欧州関連

ポーランドがK9の車体を流用したヘビーボルスクを開発、エイブラムス部隊向け

ポーランドのブラスザック国防相は「ボルスクを1,400輌購入する」と発表したが、この歩兵戦闘車はK2PL装備部隊で運用する予定で「M1A2装備部隊向けにK9の車体を流用したヘビーボルスクを開発する」と明かした。

参考:Bojowe wozy piechoty BORSUK dla Wojska Polskiego

K9の車体をベースにポーランドが独自に開発するのか、同じK9の車体でもモジュール設計を採用したRedbackを流用するのかは不明

米国と韓国から1,200輌以上の主力戦車を調達するポーランドのブラスザック国防相は28日、スタロヴァ・ヴォラ製鉄所とWBElectronicsが開発した国産の歩兵戦闘車「ボルスク」を1,400輌購入する契約に署名したが、ポーランド国防省が発表したプレスリリースから「K9の車体にZSSW-30を統合したボルスクより重い歩兵戦闘車」の存在が確定した。

ポーランド陸軍が調達する1,400輌のボルスクは無人砲塔(ZSSW-30)を搭載する歩兵戦闘車タイプ、120mm迫撃砲を搭載した火力支援タイプ、戦闘指揮車タイプ、NBC偵察タイプ、救急医療タイプ、ドーザー付きの工作タイプの6種類で、基本型のボルスクはK2PLを装備する第16機械化師団などに配備される予定だ。

設計作業が承認された「ボルスクより重い歩兵戦闘車」とはK9の車体にZSSW-30を統合したもので、ブラスザック国防相は「M1A2を装備する第16機械化師団に配備される予定だ」と言及しており、主力戦車と歩兵戦闘車の組み合わせとして「M1A2とRedback(ハンファディフェンスは有人砲塔のMT-30を搭載した豪陸軍モデルと無人砲塔のZSSW-30を統合したポーランド陸軍モデルを提案)」「K2PLとボルスク」を検討しているという話は事実だったことになる。

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

KRABの生産に使用しているK9の車体をベースにポーランドが独自に「ボルスクより重い歩兵戦闘車」を設計するのか、同じK9の車体をベースにしたRedback(顧客のニーズに対応するためモジュール設計を採用している)を流用して「ポーランド陸軍モデルのRedback」を設計するのかは今のところ謎だが、前者ならヘビーボルスク、後者ならRedback-PLになるのかもしれない。

因みに1,400輌のボルスクに「ボルスクより重い歩兵戦闘車」の調達分が含まれるのか、1,400輌とは別に「ボルスクより重い歩兵戦闘車」を調達するのかは判断できる材料がないので謎だ。

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※アイキャッチ画像の出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

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コメント

    • もり
    • 2023年 3月 01日

    ここも韓国が1枚噛んで来た訳か
    なんつーデカいビジネスなんだ

    8
      •  
      • 2023年 3月 01日

      こういう実績を見てもいまだにお笑い韓国軍ネタは生まれ続けているから怖い。お笑いロシア軍もそうだけど他人を低く見て満たされるのは虚栄心だけで現実に対応する上では害でしかないのにね。

      40
        • 匿名希望係
        • 2023年 3月 01日

        ドイツとフランスとイギリスがさぼっているのもでかい気はするけどね。>陸上兵器
        あと兵器の焼き畑農業もしている点も含めてね。

        8
    • せい
    • 2023年 3月 01日

    ポーランドは着々とNATOの壁になっていってるなぁ。
    空軍や海軍は英仏に任せるのかな?

    9
    • G
    • 2023年 3月 01日

    たしかポーランドはK9をライセンス生産するとのことでしたし、車体工場の生産力を他パーツ工場より高めて余剰分を使用する予定なのでしょうか

    2
    • U
    • 2023年 3月 01日

    なんか頭いい感じ。戦力化に定石も聖域も無いし下半分だけ生産に必要な倍売ってくれるだろうし。テストも余裕で許可してうまく行ったらすぐ商売になるのは信頼性とか大したことがなく思われててもそれなりの数作る中で改良される可能性が高いだろうしパワーパックはテストの中で既に見込みがたったので採用したぽい。得意な分野をうまく合わせるとコスパがとても良くなる典型のように見える。

    3
    • APFSDS
    • 2023年 3月 01日

    クラブで他砲塔載せたり、インド軽戦車ベースになったり、色々流用の効く車体だね。
    装甲もあるから乗員保護も出来るし。

    4
    • ネコ歩き
    • 2023年 3月 01日

    今更ですが、ボルスクへのゴム履帯採用はキャンセルされたんですかね。
    耐久性に問題無い重量級戦闘車輌用ゴム履帯の実用化に成功したのなら侮れないと思っていたのですが。

    • 台湾大好き
    • 2023年 3月 01日

    思考実験ですけどね。
    歩兵戦闘車は重武装・高価格化の一途ですが、歩兵が乗車できる意味って何なんですかね。敵性都市に分け入っていくようなシチュを考えなければ乗車戦闘や歩兵防護を考えなくても良いのではないか、スペースを装甲と携行弾薬に振った方が小型化・低価格化・抗堪性向上に有利ではないかとも思えます。浮いたお金で装甲車なりトラックでも調達すれば、歩兵の戦略機動性は損なわれません。

    まぁ図らずとも極東某国はそうなってるわけですが。
    (浮いたお金で戦車増やしてくれよという邪な発想)

    5
      • nachteule
      • 2023年 3月 01日

       なんか一時期有ったオールタンクドクトリンに似たような考え方してるな。都市じゃなくったって、陣地や森林地帯、山岳地帯とかの掃討とか歩兵でしか適切に対応出来ない場所はいくらでもあるし、最近でもロシアがそれで痛い目に遭っているでしょ。

       それに歩兵戦闘車みたいな装軌で歩兵を搭乗させない車両ってそこまで主流でもないでしょ?そんな車両は昔の軽戦車とかFV107 シミターみたいな偵察戦闘車やヴィーゼル空挺戦車とかぐらいで、主力として正統な後継車両は残っていないので淘汰される理由があったと言う事。せいぜいがロシアのBMP-Tぐらいがそれに該当するぐらいだが西側はそれに追随する気配はない感じで微妙なんだろう。

      6
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