セルビアのブチッチ大統領は26日「プリシュティナ側がコソボ北部のセルビア人へのテロ行為をエスカレートさせてきたため、軍の警戒体制(戦闘準備)を最高レベルに引き上げ、行政ライン方向への移動を命じた」と発表、両者の状況は元に戻ってしまった。
参考:Сирене и сузавац на северу Косова, Америка критикује Куртија
参考:Albanski gradonačelnici uz specijalce ušli u zgrade Privremenih organa, skinuli srpske i postavili kosovske zastave, SAD osudile i od Kurtija traže prekid nasilja, Osmani i Svećlja čestitaju
参考:Вучић издао наредбу да се подигне борбена готовост Војске Србије; Вучевић: Војска Србије се размешта на позицијама ка административној линији
昨年と同じ状況に戻ってしまったセルビアとコソボ、再びセルビア軍が行政ラインの境界に展開
これまでの経緯を説明するとセルビア共和国から分離・独立したコソボ共和国で暮らす約5万人のセルビア人はコソボ側の統治を拒否、コソボ当局がユーゴスラビア時代のナンバープレートを廃止する計画を発表すると「統治を認めていないコソボ側の強制=これに応じるとコソボ主権を間接的に認めたことなる」と反発して道路をバリケードで封鎖、セルビア人が多数派を占める地域ではセルビア系議員、裁判官、治安部門のトップが一斉に辞任。
セルビア共和国も「コソボ地域に住むセルビア人の権利が侵害されている」と主張したため両国関係が極度に悪化してしまい、この事態をEUの仲介で何とか沈静化させたものの辞任した代表の再選出を行う選挙管理事務所が何者かに爆破され、セルビア人とコソボ当局は「アルバニア人による選挙妨害だ」「セルビア共和国が犯行を指揮している」と互いに非難しあい、再びセルビア人がバリケードで道路を封鎖したためコソボ当局が撤去を試み発砲事件(どちら側が発砲したのか不明)に発展。
この事件後もコソボ当局は「KFOR(NATO派遣の治安維持部隊)がバリケードを撤去しないなら自分たちの手で行う」と強行姿勢を崩さず、KFORもバリケード撤去に手を出すと事態が悪化するため容易に動けず、発砲事件を重く見たセルビア共和国が警戒体制(戦闘準備)を最高レベルに引き上げ国境沿い部隊を配備、このまま事態を静観すればコソボ側がバリケードの自力撤去に踏切るの確実で、住民との衝突に発展すればセルビア側が軍事介入を行う恐れがあった。
しかし米国・EUから保証を受けったブチッチ大統領は昨年末「警戒体制の解除」を発表したため最悪の事態だけは回避できた格好だが、保証の中身は「中央選挙管理委員会や治安当局に対する攻撃を組織したという理由で逮捕されたコソボに住むセルビア人元警察官の釈放」「コソボに住むセルビア人の逮捕リストを放棄=恐らく今回の抗議に関連した人々を起訴しないという意味」「NATOもコソボもセルビア人居留地に許可なく立ち入らない」というもので、主権を制限されたコソボ側にとって歓迎できる内容ではない。
一方のセルビア側は「これはセルビアの勝利でコソボ・メトヒヤ(独立を承認していないコソボ地域を指す名称)に住むセルビア人の勝利だ」と保証内容を歓迎していたが、再びプリシュティナ側とコソボに住むセルビア人が衝突しまった。
今回の衝突原因はセルビア人が多数派を占める地域(ズヴェカン、レオプサビッチ、ズビン・ポトク)のアルバニア人新市長就任で、4月23日に実施された選挙は実施までのプロセスに問題があり、現地のセルビア人住民は選挙のボイコットを宣言、当該地域に住むアルバニア人の投票率も異常に低く、選挙管理委員会の公式データによると実際に投票したのは住民4.5万人の内1,567人(投票したセルビア人は13人)だけだった。
