英国のジョンソン首相は19日、冷戦後最大の国防予算引き上げを発表して「後退の時代」を終わらせることを約束した。
参考:PM in £24billion spending spree to kit out Royal Navy ships with ‘inexhaustible lasers’
参考:U.K. Space Force Ready To Launch: Boris Boasts $22 Billion Boost To Britain’s Military Future
フランスやドイツを上回る国防支出を約束した英国、今後4年間で165億ポンドを追加投資
ジョンソン首相は19日、従来の安全保障政策や外交政策の総合的な見直しの結果を発表した演説の中で懸案だった国防予算について「後退の時代」と終わらせると宣言、独自のロケット打ち上げ能力を備えた宇宙軍の創設、専門のAI機関の設置、サイバー部隊の創設などの新しい分野に今後4年間で165億ポンドを追加投資(約2.3兆円)すると発表した。
英国の年間国防予算は現在420億ポンド(約5.8兆円)なので、今回の追加投資によって英国の国防予算は今後4年間約10%増加(約6,000億円)することなり、米国を除けばNATO加盟国の中で最も多くの国防予算を英国が支出することを意味する。
今回の国防予算増額についてジョンソン首相は「現在の国際情勢は冷戦終結後最も危険で激しい競争に晒されており、英国は同盟国と一緒に立ち向かわなければならない。これを達成するためには英国軍の能力を全面的にアップグレードする必要がある」と述べており、国防予算増額による経済的効果についても「英国国内の防衛産業に数万もの仕事を生み出すことにも繋がり、特に海軍の艦艇には指向性エネルギー兵器(所謂レーザー兵器)の搭載など多数のアップグレードが行われるため国内の造船産業が活性化する」と主張した。
さらにウォレス国防相も国防予算の追加投資について「米国が下す安全保障上の決定から独立するための軍事力を確保する必要がある」と述べおり、これはトランプ大統領が今週発表したアフガニスタンやイラク駐留の兵力削減を指しているものと予想される。
トランプ大統領はアフガニスタンに駐留する4,500人の兵力とイラクに駐留する3,000人の兵力を来年1月までに2,500人規模まで削減することを発表したが、これについては米国国内や同盟国からも時期尚早で誤った判断だと批判が集中しており「目先の駐留費用をカットできても将来高いツケを支払うことになる」と指摘されている部分だ。
米国は今年2月、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンと米軍撤退と引き換えに国際テロ組織の活動拠点としてアフガニスタンを利用させないことを確約させ駐留していた8,600人の兵力を段階的に削減している最中なのだが、米軍の兵力削減に伴いアフガニスタン政府に対するタリバンの攻撃が増加しており、今兵力を削減してタリバンに間違ったメッセージを送れば国際社会が約20年もの時間と多額のコストを負担して構築したアフガニスタン政権が転覆しかねないとトランプ大統領に解任されたエスパー前国防長官や共和党も兵力削減に反対、アフガニスタンに兵力を派遣している同盟国も困惑している。
兵力削減に伴い影響力が低下するイラクでも米軍の完全撤退を見越してイランとの2ヶ国間防衛協力協定に署名するなど不穏な動きを見せており、ここで米軍が撤退すれば中東地域の不安定さは更に高まるだろう。
要するに米国が下す安全保障上の決定に引きずられて英国の国益が毀損する現状から抜け出したいと考えているのだ。
そのため英国は国防予算の追加投資を行っても軍の構造自体にもメスを入れることを否定しておらず、ウォレス国防相も「新しい分野への投資のため幾つかのレガシーな能力を手放すことになる」と言及しており、今回の安全保障政策や外交政策の総合的な見直しによって陸軍と海兵隊は非常に困難状況に陥るはずだ。
陸軍は主力戦車「チャレンジー2」を失いUAVを主体にした編成に改編されるのではないかと噂されており、356年の歴史を誇る英国の海兵隊は廃止され陸軍に統合する案が政府内部で検討されているらしい。
逆に海軍は欧州最大の規模に拡張される予定で26型フリゲートを8隻建造、空母打撃群の補給を担当する大型補給艦を3隻建造、31型フリゲートの調達や次世代フリゲート「32型」の開発が進められ、空軍は第6世代戦闘機「テンペスト」の開発予算を確保することに成功している。
結局、冷戦後最大の国防予算規模と言っても戦略核兵器とヴァンガード級原子力潜水艦の維持、さらにドレッドノート級原子力潜水艦の調達に多額の予算が必要なので残った予算で通常戦力を維持するためには、何かを犠牲にしなければならないという選択は致し方ないのだろう。
補足:ドレッドノート級原潜のプログラムコスト(開発費用+取得費用+運用維持費用の合計)は310億ポンド(約4.2兆円)に達すると言われている
因みにウォレス国防相は最近、イラクでのUAV運用実績を引き合いに出して陸軍の大半をUAVで置き換えることを示唆する発言を行っており、もしかすると英陸軍は少数の歩兵を中心とした通常戦力+特殊部隊+UAVという内容で再編成されるのかもしれない。
果たして英国軍の将来はどの様な形に決定されるのだろうか?もうすぐ全貌が明らかになる予定だ。
※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0
日本も軍事予算を倍増して隊員の福利厚生と軍事技術の開発に当てて欲しい。
そのための資金をどこから調達しましょうか?
