欧州関連

スロバキア、西側諸国の支援があればT-72やMiG-29をウクライナに提供

スロバキアのナド国防相は「レオパルド2A4のウクライナ提供は全く議論されていない」と明かしたが、T-72やMiG-29のウクライナ提供に関しては「用意がある」と述べている。

参考:Словакия не планирует передавать Украине Leopard 2, но готова предоставить Т-72 – министр обороны
参考:Словаччина зробила важливу заяву щодо передачі винищувачів Україні

ウクライナ移転について話し合うという意味は「誰が支払いを負担してくれるのか」という問題なのかもしれない

ドイツがウクライナへのレオパルド2提供を決断したため「スロバキアが装備交換で受け取るレオパルド2A4(15輌)をウクライナに提供するのではないか?」という憶測が飛び交っていたが、ウクライナメディアの取材に応じたスロバキアのナド国防相は「レオパルド2A4のウクライナ提供は全く議論されていない」と明かした。

出典:böhringerfriedrich/CC BY-SA 2.5

但し、ナド国防相は「西側諸国から必要な支援が受けられれば明日にでもT-72(30輌保有)をウクライナに移送する用意がある」と述べ、退役済みのMiG-29についても「我々はウクライナ移転について話し合う準備が出来ており政府の決定を待っているところだ」と付け加えており、恐らくEUからの補填を要求しているのだろう。

因みにEU加盟国がウクライナに提供する武器の費用負担は大まかに「提供国による負担」と「EUによる負担」の2種類が存在し、EUによる負担とは「欧州平和ファシリティ(EPF)」に積み立てられた資金を活用する方法で、昨年だけでEUは加盟国が提供した武器の払い戻しに52億ユーロ=約7,300億円の拠出を承認している。

出典:Mateusz Morawiecki

例えばポーランドのモラヴィエツキ首相はレオパルド2提供について「補償をEUに申請する」と表明しているため「EPFによる払い戻し」を示唆している可能性が高く、EPFに資金を相当拠出しているドイツが「EU加盟国のウクライナ支援」を財政的に支えている格好だ。

とにかくウクライナ支援は「提供国による負担」が全てではなく、スロバキアもMiG-29提供に「3億ユーロ」の支払いを求めており、ウクライナ移転について話し合うという意味は「誰が支払いを負担してくれるのか」という問題なのかもしれない。

関連記事:ポーランドとチェコが領空保護をスロバキアに提供、MiG-29提供へ前進

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

独米、レオパルト2とエイブラムスのウクライナ提供を正式発表前のページ

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コメント

    • 無能
    • 2023年 1月 26日

    ドイツ君!金さえ払えば現場に負担をかけずにウクライナ支援ができるよ(なお評価は変わらない模様)

    31
      • 匿名
      • 2023年 1月 26日

      湾岸戦争と同じ轍を踏むのか…

      5
    • あああ
    • 2023年 1月 26日

    言うまでもありませんが戦車の次は戦闘機です。戦車に同じくまずは旧ソ製のを必要とします。これの提供に係わる費用負担と同時に代替装備の提供が必要となる。それが戦闘機なのかそれ以外かは分かりませんが戦闘機でとなると代替品は西側4G機しかない。これの工面が必要になれば現役運用のを引き渡す必要がある。
    例えば仏はラフォールの余剰の中古機を大量に放出する話をいくつかしてます。それらを撤回するような事態も無いとは言えない。F16、タイフーン、これらを糧に旧ソ戦闘機を買い漁るのは何とも面倒な話ですが適切に段階を踏む事で露のレトリックを封殺はできます。

    15
      • 鼻毛
      • 2023年 1月 26日

      戦闘機供与ってワクワクしますが、地対空ミサイルが強すぎて現状ロシア空軍でさえ活動低調なので、ウクライナも供与された戦闘機を前に出せなくなって、結局何も変わらない(ただし現状は維持される)可能性もある気がします。F-16からはフルスペックでHARMを撃ったり誘導爆弾をぶん投げたりできるので、ロシア製とは違う動きができるのかしら

      1
    • 兵長
    • 2023年 1月 26日

    金食い虫の在庫処分場所になってそう(^-^;

    22
    • panda
    • 2023年 1月 26日

    東欧諸国は旧ソ連製の旧式兵器から脱却する機会ではありますね
    対ロシア防衛戦略をを睨んだ場合、兵器は西側で統一していた方が補給・整備面の都合が良いでしょうし

    28
      • 月虹
      • 2023年 1月 26日

      この機会を最大限に活かしているのが韓国の兵器産業なんですよね。
      「現地生産・技術移転が可能」「現地移転した兵器の国外への輸出も認める」「新品が難しければ中古も提案する」といった破格の条件を掲示して、かつ「西側規格」「性能と価格のコストパフォーマンスに優れる」であれば導入する国が着実に増えるのは頷けます。

      チェコ、スロバキア、ルーマニアなどT-72やBMP-1・2、Mig戦闘機などが現役のヨーロッパ諸国は未だありますし、どのように兵器転換していくか行方が注目されます。

      7
        • あああ
        • 2023年 1月 26日

        K2にK9にK239にレッドバックでFA50ですね。これ全部がポーランドで内製化されるはずです。あれ装輪装甲は?ですがこっちは本邦に同じでAMVXPが登場するはずです。日本でラ国ですからロソマクでそれをしないはずがない。既存のそれが1千両以上ですからこれに同数以上が確実です。そして周辺国への輸出もある。
        今後の東欧各国は独軍でなくポーランド軍に互換性あるものを望むでしょう。しかも韓国兵器はコスパいいです。供給土台も安定してます。現状が納期問題で選択肢が限られ韓国製を選ぶ場面も多々ありますが、今後は違う。しかし韓国兵器が欧州でシェア高めた所で韓国の発言権が増す事は特にありません。これがミソです。
        米国製なら米国の影響が強まる。独製、仏製、英国製どれも同じです。外交的に偏りが出る。しかし東洋の果てにある韓国ならそれがありません。これも販促の武器になるというなら商売としては若干ずるい気もしますかね。

