ウクライナ陸軍のタルナフスキー准将はCNNの取材に「クラスター砲弾を受け取ったばかりで使用していないが、これは戦況を根本的に変えることができる武器だ。敵も効果を理解しているため、この武器が使用可能な地形の一部を放棄するだろう」と述べた。
参考:Ukrainian general confirms to CNN that Kyiv has received cluster munitions from the US
果たしてクラスター砲弾は攻めあぐねているロシア軍陣地に対してどのような結果をもたらすのだろうか?
バイデン大統領は先週「この戦いは兵站の戦争なのにウクライナ人は弾薬を使い果たし、我々も弾薬不足に陥っている」と説明して「ウクライナへのクラスター砲弾提供」に踏み切ったと発表したが、ウクライナ陸軍のタルナフスキー准将(タブリア作戦軍司令官)はCNNの取材に対して「まだ受け取ったばかりで使用していないが、戦況を根本的に変えることができるだろう」と述べ、反攻作戦を実施している最前線にクラスター砲弾が到着したことを認めた。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
タルナフスキー准将は「この武器は非常に強力で、敵もクラスター砲弾を入手した我々が戦いで有利になると理解しているため、この武器が使用可能な地形の一部を放棄するだろう」と述べたが、クラスター砲弾を使用できる地域については「軍上層部が決定を下す」と付け加えており、レズニコフ国防相はクラスター砲弾の使用について「国際的に承認されたウクライナ領でのみクラスター砲弾を使用し、国際的に承認されたロシア領に向けて使用しない」「民間人への危険を避けるため都市部で使用しない」「使用と使用地域の厳格な記録を保管する」「クラスター砲弾の使用と結果をパートナーに報告する」と約束している。
タブリア作戦軍は南ドネツク方面の戦いに参加している可能性が高いため、この作戦地域にクラスター砲弾が到着したと推定されるが、まだ軍上層部がクラスター砲弾を使用できる地域を決めていないので「使用されていない」という意味だ。

出典:Department of Defense
因みにクラスター砲弾については「通常砲弾よりもロシア軍陣地に対する攻撃効果が高い(制圧範囲は通常砲弾の5発分以上)」と意見があるが、果たしてクラスター砲弾は攻めあぐねているロシア軍陣地に対してどのような結果をもたらすのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
これを口実にしてロシア軍が大々的にクラスター弾を使うようになってしまわないか
すでに都市部でクラスターどころか白鱗弾が使用されてたんじゃ無かったか?
野戦ではウクライナも既にクラスター使ってるだろうし、ぶっちゃけ戦局は変わらんよ
白リン弾が使用された証拠はありませんね
テルミット系の焼夷弾と混同されていることが多いようです
そしてテルミット焼夷弾の方が遙かに残虐非道な武器なのになぜか白リン弾のほうを重視するという
白リン弾は燃焼範囲にいなくても近くにいるだけで人体に有害なのと、土壌汚染を引き起こすので問題視されるのです
テルミット焼夷弾は白リン弾より高温になりますが、燃えてそれでおしまいなので周囲への悪影響という意味では白リン弾よりはるかにマシです
毒ガスではないと強弁できる程度の毒ガス
この戦争ではロシア軍もウクライナ軍も開戦当初からクラスター弾を盛大に撃っているので(註:ロシア軍は勿論、ウクライナ軍もこれまで撃っていたクラスター弾はロシア製)、今更米国製のクラスター弾をウクライナ軍が撃っても戦闘その物に関しては無問題でしょう
大事なのは不足していた弾薬が補充できたということだけですね。
ショイグが「俺達には多種多様なクラスター弾があるんだぜ?使っちゃうぜ?」ってな感じに言ってたけどロシアの弾薬庫にどんなクラスター弾が入ってるかなんて分からないからなあ。
ソフトターゲットには特効なので、歩兵がますます塹壕から出れなくなるのは確定かなと。歩兵を動かすことが出来なくなるので、戦線を膠着させる強い効果があるはすです。
ただ、細かくなる分、破壊力が激減するので、野戦砲に対する効果がどうなのかと。砲兵狩りは誘導弾,歩兵制圧はクラスター弾で使い分けるから無問題ってことでしょうか。
アメリカ自身が供与したのは対人・対装甲クラスター弾だと発表しています。
こいつはHEAT-MPの用に破片効果を高めた整形炸薬弾なので戦車の上面装甲も貫通可能です。
牽引砲はもちろん装甲化された自走砲にも効果的でしょう。
クレミンナ方面で攻勢に出ているロシア軍への突破破砕射撃に使ったほうが効果的じゃないかな。まあいずれ全戦線に供給されるんだろう
非常に興味深い記事です。
クラスター弾頭は湾岸戦争で砂漠の陣地等に対して多く使われ、そういったデータはあるでしょうが、今回のように土・コンクリートで固められた周到防御陣地に対しての使用は聞いたことがありません。
米国にしても、陣地タイプ・角度・集弾密度で検証したことはないでしょうし、今回の「使用結果をパートナーに伝える」というデータは、我が国は万金を払ってでも手にいれる価値があると思います。
なぜなら、私たちの周りの国はほぼ全てクラスター弾を持っていて、陸自はそれに耐えうる防御陣地を野戦築城あるいは平素の永久築城で行わなければならないからです。
陸自の陣地マニュアルは、おそらく昭和期の砲弾データから作成されているかもしれませんが、それをアップデートしなくてはいけません。この戦訓は非常に大事でしょう。