EUは選挙自体は適切に実施されたと認めているが「コソボ側とセルビア人住民の緊張を和らげることに失敗した」と指摘しており、この選挙結果を認めていないセルビア人住民はバリケードを築いて新市長が市庁舎に入るのを妨害、これを阻止するためコソボ警察の特殊部隊が催涙弾などを使用して鎮圧に乗り出し、現場では銃声、爆発音、サイレンが鳴り響いていると報じられている。
Clashes between members of the Kosovo special forces and Serbian officers of community self-government bodies took place today in the north of Kosovo, RTS TV channel. pic.twitter.com/Qtl2CMONa7
— Animal World (@dragon_of_time_) May 26, 2023
これ受けてセルビア共和国は「コソボ地域に住むセルビア人の権利が侵害されている」と判断、ブチッチ大統領は再び軍をコソボとの境界近くに移動させ始めた=昨年と同じ状況に戻ってしまったという意味だ。
関連記事:米国とEUから保証を受けったセルビアが警戒体制を解除、事実上の外交的勝利
関連記事:増え続けるバリケード、コソボ側が手を出せばセルビア軍介入の可能性も
関連記事:緊張が高まるバルカン半島、発砲事件を受けてセルビア側が戦闘準備
※アイキャッチ画像の出典:Vojska Srbije/CC BY 3.0 rs
チトーがいればなぁ
正直なところイデオロギー等どうでもよく優れた為政者さえいればいいと思ってる
有能な独裁者が最高なんだけど、そう何回もSSR独裁者を引けないから難しい。
セルビアがんばれー
アゼルバイジャンに続くんだ
無理だろう。
ロシア側だし。
これこそ、どうにもならないな。
みんなまとめて、シェンゲン協定に加盟しろ。
NATOが国連安保理決議に依らずに武力行使してコソボ独立強行した結果
勿論セルビアはコソボの独立など承認していない
今のウクライナと鏡写しですね
セルビアはロシアと同じやり口かよ
違う。
もっと、面倒。
それは違うと思いますよ。両者では経緯が全く違いますし、むしろコソボを強引に独立させたNATOがロシアと同じやり方とも言える。
経緯はともかく他国になってて、でもセルビア人保護の為にって口実の方ね
経緯はともかくって、その経緯が重要なんですけど
正当防衛の結果の殺人と強盗殺人をどっちも同じ人殺しだと言っちゃうぐらいの暴論ですね
これが世界の火薬庫か
普通の火薬庫なら一回吹っ飛べば終わりなんですけどね・・・
むしろ欧州の地雷原みたいね
誘爆するボンバーマン思い出した
元々の経緯からすればセルビア側が独立認めないのも色々言うのも分からないではないが
一応他の国とある程度認められてしまってる地域で統治拒否かましてるのを支援するために軍事行動ってのはどうしても…ねえ
独立の後押ししたNATOやEUとしても矛先向けられないようできるだけ介入したくない案件だろうけど、そのうちどっかで爆発すんぞこれ
欧米がやってきた一方的な現状変更って奴の実例
コソボ暴動みたいなマイノリティとなったセルビア人やロマへの迫害や対立は今も残っている
そもそもコソボどころかユーゴスラヴィアの解体はセルビアが大セルビア主義を捨てきれなかったせいなので
あんまり同情しにくい
ドンバス紛争からセルビア民族主義者が露側で参戦したりしてるしなぁ…
この民族をまとめてたチトーって偉大だったんだな
大アルバニア主義が絡むから、本当に厄介なんで・・・
コソボもセルビア人の聖地という事だからどうにもなりませんね
iインド独立の時のように宗教別に居住地域を移動し国を分けた形は良かったですね…
♫『我が路を行くゥー!セルビア!』
(´・ω・`)
日本で多様性叫んでいる人々を見ると、わざわざ火種を作っているようにしか見えないですね。
この惑星で数多くの国家があること自体、多様性に富んでいると思いますが。
混ぜるな危険。