        11
    • 2023年 1月 26日

    この戦いで仮想敵国のロシアが小国になったら、増強されたNATO軍の次の仮想敵国は中共という事になるのだろうか?
    そうなったら中共もうかつに動けなくなり、デカップリングでじわじわ弱体化させて力を削ぎ、台湾有事が起こらない方向に持っていけたらいいな。
    中国には鄧小平前のエコな自転車大国・人民服大国に戻ってもらえれば平和だな。

    18
    • 匿名
    • 2023年 1月 26日

    >> ポーランドのモラヴィエツキ首相はレオパルド2提供について「補償をEUに申請する」と表明しているため「EPFによる払い戻し」を示唆している可能性が高く、EPFに資金を相当拠出しているドイツが「EU加盟国のウクライナ支援」を財政的に支えている格好だ。

    もしかしてポーランドは、レオパルド2の無断移転というドイツとの契約違反を公言しておきながら、その上損失分をEPAというドイツの拠出金で補填し、挙句その資金でK2等購入というドイツ兵器からの脱却を考えてたとか?

    そこまで足蹴にされたら、流石にドイツもブチ切れるのでは?

    22
      • 航空万能論GF管理人
      • 2023年 1月 26日

      EUもそこまでお人好しじゃないです。

      欧州諸国の武器開発を資金援助するEUの防衛基金も元請負企業や下請け企業をEU加盟国に限定して資金を欧州内に落とす仕組みになっているので、恐らくEPFによる払い戻し金で装備を購入する場合「欧州企業」に限定される可能性が高いと思いますよ。

      まぁポーランドの場合は国内問題の影響でEUからの資金提供がブロックされているためEPFを利用できるのか怪しいですけど。

      12
        • 匿名
        • 2023年 1月 26日

        ご回答ありがとうございます。
        EPFをEPAと誤記する程の知識不足で、申し訳無かったのですが、EUらしく産業保護を基にした支払い条件が規定されているのですね。
        それと管理人様のご指摘の通り、ポーランドはハンガリー共々、EUから法の支配を守れと制裁されていましたね。是正されたかどうかはお察しでしたが。

        個人的な疑問点にフォローを入れて頂き、本当にありがとうございました。

        1
    • たら
    • 2023年 1月 26日

    日本がスロバキアに資金提供することは、できないのでしょうかね?

    9
      • ミリ飯食べたい
      • 2023年 1月 26日

      資金の問題もさることながら、現物としての補填が必要ということだと思います。
      開戦初期に東欧諸国から旧ソ連製装備をかき集めているときに、ドイツが補填すると言っていたのに
      蓋を開けてみれば、提供分の半分程度の数の最新型でないレオパルド2を出そうとして揉めていた記憶があります。
      スロバキアとしてはこの轍は踏みたくないのではないかと想像します。
      仮に提供した資金でM1やK2が導入されたら、新世代欧州標準戦車はK2とM1になるのかもですね。

      6
    • G
    • 2023年 1月 26日

    日本も兵器供与すべきという人を見かけますが、スロバキアやポーランド以上にロシアの脅威が高く、さらに中国の脅威にもさらされている日本にとって、補填される見込みのない兵器の提供がいかに非現実的であるということがよくわかりますね
    退役処分される兵器ぐらい提供すべきではという意見なら少しはわかりますが、そちらも退役したものを提供できるようにする以上に実戦を見据えて予備として保管できるようにすることのほうが重要に思えますし

    14
      • panda
      • 2023年 1月 26日

      将来、使用する事を見据えた保管には相応の費用が掛かりますし
      対中国戦において重要度の低い装備の保管にコストを掛ける意味は薄いと感じます

      13
      • AX-5
      • 2023年 1月 26日

      ウクライナは「なんでもいいのでMBTください」じゃなくてレオパルド2とM1エイブラムスを名指しして要求してたわけだし正直ウクライナから欲しいと言われてない90式とかを送った所でその後の運用とかはどうすんだと思ってるわ。

      11
      • きし
      • 2023年 1月 26日

      モスボールの話はこの前のプライムニュースでも話題になってて小泉氏が指摘してたけど、
      みんな大好き財務省が、モスボールは無駄金だとして認めないのが一番の原因なんだと。

      もちろん、ロシアみたいにモスボール兵器を整備・復帰させられるだけの兵器産業を育てて維持する必要はあるけど、
      今の状況、というか財務省はそれ以前の状態で、ちゃんと議論すべきと。

      5
      • TA
      • 2023年 1月 26日

      0自分はそうとも思えん
      日本にとっては空海戦力こそ最も求められる兵器であるが、ウクライナにとっては陸こそ第一
      陸上兵器の優先順位は米軍以上に低い
      もしロシア軍の戦力を徹底的に叩ければ、その後中国が台湾海峡で事を構えるのはイタリア抜きでバルバロッサ作戦やるようなものだ

    • 戦略眼
    • 2023年 1月 26日

    ドイツがLeopard2A6を出すと報じられている。

    1
    • もり
    • 2023年 1月 26日

    東欧諸国「ドイツはロシアの味方!邪魔をするな!(ドイツの金でおもちゃ買おう♪)」

    そらドイツさんもキレますわ

    4
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