弾・サガ―や、RPGによって、多数の戦車を破壊され、またソ連製地対空誘導弾・ガドフライによって、多数のF-4や、A-4を撃墜され、結局アメリカの仲介でエジプトとの停戦に合意し、またシリアでも一時は優勢でしたが、ダマスクスにソ連の赤旗親衛空挺師団が派遣されるという段階になって、それ以上の攻勢を断念し、占領地から撤退しました。エジプトの占領地からもほとんど撤退しました。
イスラエル軍は様々な創意工夫や、努力、作戦で、ある程度の量の差を覆すことができたのは事実ですが、その一方で質によって量の差を覆すことの限界も理解していたのです。
イスラエルはまさに「力による現状変更」によってできた
国ですけども、現状はシリアにたまに越境空爆をする
くらいですかね(国際法違反ですが欧米は黙認してます)。
イスラエルのドクトリンはすごく興味があって、彼らが
敵に取り囲まれている中で、どのような戦略で活路(侵略)
を進めていったのか、もっと勉強したいです。
心情的には「さっさと消え◯せろ」なのですが、感情と、
興味というか知識の欲求は違ったりしますよね。
ポーランドからしたら自国の防衛戦力が整うまではウクライナに持ち堪えてもらわんと、最悪の事態やとロシア軍+西側兵器で武装した敗残ウクライナ軍を相手にせなあかんからなあ。
『戦いは数やで、兄貴‼︎』を実直に実現しているポーランド大統領のドゥダはんをワイは尊敬している。
開戦から短期間で主要兵器と人員を無くすのはイスラエルだけでなく他の国でも悪魔ですね
量も大切ということで西側で製造技術含めたアプデや増産が急激に進んでいるのは今回の戦争での一番の教訓かもしれません。
ウクライナで我々が学べることはハイ・ローミックス戦術の見直しという事なのではないかと。
砲兵戦力と砲撃要請の高度なネットワーク化や戦車の周辺視界をドローンによって確保したり、歩兵主体の戦闘でもHIMARSによる精密爆撃で部分的優勢を確保したり、ミグでも西側の最新ミサイルを発射できるようにしたり。
古い戦力でもそこに最新の技術を応用する事で十分な戦果が得られるって部分が肝心で、兵器そのものが古いから一概に役に立たないとは限らないとあうのがこの戦争の答えなのかも知れません。
人 対 戦車なら人が負けますが、今の「人」はドローン使って戦車の上から爆弾落とせるわけです
はるばるロシアから運ばれてきた近代戦を知らない鉄塊は、本当に役立つんでしょうかね