とりあえず、消費税を16%くらいに倍増しましょう。さらに、医療費の個人負担を50%位に増やして...
おぉ、国民負担がますます増えますねぇ。そんなの、与党内からも反対されそう。
なんで5兆もいかない防衛費を倍にするために消費税だけで10兆以上増やす必要があるんですかね。
印象操作お疲れ様です。
消費税の使い道が限られてることすら知らないアレな人に触るのはNG
既に日本の軍事費を抜いている韓国を見るにやはり日本は少なすぎると思われる
2%は無いとこれから中国と統一朝鮮UNKOロシアとの競合には競っていけないですよ。
日本は周辺国の状況に全く見合わない防衛予算だと思いますね。
地政学的に考えて、太平洋において少なくとも中国に対しては航空宇宙・海洋分野はミリたりとも劣ってはいけないはず。
大東亜戦争の教訓はどこに行ってしまったのだろう。。。
輸送艦と掃海母艦の代替として、戦力投射艦を5隻作りそうだが、母艦航空隊は確保できるだろうか?
あと5兆、どこからお金持ってこよう。
国債かな?
日本は金より法整備を何とかしないと、今ある戦力すら有事でまともに使えないよ。
エスパー前国防長官だったか、日本もGDP比2%にしてくれと言っていたね。
核武装する前から2%にしてたら核武装した時通常兵器削減する必要が出そうで面倒臭いだろう
せめて攻撃原潜手に入れてからでないと>2%
>せめて攻撃原潜手に入れてからでないと
今の防衛予算で、原潜を持つ余裕などないでしょ。
まずは、資金を手に入れないと。
原潜を持つのに2%にするという話やぞ
核のワークシェアリングでアメリカの核兵器借りて運用する方法でも良いのでは?自前でするにしてもイギリスみたいにSLBMトライデントそのまま導入とかになりそうですし取り敢えずは専用の航空機保有して核兵器はレンタル(B61)で開発中のミサイルに搭載して運用可能にするのです!!それでも増額する必要があるはずですけど、中国に沖縄取られて琉球共和国(中国堂々と公言)にされる事態は回避しなければならないのデス。
弾頭管理運用決定拒否権は全てアメリカ軍にある核シェアリングを日本でやって何の意味が?あれで出来るのはアメリカ軍が全面戦争を決意した時に限りアメリカ軍の命令に従ってアメリカが管理する核爆弾を投下する手伝いを(機材費用こっちもちで)させられるってだけですけど
アメリカが日本に核兵器を使用する訳にはいかないでしょう、つまりそういう事ですよ、来たら使われると思わせるのが大事です、結局は2050年代までは自前で核兵器は所有出来ないので今は借りるしか無いでしょう。
反撃用の核兵器国内保有の第一歩としては一番確実なのでは?独自に保有しようとすれば北朝鮮の二の舞ですよ。アメリカ・中国・ロシアのみならず、あらゆる国から非難・制裁を受けるのは間違いありませんし、第二次世界大戦の敗戦国という事実はそれに大義名分を与えます。ところが、核シェアリングはドイツという前例もあります。現段階でそれ以上を望むのは無理です。
ドイツの核シェアリングは核保有の参考になりませんぜ。
あれは「ドイツ領内に侵攻してきた敵軍」に対して「ドイツ軍(政府)が」アメリカの許可を得て、「ドイツ領内で使用できる」核兵器を借りる仕組みです。
アメリカ軍がドイツ領内で核兵器を使うと、戦後のドイツ世論が極端に反米に傾きかねないため、ドイツ軍が使用したことにして、責任(と戦後の反発)を押しつけるために考案された仕組みです。
とてもじゃないですが、核保有国へのステップにはなり得ません。
アメリカが日本の核保有を容認するとか頭お花畑も大概にしてほしいわ
認めるわけないだろ
ドイツは持っていますよ、借り物ですけどね。
日本の国内世論が許すなら、アメリカは普通に持ってくると思いますよ。ただしアメリカの管理下においてですが。過去にもこっそり持ち込んでいた疑惑がありますね。
え?
