トルコがロシア軍が駐屯するフメイミム空軍基地近くに地対空ミサイルを配備したと報じられている。
参考:Turkey deployed air defense systems near a Russian air base in Syria
ロシア軍基地を狙うトルコ軍の地対空ミサイルが意味するものは?
海外メディアによればロシア軍が駐屯するシリアのフメイミム空軍基地から約80km離れた場所に米国製の地対空ミサイル「MIM-23 ホーク」を配備したことを示す衛星写真がAviation.Proのレポートに掲載されているらしい。
MIM-23ホークの射程距離は40km~50kmなのでフメイミム空軍基地を射程圏内には収めていないが、基地を離陸した航空機が配備したホークの方角へ少しでも飛行すればホークの射程圏内に飛び込むことになるのだが、果たしてトルコがどのような意図をもってホークを配備したのだろうか?

出典:Mil.ru / CC BY 4.0 フメイミム空軍基地に展開するロシア空軍機
トルコはシリアのイドリブを拠点と反政府組織「シリア解放機構」を支援するため派遣しているトルコ軍がシリア政府軍によって攻撃を受けて少なくない損害(62人死亡、100人以上が負傷、数十両の戦闘装甲車両が破壊され10機以上の無人航空機が撃墜されている)を受けたため、シリア政府を軍事的に支援しているロシア政府の関与を指摘して非難を繰り返していたが、結局ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は今年3月、イドリブ地域での停戦に合意している。
それにも関わらずロシア軍が駐屯するフメイミム空軍基地近くにホークを配備すれば停戦合意は勿論、ロシアとの関係も悪化するのは明白なのに何故このような行動に出たのか?
恐らくリビアの状況が影響しているのかもしれない。
リビアはトルコが支援する政府軍とロシアが支援する反政府軍によって内戦が繰り広げられているのだが、最近リビア政府軍はロシアが民間軍事会社を通じて雇用したシリア人傭兵部隊を大量にリビアに送り込んでいると主張して非難しているため、その報復にトルコがフメイミム空軍基地近くに地対空ミサイルを配備してリビアから「手を引け」とメッセージを送っているのだろう。
補足:トルコがリビア政府軍を支援するのはキプロス近海の天然ガス開発が関係していると言われている。トルコは生産した天然ガスをパイプラインで欧州へ輸送しようと計画しているのだがギリシャなどの国がパイプライン敷設に反対しているためリビアの排他的経済水域(EEZ)を経由して欧州へのパイプラインを敷設しようと計画しており、そのためにもリビア政府軍には恩をうっておく必要がある。
しかしロシアからすれば、リビアでトルコの邪魔をすれば天然ガスのパイプラインが欲しいトルコがシリアから手を引くだろうと考えているに違いない。
どちらにしてもトルコは強烈なメッセージをロシアに投げつけたので、シリアでもリビアでも全く譲歩する気は無いと見える。
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain MIM-23 ホーク
微妙に旧世代のミサイル出しているあたり配慮と威嚇の両方を感じる。
弾道ミサイルや巡航ミサイルは落とせないが輸送機などの大型機は撃墜可能なあたり考えさせられることが多い。
アメリカも昨今の情勢から再びトルコと関係改善を取る可能性ありとみて強気なトルコの姿が伺える。
興味深い。
管理人のセンスの良さが光っているね
日本の陸上自衛隊で廃棄したホーク再整備したものとのうわさ。
シリアのイドリブでの停戦合意の条件の実施が、未だに実現してないですからね(M4ハイウェイの開通や安全地帯ほか)。
どうせ停戦が崩れるのは時間の問題かと。
それにしてもトルコは破滅の道に一直線で、AKPとエルドアンの政権が早く倒れないとトルコ国民やばい。
トルコの対外状況は最早だれが大統領になろうが悪化しかしないと思うな。
エルドアン切っても更に強硬路線行くしかない状況だ。
全員が完全に疲弊するまで悪化するだろう。
2070年くらいまで悪化するかも
トルコの綱渡り感よ・・・。
ギリシャもとにかく強気だし味方を作らないと詰んでしまう。事情も地政も立場も違うが、台湾を見習った方がいい。
中東情勢は複雑怪奇。
敵作りすぎ
S400導入でアメリカに喧嘩を売ってロシアに近づき、次はそのロシアにちょっかいかけるのか。全方位を刺激してんな
全方位に喧嘩売るのか‥‥
地域大国からステップアップしたい願望が見え見え
ギリシャ、キプロス、シリア、ロシアとアメリカ、そしてクルドとアルメニア問題
誰か味方がいるのかね