寧ろ日本に核武装してほしいっ、いや早くしろ、自前で持つ事でアメリカの負担を減らせよっていうのがアメリカの流れなんだけど?
他にも書かれてるが、日本独自の核武装など、状況が余程急変しなければ当面無理。とりあえず通常兵力を拡大しよう。
日本の核武装なんか日本が戦争に巻き込まれて東京が真っ平らになって領土も奪われたりしない限り無いやろなぁ
そうなった時に核武装できるほどの予算あるかは知らんが
英国の合理主義が、どのように軍改革を進めるか興味深い。
現状、英国本土に地上兵力を送り込める脅威は存在しないとして、英国陸軍と海兵隊は完全な国外投射戦力の位置付けになる
問題は、何処へ何の目的で陸上戦力を投射し、その為にはどういう形態が効率的なのかだ
陸軍の大半をUVA化するとしても、UVAの活躍を保証するだけの航空優勢を確保するのは英空母とその艦載機の役目になるのだろうが、肝心要の英空母機動部隊がイマイチ頼りないし、金が無いからとF-35Bの調達数が削減されている有様で大丈夫かね?
つか、26型フリゲート8隻に31型フリゲート5隻と32型フリゲートの開発程度で欧州最大の海軍力になるとか、ホント欧州は徹底的に軍縮してしまったんだなと
時が流れて、”大英帝国”時代の遺産が喰いつくされたので、いまの凋落がある。
英議会は、国防予算の確保のために、核戦力の縮小を要求し、英国防省も
それを検討していたように聞いていたが…. 英国はどのような国防戦略を
考えているのだろうか? 批判のつもりはないが、艦隊をつくれない英海軍が、
空母を新造すると聞いたとき、どこへ行くつもりなのかと訝しく思った。
単純に考えて、空母と核および戦略原潜止めれば、水上艦と潜水艦を倍の規模にできんかね。加えて本土防空戦力の充実(艦載分を回せる)も図れる。海外領土?余った金で火力投射艦でも作ればいい。
英国は、国際影響力を保つため、安保理常任国の椅子を護るために、核戦力を放棄しないのか。
あるいは、核戦力のみが最後の国防力という認識なのか。そもそも、いまは英国に国防上の明確な(潜在)敵がいない。核戦力の維持と空母の保有は、遥か遠い東アジアの蛮国を出汁にした産業政策に過ぎないのか。
チャレンジャー2の後継はイタリアの次期MBTと合流でもするのかな
また、砲塔だけ換装。
本命:イタリアの次期MBT
対抗:韓国K-2
穴馬:10式
ドレッドノートと名付けても先代や先々代ほど革新的でないのも悲しい
NATOの一員として考えた場合、陸上兵力はフランスやポーランド、あとは欧州最凶のドイツ陸軍がいるから、
イギリスは海軍と核抑止力、美味しい料理の維持に力を入れるというのは間違ってないのだろう。
とはいえ、戦車の廃止まで踏み込んだ場合、将来的に環境が変わった場合に対応しきれるのかは他人事ながら心配。
英国に「美味しい料理」があったんだー(初耳)
まずはL85からなんとかせんと…
銃剣突撃で補えてるからセーフ
欧州で安全保障に力を入れてるフランスの場合、空母を持ちつつも小型に抑えて予算を節約したり、それに合わせて艦載機も小型かつ空軍機と共通にしてコスパを良くしたり、攻撃原潜は静粛なターボエレクトリックで小型化してコストを抑えたり、兵器の仕様に合理性や効率性が通底してるように思える。
片やイギリスは、いきなり7万トン級空母2隻作って維持費に不安があったり、CATOBARかSTOBARかフラ付いたり、タイフーンも欠陥だらけでF-35に乗り換えたり、どこか行き当たりばったりに見える。今回の国防費もそのうち予算不足で頓挫しそうな予感。
イギリスの戦略兵器はすべてSLBMで核弾頭はイギリス独自でもミサイルはアメリカのトライデントですから、アメリカへの依存は不可避ですし、通常戦力だけでも依存を減らそう、ということでしょうね。
予算を増額しても通常戦力の増備は無理で核戦力の維持がやっとという状況は厳しそうです。